第四章 Either killed her. 学級裁判編Ⅰ

創作

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第四章 Either killed her. 学級裁判編Ⅰ

 

コトダマリスト

 

【モノクマファイル】
被害者は”超高校級の翻訳家” 山門 撫子。死体発見現場は遺跡内 天井トラップの前。死亡推定時刻は午前11時15分頃。死因は首の骨が折れたことによるショック死。頚椎骨折により即死。
【死体の首の跡】
死体の首には首を絞められたような跡がある。跡は太い指のようにも見える。
【天井のトラップ】
ボタンを長押ししていないと通路の天井が落ちてくる。トラップの説明書きはエスペラント語。通路の長さは約3m。
【トラップのボタン】
天井のトラップを作動させないためのボタン。長押しすることでトラップ作動を回避する。通路のホーム側と反対側の壁に1つずつ設置されている。ホーム側のボタンには血が付着している。
【天井のトラップ作動時間】
トラップの注意書きの下に書き足された作動時間を示す時刻。天井トラップが落ちたのは、昨日の13:20と、今日11:15の2回。
【山門の遺書】
山門が持っていた遺書。見覚えある筆跡で『これはわたしの自殺です』と書かれている。前のステージの”大富豪の家”にあった紙が使われている。
【山門の部屋の様子】
山門の部屋には事件に関する血痕はない。枕元やバスルームなどには血が流れた痕跡がある。その他、変わったところはない。
【血の付いたハンカチ】
山門の部屋のゴミ箱に入っていた。
【遺跡のモンスター】
遺跡内のモンスターは大人しくて臆病。トラップに近寄れないため、ホーム側に行くことはない。
【カセットレコーダー】
ホームの玄関ホールに落ちていた永本のカセットレコーダー。夕神音の歌が入っている。

 

 

学級裁判 開廷

 

「まずは いつも通り、最初に学級裁判の簡単なルールを説明しておきましょう!オマエラの中にはーー… 」

 

「みんな…聞いてくれ。」

 

(今までと同じように始まると思われた学級裁判。けれど、これまでと同じじゃなかった。)

 

「え?ちょっと ちょっと、まだルール説明の途中だよ?気が早いよ!先走りが凄いよ!何なの?若いから?」

 

「悪りぃ、みんな…。」

 

(モノクマの言葉を遮った彼は、今までになく真剣な顔で絞り出すような声を出した。)

 

「あの、さ。この事件の…クロは、オレなんだ。」

 

「………え?」

 

「な、なな、なんスとぉぉぉぉ!?」

 

「う、嘘でしょ?何 言ってんの?」

 

「そんなはず…ない。」

 

「こ、こんな時に…冗談 言わないでよ。」

 

「どうしマシタか?」

 

「冗談じゃねーよ。冗談だったら…どんだけ良かったか…。」

 

(消えそうな声を絞り出す彼。冗談を言っているようには、到底 思えない。)

 

(ーー彼が今回の事件の犯人?…それなら何故、彼は自供してるんだろう?)

 

「永本君、キミが本当に山門さんを殺したと言うのなら、詳しく話を聞かせてほしいっす。」

 

「そうだよ!本当に永本くんが山門さんを殺したっていうなら!どうやって、何で殺したの!」

 

(そんな、裁判場全体が混乱に包まれる中のことだった。)

 

「ちょっと待つデス!」

 

(モノクマに近い席から、一際 大きな声が響かせた彼女が、こう言った。)

 

「この事件のクロは、ワタシです!」

 

「な、なな、なんデスとぉぉぉぉ!!?」

 

「え?……え!?」

 

「ど、どういうこと?2人で山門さんを殺したの…?」

 

「ナガモト、犯人ナイ。ワタシが犯人デス!」

 

「は、はあ?何 言ってんだよ、ローズ!オレのことなんか…庇うなよな。みんな死んじまうんだぞ?」

 

「……何デスか?ハッキリ喋りてクダサイ!アナタ、嘘吐きデス!」

 

「え、え、えっと!ちょ、ちょ、ちょっと…お、お、落ち着こう!!」

 

「哀染君も落ち着いてください。2人とも。何があったのか、それぞれ話してもらえるっすか?」

 

「待った!!(裁判ゲーム風に!)」

 

「何でぇ?お前も『オレが犯人です』ってかぁ!?」

 

