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第6章 左様ならば、ダンガンロンパ 学級裁判編Ⅱ

 

(私は…『ダンガンロンパ』を終わらせようと…頑張ったよ。)

 

(コロシアイが起きないように行動したし…視聴者が つまらないと感じるように、全員を犠牲にしようとまでした。)

 

(……”前回”がなければ、絶対していなかったことだ。)

 

(”あいつ”に…百田に出会って、私が変わらなければ…きっと、そんな風に頑張ることもなかった。)

 

(私は変わった。百田を好きになって、コロシアイを阻止しようって…いつまでも続くコロシアイを…終わらせようって…そう思うくらいに。)

 

(でも…それが、『ダンガンロンパ』を終わらせる邪魔になった…?)

 

「……。」

 

(また、自分の気持ちを…百田の存在を否定された気分になって、吐き気がした。)

 

(私の気持ちすら、視聴者を楽しませるために設定されたものだと…そう言われたのを思い出した。)

 

(胸から広がる不快感。全身から血の気が引いていくのが分かる。立っているのも気怠く感じた…その時。)

 

 

「それは違います!」

 

(私の肩から大声が上がった。)

 

「ボク達が学習するのは、物語を面白くするためじゃない!キミ達が成長するのも、『ダンガンロンパ』のためなんかじゃありません!」

 

「キーボ…。」

 

「思い出してください!キミ達が成長したのは、痛みがあったからです!」

 

「友人を失って…それでも前進せざるを得ない状況で、成長することは一種の生存本能です!」

 

「……。」

 

「大切な人を失う悲しみ、痛み、絶望…。キミ達は、それを学習した!」

 

「……。」

 

「それなら、その痛みを与え続ける『ダンガンロンパ』は、絶対に終わらせなければなりません!!」

 

「うーん、卵が先かニワトリが先かという話になってきたね。」

 

「春川さん!キミが前回のコロシアイの痛みを抱えながら、今回のコロシアイを終わらせようとしたことは、何も間違ってはいない!」

 

「……。」

 

「羽成田クン!人を信じられなくなった後、また仲間を信じてもいいと思えたのなら、それは『ダンガンロンパ』を終わらせる武器になる!」

 

「……。」

 

「綾小路クン!キミが得た広い知識の中に、コロシアイを終わらせるためのヒントがあるかもしれない!」

 

「……。」

 

「ロボットが学習するのは、他人のため…かもしれません。けれど、人が成長するのは、周りの人や見ている人のためなんかじゃない…。」

 

「自分自身のためなんです!」

 

「………。」

 

「…ハッ。人に使われるためのロボットに、諭されるなんてな…。」

 

「な…何ですか!その言い草は!」

 

「ありがとな、キーボ。」

 

「え?」

 

「確かに…そうだ。成長しなけりゃ良かっただのなんだの、グダグダ言われっぱなしでたまるか。クソくらえだ。そうだろ、綾小路!」

 

「……。」

 

「……細胞が単一の方が、明るく物を考えられるんだね。頭空っぽの方が何とやら…だ。」

 

「ああ!?」

 

「成長は自分のためだけのもの。新しい視点のエゴイズム研究だね。興味深い。…どうかな、春川さん。」

 

(2人が、こちらを見た。その目には、迷いはない。)

 

「…そうだね。私たちは…強くなった。それだけのことだよ。」

 

「………。」

 

「あれー?もう立ち直るんだ?やっぱり絶望 小出しだと回復がマメでイヤになっちゃうな。もっと盛り上がり考えて絶望して欲しいんだけど?」

 

「お前の言葉なんかにボク達は負けない!ボク達は強くなったんだから!」

 

(ーーそうだ。私たちは強さを手に入れた。”前回” その強さがなければ…『ダンガンロンパ』を終わらせるという道にすら…辿り着けなかった。)

 

「私たちは…戦うよ。この武器を使って。」

 

「キャラクターの成長を楽しんでた奴らの楽しみを…この強さで、壊してみせる。」

 

 

「そうです!ボク達は、絶望にも希望にも染まらずーー…」

 

(そこで、キーボが不自然に言葉を切った。)

 

「キーボ?」

 

「……春川、さん。ボクは…ここまでのようです。」

 

「お、おい、どうした、キーボ!?」

 

「まさか…また、人格を……」

 

「いえ、充電が切れそう…なんです。」

 

「……。」

 

