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第4章 Either killed her. 学級裁判編Ⅰ

 

学級裁判 開廷

 

「まずはいつも通り、最初に学級裁判の簡単なルールを説明しておきましょう!オマエラの中にはーー 」

 

「みんな…聞いてくれ。」

 

(今までと同じように始まると思われた学級裁判だったが…これまでと同じではなかった。)

 

「え?ちょっとちょっと、まだルール説明の途中だよ?気が早いよ!先走りがすごいよ!何なの?若いから?」

 

「悪りぃ、みんな…。」

 

(モノクマの言葉を遮った彼は、今までになく真剣な顔で絞り出すような声を出した。)

 

「あの、さ…この事件の…クロは、オレなんだ。」

 

「…………え?」

 

「な、なな、なんスとぉぉぉぉ!?」

 

「う、嘘でしょ?何 言ってんの?」

 

「そんなはず…ない。」

 

「こ、こんな時に冗談言わないでよ…。」

 

「どうしましたカ?」

 

「冗談じゃねーよ…。冗談だったら…どんだけ良かったか…。」

 

「そんな…。」

 

(彼が…今回の事件の犯人?)

 

(…それならなぜ、彼は自供してるんだろう?)

 

「永本君、キミが本当に山門さんを殺したと言うのなら、詳しく話を聞かせてほしいっす。」

 

「そうだよ!本当に永本くんが山門さんを殺したっていうなら!どうやって、何で殺したの!」

 

 

「ちょっと待つデス!」

 

(裁判場全体が混乱に包まれる中、一際 大きな声が響いた。そしてーー)

 

「この事件のクロは、このワタシです!」

 

「な、なな、なんデスとぉぉぉぉ!!?」

 

「え?……え!?」

 

「ど、どういうこと?2人で山門さんを殺したの…?」

 

「ナガモト犯人ナイ。ワタシが犯人デス!」

 

「は、はあ?何言ってんだよローズ…オレのことなんか庇うなよ…な。みんな死んじまうんだぞ?」

 

「……何デスか?ハッキリ喋りてクダサイ!アナタ、ウソつきです!」

 

「え、え、えっと!ちょっと、お、落ち着こう!!」

 

「哀染君も落ち着いてください。2人とも、何があったのかそれぞれ話してもらえるっすか?」

 

「ちょっと待ったぁ!」

 

「何だ何だ〜?お前も『オレが犯人です』ってかぁ!?」

 

「そんなはずないだろ!ボクは殺人に関与しませーん!」

 

「それより、犯人からの自供、そして解決!なんてつまらなすぎるだろ!やめてよ!」

 

「えっと、世の中の大抵の事件の解決はそうやって行われてるはずなんだけど…。」

 

「分かってないな!これは、犯人を見つけることをウリにした知的エンターテイメントなんだよ!」

 

「そのためにみんな少ない小遣いや給料からお金を出してコロシアイを楽しんでるんだから!」

 

「ってアレ?これは違うんだっけ?」

 

「……。ねえ、それは…誰かがこのコロシアイを見てるってことなの?」

 

「そんなことはどうでもいいんなだよ!ボクは怒ってます!」

 

「幸いクロ候補が2人いたからまだ良かったけどさぁ。盛り下げるようなマネするなら問答無用で全員おしおきだよ!」

 

「というわけで、クロCOとカウンタークロCOした2人はこのマスクをしててね。」

 

(モノクマがペンキでバツ印が書かれたマスクを取り出した。)

 

(そして、裁判長席から最も近い席までピョイと跳んで、強い口調のまま言った。)

 

「はい、ローズさん!そのマスクを外していいって言うまで、話しちゃダメだよ!いい?」

 

「……。」

 

(モノクマが渡したマスクを、彼女は受け取る。)

 

「はい、永本クンも。キミも、盛り下げることしたら…分かってるよね?」

 

「……。」

 

(彼もモノクマからマスクを受け取り、付けた。)

 

 

「うーん、裁判中 毎回誰か必ず無口だよね。」

 