「そんなはずないだろ!ボクは殺人に関与しませーん!」

 

「それより、犯人からの自供、そして解決!なんて つまらなすぎるだろ!やめてよ!」

 

「えっと、世の中の大抵の事件の解決は…そうやって行われてるはずなんだけど…。」

 

「分かってないな!これは、犯人を見つけることをウリにした知的エンターテイメントなの!」

 

「そのために、みんな少ない小遣いや給料からお金を出してコロシアイを楽しんでるんだから!」

 

「ーーってアレ?これは違うんだっけ?」

 

「……ねえ、それは…誰かがこのコロシアイを見てるってことなの?」

 

「そんなこと、どうでもいいんだよ!ボクは怒ってます!」

 

「幸いクロ候補が2人いたから良かったけどさぁ。盛り下げるようなマネするなら問答無用で全員おしおきだよ!」

 

「…というわけで、クロCOカミングアウトとカウンタークロCOの2人はマスクをしててね。」

 

(モノクマが血みたいな色でバツ印が書かれたマスクを取り出した。)

 

(そして、裁判長席から最も近い席へ跳んで、強い口調のまま言った。)

 

「はい、ローズさん!そのマスクを外していいって言うまで、話しちゃダメだよ!いい?」

 

「……。」

 

(モノクマが渡したマスクを、彼女は受け取る。)

 

「はい、永本クンも。キミも、盛り下げることしたら…分かってるよね?」

 

「……。」

 

(彼もマスクを受け取り、付ける。それを満足気に見たモノクマは「議論を続けて」と他の全員を促した。)

 

「…うーん、毎回 裁判中必ず無口な人いるね。」

 

「……今回は…たくさん話すように頑張るよ…。」

 

「あ、いやいや、木野ちゃんのことだけを言ってるわけじゃなくてさ…。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「別に人数多いと万遍なく話させるのが大変とかいう理由じゃないよ!違うからね!絶対 絶対、違うんだからね!」

 

「何で、お前が そんな必死なんだよ!?」

 

「とにかく!どちらかが彼女を殺したのか?それとも他にクロがいるのか?学級裁判の始まりでーす!」

 

「ええと…。そ、それで、どうしよう?」

 

「永本かローズ…どっちがクロか考えなきゃね。」

 

「えっと…けいが人を殺すとは思えないよ。でも、ローズが…なでしこを殺すとも思えない。」

 

「2人のアリバイは…?」

 

「待ってください。」

 

「え?」

 

「最初から『どちらがクロか』に絞るよりも『クロは誰か』を議論した方がいいと思うっす。」

 

「これまで そうしてきた慣れもあるし…まずは、広い視点で見てみるのは どうっすか?」

 

「そ、そうだね。賛成だよ。」

 

「オーイェー!」

 

「そ、そうだね。慣れてきたもん。大丈夫、みんなで真実を見つけよう。」

 

「慣れたくはない…けど。」

 

(みんなが同意の意思を示して頷いた。)

 

「じゃあ、まず事件の振り返りからしてみようよ。被害者は、”超高校級の翻訳者” 山門 撫子。」

 

落ちてくる天井のホーム側で死んでた…。外に出てた あたしとここみ、アイコが第1発見者だよ。」

 

「モノクマファイルによると、死因は頚椎骨折によるショック死…だよ。」

 

首の骨が折れたって…ことだよね。」

 

「オレら、外 探索組がホームに帰ろうと思ってデストラップまで行った時、山門を発見したんだよな。」

 

「アイコさん。その話、もう1度いいっすか?」

 

「ガッテン承知ッス!承知の助平ッサ!」

 

 

ノンストップ議論1開始

 

「あのね〜、アイコたち〜外の探索で〜、またスタート地点のお花畑に向かってたんだけど〜。」

 

「ローズさんと はぐれたため、途中でホームへ戻ったのです。その際、トラップが作動して道が塞がれてました。」

 

「つまり…天井が既に落ちてたってことだよ…。」

 

「不思議に思いながらもホーム反対側からトラップを解除したんだ。そしたら、トラップの先で山門さんが…。」

 

「うぅっ!首が…ねじ曲がってて!あんなの!人間の力じゃできない!」

 

「ズバリ!きっと山門さんはあのデストラップによって死んだのでしょう!」

 

【モノクマファイル】→人間の力

【モノクマファイル】→トラップによって死んだ

【遺跡のモンスター】→トラップによって死んだ

 

 

 

「ズバリ!事件は迷宮入りでしょう!」

 

(みんなの死も含めた迷宮入りだよ!)