「1回の充電で1週間動ける省エネ型のボクとはいえ…アップデートして破壊活動を行うと消費電力が…ものすごいんです…。」

 

「みなさん…どうか…力を合わせて…」

 

「もういい、キーボ。話すな。」

 

「コロシアイを…『ダンガンロンパ』…を…終わらせ……」

 

「…キーボ。テメーの分まで、首謀者をとっちめてやるよ。…約束する。だから…ゆっくり眠れ。」

 

「…頼み…まし…た…」

 

「……テメーが遺した想いは…受け取った。」

 

「……。」

 

「…今生の別れのような雰囲気を出してるけど、また充電したらいいだけだよね?」

 

(キーボの目から光が消えた。静かになったキーボを肩から裁判席に移して、私は2人に向き直る。)

 

 

「首謀者の…白銀の居場所を突き止めよう。」

 

「ああ、そうだった。いつの間にやら話が逸れまくっていたね。」

 

「そうだよ、全く!これだから最近の若者は!」

 

「テメーのせいだろうが!あと、そのセリフはジジイとババアも言われてきてっからな。年長者が”最近の若者”って言いてーだけだからな。」

 

「モノクマ。首謀者が この学園の中にいるってのは、間違いないんだね?」

 

「そうですよ。それが何か?」

 

「キーボが破壊した所 以外に、隠し部屋や通路がないってのは、本当なの?」

 

「ありませんよ、それが何か?どうやって行くのか謎すぎる地下の研究教室も、今回は作ってないしね。」

 

(……つまり、見つかっていない通路や部屋はない。でも…私たちが行ってない場所なんてあった?)

 

 

 

閃きアナグラム スタート

 

                            絶            ロ

デ      の                       ス

                                                ド             

                                                       望                ー

 

閃いた

 

 

 

「地下道…絶望のデスロードの先。今回、行ってないのは…あそこだけだよ。」

 

「あそこか…。あそこは、映像によると退廃した地球への出口…だったじゃねーか。」

 

「……この学園は、”前回”の…あの才囚学園と違うところもあったでしょ。」

 

「絶望のデスロードは、僕らも挑戦したが、無理だったね。炎やら爆弾やらトラップばかりで。…首謀者にとっては最強のシールド…か。」

 

「そう。あの地下通路の先に…首謀者が……」

 

「ブッブー!」

 

(私が言いかけたところで、モノクマが楽しそうに声を上げた。)

 

「今回 首謀者がいたのは、絶望のデスロードの先ではありませーん。」

 

「確かに、絶望のデスロードの先には、今回 別の地下ステージがあるけどね。」

 

「地下ステージ?」

 

「地下世界というか?49作目というか?地下物語というか?DELTA RUNEというか?」

 

「何だい?英語アナグラムでも始める気かい?」

 

「地下ステージには一応、キッチン・トイレ・シャワー付きのホームがあるけど…首謀者は、そこにはいませーん。」

 

「はあ!?じゃあ、結局どこにいるんだよ!?」

 

「隠れられる所は…もう学園内にはない。」

 

「校舎の5階にも、暗殺者の研究教室にも、地下通路の先にも、首謀者がいなかったなら…どこにいたっていうの?」

 

「………。」

 

「どこだろうね?他に首謀者を暴く手段でも探ってみれば〜?」

 

(首謀者を暴く手段?それはーー…)

 

 

1. 首謀者の協力者

2. 首謀者の趣味趣向

3. 首謀者の能力

 

 

 

「それで、今回の首謀者を暴けるというなら、存分に時間を掛けるがいいさ!」

 

(……違うみたいだね。)

 

 

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「……首謀者の協力者。」

 

「…そうか。オレ達 3人…そして、タマとエイ鮫の中に、首謀者の手先がいる。」

 

「今更、裏切り者がいるなんて考えたくないけど…ね。」

 

「…タマは違った。タマが首謀者の名前を春川に言ったのは、ヤマカンだ。それに、春川の才能を知ってたのは、前回の記憶によるもんだ。」

 

 

「そうなると…僕ら3人か、エイ鮫さん…か。」

 

「……。」

 

「名簿によると…白銀と面識があったのは、エイ鮫ってことになってるね…。」

 

「は?あいつが…首謀者の手先?それは…どうなんだ?」

 

「……あんな風に、クロになったヤツが…?」

 

「うぷぷぷ。裏切り者がクロになるケースは少なくないけどね。」

 

