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第五章 047は二度死ぬ 学級裁判編Ⅰ

 

コトダマリスト

 

【モノクマファイル】

被害者は爆撃を受けている為、身元不明。死体発見現場となったのは格納庫のトイレ。死亡推定時刻は午前2時半〜3時半頃。

【死体の状態】

死体は爆発によって黒焦げになっている。背面側の損傷は激しいが、正面側は焼けただけだと思われる。正面側に刺し傷や打撃痕は見られない。

【校舎5階の血痕】

校舎5階の”ノスタルジックな部屋”に血の付いた置物と血痕が残されている。部屋にあった置物で被害者が殴られたと思われる。

【哀染のモノパッド】

哀染の個室から見つかった。モノパッドは校則で携帯が義務付けられている。

【哀染と前谷の手紙】

哀染の個室から見つかった手紙。3つ目のステージで前谷と哀染でやり取りしていた。前谷の手紙には『今の哀染が自分の知っている哀染の姿と違う』、哀染の手紙には『自分の姿について みんなに言わないでほしい』という内容が書かれている。

【哀染のメモ】

哀染の個室から見つかった。『NAGAMOTO KEI』と書かれていて、いくつかの文字は斜線が引かれている。

【超高校級の幸運の才能】

佐藤によると、”超高校級の幸運”は時間が指定されていなくても待ち合わせが可能らしい。

【アイコのAI】

アイコはメカメカしい建物に入ると自分のデータバンクにアクセスできず、思考できない。

 

 

学級裁判 開廷

 

「では、最初に学級裁判の簡単なルールを説明しておきましょう!」

 

「もういいよ。前回もなかったし。」

 

「せやな。説明とかいらんわ。」

 

「ちょっとちょっと、前回に引き続きボクの活躍奪うのやめてくれない!?」

 

「存在感が薄くなっちゃったらどうしてくれるのさ!1章退場キャラみたいに!1章退場キャラみたいに!」

 

「はい、じゃ、誰がクロか探してください。間違えたらクロ以外おしおき。それと…」

 

「捜査時間にも言ったように、クロは間違っても自供なんてしないこと。ほい、学級裁判 開廷!」

 

(捜査時間と同じように、手にレーザー銃を握るモノクマが投げやりな声を発した。)

 

 

(裁判場に立って、改めて人数が減ったことを実感した。)

 

(俺の右隣には哀染君の白黒写真が置いてある。しかし、今までの犠牲者とは異なり、写真の上に『?』と塗られていた。)

 

(1回目から左隣の白銀さんはいなかった。…が、ずっと隣にいた哀染君がいないことで、ずいぶん視界が変わってしまった。)

 

(落ち込んでばかりもいられない。俺の、俺たちの手で、この事件の真相を見つけるんだ。)

 

(死んでしまったのは哀染君なのか。彼は何者だったのか。まずはそこから明らかにする必要があるな。)

 

「今回の事件、被害者の死因は爆死。死体は黒コゲになっていて、モノパッドにも名前がないよね。」

 

「そうっすね。まずは被害者が誰だったのかをはっきりさせておきましょう。」

 

「でも…ここにいないのって…レイだけ…だよね。」

 

「……被害者は、哀染さん。」

 

「……お前ら、死体をちゃんと見たか?」

 

「それは…。」

 

「グロすぎて無理でした…。」

 

「じゃあ言わせてもらう。あの死体は、哀染じゃねーはずだ。」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「死体を見ればすぐ分かる。あの死体は女だ。」

 

「身長は俺と同じくらいだったけどさ、肉の付き方が女だったろ?」

 

「数多の女性の裸を見てきた永本さんが言うなら間違いないね。」

 

「妙な言い方すんな!不可抗力だよっ。」

 

「ああ、ラッキースケベ的な?」

 

「とにかく、丸コゲだったけど、あれは女だ。」

 

「確かに、胸の脂肪は多かったように思うよ。」

 

「つまり、あれは絶対 哀染じゃないはずなんだよ。」

 

 

【モノクマファイル】→死体は女

【哀染と前谷の手紙】→絶対 哀染じゃない

【哀染のメモ】→絶対 哀染じゃない

 