「……今回は…たくさん話す…ように頑張るよ…。」

 

「あ、いやいや、木野ちゃんのことだけを言ってるわけじゃなくてさ…。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「別に人数多いと万遍なく話させるのが大変とかそういう理由じゃないよ!絶対違うからね!絶対絶対違うんだからね!」

 

「何でお前がそんな必死なんだよ!?」

 

「とにかく!改めまして。『どちらかが彼女を殺した』のか?それとも他にクロがいるのか?クレイジーマックスな裁判の始まりでーす!」

 

「ええと…。そ、それで、どうしたらいいんだろう?」

 

「永本かローズがクロなんだろ?どっちがクロか考えていけばいいんじゃねーの。」

 

「えっと…けいが人を殺すとは思えないよ。…でも、ローズがなでしこを殺すとも…思えない。」

 

「2人のアリバイは…?」

 

「みなさん、待ってほしいっす。」

 

「え?」

 

「最初から『どちらがクロか』に絞るよりも『クロは誰か』を議論した方がいいと思うっす。」

 

「これまでもそうしてきた慣れもあるし、まずは広い視点で見るのはどうっすか?」

 

「そ、そうだね。賛成だよ。」

 

「オーイェー!」

 

「そ、そうだね。慣れてきたもん。大丈夫、みんなで真実を見つけよう。」

 

「慣れたくはない…けど。」

 

 

「じゃあ、まず事件の振り返りからしてみようよ。」

 

「被害者は、”超高校級の翻訳者” 山門 撫子。」

 

落ちてくる天井のホーム側で死んでた…。外に出てた あたしとここみ、アイコが第1発見者だよ。」

 

「モノクマファイルによると…死因は頚椎骨折によるショック死…だよ。」

 

首の骨が折れたって…ことだよね。」

 

「オレら外 探索組がホームに帰ろうと思ってデストラップまで行った時、山門を発見したんだよな。」

 

「アイコさん。その話、もう1度してもらってもいいっすか?」

 

「ガッテン承知の助平!」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「あのね〜、アイコたち〜外の探索で〜、またスタート地点のお花畑に向かってたんだけど〜。」

 

「ローズさんとはぐれたため、途中で戻って来たら、トラップが作動して道が塞がれてました。」

 

「つまり…天井がすでに落ちてたってことだよ…。」

 

「不思議に思いながらもホーム反対側からトラップを解除したんだ。そしたら、トラップの先で山門さんが…。」

 

「首がねじ曲がってて!あんなの!人間の力じゃできない!」

 

「ズバリ!きっと山門さんはあのデストラップによって死んだのでしょう!」

 

 

【モノクマファイル】→人間の力

【モノクマファイル】→トラップによって死んだ

【遺跡のモンスター】→トラップによって死んだ

 

 

 

「ズバリ!事件は迷宮入りでしょう!」

 

(みんなの死も含めた迷宮入りだよ!)

 

 

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「それは違うよ。」

 

「もう1度モノクマファイルを見てみて。死因は首の骨が折れたことだよね。」

 

「あのトラップで死んでしまったとしたら…遺体はあんな状態じゃないはずっすね。」

 

「うん…もっとこう…ペチャンコになってる…はずだよね。」

 

「いやーっ!グロい!想像したら気持ち悪くなってきた!吐きそう!」

 

「……機械なのに?」

 

「えーと…ということは、なでしこが死んだのはトラップとは関係ないってこと…かな?」

 

「僕らが通った時は…昨日と同じように通れたよね…。」

 

「キミたちが通った後、死体発見までの間にトラップが発動している…事件と無関係とは思えないっすね。」

 

「せやな。デストラップがあって、近くに死体があったら、殺人に全く使わない言うんは不自然やわ。」

 

 

「例えば…トラップとスイッチが連動した仕掛けがあれば可能ではあるっすが…。」

 

「そ、そうだね…。天井が落ちて来るってことは…それを支える装置があったはずだよ。」

 

