Round. 4 虫の息の容疑者(非)日常編Ⅱ
【本島南エリア 寄宿舎前】
(朝早く、ゴン太は部屋を出た。)
(コロシアイで人がいなくなっていく。仲間が減って…みんな弱っていく。)

「ここに閉じ込められてる限り…コロシアイが終わらない限り、誰も和めねーから。そこんとこ、よろww」
(これ以上、黙って見ているだけなんて耐えられない。)
(モノクマを…倒すんだ!!)
(ーーでも…モノクマは、どこにいるんだろう。)
(火事の時みたいに、呼べば出てくるのかな?)
「何かあるとすれば、ここですから!」
(そういえば、桐崎さんが言ってたっけ。あれは…どこだったっけ?)
(そこじゃなかった気がする…。)
(前回の裁判前に桐崎さんと星君、華椿さんが調べていたのはーー…)
△back
(そうだ、校舎。校舎に行ってみよう。)
「獄原。」
(校舎に足を向けたところで、背後から声を掛けられた。)
「星君…朝早いね。」
「習慣でな。早朝に勝手に目が覚めるのさ。…それより、あんたは?散歩してるようには見えねーが。」
「……。」
(誤魔化そうとしたけど、星君は静かにゴン太を観察している。ゴン太の嘘なんて通用しなさそうだ。)
「…モノクマを倒そうと思うんだ。」
(ゴン太が言うと、一瞬 星君は驚いた顔をした。けれど、口調は いつも通り、冷静なままだ。)
「そいつはモノクマファイルで校則違反とされてなかったか?」
「それでも、戦わなくちゃ…!また死んでしまう人が出る前に!」
「これまでの処刑を見ていたら…得策とは言えねーな。いくら あんたでも…な。」
「承知の上だよ!ゴン太は犠牲になってでも、みんなを守りたいんだ!!」
「みんなを救えるなら、ゴン太の命は どうなってもいいんだ!」
(思わず声を張り上げたゴン太に、星君は視線を落とした。そして、ポツリと呟いた。)
「あんたを犠牲にするくらいなら…俺がやるさ。」
「え!?」
「俺は…既に この手を汚してるからな。」
「ど、どういうこと?」
「俺は人殺しなんだよ。」
「…え。」
(何を言ってるんだろう。星君が言ってることが よく分からない。)
(だって…そんなはずはない。星君が…星君は……。)
「あんたがモノクマに挑むって言うなら、まず俺が行く。」
「ダメだよ!!!」
(理解できないまま、星君の言葉に反論した。)
「ダメだよ!星君っ!星君は…!」
「優しい人だ!ゴン太 知ってるよ!!」
「……優しい?笑わせるな。俺のどこがーー…」
「星君は、最初の事件でゴン太を導いてくれた!高橋君の言葉を思い出させてくれた!!」
「三途河さんの思いを知って、お手伝いしてた!!三途河さんが死んで、悲しんでた!!」
「自分のせいだなんて、自分を責めて…!それからだって、火野君を気に掛けたり…お願いされたら断らなくて…!」
「星君の優しいところ、たくさんゴン太は知ってるよ!!」
「……。」
「星君は優しいんだ。そんな星君が危ないことをするなんて…ゴン太は嫌だよ!」
(言い終えて、一息つく。星君は俯いて息を吐いた。)
「……そいつは、あんたにも言えることなんだぜ。」
「……。」
「あんたに危ない橋を渡って欲しくねー。そう思う奴は いくらでもいる。」
「あ…。」
「あんたも…同じなんだよ。無茶はするな。」
(そっか…。ゴン太が、星君が闘うのが嫌だって思うのと同じなんだ。)
(ゴン太は…自分が どうしたいかしか…考えてなかった。)
「……。」
「星君、ごめん。ありがとう…。ゴン太は…やっぱり、バ」
「自分で考えた結果、誰にも相談せずモノクマと戦おうとしたんだろ。」
「自分で考え抜いたなら馬鹿じゃねぇ。だが…そういう時、仲間を思い浮かべることも大切だぜ。」
「…星君。」
「ーーなんてな。…それができなかった俺が言っても、説得力はねーな。」
「ううん。ありがとう。」
「…ああ。」
「星君…昔 何か…悲しいことがあったんだよね。」
「……。」
「あんたには…いつか話すと言ってたな。」