 

 

「天海、お前…久しぶりに声張って裏返ってるぞ。落ち着けよ。」

 

(確かに、この感じは久しぶりだ。…考え直した方が良さそうか。)

 

 

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「それは違うっす。」

 

「あれが女性の死体だからといって哀染君じゃないとは言い切れないっすよ。」

 

「どういうこと?」

 

哀染さんが女の人だった。天海さんはそう言ってるの?」

 

「可能性はあるっす。これは、哀染君の部屋にあった前谷君とのやり取りの手紙っす。」

 

「哀染さんと前谷さん…妹尾さんはクラスメイトだった…。」

 

「はい。前谷君は『哀染君の姿が前と違う』と書いていて、哀染君はそれについて口止めしてるんすよ。」

 

(俺が前谷君の手紙と哀染君の返事、さらにその返事を順番に読み上げると、驚愕の声が上がった。)

 

「え?え?姿が違うって、どういうこと?」

 

「おんどれはレイさんが女の子やった言うんかい!?」

 

「やーだぁ、アイちゃん、男女8人ずつ夏物語だと思っちゃったぁ。」

 

「いや…性別よく分かんねーヤツ多いからな。」

 

「……。」

 

「なぜにアイコと ここみんを見るですか!」

 

「手紙では哀染さんが女性だったとまでは書いてない…。あくまで可能性…。」

 

「いや、違ったとしたら変だろ。ここでいなくなったのは哀染だけなんだから被害者は哀染で決定だ。」

 

 

「他の可能性も…あるよ。」

 

「他の可能性?」

 

「死体が新しくできたものとは限らない…これまでの死体を使うことも…できるかもしれない。」

 

「これまでの死体って、まさか…。」

 

「あの死体が…今まで死んだ誰かのものだってのか?」

 

「確かに、5階の犯罪ファイルにもそんな話があったね。」

 

「すでに死んだ人を新たな死体に偽装したって事件。」

 

「あら、それなら誰の死体だというの?」

 

「あの死体…レイと同じくらいは背丈があったよね。」

 

「哀染さんと…ちょうど同じ身長の人がいた…。」

 

(哀染君と同じ身長の女性…か。)

 

 

▼哀染と同じ身長の女性は?

 

 

 

「天海さん…最初の事件で彼女の身長について…たくさん話してた…。」

 

「うんうん!タッパと尻のデカい女が好きなのかなって思うくらい!」

 

(そんな話はしてないはずだ…!)

 

 

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「木野さんが言ってるのは…白銀さんのことっすね。」

 

「え?じゃあ、あの死体はレイじゃなくて、つむぎってこと?」

 

「けど…あれが白銀の死体ならおかしくねーか?」

 

「…おかしい?」

 

(白銀さんが殺された事件と今回の事件。)

 

(あれが白銀さんの死体だとしたら、あきらかにおかしい。確かに同意見だな。)

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「オレ、今回はちゃんと死体を見たんだよ。」

 

「すごいね、けい。」

 

「成長…したんだね…。おとっつぁんは嬉しいぜよ。」

 

「お前は誰でオレの何なんだよ?」

 

「それより、あれが白銀さんの死体じゃないという根拠を話そうか。」

 

「あ、ああ。白銀の事件を思い出してくれよ。」

 

「ええと…撲殺された後…全身 滅多刺しだったね…。」

 

「だから、おかしいだろ?死体には刺し傷らしきものはなかったんだ。」

 

「いや でも、爆破されたんだから、刺し傷も分からないくらい損傷したってだけでは?」

 

 

【モノクマファイル】→刺し傷も分らないくらい損傷

【哀染と前谷の手紙】→刺し傷も分らないくらい損傷

【死体の状況】→刺し傷も分からないくらい損傷

 

 

 

「あれれ〜おっかしいな〜?蘭にいちゃんが言ってることが分かんないぞ〜?」

 

(妹ロボット…うん、いらないな。)

 

 

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「それは違うっす。」

 

「今回見つかった死体…背面はかなり損傷してましたが、正面は爆発による損傷がなかったんすよ。」

 