「落ちる天井とは逆の力が働く仕掛けがあったってことかい!」

 

「え?え?ごめん、どういうこと?」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「例えば、ワイヤー。普段はワイヤーで天井を吊るしてる状態…で…トラップが作動したら…」

 

ワイヤーの支える力…がなくなって…天井が落ちる。代わりに、天井と繋がってるワイヤーは…逆向きに力が働く…。」

 

「えっと…天井と繋がったワイヤーが落ちる天井に引っ張られるってこと?」

 

「うん。そのワイヤーにロープを結んで山門さんの首に掛ければ…。」

 

「トラップが作動して彼女は天井が落ちる勢いと同じ勢いで首を引っ張られて…。」

 

「強い力で引っ張られたロープのせいで首が折れる…ってことだね。うん…ありがとう。何となく分かったよ。」

 

 

【死体の首の跡】→ワイヤーの支える力

【死体の首の跡】→ロープ

【山門の遺書】→ロープ

 

 

 

「え?何?せっかく理解しかけてたのに…ぶっ飛んだよ。」

 

(ぶっ飛ばしちゃったか…。)

 

 

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「それは違うよ。」

 

「撫子の首には確かに絞殺したような跡があったけど、ロープの跡じゃなかったんだ。」

 

「それに、ワイヤー装置があのトラップにあったとしても…少なくともぼくらが見えるところにはなかったよね。」

 

「そうっすね。犯人も使えるとは思えないっす。」

 

「いや、天海が言い出したんじゃん?時間返して?」

 

「すみません。一応みんなで議論しておきたいと思ったんすよ。」

 

「うん…。みんなで真実を見つけるなら…必要なこと…だよ。」

 

「ことは…。」

 

「でも、山門さんの首の跡…ロープじゃないなら…あれは何だったんだろう…。」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「あれは、首を絞められたような跡だった…と思うよ。」

 

手の跡…なのかな?」

 

「大きい手…太い指の跡にも見えた…。」

 

「あの大きさと太さなら、ここにいるみんな当てはまらなさそうだよね。」

 

「そうそう、あの大きさと太さなら、ハマらなそうだよ!」

 

「超モンスター級!きっと、犯人はモンスターなんだよ!」

 

「モンスターなら…首の骨を折るほどの力があっても…おかしくないのかな?」

 

「じゃ、じゃあ!けいもローズも犯人じゃないってことだよね!」

 

 

【遺跡のモンスター】→手の跡

【山門の遺書】→犯人はモンスター

【遺跡のモンスター】→犯人はモンスター

 

 

 

「なんだァ!?お前なら超モンスター級の大きさと太さでも逝かねーっていうのか!?」

 

(下ネタキャラはさすがにやめてほしいな。)

 

 

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「それは違うよ。」

 

「遺跡のモンスターたちは大人しくて、こちらに襲いかかってくるようなものじゃなかったはずだよ。」

 

「うん…そうだよね。」

 

「でもさ、たまたま出くわさなかっただけで、本当は獰猛なヤツがいたのかもよ?」

 

「そうかもしれないけど、そもそもモンスターはあのトラップよりホーム側には現れないらしいんだ。」

 

「…そうなの?」

 

「そうそう。モンスターはホーム側には何があっても行けないよ。ホームは安全。保証します!」

 

「それに、あの付近にモンスターがいたら、探索していたみんなとも出くわしてるはずだよ。」

 

「あー、確かに、今日はモンスターを見なかったな。」

 

「僕らは、ね…。」

 

「じゃあ、なでしこはやっぱり、人に殺されたってことかな…。」

 

「モノクマは『また殺人が起こってしまった』と言ってたっすからね。今回も事の真相を知った上でああ言ったなら…。」

 

「やっぱり、殺人だったってことだよね。」

 

「そっか…。」

 

(裁判場が一瞬 静まり返る。”モンスターが犯人だったら”という淡い希望が消えたことによる静寂だ。)

 

 

「あの…殺害方法は確かに不思議だけど…とりあえず『誰が殺害することが可能か』を考えた方がいいんじゃないかな?」

 