 

 

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「それは違うよ。」

 

「もう1度モノクマファイルを見てみて。死因は首の骨が折れたことだよね。」

 

「あのトラップで死んでしまったとしたら…遺体はあんな状態じゃないはずっすね。」

 

「うん…。もっとこう…ペチャンコになってるはずだよね。」

 

「いやーっ!グロい!想像したら気持ち悪くなってきた!吐きそう!」

 

「……機械なのに?」

 

「えーと…ということは、なでしこが死んだのはトラップとは関係ないってこと…かな?」

 

「僕らが通った時は…昨日と同じように通れたよね…。」

 

「キミたちが通った後、死体発見までの間にトラップが発動している…事件と無関係とは思えないっすね。」

 

「せやな。デストラップがあって、近くに死体があったら、殺人に全く使わないんは不自然やわ。」

 

「例えば…トラップとスイッチが連動した仕掛けがあれば可能だと思うっすけど…。」

 

「そ、そうだね…。ボタンを押していないと天井が落ちて来るってことは…それを支える装置があったはずだよ。」

 

「落ちる天井とは逆の力が働く仕掛けがあったってことかい!」

 

「え?え?ごめん、どういうこと?」

 

 

ノンストップ議論2開始

 

「例えば、ワイヤー。普段はワイヤーで天井を吊るした状態で…トラップが作動したら…」

 

ワイヤーの支える力がなくなって…天井が落ちる。代わりに、天井反対側と繋がるワイヤーに逆の力が働く…。」

 

「えっと…天井と繋がったワイヤーが、落ちる天井に引っ張られるってこと?」

 

「うん。そのワイヤーにロープを結んで山門さんの首に掛ければ…。」

 

「トラップが作動して彼女は天井が落ちる勢いと同じ勢いで首を引っ張られて…。」

 

「強い力で引っ張られたロープのせいで首が折れる…ってことだね。うん…ありがとう。何となく分かったよ。」

 

【死体の首の跡】→ワイヤーの支える力

【死体の首の跡】→ロープ

【山門の遺書】→ロープ

 

 

 

「え?何?せっかく理解しかけてたのに…ぶっ飛んだよ。」

 

(ぶっ飛ばしちゃったか…。)

 

 

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「それは違うよ。」

 

「撫子の首には確かに絞殺したような跡があったけど、ロープの跡じゃなかったんだ。」

 

「それに、ワイヤー装置がトラップにあったとしても…少なくとも、ぼくらが見えるところにはなかったよね。」

 

「そうっすね。犯人も使えるとは思えないっす。」

 

「いや、天海が言い出したんじゃん?時間返して?」

 

「すみません。一応、みんなで議論しておきたいと思ったんすよ。」

 

「うん…。みんなで真実を見つけるなら…必要なこと…だよ。」

 

「ことは…。」

 

「でも、山門さんの首の跡…ロープじゃないなら、あれは何だったんだろう…。」

 

 

ノンストップ議論3開始

 

「あれは、首を絞められたような跡だった…と思うよ。」

 

手の跡…なのかな?」

 

「大きい手…太い指の跡にも見えた…。」

 

「あの大きさと太さなら、ここにいる みんな当てはまらなさそうだよね。」

 

「そうそう、あの大きさと太さなら、ハマらなそうだよ!」

 

「超モンスター級!きっと、犯人はモンスターなんだよ!」

 

「モンスターなら…首の骨を折るほどの力があっても…おかしくないのかな?」

 

「じゃ、じゃあ!けいもローズも、犯人じゃないってことだよね!」

 

【遺跡のモンスター】→手の跡

【山門の遺書】→犯人はモンスター

【遺跡のモンスター】→犯人はモンスター

 

 

 

「なんだァ!?お前なら超モンスター級の大きさと太さでも逝かねーっていうのか!?」

 

(下ネタキャラは さすがに止めてほしいな。)

 

 

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「それは違うよ。」

 