「まさか…本当に、あいつが…?」

 

「……。」

 

「待ってくれ。エイ鮫さんは戦場でレイヤーとコラボってたらしいよ。」

 

「レイ…コラ…何だ?」

 

「エイ鮫さんは、年末の戦場でコスプレイヤーとコラボレーションしていたらしい。」

 

「戦場?何で、Vチューバーが戦場にいるんだよ!?」

 

「うん。僕も驚いたよ。Vチューバーが外に出て撮影をするというのは、初めて聞いたからね。」

 

「いや、そこじゃねぇ!何で戦場だ!?」

 

「……とにかく、エイ鮫と白銀の接点は…そこだったってこと?」

 

「そうだよ。僕が夜長さんや茶柱さんの名前を思い出せなかったように…エイ鮫さんは、白銀 つむぎの名前を思い出せなかったんじゃないかな。」

 

「そうか…。そうだな。エイ鮫が首謀者の手先とは…思えねー。」

 

(…確かに、今朝の裁判の様子からして、エイ鮫が協力者というのは…考えにくい。でも…)

 

 

(タマでも、エイ鮫でも…ない。だとしたらーー…)

 

「それなら、僕ら3人の中に首謀者の手下がいるということになる。」

 

「……。」

 

「綾小路、テメー!」

 

「このロジックに至るのは、仕方ないことだろう。…僕としては、春川さんが首謀者側なら有難いんだけどな。」

 

「ああ!?何で、春川なんだよ!?」

 

「春川さんが首謀者側なら、前回のコロシアイや その映像もフェイクで片付けられる。」

 

「僕らの存在がフィクションだとか、外に出られない…なんていうのも、嘘だったことになる。そして、その嘘を打ち破ってハッピーエンド。」

 

「これが、1番…有難いんだよ。」

 

「……。」

 

「もちろん、ただの願望で、ただの可能性だよ。前回の…今朝の裁判を考えるに、その線は薄い。そこで…もし、羽成田君が首謀者側の場合…」

 

「ああ!?ふざけんなよ、テメー!?」

 

「だから、バイ・ザ・ケースだよ。」

 

「君が首謀者側の場合、参加者間に不和を生ませる役割があった。情報取引やチーム分断などによってね。」

 

「そして、自分がクロにならないと分かっていて、もしくはクロになる覚悟で、タマさんの作戦に乗った。」

 

「しかし、首謀者側なら毒薬の解毒剤を手に入れられるだろうとも想像できる。毒に冒されたのが演技でない限り、羽成田君というのも少し考えにくいね。」

 

「さて、僕が首謀者側の場合…」

 

「テメー自身の話もすんのかよ…。」

 

「もちろんだよ。オブジェクティビティ、僕が1番 怪しいからね。まず、3回目の事件で、僕は4階の鳥居の下で壱岐さんに襲われ、拘束されていた。」

 

「僕が首謀者の場合、それは3回目の裁判を複雑化させ、盛り上げるためだと考えられる。自分の死を覚悟した上で。」

 

「もちろん、実際 被害者となった朝殻さんが4階に行くと計算した上で鳥居に行ったとも考えられる。……まあ、4階へは毎朝 行ってたんだけどね。」

 

「前回の事件も、タマさんに頼まれたわけじゃなくて、僕がコロシアイを起こさせるためにクロスボウと矢を格納庫前に置いた可能性も出てくるよ。」

 

「……さて、どうかな?広いパースペクティブのポッシビリティだ。」

 

「……。」

 

(羽成田か綾小路…どちらかが白銀の手先?2人とも…これまでで怪しいところはあった?)

 

 

(今までの2人の言動を思い返していると、羽成田が静かな声を発した。)

 

「……いや。オレは…テメーらが首謀者側だとは思わねー。」

 

「……意外だね。君は僕を疑うと思っていたよ。」

 

「言ったろ?いつまでも疑ってらんねー。テメーもグダグダ御託 並べてねーで、直感に頼ったらどうだ?」

 

「フム。直感やシックスセンスは侮れないよね。本来、女性の方が勘が鋭い人が多いと言われているよ。」

 

「というのも、相手の表情を監察して微細な変化を感じ取りやすい女性が多いからさ。だから、夫の浮気をーー…」

 

「うるせぇ!それが御託だってんだよ!」

 