被害者の後ろ側で爆発があったってことだね。」

 

「ああ。白銀は顔も体も正面から斬り刻まれてたろ?でも、今回の死体にはそんな跡はなかった。」

 

「確かに…特につむぎの…顔の損傷は激しかったよね…。思い出すと…辛いくらいに。」

 

「……無理に思い出さなくてもいいよ。」

 

「黒焦げ死体でも、深く刺された傷なら残っているはず…か。それがないということは…。」

 

「やっぱり、あの死体はつむぎじゃないってことだよね?」

 

「白銀さんじゃなくても…これまでの女性の死体なら…使うことができる…。」

 

「ローズさん、山門さん、夕神音さん、妹尾さん。この中の誰かの死体ってこと?」

 

「レイやつむぎと身長が近いのは…みく…かな?」

 

「……。」

 

「……確かに、夕神音の死体なら傷もなくて当たり前だけどよ。」

 

(……安楽死薬で死んだ夕神音さんなら傷もない状態だし、身長も哀染君と大きくは変わらない。)

 

(でも…もし、そう仮定してしまうと…黒幕が確定してしまう。)

 

(……いや、そんなことは信じられない。)

 

「あれが夕神音さんの死体だとしたら、哀染さんはどこに消えたんだろうね?」

 

「そうだよ。モノクマファイルもレイの分はなかったし…学級裁判に来なかったら おしおきされちゃうでしょ?」

 

「それに…どうしてこれまでの犠牲者の死体を使うことができるんだろう?」

 

「……。」

 

 

「……もし。」

 

「もし…哀染さんが……黒幕、だったら…。」

 

「……え。」

 

(木野さんの言葉でシンと裁判場が静まり返る。)

 

「確かに、哀染さんの様子は明らかに変だったよね。」

 

「…みんなはどう思う?哀染さんが今も生きていて、僕らの学級裁判を陰で笑いながら見ているって。そう思う?」

 

「……分からないよ。」

 

「……。」

 

「……。」

 

 

「このコロシアイを終わらせよう。地下でここの秘密を暴いて…絶対、ここから脱出しよう。」

 

 

(彼のあの言葉が嘘だったとは、どうしても思えない。)

 

「……俺には、彼が黒幕だったなんて思えねーっす。」

 

「……。」

 

「そう?彼は明らかに様子が変だったし、黒幕だと言われても驚きはしないんじゃないかな?」

 

「確かに、彼は様子が変だったとは思いますが、私も彼ではないと思います。」

 

「へえ、そっか。でも根拠はあるの?」

 

「え?えーと?」

 

(彼は黒幕とは明らかに違う行動を取っていたはずだ。”あれ“が…コロシアイと関係しているとしたら…。)

 

 

 

閃きアナグラム 開始

 

                                                  ファ                              ル

                                       犯 

                        イ

 

閃いたっす!

 

 

 

「校舎5階のノスタルジックな部屋にあった犯罪ファイルを思い出してほしいっす。」

 

「校舎5階って…毒があった部屋のファイルか。」

 

「あんまり しっかり見てなかったけど…。あたしたちに何か関係があるのかな?」

 

「あそこにあったのは、おそらく過去のコロシアイの記録…わたしのデータ解析によりそう判断しました。」

 

「過去の…コロシアイ?」

 

「何だよそれ…。こんなことが…前にもあったってことか!?」

 

「そんな…。」

 

「僕もアイコさんと同意見かな。あのファイルの分だけ”コロシアイ”が行われて、学級裁判が開かれた。」

 

(みんなも、そう思っていたのか。)

 

「何で…そう思ったの。」

 

「動機がこのコロシアイと酷似してんでぃ。『外に出たい』ってなぁ!」

 

「普通の犯罪で『外に出たい』はおかしな記述だもんね。」

 

「しかも、1冊目には事件の黒幕について書いてあったんだよ。」

 

「黒幕…?」

 

「あれれ?そんなことまで書いてあったっけ?おかしいなー。」

 

「何で把握してないんだよ。」

 

「その黒幕と…哀染君が黒幕という話は、どーにも噛み合わないんすよ。」

 