「遺跡のモンスターたちは大人しくて、こちらに襲いかかってくるようなものじゃなかったはずだよ。」

 

「うん…そうだよね。」

 

「でもさ、たまたま出くわさなかっただけで、本当は獰猛なヤツがいたのかもよ?」

 

「そうかもしれないけど…そもそもモンスターは、あのトラップよりホーム側に現れないらしいんだ。」

 

「…そうなの?」

 

「そうそう。モンスターはホーム側には何があっても行けないよ。ホームは安全。保証します!」

 

「それに、あの付近にモンスターがいたら、探索していた人たちとも出くわしてるはずだよ。」

 

「あー、確かに、今日はモンスターを見なかったな。」

 

「僕らは、ね…。」

 

「じゃあ、なでしこはやっぱり、人に殺されたってことかな…。」

 

「モノクマは『また殺人が起こった』と言ってたっすからね。真相を知った上で学級裁判が開かれているなら…。」

 

「やっぱり、ぼくらの中にクロがいるってことだよね。」

 

「そっか…。」

 

(一瞬 静まり返る裁判場。『モンスターが犯人だったら』という淡い希望が消えたことによる静寂だ。)

 

(それを破ったのはーー…)

 

「あの…殺害方法は確かに不思議だけど…とりあえず、誰が殺害することが可能かを考えた方がいいんじゃない?」

 

「私も…そう思う。外にいた人たち…ローズさんと はぐれたんでしょ?」

 

「ああ。ワシと祝里、佐藤、そしてローズは確かに一緒に外を探索しとったが…。」

 

「小1時間くらい歩いた時かな。ローズがモンスターがいたって言って、どっかに行っちゃったんだよね。」

 

「うん…。結局見つからなかったから、とりあえずホームへ戻ろうってことになって…。」

 

「そんで戻った時にはデストラップの天井が落ちてたんだよな。」

 

「トラップを解除したら死体があって…しばらくして、けいや ことは達が来たんだよ。」

 

「それまで、オレら3人は一緒にいたぜ。オレらにはアリバイがあるってことだ。」

 

「その間も、ローズさんは見なかったんすね?」

 

「う、うん。見てないよ。」

 

「私たちがアナウンスを聞いて、現場に行くまでの間も…見なかった。」

 

「つまり、ローズちゃんが怪しいってことじゃん!?」

 

「永本君、木野さん、それに俺と哀染君もアリバイがないのは同じっすよ。」

 

(そっか…。一緒にいても、あの状況じゃアリバイがあったことにはならないか。)

 

「でも、誰もローズを見てないのって何で?家にいた人たちも色んなところ調査してたんだよね?」

 

「隠れる場所も…ない。」

 

「ローズさんに気付かなかった理由、心当たりがあるっすね。」

 

(彼女は捜査時間には地下にいた。外から家に戻った彼女に気が付かなかったのはーー…)

 

1. みんな熟睡していたから

2. 巧妙に隠れていたから

3. 変装していたから

 

 

 

「それはない。」

 

(これまでにない程、ハッキリした物言いだ…。)

 

 

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「たぶん…ぼくらが寝ていたから…じゃないかな。」

 

「寝てた?」

 

「俺たち…ホームにいた人間は 11時すぎ頃、突然 気絶するように寝てしまったんすよ。」

 

「えっ、また?」

 

「うん。また…だね。」

 

「ボクは、そこにも怒ってます!同じ人の才能の使い回しとかさ、ライターの能力不足としか言いようがないよ!」

 

「まあ確かに便利だろうね。発明家とか発明家とか発明家みたいに、便利だろうね。」

 

 

ノンストップ議論4開始

 

「11時くらいに…みんな、突然 寝ちゃったってことだよね。」

 

「いくら貴方様方が寝不足だからといって、その時間に同時に眠るのは不自然です。」

 

「前の裁判でも…こんな話があったよね…。」

 

「あ、ねえねえ。木野ちゃん、睡眠薬とかクロロホルムとか持ってるんじゃない?」

 

「……持ってない。他にも、突然 眠る原因がある。」

 

子守唄…だよね。」

 

【山門の部屋の様子】→睡眠薬

【トラップのボタン】→子守唄

【カセットレコーダー】→子守唄

 

 

 

「あ、哀染さん…もしかして色んなショックで記憶喪失になっちゃった?だ、大丈夫?」

 