「…そうだね。外にいた人たち…ローズさんと はぐれたんだよね?」

 

「ワシと祝里、佐藤、そしてローズは確かに一緒に外を探索しとったが…。」

 

「小1時間くらい歩いた時かな。ローズがモンスターがいたって言って、どこかに行っちゃったんだよね。」

 

「うん…。はぐれちゃって…結局見つからなかったから、とりあえずホームへ戻ろうってことになって…。」

 

「そんで戻った時にはデストラップの天井が落ちてたんだよな。」

 

「トラップを解除したら死体があって…しばらくして、ことは達が来たんだよ。」

 

「それまで、オレら3人は一緒にいたぜ。オレらにはアリバイがあるってことだ。」

 

「ローズさんはその間も見なかったんすね?」

 

「うん…見てないよ。」

 

「…私たちがアナウンスを聞いて…現場に行くまでの間も…見なかった。」

 

「つまり、ローズちゃんが怪しいってことじゃん!?」

 

「永本君、木野さん、それに俺と哀染君もアリバイがないのは同じっすよ。」

 

(そっか…。一緒にいても、あの状況じゃアリバイがあったことにはならないか。)

 

「でも、誰もローズを見てないのって何で?家にいた人たちも色んなところ調査してたんだよね?」

 

「隠れる場所も…ない。」

 

「ローズさんに気付かなかった理由、心当たりがあるっすね。哀染君。」

 

(彼女は捜査時間には地下にいた。外から家に戻った彼女に気が付かなかったのはー…)

 

 

1. みんな熟睡していたから

2. 巧妙に隠れていたから

3. 変装していたから

 

 

 

「それはない。」

 

(これまでにないほどハッキリした物言いだ…。)

 

 

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「それはたぶん…ぼくらが寝てたから…じゃないかな。」

 

「寝てた?」

 

「俺たち…ホームにいた人間は11時すぎ頃、突然 気絶するように寝てしまったんすよ。」

 

「えっ、また?」

 

「うん。また、だね。」

 

「ボクはそこにも怒ってます!同じ人の才能の使い回しとかさ、ライターの能力不足としか言いようがないよ!」

 

「まあ確かに便利だろうね。発明家とか発明家とか発明家みたいに、便利だろうね。」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「11時くらいに…みんな突然 寝ちゃったってこと?」

 

「いくら みんな寝不足だからって、その時間に同時に眠るのは不自然ですわ。」

 

「前の裁判でも…こんな話があったよね…。」

 

「あ、ねえねえ。木野ちゃんが睡眠薬とかクロロホルムとか持ってるとかじゃない?」

 

「……持ってない。他にも、私たちが突然眠る原因がある…。」

 

子守唄…だよね。」

 

 

【山門の部屋の様子】→睡眠薬

【トラップのボタン】→子守唄

【カセットレコーダー】→子守唄

 

 

 

「哀染さん…もしかして色んなショックで記憶喪失になっちゃった?だ、大丈夫?」

 

(顔面蒼白で心配されてる…。考え直そう。)

 

 

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「それに賛成だよ。」

 

「ホームの玄関ホールには、圭君のカセットレコーダーが落ちてたんだ。美久の子守唄が入っているカセットレコーダーが。」

 

「じゃ、また誰かがそれを流してみなさんを眠らせたってことですか?」

 

「誰かがっていうか、永本さんじゃね!?」

 

「いーや!永本君がそんなことするはずないよ!」

 

「永本は自供もしてんだぜ!?ぜってー永本の仕業だ!」

 

「アイコさん…キャラクターが定まってないのはいいけど…人格は同一にしてくれるかな…?」

 

「ごめんなさい…人数少ない分、賑やかし頑張ろうと思って…。」

 

「賑やかしより…話し合いを頑張ろう…よ。」

 

「えっと、でもあたしたちは眠ってないよね?結構 遺跡内って音が反響するのに…。」

 