「テメーら2人とも、首謀者側じゃねぇ!オレは、そう信じる!そして、オレも首謀者の手先じゃねぇ!」

 

「つまり、モノクマが嘘ついてやがるんだ!」

 

「ボクは嘘は言わないのになぁ。シリーズの中でも、裁判の結果を言イマツガエルくらいで、ボク自身は嘘つかないよ?」

 

「うるせぇ!オレら参加者の中に首謀者の手先がいるっつーのは、その言い間違いだったんじゃねーのか!」

 

「……言い間違えてないでしょ?ボクが言ったのは『この中に、春川さんが話していた首謀者の言うことを聞いてたヤツがいます!』だよ?」

 

「……。」

 

「だから、それがーー…」

 

「待って。何か…だよ。」

 

「変?」

 

(……そうだ。今朝の裁判でも、モノクマは、わざわざ言い直していた。)

 

 

「この中に、首謀者の手先がいる…モノクマは、そう言ってましたね。」

 

「正確に言えば、『春川さんが話した首謀者の言うことを聞いてたヤツ』だけどね〜。」

 

 

(どうして、モノクマは言い直したの?)

 

 

 

ブレインドライブ1開始

 

Q. “春川が話した首謀者”とは?

1.江ノ島 盾子

2.カムクラ イズル

3.白銀 つむぎ

 

Q. “言うことを聞いていた”とは どういうこと?

1.白銀の手先だった

2.白銀の部下だった

3.白銀の声を聞いていた

 

Q. “首謀者の言うことを聞いていたヤツ”とは?

1.参加者の中の裏切り者

2.参加者の中で白銀の声を聞いた者

3.参加者以外で白銀の声を聞いた者

 

繋がった

 

 

 

「言葉通りの意味…だったのかもしれないよ。」

 

「言葉通り…?」

 

「首謀者の言うことを聞いてたヤツ…それは、白銀の話す言葉を聞いた奴ってことだよ。」

 

「……は?」

 

「そんな…洒落みたいなことが…。」

 

「じゃあ、手下なんて、いなかったってことか?おい、モノクマ!どういうことだ!?」

 

「うぷぷ。ボクは手下とか手先とか手先が器用とか、一言も言ってないよ。勝手に勘違いしたんじゃない。」

 

「クソ…!」

 

「つまり…その人物は、僕ら参加者の中にいたとしても、裏切り者などではない。ただ、声を聞いただけだから。」

 

「オレはンなもん、聞いてねーぞ。」

 

「僕らが白銀 つむぎの声を聞いたのは、あの映像が初めてだ。モノクマが言ってたのは、春川さんのことだったのかな?」

 

(私は、首を振った。)

 

「モノクマは…”参加者”とか…”人”、”人間”という言葉も使ってないんだよ。」

 

(私たちの中に…私たちが聞こえない声を聞いていた奴がいる。)

 

 

▼白銀 つむぎの言うことを聞いていたのは?

 

 

 

「…どういうことだ?」

 

「僕らにも分かりやすいように説明してくれるかな?」

 

「……それは不可能だよ。」

 

 

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「こいつしか…いないよ。」

 

(私は、裁判席の前に腰掛けさせたロボットを指差した。)

 

「白銀の声を聞いてたのは…キーボだよ。」

 

「はあ?」

 

「キーボには、”前回”と同じように、”内なる声”が聞こえてたんだよ。ずっと。」

 

「フム。それは、確か…視聴者の声だったよね?」

 

「そう。今回も そうだと…私は思ってたんだけど…。」

 

「白銀は、このコロシアイを見ていた。キーボを通して。」

 

「うぷぷぷぷ。」

 

(モノクマが不気味に笑う。その瞬間、裁判場の照明が落ちた。そして次に明るくなった時、私の視界にはーー…)

 

 

「やっと気付いてくれたんだね。待ちくたびれちゃったよ。」

 

「!……テメーは!」

 

「ようやく…お出ましのようだね…。」

 

「白銀…!」

 

 

「春川さん、久しぶりだね。…少し、やつれたんじゃない?」

 

「羽成田君と綾小路君は初めましてだね。改めまして、わたしは“超高校級のコスプレイヤー” 白銀 つむぎだよ。よろしくね。」

 

 

(白銀が、裁判席の1席に立っている。ずっと空席だった、“前回”の白銀の席に。)

 