(顔面蒼白で心配されてる…。考え直そう。)

 

 

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「それに賛成だよ。」

 

「ホームの玄関ホールには、圭君のカセットレコーダーが落ちてたんだ。美久の子守唄が入っているレコーダーが。」

 

「じゃ、じゃあ、また誰かが子守唄を流して、みなさんを眠らせたってことですか!?」

 

「誰かがっていうか、永本さんじゃねーの!?」

 

「永本君が そんなことするはずないよ!そんなの紳士的じゃない!」

 

「永本は自供もしてんだぜ!?ぜってー、永本の仕業だ!」

 

「アイコさん…キャラクターが定まってないのはいいけど…人格は同一にしてくれるかな…?」

 

「ごめんなさい。人数が少ない分、賑やかしを頑張ろうと思って。」

 

「賑やかしより…話し合いを頑張ろう…よ。」

 

「えっと、でも、あたしたちは眠ってないよね?結構 遺跡内って音が反響するのに…。」

 

「距離的に…聞こえなかったのかな?」

 

「まあ、それもあると思うっす。」

 

(それも…か。他にも理由がありそうってことかな。)

 

(外を探索していたみんなが子守唄を聞かなかった理由はーー…)

 

1. 【死体の首の跡】

2. 【天井のトラップ】

3. 【遺跡のモンスター】

 

 

 

 

「哀染さん!大丈夫です。あなたは助かりますよ!」

 

「哀染クン…希望を捨てちゃダメだよ。ロボトミー手術でもなんでも駆使すれば…キミは治るはずだから…。」

 

(神経学者のお世話になる前に考え直そう。)

 

 

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天井のトラップだよ。トラップが道を塞いでたから、外にいた人たちのところまで届かなかったんじゃないかな。」

 

「トラップの作動時間のデータによると、今日トラップが作動したのは11時15分っすね。」

 

子守唄が聞こえた時間と同じくらい…。」

 

「そうだね。確かに、子守唄が聞こえたのも11時すぎだよね。」

 

(死体役になって引きずられてた時だった。)

 

「ええ。子守唄の時間も11時15分だったっすね。直前に時間を確認したんで確かっすよ。」

 

「どうして犯人は子守唄を流したんだろう?」

 

「眠らせて殺す…っていうのが一番自然な考え方だと思うけど…。」

 

「子守唄の時にトラップが作動してたのは…犯人が眠らないため…かもしれない。」

 

「え~?どーいうことぉ?」

 

 

ノンストップ議論5開始

 

「トラップの作動時間は11時15分…。歌が聞こえて来たのも…同じくらい…。」

 

「確かに、トラップ作動時間と一致しているね…。」

 

「犯人が子守唄をセットして…ホーム側で山門さんを…殺す。」

 

「その後、トラップを通ってホーム反対側へ行く…それから、トラップを発動させる…。」

 

「そうすれば…犯人は眠らないで済む…。」

 

「…犯人は、子守唄を聞いて眠らないようにホームの反対側からトラップを作動させたってこと?」

 

【カセットレコーダー】→子守唄をセット

【トラップのボタン】→ホーム反対側へ行く

【モノクマファイル】→ホーム反対側へ行く

 

 

 

「私が たくさん話すと…哀染さんは変な顔する…。」

 

「気にすることねーや!こいつァ こういう時、いつも変な顔してっからな!」

 

(変な顔って…一応、アイドルの顔なのに。)

 

 

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「それは違うよ。」

 

「あの天井のトラップは、1人じゃ通り抜けられないはずだよ。」

 

「あ…。」

 

「誰かがボタンを長押ししておかないと、天井が落ちる仕様っすからね。」

 

「ホーム側で山門さんを殺してから反対側へ行くことはできないんだね…。」

 

「木野、昨日オメーも通って知ってるだろ?あそこを通るには最低2人必要なんだよ。」

 

「……ごめんなさい。昨日は少し…余裕がなかった。」

 

「謝らないで!どんどん可能性を話し合っていこう。」

 

「……やっぱり、犯人が子守唄を流して山門さんを眠らせて殺した…っていう可能性が高いんじゃないかな?」

 

「じゃあじゃあ、子守唄のカセットレコーダーを持ってた永本が犯人?」

 