「どうして…?」

 

(犯罪ファイルに載っていた黒幕と哀染君。2人で決定的に違うところは…。)

 

 

1. コロシアイに恐怖していた

2. 学級裁判を主導していた

3. キラキラしていた

 

 

 

「……天海さんは、こんな状況でも楽しそうだね。」

 

(笑っているが、目が笑っていない。……考え直そう。)

 

 

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「哀染君はこれまでの裁判で俺たちを引っ張ってきた存在っす。」

 

「……それが、何?」

 

「確か…その黒幕は最初に死んだと見せかけて実は生きており、俯瞰で殺人事件を楽しんでいたそうです。」

 

「根拠としては薄いっすが、もしあのファイルが本当に過去のコロシアイのもので、ここにも黒幕がいるならーー」

 

「俺には哀染君が そうだったとは思えないっすね。」

 

「そっか…。そう…だよね。」

 

「根拠にしては仮定話が多い…。」

 

「あんだよ、木野ちゃん。いつの間にそんなクリティカルになったんだよ?」

 

「……真実を見つけるため。もう…黒幕はこの中にいないって…確信したい…。」

 

 

「……あのさ、木野。あの死体、夕神音のものとも思えねーよ。」

 

「夕神音にしてはあの死体…ちょっと体型が違ったよな。」

 

「え?黒焦げでよく分かるね?」

 

「死体は胸に結構 脂肪があったけどさ、夕神音はもっとこう……。」

 

「…スレンダーって言いたいの?」

 

「夕神音さんが着痩せするタイプだった…かもしれない。」

 

「いや…そんなことねーよ。」

 

「何故に夕神音たんのおっぱい事情を知っているのですぞ!?」

 

「……。」

 

「2つ目のステージに温泉あったろ?」

 

「ああ…。見たんだね…。」

 

「ラッキースケベがあったのか?クソっ!何でお前だけ!?ズリーよ!」

 

「うるせーな。好きであってるワケじゃねーよ。」

 

「……そっか。…じゃあ死体は夕神音さんでも白銀さんでもない。」

 

「身長的にも、ローズさんや山門さん…もちろん妹尾さんでもないっすね。」

 

「じゃあ、死体が前に死んだ人のって言うのはキツイんじゃないかな?」

 

「うん。前の死体を偽装したわけではないってことだね。」

 

「まあ、もし黒幕なら全然 知らない他の死体を用意できるかもしれないけど、それじゃ公正な裁判って言えないよね?」

 

「……そりゃそうだよ。学級裁判はオマエラの中で起きた殺人を裁くものなんだ。」

 

 

「そっか。モノクマがそう言うなら間違いないね。それに、犯人が死体を立たせた説明がつかないもんね。」

 

「死体を立たせた?」

 

「うん。さっき天海さんが言った通り、今回の死体…背面だけが爆発で損傷してるんだ。」

 

「なるほど。爆発の時、ガイシャが立った状態でねーとそうはならねーさなぁ。」

 

「うん。もし黒幕が前の死体を使ったなら、わざわざ自立しない死体を立たせてトイレを爆破したってことになるんだ。」

 

「そっか、つまり…爆発時に自分で立ってた…生きた人間が殺されたってことだよね?」

 

「でもよ、そう見せかけるのが目的ならどうすんだよ?もし哀染が…自分は死んだと見せかけたかった…とかなら…。」

 

「それなら、女性ではなく男性の死体を使うと思うっす。」

 

「哀染が男であれ女であれ、オレたちは哀染を男だと思ってたからな。」

 

「哀染さん黒幕説の信憑性は薄れた。哀染さんが黒幕じゃないという体で話を進めてもいいかな?木野さん?」

 

「うん…。」

 

 

「でもさ、だとしたら、あの死体は哀染のものってこと?本当にあれが哀染の死体だったとすると…。」

 

「レイは本当に、女の子だったってこと?…あ。」

 

「…何だよ?あ。って。」

 

「そういえば、2つ目のステージの宿屋前でレイとこーたが話してるの見たんだけどね。」

 