「距離的に…聞こえなかったのかな?」

 

「まあ、それもあると思うっす。」

 

(それも…か。他にも理由がありそうってことかな。)

 

(外を探索していたみんなが子守唄を聞かなかった理由は…。)

 

 

1. 【死体の絞殺痕】

2. 【天井のトラップ】

3. 【遺跡のモンスター】

 

 

 

「そこのけそこのけ!哀染さまのお通りでい!」

 

「哀染さん!大丈夫です。あなたは助かりますよ!」

 

「哀染クン…希望を捨てちゃダメだよ。ロボトミー手術でもなんでも駆使すれば…キミは治るはずだから…。」

 

(神経学者のお世話になる前に考え直そう。)

 

 

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「天井のトラップだよね。それが作動して道を塞いでたから、トラップより向こうにいたみんなのところまで届かなかったんじゃないかな。」

 

「トラップの作動時間のデータによると、今日トラップが作動したのは11時15分っすね。」

 

「子守唄が聞こえた時間と同じくらい…。」

 

「そうだね。確かに、子守唄が聞こえたのも11時すぎだよね。」

 

(死体役になって引きずられてた時だった。)

 

「ええ。子守唄の時間も11時15分だったっすね。直前に時間を確認したんで確かっすよ。」

 

「犯人はどうして子守唄を流したんだろう?」

 

「眠らせて殺す…っていうのが一番自然な考え方だと思うけど…。」

 

「子守唄の時にトラップが作動してたのは…犯人が眠らないため…かもしれない。」

 

「どーいうことぉ?」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「トラップの作動時間は11時15分…。歌が聞こえて来たのも…同じくらい…。」

 

「確かに、トラップ作動時間は15分ってなってるね…。」

 

「犯人が…子守唄をセットして…ホーム側で山門さんを…殺す。」

 

「その後、トラップを通ってホーム反対側へ行く…それから、トラップを発動させる…。」

 

「そうすれば…犯人は眠らないですむ…かもしれないよ。」

 

「…犯人が子守唄を聞いて眠らないようにホームの反対側からトラップを作動させたってこと?」

 

 

【カセットレコーダー】→子守唄をセット

【トラップのボタン】→ホーム反対側へ行く

【モノクマファイル】→ホーム反対側へ行く

 

 

 

「私がたくさん話すと…哀染さんは変な顔する…。」

 

「気にすることねーや!哀染はこういう時いつも変な顔してっからな!」

 

(変な顔って…一応アイドルの顔なのに…。)

 

 

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「それは違うよ。」

 

「あの天井のトラップは、1人じゃ通り抜けられないはずだよ。」

 

「あ…。」

 

「誰かがボタンを長押ししておかないと、天井が落ちて来る仕様っすからね。」

 

「ホーム側で山門さんを殺してから反対側へ行くことはできないんだね…。」

 

「木野、オメーも昨日通って知ってるだろ?あそこを通るには、最低2人必要なんだよ。」

 

「……ごめんなさい。昨日は少し…余裕がなかった。」

 

「謝らないで!どんどん可能性を話し合っていこう。」

 

「……やっぱり、犯人が子守唄を流して山門さんを眠らせて殺した…っていう可能性の方が高いんじゃないかな?」

 

「じゃあじゃあ、子守唄のカセットレコーダーを持ってた永本が犯人?」

 

「えっ、でも!カセットレコーダーを他の人が使った可能性があるよね?」

 

「……。」

 

 

「1つ確認したいんすが…ホーム側にいた人は誰もローズさんを見てないんすよね?」

 

「え?うん。ぼくらは見てないよね。」

 

「私も…。」

 

「……。」

 

「捜査時間の前に、永本君も見てないと言ってたっす。」

 

「あれ?じゃ、じゃあローズさんはどうやってホーム側に行ったのかな?」

 

「確かに。他のみんな彼女を見てなくて…でも、捜査時間中 彼女は地下にいた。」

 

「そっか、私たちと探索してたローズがホーム側に行くのにも、誰かがホーム側のボタンを押しててあげないといけないんだね。」

 

(でも…ホーム側にいた人たちはみんな彼女を見てないと言ってる。どうしてだろう?)