「えっ、でも!カセットレコーダーを他の人が使った可能性があるよね?」

 

「……。」

 

「1つ確認したいんすが…ホーム側にいた人は誰もローズさんを見てないんすよね?」

 

「え?うん。ぼくらは見てないよね。」

 

「私も…。」

 

「……。」

 

「捜査時間の前に、永本君も見てないと言ってたっす。」

 

「あれ?じゃ、じゃあ、どうやってローズさんはホーム側に行ったのかな?」

 

「確かに。他のみんな彼女を見てなくて…でも、捜査時間中 彼女は地下にいた。」

 

「そっか。ローズがホーム側に行くのにも、誰かがホーム側のボタンを押しててあげないといけないんだね。」

 

(でも…ホーム側にいた人たちは彼女を見てないと言ってる。どうしてだろう?)

 

1. モノクマがボタンを押した

2. 被害者がボタンを押した

3. 誰かが嘘をついている

 

 

 

 

「信じることは疑うこと。信じるために疑うんだ。英雄にならなくていい。胸を張れる自分でいればいいんだよ。」

 

「嘘って雪玉のようにどんどん大きくなるんだよね。」

 

(…時間の無駄だ。どこかで聞いたようなコピペ名言を聞くより考え直そう。)

 

 

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被害者がホーム側からボタンを押したんじゃないかな。」

 

「なでしこが?」

 

「もしかして…撫子ちゃんにボタンを押してもらってホーム側に行って、ローズちゃんが撫子ちゃんをブッ殺…!?」

 

「ローズさんが犯人かどうかは置いておいて…11時15分よりも前にローズさんがホーム側にいたってことだよね?」

 

「そっか、トラップ落ちる前には通ってるはずだもんね。」

 

「でも、それなら…ローズさんも子守唄で寝ちゃう…。」

 

「殺人のために子守唄を流すなら、犯人が寝てちゃおかしい…よね。」

 

「そうね。ローズさんだけじゃないわ。ホーム側にいた人、全員 寝てしまっていたはずよ。」

 

(そんな話が出た中で、何人かが彼を見つめた。理由は明白だ。)

 

「一応、1人だけ…子守唄で寝ることを回避できる人がいるっすけど…。」

 

「あ…。」

 

「……。」

 

「……。」

 

(そんな道具を持っているのは…1人だ。)

 

▼子守唄が響く中でも眠らない人は?

 

 

 

「強いストレスによる記憶障害…辛かったね、哀染さん。」

 

(まずい、哀れみに満ちた目だ…!)

 

 

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「……圭君は、子守唄が響いていても、眠らないための術があるよね。」

 

「……。」

 

「……ヘッドホンだよね。ノイズキャンセラー付きの。」

 

「な、永本さんが子守唄を流したの…?」

 

「………。」

 

(彼は答えない。ーーモノクマのせいで、答えられない。)

 

「でも、前みたいにヘッドホンもカセットレコーダーも盗まれてた…ら…。」

 

「死体発見アナウンスの時、永本さん…ヘッドホン持ってた。」

 

「じゃあ、永本が子守唄を流して山門を殺したってこと?」

 

「……。」

 

(みんなの視線が押し黙ったままの彼に集まる。けれど、彼は目を閉じて苦悶の表情を浮かべるだけだ。)

 

「永本君はカセットレコーダーの持ち主っす。どこから子守唄が始まるか、さすがにもう知ってたはずっすね。」

 

(…そうだ。確かに、そう言ってた。)

 

 

「また そこら辺で寝ちゃうんじゃない?」

 

 「いや、もう どの歌の次が子守唄か知ってるから大丈夫だよ。」

 

 

「でも、でも…おかしいよ。けいが人を殺すなんて…。」

 

「……。」

 

「信じられないけど…極度の緊張状態で、精神が おかしくなっても…不思議じゃないよ。」

 

「永本さんは、毎回 容疑者になるほどの不運の持ち主です。きっと今回も不運が重なってーー…」

 

「不運じゃないよ!けいの才能ならピンチをチャンスにできるはずだもん!」

 

「え?」

 

(突然、彼女が大きな声を出したので面喰らう。みんなの視線が集まる中で、彼女は決まり悪げに続けた。)

 

「今までだって、クラスでだって…そうだったもん。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「祝里さん、どういうことっすか?永本君の才能…キミは知ってるんすか?」

 

「……あ。えっと。」

 

「何だ?何で今まで隠してたんだよ?……まさか、お前ら、グルで何か企んでたのか!?」

 

「違うよ…。でも、えっと……。」

 

「祝里さんが永本君の才能を知っているとすれば…これまでの動機が関係しているはずっすね。」

 

(才能を知っている理由…?)