「こーたがレイの手を握って赤くなってたんだ。こーたって女の子 苦手だったみたいだけど、レイに対しても同じ反応だったからさ。」

 

「BのLだと思われたんですな?」

 

「もちろん、その時も影ながら応援するつもりだったよ!グローバリゼーション、ダイバーシティは叩き込まれてるからね。」

 

「古風な格好どころか死人のような格好してるのに!?」

 

「あるあるだよね〜。”着物 着た人の反転絵 使って死人”って。」

 

「男性イラストレーターがやりがちな”着物なのに巨乳”に次ぐ着物に関する あるあるだよね〜。」

 

 

(哀染君が女性だったとすると腑に落ちる点もいくつかある。)

 

(女性の部屋での態度も、男性にしては異常に軽かった身体も。)

 

「どうなのモノクマ?哀染さんが女性だったのかどうか、僕らのプロフィールまで用意した主催者側なら分かってるはずだよね。」

 

「……。」

 

「ボクに聞かれてもなあ。セクシャリティは人それぞれだしー、男でも女でもいーじゃない。」

 

「まあ、哀染クンの中の人が女性なら、ボクらも助かるよ!」

 

「天海クンがイケボなせいで、主人公役のセオリーが崩れるところだったからね。」

 

「いや、何言ってっか わっかんねー!」

 

「結局どっちなんだよ。」

 

「すぐクマに聞こうとしないで、自分たちで考えなさーい!」

 

「言う気はない…ってこと…だね。」

 

(みんながモノクマを眺めて諦めたような顔をした。)

 

「とりあえず、被害者は哀染君と仮定して…事件の状況を振り返っておきましょう。」

 

「いつも冒頭でやるお決まりのヤツね!結構 話した気がしてたけど、全く何も、てんで進んでなかったんだね!」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「死体の発見現場は格納庫のトイレ。時間は明け方だね。」

 

「祝里に火事だって叩き起こされたんだったな。」

 

「うん。朝 起きて、すぐ変な匂いがしたから外に出たら格納庫から煙が上がってて慌てちゃって…。」

 

「私たちが格納庫に行った時には…沈静化してた…。その時には、被害者は黒焦げ…だった。」

 

「哀染さんは夜中も色々とステージを探っていたようです。」

 

「じゃあ、哀染さんは格納庫にいたところを襲われたんだね。」

 

 

【校舎5階の血痕】→時間は明け方

【校舎5階の血痕】→格納庫から煙

【校舎5階の血痕】→格納庫にいたところを襲われた

 

 

 

「もし、この中に学級裁判を見て楽しむ黒幕がいるなら、今 引っ掻き回してる人がそうなんじゃないかな?」

 

(こちらを見ている…まずい。考え直した方が良さそうだ。)

 

 

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「それは違うっす。」

 

「哀染君は校舎5階の部屋にいたはずっす。”ノスタルジックな部屋”に、昨日はなかったはずの血痕があったんすよ。」

 

「えっ…じゃあ、レイは校舎5階で殺されたってこと?」

 

「いや、校舎では殺されてないはずだよ。さっきも言った通り、死んだ状態なら あの死体の損傷の仕方はおかしいし。」

 

「立った状態で爆破されたんだもんな。」

 

「でもよ、校舎から格納庫まで結構 距離あるぞ。わざわざ何で格納庫に連れて行ったんだ?」

 

「爆弾を用意していたのが格納庫だった。格納庫なら外に音が漏れないと思った。とか、何か理由があったんだろうね。」

 

「階段もあるし、かなり重労働だと思うけどな。小柄な佐藤や木野には無理なんじゃねーか?」

 

「……。哀染さんを運ぶくらい、何とか僕にもできるよ。」

 

「私だって…できるもん。」

 

「いや…さすがに木野は無理だろ。170あるヤツ運ぶのは。」

 

「哀染君は、見た目の割に結構 軽かったっす。女性でも運ぶのは不可能ではないはずっすよ。」

 

「でも…校舎から格納庫までの間に血は落ちてなかったのは…どうして?」

 

「傷口にテープか何かを貼っておけば血は落ちないっす。」

 

「犯罪ファイルにそんなトリックも書いてあったね。」

 