 

 

1. モノクマがボタンを押した

2. 被害者がボタンを押した

3. 誰かが嘘をついている

 

 

 

「信じることは疑うこと。疑うことは信じること。信じるために疑うんだよ。」

 

「英雄になんてならなくていいんだよ。胸を張れる自分でいればいいんだよ。」

 

「嘘って雪玉のようにどんどん大きくなるんだよね。」

 

(モノクマが口を挟んできたが、どこかで聞いたようなことしか言わない。)

 

(時間の無駄だ。コピペ名言を聞くより考え直そう。)

 

 

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「被害者がホーム側からボタンを押したんじゃないかな。」

 

「なでしこが?」

 

「もしかして…撫子ちゃんにボタンを押してもらってホーム側に行って…その後…ローズちゃんが撫子ちゃんを…!?」

 

「でも…それって、11時15分よりも前にローズさんがホーム側にいたってことだよね?」

 

「そっか、トラップ落ちる前には通ってるはずだもんね。」

 

「でも、それなら…ローズさんも子守唄で寝ちゃう…。」

 

「殺人のために子守唄を流すなら…犯人が寝てちゃおかしい…よね。」

 

「そうね。ローズさんだけじゃないわ。ホーム側にいた人は全員 寝てしまっていたはずよ。」

 

 

「一応 1人だけ…子守唄で寝ることを回避できる人がいるっすけど…。」

 

「あ…。」

 

「……。」

 

「……。」

 

(そんな道具を持っているのは…1人だ。)

 

 

▼子守唄が響く中でも眠らない人は?

 

     

 

 

 

「強いストレスによる記憶障害…辛かったね、哀染さん。」

 

(まずい、哀れみに満ちた目だ…!)

 

 

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「……圭君は、子守唄が響いていても、眠らないための術があるよね。」

 

「……。」

 

「……ヘッドホン…だね。ノイズキャンセラー付きの。」

 

「な、永本さんが子守唄を流したの…?」

 

「……。」

 

(彼は答えられない。)

 

「でも、前みたいにヘッドホンもカセットレコーダーも盗まれてた…ら…。」

 

「死体発見アナウンスの時…永本さん…ヘッドホン…首にかけてた…。」

 

「じゃあ、永本が子守唄を流して山門を殺したってこと?」

 

「……。」

 

(みんなの視線が押し黙ったままの彼に集まる。けれど、彼は目を閉じて苦悶の表情を浮かべるだけだ。)

 

「永本君はカセットレコーダーの持ち主っす。子守唄がどこから始まるか、さすがにもう知ってたはずっすね。」

 

(…そうだ。確かに、そう言ってた。)

 

 

「またそこら辺で寝ちゃうんじゃない?」

 

 「いや、もうどの歌の次が子守唄か知ってるから大丈夫だよ。」

 

 

「でも、でも…おかしいよ。けいが人を殺すなんて…。」

 

「……。」

 

「信じられないけど…極度の緊張状態で精神がおかしくなっても…不思議じゃないよ…。」

 

「永本さんは毎回 容疑者になるほどの不運の持ち主です。きっと今回も不運が重なって…」

 

 

「不運じゃないよ!けいの才能ならピンチをチャンスにできるはずだもん!」

 

「え?」

 

「今までだって…クラスでだって…そうだったもん…。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「祝里さん、どういうことっすか?永本君の才能…キミは知ってるんすか?」

 

「……あ。……その。」

 

「何だ?何で今まで隠してたんだよ?……まさか、お前らグルで何か企んでたのか!?」

 

「違うよ…。でも…。」

 

「…祝里さんが永本君の才能を知っているとすれば…これまでの動機が関係しているはずっすね。」

 

「えっと……。」

 

(彼女が彼の才能を知っている理由…?)