 

1. 1回目の事件の動機

2. 2回目の事件の動機

3. 3回目の事件の動機

 

 

 

 

「え?多分あたしが知ってる動機と違う。記憶違いかな?」

 

「ううん。こちらの記憶違いだったよ。」

 

(1回目の事件の動機は、他の人と出られること。2回目はクラスメイト。3回目は惚れ薬…だったね。)

 

 

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「2回目の事件の動機…クラスメイトの記憶だよね。」

 

「!」

 

「あの時、クラスメイトの記憶と共に永本君の才能も思い出した。違うっすか?」

 

「……。」

 

「佐藤と木野は どう?あんたらもクラスメイトだよね?」

 

「……永本さんに口止めされてたけど。」

 

「……うん。永本さんの才能はーー…」

 

「やめろ!」

 

(彼らの言葉を制したのは、裁判場に響く怒声だった。)

 

「オレには…才能なんてねーって言ってるだろ。あんなの…才能じゃねーんだよ。」

 

「圭君…?」

 

「おやおや、永本クン。喋っちゃダメって言ったはずだろ?」

 

「うるさいな。事件のことは話さねーよ。」

 

「あわわ…全員おしおきの脅しすら効かない…だと?そんなに才能を明かされるのが嫌なんだね?」

 

「まあ、いいよ!キミの才能は殺しにくいと評判だからね!」

 

「この場でじゃなくて、おしおきで死なせてあげるのも一興かもね!」

 

「おしおき…。」

 

「みんな、この裁判にオレの才能なんて関係ねーよ。頼むからさ、詮索しないでくれ。最後の頼みなんだから…。」

 

「さいご…。」

 

「……。」

 

「圭君、どうして隠すの?」

 

(問いかけたけれど、当人からの答えはない。代わりに、他方から答えが返ってきた。)

 

「永本さんは、自分の才能に自信がないんだよ。」

 

「……。」

 

「彼の才能は稀有なものなのにね。才能を磨くことは難しいかもしれない。けれど、それでもーー…」

 

「オレのは才能じゃねーって言ってるだろ!!」

 

「キ…キレた!」

 

「キレやすい若者こわーい!前向きが取り柄じゃない人だと、こうなっちゃうんだね!」

 

「お前らに分かるかよ!すげー才能があるヤツらに!」

 

「僕は才能があるかどうかも思い出せてないけど…。」

 

「佐藤、シッ!マジレスする奴があるかよ!」

 

「お前らの中で…どんな気持ちでオレが生活してたかなんて!お前らには分かんねーよ!」

 

(彼の才能は…言えないようなものなの?)

 

(彼の才能について考えを巡らせていると、彼のクラスメイトが静かに応答した。)

 

「…だからキミは、耳を塞いでたんだね。」

 

「……。」

 

「……分かったよ。僕らからは、キミの才能は言わない。でも…もう勘付いてる人もいるんじゃないかな。」

 

「そうそう。ちなみに、彼の才能は常連さんなんだよね!忌々しいことに!」

 

(ーー勘付いてるってことは…今までのことから分かるってことかな?)

 

 

「もしかして…永本さん、惚れ薬を見つけたんじゃないの?」

 

「あのな…。運なんか才能じゃねーだろ…。」

 

「けいは運が良い方だよね。」

 

 

(磨きにくい才能。殺しにくい才能。稀有な才能。それに…常連?彼の才能は…。)

 

1. 超高校級の殺人鬼

2. 超高校級の幸運

3. 超高校級の暗殺者

 

 

 

 

「……もう、ほっといてくれよ。」

 

(…なんか、ほっとしてる?)