(白銀は、笑っている。”前回”と同じ…余裕の笑顔。胃がギュッと掴まれるような感覚に陥る。このまま、あいつの首を掻き切ってやりたいとさえ思った。)

 

「やだなぁ、春川さん。そんな怖い顔しないでよ。せっかく感動の再会なのに。」

 

「……あんたの…その格好は何?」

 

「え?このセーラーのこと?やだなぁ。ただのセーラー服だよ。V3の時のは、”超高校級の模倣犯コスプレイヤー“の衣装だったからね。」

 

「かき直すのが面倒とか、別に そういう事情じゃないよ!」

 

「ほら、春川さんだって今ブレザーでしょ?そこは、わたしの こだわりなんだ。普段セーラーだとブレザーに憧れるし、逆もまた然りだからね!」

 

(どうでもいい演説に吐き気がしてくる。悪びれもせず、この女は、何を言ってるんだろう。)

 

「テメーが…首謀者。」

 

「”超高校級のコスプレイヤー”…白銀 つむぎ…。」

 

「そうだよ。でも、コスプレ早着替えは今回お預け。残念だよ…。1番 皮肉になるキャラで話すの好きだったんだけど…。」

 

「ま、仕方ないか。今回のわたしは、模倣犯コスプレイヤーじゃないからね。」

 

「今回のコロシアイのテーマは、“模倣”なんだけどね。『やばたにえん裏面』を目指してたんだよ。」

 

「模倣…?」

 

「そうそう。模倣じゃないと、春川さんの過去の記憶が役に立たなくなっちゃうもん。」

 

「……やっぱり、私の記憶は…あえて残したの?」

 

「うん。だって、その方が面白そうでしょ?」

 

「テメー、面白いたぁ何だ!」

 

参加者の記憶を残す…これまでにない試みなんだよ?そして、事件が前回のコロシアイと似ていれば似ているほど盛り上がる!」

 

「見ている人は前回との共通点を感じて、より一層 楽しめるんだよ!」

 

「それに、希望でも探偵でも、犯人でもない春川さんが、1人で…っていうのも酷な話だからね。過去の記憶を頼りにした推理ができるようにしたんだ。」

 

「…春川さんに、学級裁判のイニシアティブを取らせるため…か。」

 

「それで…舞台や動機が同じだったの?」

 

「そうそう!時間がなかったってのもあるけどね。それで、ここまで滞りなく、スムーズ円滑に、学級裁判が進んだんだよ!」

 

「な…なにが…スムーズ円滑だよ…。」

 

「アーハッハッハッ!ワックスかけたばかりの教室の床並みのスムーズさでしたよ!これも、キーボクンのおかげだね!」

 

「どういうこと?」

 

「手乗りキーボ君はね…春川さん、あなたのサポート役として登場させたんだよ。」

 

「希望でも探偵でも、犯人でもない春川さんのためにね。」

 

「今回のキーボ君は、視聴者カメラの役割はなかったんだよ。」

 

「キーボクンの役割は、2つ。春川さんのサポート役として、裁判を進行すること。そして…スムーズにコロシアイを起こさせること。」

 

「!?」

 

「キーボ君が…コロシアイを?」

 

「そんなはずねぇ!」

 

「そうかな?実際、キーボ君が春川さんのコロシアイ阻止を、阻止する場面もあったんだよ。」

 

「……。」

 

(キーボが私を阻止した…?それって…)

 

 

1. 春川に殺意を湧かせる

2. 春川に見張りを止めさせる

3. 春川にニオイを嗅がせる

 

 

 

「えっ…キーボ君、わたしの預かり知らぬところでそんなことを…?視聴者カメラだったらクレームものだったね。危ない危ない。」

 

(…眼鏡を割ってやりたい。)

 

 

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「キーボがいたことで…私は3回目と4回目の事件…見張りをしなかった。」

 

「3回目の事件は、キーボ君が夜中に見張っていたが、バッテリー切れになったんだったね。その間に、僕ら事件関係者は宿舎を出た。」

 

「4回目の事件の時は、睡眠剤で全員 寝てたろ。それは…タマが睡眠剤を撒いたせいだ。」

 

「でも、タマが睡眠剤を撒いた時…私がログハウスから離れたのは…キーボがいたからだよ。」

 

「あの時は、タマさんがキーボ君を緊急停止させてたね。その間に、彼女は睡眠剤を撒いた。…あれがなければ、事件は防げたかもしれない。」

 