(星君が帽子を下げて俯いた。とても話しにくそうだ。)
「…何があったのか、ゴン太からは聞かないよ。」
「……。」
「話したくないなら話さないで。でも、話したくなったら話して欲しい。ゴン太は、星君の笑顔を守りたいから。」
(ゴン太が言うと、星君は少しだけ顔を上げて口の端を持ち上げた。)
「やあやあ、我こそはチームダンガンロンパが作りし古参の激カワ辛辣残酷マスコット熊・モノクマ!」
「……!モノクマ!」
(目の前に突然モノクマが現れた。思わず臨戦体制に入りかけたのを星君が視線で止めてくれた。)
「…おや?どうやら闘志は削ぎ落とされたみたいだね?」
「……。」
「何のことだ?俺たちは朝の散歩をするだけだぜ?」
「はー、やれやれ。そんな嘘、への突っ張りにもならないよ?分かってるでしょ?」
「ボクは宣戦布告ってヤツが大嫌いなんだ!!真珠の所とか不死鳥の国のときみたいなのが好きなんだ!」
「…っていうか、ボクにケンカ売るなんて、いい度胸してるよね?」
(モノクマが爪を立ててゴン太たちを睨む。それに対して、星君が落ち着いた声を放った。)
「俺たちは まだ、ケンカも宣戦布告もしてねーだろ?早合点で校則違反扱い…公平とは思えねーぜ?」
「むむ。」
「確か…校則違反は『危害を加えることは禁止』だろ?」
「めめ。」
「なら、まだ校則違反だなんて言えねーはずさ。」
「もも。」
「ーー仕方ないなぁ。今回の謀反企てには目を瞑るよ。ただし…」
「発起人のゴン太クンには、それ相応の処遇を与えます。」
「ッ!……おい!」
「星君、大丈夫だよ!ゴン太は、大丈夫だから。」
「うぷぷぷぷ。じゃ、ゴン太クンへの処分は追って連絡するよ。」
(モノクマは そんなことを言って、いなくなった。)
(ゴン太たちは そのまま食堂に向かい、みんなが揃うのを待った。)
【本島南エリア 寄宿舎 食堂】
「…そのようなことがあったのですね。」
「ゴン太、お願いだから…無理しないでよ?」
「そうですよ!まずは、ボクらに相談してください!」
「ごめん…。みんなに話そうとも思ったけど…もし、みんなも戦うことになったらって考えちゃって…。」
「星さが止めてくれて良かっただよ。」
「そだねー。1人の勝手で連帯責任とか言われたら堪んねーし。」
「ご…ごめん…。」
「あ、マジになっちゃった?ゴメン ゴメン!責めてないよ〜!」
「…モノクマの言っていた獄原への処遇っていうのが気になるところだな。」
(集まった みんなと朝食を食べながら、そんな話をした。しばらくして、星君が辺りを見渡した。)
「イーストックは?まだ来ないのか?」
「そういや、昨日メシ食った後、秋ノ島に向かってったなぁ。まだ あの研究室にいたりして。」
「夜に1人で?危険です。どこに殺人鬼がいるとも知れないのに。」
「っても、これだけ経っても見ないんだからいねーんじゃね?知らんけどww」
「イーストック先生、研究室で…死者の蘇りの薬を研究してるんですよね?」
「そったらもん、高校生にできるわけねぇべ。」
「そうだよね。太古からの夢がお手軽に叶っちゃったら、かぐや姫もビックリだよ。」
「…って、思うっしょ?それがマジなんだよねー。」
「え〜?マ〜ジ〜で〜?」
「何 普通に会話を続けてるんですか。モノクマ、何しに来たんです?」
「いや〜、マジの本気の真剣で蘇りの薬ってできるよって伝えに来たんだよ。この世界ではね。」
「あ、毎度 言ってるけど…これ、動機とかじゃないかんね!」
「………。」
「おや、ゴン太クン。そんなに緊張しなくてもいいよ!キミへの処罰は追って連絡するから。」
「その待つ時間が苦痛なんですよ!…って消えちゃいましたね。」
(それだけ言って消えたモノクマは気にしないようにして、ゴン太たちは朝食を済ませ、散り散りになった。)
(ゴン太は…昨日の夜、様子が おかしかった人に声を掛けておこうかな。)
(イーストック君は秋ノ島の文化エリア、伊豆野さんと虎林さんは体育エリアにいるみたいだ。)
(虫さんは どこから行きたい?)