 

 

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“超高校級の幸運” …毎年、全国の高校生から1人だけ選ばれる”超高校級”。それが圭君の才能じゃないかな?」

 

「……。」

 

「永本君、どうっすか?」

 

「……どうだっていいだろ。」

 

「でもよ、”超高校級の幸運”は、1年に1人だろ?確か、松井はクラスメイトに”幸運”もいたって言ってたぞ。」

 

「松井さんや夕神音さん…ローズさんのクラス…。」

 

「……。」

 

「だば、永本さの才能は、”超高校級の幸運”じゃねーだよ。」

 

「けいの才能は、本当に本物の幸運だよ!けいには、幸運を分け与える才能があったんだよ!」

 

「黙ってろよ。祝里…。」

 

「……う。」

 

「……。」

 

「永本さんは…友達も多くて…みんなに好かれてた…。」

 

「は?」

 

「……私は…羨ましかった。永本さんの周り…いつも人がたくさんいた。」

 

「いや、お前も何言ってんだよ?」

 

「私…は、永本さんみたいに…なりたいよ…。」

 

「……。」

 

「う、うん…。テスト前とか、永本さんの前に行列できて、凄い人気だったよね。」

 

「そ、そう!けいはクラスの縁起物って感じだったんだよ。けいの足の裏を触ると幸運になれるんだよ!」

 

「ビリケンさん!?」

 

「えっと、学園のケセランパサランって呼ばれてたよ。あと、4つ葉のクローバーとか、エントツ掃除屋さん!」

 

「黙れって…。」

 

「エントツ掃除屋を見ると幸福になれるって話、ヨーロッパにあるっすね。」

 

「えーと…それに、けいと話した後、女の子の家とか行くと、着替えや入浴シーンに立ち会えたりするらしいよ!」

 

「ラッキースケベってやつだね!羨まけしからん!」

 

「いや…マジで黙れよ…。」

 

「……。」

 

「……。」

 

(彼の才能は本物らしい。)

 

「あ…あと、それからーー…」

 

「黙れって!」

 

「どこが幸運なんだよ!こんなコロシアイに参加させられて、山門を…殺しちまって……!」

 

「ハイ、ストーップ!事件に関すること話すなら、マスク着用の上ソーシャルディスタンス保ってくださーい!」

 

「従わないなら、お口にチャック…を付けるために唇まつり縫いしちゃうよ、全員。」

 

「……。」

 

(モノクマの言葉に、また彼は黙り込んだ。)

 

「本当に、けいが…なでしこを殺したの?」

 

「……。」

 

「…は、話し合いを続けよう?」

 

「う、うん。」

 

「……永本君やローズさんが犯人だと、腑に落ちないことがあるっす。」

 

「犯人が、山門さんが自殺だと思わせるために ある工作をしてるっす。」

 

「自殺だと思わせた工作ってーー…」

 

1. 【山門の遺書】

2. 【死体の首の跡】

3. 【カセットレコーダー】

 

 

 

 

「時々…哀染君が、何言ってるか分かんねーっす。」

 

(前にも同じこと言われたね…。)

 

 

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「そっか。死体の懐に入ってた遺書だね。」

 

(几帳面な字で『これはわたしの自殺です』…そう書いてあった。)

 

「もし2人の内どちらかが犯人なら、何で裁判の始めから自供したんすかね?」

 

「確かにな…。偽装工作をしておいて自供する意味が分からぬ。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「2人が犯人なら…おかしい…。」

 

「殺して偽装工作をしてみたはいいけど…自責の念に駆られて…?」

 

「そうだね。人を殺す心理的負担は計り知れないから…。」

 

「遺書を用意したはいいけど、死体を自殺に見せていなかったのは…その心理変化が理由じゃないかな。」

 

「だからって…2人が なでしこを殺すなんて考えられないよ。」

 

「……俺、この遺書の筆跡を知っていんすよ。」

 

「あ、前のステージでしてた報告書と手紙のやり取りだね。」

 

「でも、筆跡を見たと言っても、圭君とローズの字は手紙の宛名を書いたものを見ただけだよ。」

 

「あ。あたしに任せて。けいの字は もちろん、ローズの字も、みんなの字だって覚えてるよ。」

 

「さ、さすがだね…。」

 

「その凄さに嫉妬しちゃうですわー!」

 

「…うん。祝里さんは凄い。」

 

「あれ…この字…。」

 

(遺書が彼女の手に渡り、それを凝視した後、彼女が顔を上げた。そして続けた言葉はーー…)

 

なでしこの字だよ。」

 

 

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