「うぷぷぷ。無理だったと思うけどね。」

 

「キーボは…白銀 つむぎ…テメーに操られてたってのか!?」

 

「やだなぁ。違うよ。手乗りキーボ君の人格は、ちゃんとあるの。わたしは、ただ彼に話し掛けてただけ。」

 

「でも、わたしの声掛けによって、キーボ君が動いてくれたところもあるからね。分かりにくく例えるなら、墨田区の呪影みたいなものかな?」

 

「わざわざ分かりにくく例えなくてもいい。」

 

 

「白銀。あんたが…キーボを強制停止させてたの?」

 

「……。」

 

(白銀が無言で笑う。)

 

「強制停止?」

 

「キーボは、1回の充電で1週間は動けるんだよ。でも…3回目の事件の日は、まだ充電から1週間 経ってなかった。」

 

「4回目の事件の時も同じだよ。殺人が起こった時…私たちが寝てしまった時、キーボも緊急停止していた。」

 

「タマがキーボの停止ボタンを押したってのは睡眠剤を撒いた時だったな。けど、事件が起きた時のは、自分じゃないとも言ってた。」

 

「首謀者側でコントロールされてたというのか…。」

 

「そのとーり!」

 

「キーボ君は、十分 役に立ってくれたよ!おかげで、裁判も盛り上がったし!」

 

「…テメー…。」

 

「……。」

 

 

「白銀、あんたは…いつ殺人が起こるか知ってたの?」

 

「え?」

 

「4回目の事件前…キーボがあんたの声を聞いて言ったでしょ。『まだ、大丈夫』って。」

 

「……そうだね。わたしは、いつ、どのタイミングで、誰が死ぬか、把握してたよ。」

 

「ど、どういうことだよ?」

 

「4章は、特に分かりやすいからね。春川さんにアドバイスしたんだ。」

 

「どうして『大場を見張れ』なんて言ったの?」

 

「……。」

 

「そんなことよりさ、わたしは殺人が起こるタイミングと被害者が分かっていた。これって、重要な情報じゃないかな?」

 

「ね、どういうことだと思う?どうして、わたしは分かっていたのでしょうか!?」

 

「……。」

 

(白銀は事件が起きるタイミングと被害者が分かっていた。…おそらく、犯人も。それは…)

 

 

1. 真犯人が白銀だから

2. 白銀が予知能力を持っているから

3. 殺人のスケジュールが決まっていたから

 

 

 

「残念!不正解!!ボッシュート!」

 

(…髪の毛むしり取ってやりたい。)

 

 

back

 

 

 

 

「最初から…決まってたんだ。いつ殺人が起こるのか…。」

 

「はあ!?」

 

「決まっていた…?どういうことだい?」

 

「最初から…そう設定されてたんだよ。」

 

「だいせいかーい!」

 

「そう。ここで起こった殺人は…いつ、どこで、誰が、誰を、どうやって、どのように殺すか、あらかじめ決まってたんだ!」

 

「そんなこと…できるわけねーだろ。オレ達を操るような真似…。」

 

「うん、わたし達が操ってたわけじゃないよ。今までの事件は全て、あなた達の意思。あなた達が思い出せていない、心の声に従った結果だよ。」

 

「心の声?」

 

「前回の視聴者として、記憶はなくても、自分が望んでいた結果を創り出そうとしてたんだね。」

 

「どういうこと?」

 

「あ、そっか。春川さんは、それも知らないよね。前回 最後の裁判が終わった後、オンラインで簡易なオーディションが行われたんだ。」

 

「53回目の視聴者…最後の視聴者向けのオーディション。その中から、今回の参加者が選ばれたんだよ。」

 

「オーディションでは、希望派か絶望派か…そして、投票放棄派か。事件を起こすなら、どんな事件を起こすか。それを話してもらったんだ。」

 

「才能が上手く使えそうな面白いトリックを話した人は即採用!今回のクロ役が最初に決まったんだよ。」

 

「じゃあ…新始が事件を起こすことは……決まってた…のか?」

 

「そう!和戸君だけじゃないよ!みんな、あなた達自身が、オーディションで言ったんだよ!『こんな風に殺すから場所を整えてくれ』って!」

 

「それから、被害者役とか諸々 決めていったんだよ。スケジュール通り、みんな よく動いてくれました!」

 

「バカな…。」

 