「犯人にとって哀染が5階にいたのは誤算だったのかもしれねーな。あいつ、夜遅くにウロウロしてたから。」

 

「……アイコ、さっきレイが夜中も色々とステージを探っていたって言ってたよね?」

 

「それが何?」

 

「何で…そんなこと知ってるの?」

 

「………ハッ!?」

 

「哀染が校舎にいたって知ってるのはまさか…お前が哀染を…?」

 

「え?え?違うよ?アイコさんはそんなことしないよ!」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「アタシは ただ、昨日の夜 宿舎で哀染に会っただけだよ!」

 

「その時、彼奴は『眠れないから調べてくる』と言って校舎へ向かって行ったのだ…。」

 

「じゃあ、アイコは…レイがどこにいるかも分かってたんだね。」

 

「だーかーらー違うんだってばー!」

 

「校舎から格納庫まで運ぶのも…アイコさんなら問題ない。」

 

「そうか…機械は疲れねーもんな。」

 

「機械だってバッテリー消耗とか摩耗とかあるんだからね!か、勘違いしないでよね!」

 

「アイコがロボット部屋から爆弾を持ってきて…レイを殺したの…?」

 

 

【アイコのAI】→宿舎で哀染と会った

【アイコのAI】→爆弾を持ってきて

【校舎5階の血痕】→爆弾を持ってきて

 

 

 

「らんたろーが何言ってるか分らないよ。」

 

(しまった。違ったみたいだ。)

 

 

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「それは違うっす。」

 

「アイコさんは爆弾があった部屋に入ると上手く思考することができないんすよ。」

 

「そういえば、そんなことを言ってたね。」

 

「exactly! アイアムア自律思考型コンピュータ。でも、あの部屋入れば思考回路はショート寸前。」

 

「考えられないってだけで、入ることはできんだろ?」

 

「殺人計画のための爆弾を調達するなら、考えることは必要なんじゃないっすか?」

 

「そうだね。アイコさんがヒトに近いなら、ものを掴むという動作ひとつでも、考えることは必要だよ。」

 

「……考えることなく爆弾を回収する方法があったかもしれない。例えば…磁石とか。」

 

「得体の知れない爆弾に磁石を使うならかなり勇気がいりそうだけどね。」

 

「そ、そりゃ…考えなくても回収できるなら爆弾を掠め取れるし、誰かをぶっ放すのは簡単だけどよ〜!」

 

「アイコはそんなことしないよ!本当だよ!」

 

 

「根拠もなくアイコを疑うならねー!アイコも言っちゃうんだから!」

 

「……何を?」

 

「この中にいる黒幕さんですわ!」

 

「は!?」

 

「アイコは黒幕が分かってるの!?」

 

「ええ、黒幕は…この中にいる!」

 

「まず…前提としてモノクマさんは、誰かが操るロボットということです。」

 

「モノクマは誰かに…操られてる…?」

 

「忘れたのかい…?前回の裁判で哀染さんが言ってたよね。『モノクマは眠らない』って。」

 

「確かに…言ってたな。」

 

「モノクマ自身は眠らねー。けど、モノクマを操ってた黒幕は眠る。これによって謎がひとつ解けるのさ。」

 

「謎?」

 

「2つ目のステージ…ぽぴぃさん主催のショーで夕神音さんが子守唄を歌った時、私たち寝ちゃったよね?」

 

「あの時、モノクマも機能停止していて朝のアナウンスが流れなかった。」

 

「けれど、3回目4回目のステージで子守唄が流された後もアナウンスが流れたんです!」

 

「そ、そういえば…そう、だね。」

 

「ここから…アイコはモノクマを操る黒幕を指摘できます!」

 

「3つ目のステージで、子守唄はBチームの宿屋で流された。」

 

「寝ちゃったのは、僕と木野さん、天海さん、アイコさん、哀染さんだったね。」

 

「前の…4つ目の遺跡ステージではオレがホームで子守唄を流した。」

 

「ホーム側にいて寝ていたのは、木野さん、永本さん、天海さん、哀染さんだね。」

 

「この中で、どちらのステージでも子守唄で寝ていない人…その人なら、モノクマを操ってアナウンスを流すことができましたわ。」

 

(アイコさんが言っている人はーー)

 

 

▼アナウンスを流すことができたのは?