 

 

1. 1回目の事件の動機

2. 2回目の事件の動機

3. 3回目の事件の動機

 

 

 

「え?多分あたしが知ってる動機と違う。記憶違いかな?」

 

「ううん。こちらの記憶違いだったよ。」

 

(1回目の事件の動機は、他の人と出られること。2回目はクラスメイト。3回目は惚れ薬…だったね。)

 

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「2回目の事件の動機…クラスメイトの記憶だよね。」

 

「!」

 

「あの時、クラスメイトの記憶と共に永本君の才能も思い出した…違うっすか?」

 

「……。」

 

「佐藤と木野はどう?あんたらもクラスメイトだよね?」

 

「……永本さんに口止めされてたけど。」

 

「……うん。永本さんの才能はーー」

 

「やめろ!」

 

(彼らの言葉を制したのは、裁判場に響く怒声だった。)

 

「オレには…才能なんてねーって言ってるだろ。あんなの…才能じゃねーんだよ。」

 

「圭君…?」

 

「おやおや、永本クン。喋っちゃダメって言ったはずだろ?」

 

「うるさいな。事件のことは話さねーよ。」

 

「あわわ…全員おしおきの脅しすら効かない…だと?そんなに才能を明かされるのが嫌なんだね?」

 

「まあいいよ!キミの才能は殺しにくいと評判だからね!この場でじゃなくて、おしおきで死なせてあげるのも一興かな!」

 

「おしおき…。」

 

「みんな…この裁判にはオレの才能なんて関係ねーよ。頼むからさ、詮索しないでくれ。最後の頼みなんだから…。」

 

「さいご…。」

 

「……。」

 

 

「あのさ、圭君。どうして隠すの?」

 

「永本さんは、自分の才能に自信がないんだよ…。」

 

「……。」

 

「彼の才能は稀有なものなのにね…。才能を磨くことは難しいかもしれないけれど…それでもーー」

 

「オレのは才能じゃねーって言ってるだろ!!」

 

「キ…キレた!」

 

「キレやすいワカモノこわーい!前向きが取り柄じゃない人だとこうなっちゃうんだね!」

 

「お前らに分かるかよ!すげー才能があるヤツらに!」

 

「僕は才能があるかどうかも思い出せてないけど…。」

 

「佐藤、シッ!マジレスする奴があるかよ!」

 

「お前らの中でオレがどんな気持ちで生活してたかなんて!お前らには分かんねーよ!」

 

(彼の才能は…言えないようなものなの?)

 

 

「…だからキミは…耳を塞いでたんだね。」

 

「……。」

 

「……分かったよ。僕らからは、キミの才能は言わない。でも…もう勘付いてる人もいるんじゃないかな。」

 

「そうそう。ちなみに、彼の才能は常連さんなんだよね!忌々しいことに!」

 

(彼の才能…。勘付いてるってことは…今までのことから分かるってことかな?)

 

 

「もしかして…永本さん、惚れ薬を見つけたんじゃないの?」

 

「あのな…。運なんか才能じゃねーだろ…。」

 

「けいは運が良い方だよね。」

 

 

(磨きにくい才能。殺しにくい才能。稀有な才能。それに…常連?彼の才能はーー)

 

 

1. 超高校級の殺人鬼

2. 超高校級の幸運

3. 超高校級の暗殺者

 

 

 

「……もう、ほっといてくれよ。」

 

(…なんか、ほっとしてる?)

 

 

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「”超高校級の幸運” …毎年全国の高校生から1人だけ選ばれる”超高校級”。それが圭君の才能じゃないかな?」

 

「……。」

 

「……永本君、どうっすか?」

 

「……。どうだっていいだろ。」

 

「でもよ、”超高校級の幸運”は1年に1人だろ?確か…松井はクラスメイトに”超高校級の幸運”もいたって言ってたぞ。」

 

「松井さんや夕神音さん…ローズさんのクラス…。」

 

「……。」

 

「じゃあ…永本の才能は”超高校級の幸運”じゃねーだよ。」

 