「本当は、ロープウェイとかシーソーとかトイレットペーパーとか被害者不明とか…春川さんの記憶ありきのトリックを入れたかったんだけどね。」

 

「大慌てで作ったから時間なくて。動機とか舞台とか、新たに作る時間もなくてさ。」

 

「そうそう。圧倒的に、時間が足りなかったよね。シリーズ毎に増えていったシステムも使えなくて、残念だよ。」

 

「”マコトクン”も登場させられなかったしね。ま、”話し方だけマコトクン” みたいな回もあるから、別に いいんだけど。」

 

「私たちの行動まで…設定だったって…そう言ってるの?」

 

「うーん、プログラムしたものじゃないから、みんなの行動はオーディションを受けた自分の自我に引っ張られてたって感じかな?」

 

「だって、和戸クンの殺人計画なんて、最初から決まってないと実現不可能だよ!人を上手く動かして殺人を起こすなんてさ!」

 

「……クソ!」

 

「羽成田君と綾小路君の中の人が話したトリックは平凡すぎて、クロ役にはなれなかったんだよね。でも、才能的に便利だったから採用されたんだよ!」

 

「おめでとうございま〜す!」

 

(モノクマが大げさに手を叩く。そんな中、私は和戸の言葉を思い出していた。)

 

 

「納得してない人もいるからさ。春川さん。みんなを納得させてあげてよ。“小さな探偵さん”と一緒にさ。」

 

 

(あいつは、1回目の裁判で…キーボをそう評していた。それに…)

 

(……キーボは…“内なる声”の主が複数いるような発言をしていた。)

 

 

 

ブレインドライブ2開始

 

Q. “内なる声”は全部 白銀によるもの?

1. 全部 白銀によるもの 2. 白銀の他にもいた

 

Q. “内なる声”を発していたのは?

1. 今回のクロ

2. “前回”の生き残り

3. 今回の視聴者

 

Q. 1回目裁判の”内なる声”は誰のもの?

1. 最原 終一 2. 白銀 つむぎ 3. 夢野 秘密子

 

繋がった

 

 

 

「白銀、キーボの”内なる声”を発していたのは…あんただけじゃなかったんじゃないの?」

 

「……。」

 

「キーボの”内なる声”…これは、視聴者の声じゃなかった。あんたと…もう2人いたんだよ。」

 

「もう2人?」

 

「あんた達3人は、交代で”内なる声”として…キーボに話し続けてたんじゃないの?」

 

「だ、誰だよ…そりゃあ。」

 

「1回目の裁判でキーボに声を掛けてたのは、最原…。違う?」

 

「最原?前回の参加者…最原 終一のことかい?」

 

「なるほどね?じゃあ、もし最原君が”内なる声”だったとして、1回目の裁判だけだったのかな?」

 

「……。」

 

(私は、あの時…”前回”と同じように追い詰められて…”前回”と同じように助けられた…。)

 

(最原が”内なる声”を担当したのは、1回目と…)

 

 

1. 2回目

2. 4回目

3. 5回目

 

 

 

(違う…私が追い詰められて、助けられたのは…今朝の事件だ。)

 

 

back

 

 

 

 

「またまた大正解!」

 

「その通り!1回目と5回目の裁判とも、最原君が”内なる声”だったんだよ。ううん、1章と5章…って言った方が、分かりやすいかな?」

 

「…な、何で…前回のヤツらが…?」

 

「彼らが首謀者の…君と同じ行動を取っていたということかい?一体、どうして…」

 

「それは、また後で考えて欲しいかな。」

 

「それより、2人は…最原と夢野は生きてるの!?今、どこにいるの!?」

 

「それじゃあ、これも当ててもらおうかな!夢野さんが”内なる声”を担当したのは、いつでしょうか!分かりやすく、”章”で言ってもらおうかな!」

 

(私の声を無視して、白銀は高らかに問いかけた。)

 

(…キーボが『年齢層が上がった』と言ったのは、たぶん夢野のこと。)

 

(最原が1回目と5回目…他の裁判で…キーボが気になることを言ってたのは…)

 

 

「春川さん、左手に注目させたとは考えられませんか?」

 

「え?」

 

「ほら、マジックでよくある手です。左手に注目させているうちに、右手でトリックを働かせ…」

 

(言って、キーボは不自然に言葉を止めた。人間でいう耳の部分に手を当てて動きを止めている。)

 

 