 

 

 

 

 

「どういうこと?めちゃくちゃ混乱してるよ猪名寺クン!?」

 

「天海っす。」

 

 

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「アイコさんが言ってるのは、彼女のことっすね。」

 

「……。」

 

「え?あ、あたし?」

 

(俺が祝里さんを見つめて言うと、彼女は呆けた顔をした後、声を上げた。)

 

「ほっほっほ!3つ目のステージでは富豪の家にいて、4つ目のステージではホームから離れていた祝里さん!」

 

「あなたは唯一、どちらのステージでも寝ていなかった!あなただけが、モノクマに指示してアナウンスを流すことができたのだよ!」

 

「ちょ、ちょっと待って?そんなの偶然だよ!」

 

「……祝里さんが黒幕のはず…ない。」

 

「ああ…。オレらには分かるよ。こいつは隠し事とか嘘とか苦手なタイプだ。」

 

「クラスメイトの記憶だね。それって、絶対なの?」

 

「確かに、クラスメイトの記憶が本物かどうか、それは判断できないね。」

 

「僕らは集団で記憶をなくしていた。モノクマ側が記憶を操作できるとするなら、クラスメイトだった時の記憶はアテにならないかもしれないね。」

 

「ここみまで…。」

 

「それで、アイコさんは祝里さんが黒幕で哀染さんを殺したと考えるんだね?」

 

「彼女が僕らにクラスメイトだった記憶を与えて、僕らを隠れ蓑にしているって?」

 

 

「じゃあ、どうして祝里さんは哀染さんを殺したの?動機は?」

 

「ふゆぅ、何でか私が尋問されてる気分ですぅ。」

 

「動機…黒幕は哀染を殺す動機はあるだろ…。」

 

(黒幕が哀染君を殺す動機は…。)

 

 

1. 何となく気に食わなかったから

2. アイドル嫌いだったから

3. 哀染が黒幕探しをしていたから

 

 

 

「そんなことのために…哀染は…って、ンなわけあるか!」

 

(いいツッコミ持ってるな…。)

 

 

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「哀染君は黒幕を探していた。だから…殺されたんじゃないっすか。」

 

「黒幕にとって…哀染さんは邪魔だった…?」

 

「哀染のダンナは知りすぎちまった。だから祝里にヤラれたんだ。」

 

「あ、あたしじゃないってば!」

 

「アイコさんが哀染さんの居場所を知っていたのも、祝里さんが2つのステージで寝ていなかったのも、偶然といえば偶然で片付けられるよね。」

 

「証拠は…ない。」

 

「じゃあ…どうすんだよ?」

 

「絶望的かもしれないね。」

 

「犯行時間のアリバイは誰にもない。爆弾のせいか現場には証拠は多く残っていなかった。」

 

「校舎5階の血痕も…犯人に繋がる証拠じゃねぇ…。」

 

「ほ、他に何か手がかりはねーのか?哀染の持ち物とかさ。」

 

「……。」

 

(哀染君の持ち物か。)

 

「手がかりを…探そう?」

 

 

 

ノンストップ議論開始

 

「……レイの部屋の鍵は捜査時間 掛かってたよ。誰か鍵 見つけた人いる?」

 

「爆発に巻き込まれてなくなったのかもしれないね。現場にはなかったから。」

 

「哀染の持ち物なんて、だいたい全部 爆破されてんだろ。」

 

「哀染の部屋に手がかりはなかったか?」

 

「う、うーん、どうだろう…?」

 

「そうだ!部屋にあったらおかしいものがあったよね!?」

 

 

【哀染のメモ】→部屋の鍵

【哀染のメモ】→部屋にあったらおかしいもの

【哀染のモノパッド】→部屋にあったらおかしいもの

 

 

 

「……今は、それはいいじゃん。」

 

(この証拠品については話したくなさそうだな。)

 

 

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「それに賛成っす。」

 