「けいの才能は本当に本物の幸運だよ!けいは幸運を分け与える才能があったんだよ!」

 

「黙ってろよ。祝里…。」

 

「……う。」

 

「……。」

 

 

「永本さんは…友達も多くて…みんなに好かれてた…。」

 

「は?」

 

「……私は…羨ましかった。永本さんの周り…いつも人がたくさんいた。」

 

「いや、お前も何言ってんだよ?」

 

「私…は、永本さんみたいに…なりたいよ…。」

 

「……。」

 

「う、うん…テスト前とか、永本さんの前に行列できて、すごい人気だったよね。」

 

「そ、そうだね!けいはクラスの縁起物って感じだったんだよ。けいの足の裏 触ると幸運になれるんだよ!」

 

「ビリケンさん!?」

 

「えっと、学園のケセランパサランって呼ばれてたよ。あと、4つ葉のクローバーとかえんとつ掃除屋さん!」

 

「黙れって…。」

 

「えんとつ掃除屋さんを見ると幸福になれるって話、ヨーロッパにあるっすね。」

 

「えーと、えーと…それに、けいと話した後、女の子の家とか行くと、運良く着替えや入浴シーンに立ち会えたりするらしいよ!」

 

「ラッキースケベってやつだね!うらやまけしからん!」

 

「いや…マジで黙れよ…。」

 

「……。」

 

「……。」

 

(彼の才能は本物らしい。)

 

 

「あ…あと、それからーー」

 

「黙れって!」

 

「どこが幸運なんだよ!こんなコロシアイに参加させられて…山門を…殺しちまって……!」

 

「ハイ、ストーップ!事件に関すること話すならマスク着用の上ソーシャルディスタンスを保ってくださーい!」

 

「それが嫌ならお口にチャック…を付けるために唇まつり縫いしちゃうよ!」

 

「……。」

 

(モノクマの言葉に、彼はまた黙り込んだ。)

 

「本当に、けいが…なでしこを殺したの?」

 

「……。」

 

「…は、話し合いを続けよう?」

 

 

「……永本君やローズさんが犯人だと、腑に落ちないことがあるっす。」

 

「腑に落ちないこと?」

 

「犯人はある工作により山門さんが自殺だったと思わせたっす。」

 

「自殺だと思わせた工作ってーー」

 

 

1. 【山門の遺書】

2. 【死体の絞殺痕】

3. 【カセットレコーダー】

 

 

 

「時々、哀染君が何言ってるか分かんねーっす。」

 

(前にも同じこと言われたね…。)

 

 

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「そっか。死体の懐に入ってた遺書だね。」

 

(几帳面な字で『これはわたしの自殺です』そう書いてあった…。)

 

「もし2人のうちどちらかが犯人なら、何で裁判始めから自供したんすかね?」

 

「確かにな…。偽装工作をしておいて自供する意味が分からぬ。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「2人が犯人なら…おかしい…。」

 

「殺して偽装工作をしてみたはいいけど…自責の念にかられて…?」

 

「そうだね。人を殺す心理的負担は計り知れないから…。」

 

「遺書を用意したはいいけど、死体を自殺に見せていなかったのは…その心理変化が理由じゃないかな。」

 

「だからって…2人が人を殺すなんて…考えられないよ。」

 

 

「俺たちはこの遺書の筆跡を知っていはずっす。」

 

「あ、前のステージでしてた報告書と手紙のやり取りだね。」

 

「でも、筆跡を見たと言っても、圭君とローズの字は手紙の宛名を書いたものを見ただけだよ。」

 

「あ。あたしに任せて。けいの字はもちろん、ローズの字も、みんなの字だって覚えてるよ。」

 

「さ、さすがだね…。」

 

「そのすごさに嫉妬しちゃうですわー!」

 

「…うん。祝里さんは…すごい。」

 

「あれ…この字…。」

 

(遺書が彼女の手に渡り、それを凝視した後、彼女が顔を上げた。そして続けた言葉はーー)

 

なでしこの字だよ。」

 

 

 

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