(あれは…切り取られた左手に注目させて、ピラニア水槽から目を遠ざけたという話だった。それに…水槽に死体が現れたり、縄抜けについても…)

 

 

「科学マジックの1種です。水中に入れると文字が現れたり、逆に消えたり、というものを見たことがありませんか?」

 

「これも、マジックなどで よく使われるトリックです。………何でもありません。ええと…そう。縄抜けの反対なんです。」

 

 

(夢野が”内なる声”を担当したのは…)

 

 

1. 2章と4章

2. 2章と3章

3. 3章と6章

 

 

 

(…違う。キーボが元々 知っていたとは思えない話をしたのは…)

 

 

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「1回目の事件が終わった後…あんたの言う2章と3章 夢野が”内なる声”を担当していた。」

 

「はーい!大正解〜〜!」

 

「2章3章は、ウィッチをウォッチするんじゃなくて、ウィッチがウォッチしてたんだよね!」

 

「1章5章が最原クン!2章3章が夢野さん!4章と6章を白銀さんが担当してたのでした〜!」

 

「白銀!2人は…生きてるってことでしょ!どこにいるの!?」

 

「2人は、わたしと地下道の先にいたんだよ。」

 

「2人は薄暗い地下で息が詰まってた様子だったけどね。」

 

「わたしは久しぶりで、結構 楽しかったんだけどなぁ。」

 

「なるほど…あの地下道は、彼らの檻としても機能していたのか。」

 

「そんなことより!あいつらは無事なの!?今、どこにいるの!」

 

(私の言葉を聞いて、白銀は また薄く笑った。そして、再び、裁判場の明かりが消えた。)

 

 

「春川さん、ありがとう。ここまで辿り着いてくれて、本当に良かった。」

 

「全くキーボめ、ウチの有難い助言をマジックマジックと…。」

 

 

(声が聞こえたかと思うと、裁判場の明かりが戻った。)

 

「テメーら…は……」

 

「……役者が揃った…ということなのかな。」

 

 

(裁判場に現れた2人。私の口は、無意識に その名を呼んでいた。その声は、ひどく震えていた。)

 

「さい、はら…。ゆめ…の…。」

 

 

 

学級裁判 中断

 

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「第6章 左様ならば、ダンガンロンパ 学級裁判編Ⅱ【創作ダンガンロンパV4if/創作論破】danganronpa」への6件のフィードバック

  1. さっっ最原くんっ…夢野さんっ…来てくれてたんだね…!
    わくわくの展開でドキドキしながら読んでます…!

    1. トラウマウサギ

      わっくわくでドキドキ?!嬉しいです!昨日に引き続きコメントありがとうございます!!

  2. 初コメント失礼します、あまりにも私好みであまりにも”ダンガンロンパ”で素晴らしいです…!ここまで一気読みして、美しい鬱くしさに吐き気しながら興奮して読ませて頂きました。春川ちゃんが推しなのもあり、苦しみながら楽しんでいます!
    こんなに素晴らしい作品を産んでくださりありがとうございます…!!!!

    1. トラウマウサギ

      初コメントありがとうございます!美しい鬱くしさ…!こんな綺麗で奇隷なお言葉、光栄の限りです!春川さん推しの方に楽しんでいただけて幸いです^ ^もう終盤ですが、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです!!

  3. 徹夜テンションでコメント失礼します。
    pixivで一話目を見たんですけど面白すぎてサイトの方まで一気に読んじゃいました。今までオリジナルの人物が出てくるダンガンロンパの二次創作を見たことがなかったんですけど、今まで手を出してこなかったのがマジで後悔するほど面白かったです。ゲームブック方式の二次創作はほぼ初めて体験しましたが裁判パートがすごく楽しくて、発売日にV3を買って遊んだ記憶が蘇り感動しています。
    そしてこの作品のトリックもすごくクオリティが高く楽しませてもらいました。特に2章のトリックが自分は好きです。

    この先展開がどうなるのか楽しみに待ってます!

    1. トラウマウサギ

      コメントありがとうございます!一気に!?嬉しいです。トリック頑張った(色々な作品のトリックをつぎはぎした)甲斐がありました!2章は特に、「入れ替え殺人ができるー!!」とハイテンションに考えたので、好きだと言っていただき嬉しいです。もう残すところは裁判ラストとエピローグですが、最後までお楽しみいただけるよう頑張ります^ ^

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