「哀染君の部屋からは哀染君のモノパッドが見つかってるっす。」

 

「えっ…?」

 

「モノパッドが何で部屋にあるんだよ?みんな携帯してんだろ?」

 

「モノクマ、モノパッドを随時携帯していなかったら校則違反で処罰されるんだよね?」

 

「……そうだよ?」

 

「え?じゃあ何で哀染君は部屋にモノパッド置きっ放しだったの?」

 

「格納庫で殺されたなら、格納庫にあるはずだよね。」

 

「そうだね。哀染さんはモノパッドを携帯していなかったってことかな?」

 

「それなら校則違反で処罰されるだろ。」

 

「じゃあレイ君を殺した後、犯人がモノパッドを移動させた…とか?とか?」

 

「でもレイの部屋、捜査時間まで鍵かかってたんだよ?犯人が鍵、持ってるのかな?」

 

「モノパッドを移動する理由なんて犯人にはないんじゃないかな?」

 

「もしかして…哀染さんは部屋で殺された…?」

 

「モノクマファイルによると哀染君は爆発により即死。爆発があった格納庫のトイレで殺されたはずっす。」

 

「そうだね。宿舎で爆発があれば、いくら夜中でも僕らが気付くよ。」

 

「つーか、そんなん下手すりゃオレらも爆死じゃねーか。」

 

(なぜ哀染君は自分のモノパッドを持っていなかったんだろう。)

 

「まあ、モノパッド所持については そこまで注目してなかったからね。ボクも見逃してたかもしれないよね。」

 

(……本当か?モノクマが注目してるかどうかに関わらず、あえて校則違反になることはしないだろう。)

 

「それより、被害者の部屋にもーっと気になるモノがあったんじゃないの?」

 

「……。」

 

(何だ?モノクマが裁判を誘導している…のか?)

 

 

「おい、何だよ。哀染の部屋にあったものって。」

 

(モノクマの様子も気になるが…とにかくみんなに見せよう。哀染の部屋にあった気になるものは…。)

 

 

【哀染のメモ】

【哀染と前谷の手紙】

【哀染のモノパッド】

 

 

 

「その話は終わってる。」

 

(違ったか…。)

 

 

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「あ…それ……。」

 

「何だ?それ?」

 

「これは、哀染君の部屋で見つけた手書きのメモっす。」

 

「NAGAMOTO KEI…永本 圭って書いてあるね。」

 

「は…はあ?何でオレの名前なんて…。」

 

「こ、これは…哀染クンが永本クンを黒幕だと思ってた…とか?」

 

「何でそーなるんだよ!」

 

「え?じゃあじゃあ、圭クンLOVE♡だったからぁ、ついつい名前書いちゃった♡みたいなぁ?」

 

「いや…何でそーなるんだよ。」

 

「ただ書かれているだけじゃないんすよ。一部の文字だけ斜線で消されてるんすよ。」

 

「NとA…G、E、I は斜線が引かれてる…。永本さん、どういうこと?」

 

「オレに分かるわけねーだろ。まさか、それでオレが犯人だなんて言わねーよな?」

 

「さすがに、部屋で見つけたメモに名前があったくらいじゃ事件と関係があったとは言えないよ。」

 

「あ、そ、そうだよね…。」

 

「でも、永本さんは哀染さんから何か聞かれたりしなかったかな?」

 

「ん?ああ…そういえば昨日の朝、変なこと聞かれたな。」

 

「変なこと?」

 

「ああ。オレの名前は誰が付けたんだ?ってな。」

 

「どういうことっすかね?」

 

「オレが知るかよ。…オレの名前は当然、両親が付けた。昨日はそう答えたぞ。」

 

「……そう、ありがとう。安心してよ。誰もそんなことで疑ったりしないから。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「……。」

 

 

「でも…やっぱり、哀染さんを殺した犯人が…分らない。」

 

(そうだ…。今回の事件…謎は多いが繋がらない。決定的にピースが足りていないんだ。)

 

(これで本当に…クロを見つけ出すことができるのか?)

 

(冷たい汗が背中を伝った。)

 

 

 

学級裁判 中断

 

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