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【秋ノ島西 文化エリア 図書館】
(図書館の研究室に入ると、やっぱりイーストック君がいた。真剣な顔でメモ帳に何かを書き殴っている。)
「………。」
(机の上には実験器具が並んでいて、メモ帳や便箋などが乱雑に広げられていた。)
「イーストック先生…大丈夫でしょうか?声を掛けても反応なくて…。」
(ゴン太と同じく室内にいた桐崎さんが心配そうな顔を見せた。)
「とても集中してるんだね。」
「鬼気迫る様子ですよね。目がランランルーってしてます。」
「鬼気界隈では薬品作りがメロいんだって。まさに奇々怪界の奇々解体だよね。」
「わっ、モノクマ…!さては最後のを言いたいがために出てきましたね!!」
「失礼な!ボクはオマエラのために貸出機を設置しに来てやったんだよ!」
「貸出機?」
「そう。人体には有毒な薬品Aや無害な薬品Bがあるからね。外に持ち出すなら手続きしなきゃなんないのさ!」
「危険な薬品なら貸し出さない方がいいでしょう!」
「大丈夫 大丈夫。貸出期限は2時間だから。」
「いっこも大丈夫じゃない!」
「じゃ、ここにある薬品を持ち出す時は、必ず入り口の貸出機にモノパッドを かざしてね。」
「貸出は2時間まで。1つの薬品につき、必ず1回 手続きすること。ここで作った物も含まれるから!」
(モノクマは貸出機というドアに付けられた小型の機械を指差して笑った。)
「じゃ、みんなに周知のこと、よろしく〜!」
「ええ!それは あなたの仕事でしょう!?…って、行っちゃいました。」
「ここにいない人に貸出機の話をした方がいいみたいだね。」
「そうですね。じゃあ、その任、ボクが引き受けますよ。」
「いいの?」
「ええ。…それで、えっと、星先生の様子…どうですか?」
「星君?」
「はい。星先生、ここ数日 元気がない様子でしたから…気になって…。」
「…そうだね。」
(桐崎さんと色々な話をした。)
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【秋ノ島南 体育エリア ダンスホール】
「獄原さ。助けてくれっ!」
(伊豆野さんの場所を確認して、ダンスホールに来た。ゴン太が中に入った途端、伊豆野さんが駆けてきた。)
「え?え?ど、どうしたの?」
「華椿さが泣きついてくんだ!うっとおしいだ!!」
(言葉の通り、伊豆野さんの背中には泣きながら くっつく華椿さんの姿があった。)
「今朝、貴女様が夢枕に立ちましたの。」
「死人みたいな言われようだべ。」
「夢で貴女様は天女の如く舞い踊っていました。朝は何とか平静を保てましたが…ここの門をくぐった瞬間…ぅっ!」
「ど、どうしたの!?胸が苦しいの!?」
「う…うう…うぇっ…。貴女様のっ…踊りを思い出して…うう…涙が止まらない…!ぐすッ…ズビ…。」
「オメ、オラの背中で鼻汁ふいてねだろな。」
「ズゴ…めんなさっ…。うおお〜ん!」
(それから、思い出したように雄たけび泣き出した華椿さんを慌てて なだめた。)
「…取り乱して申し訳ありません。」
「オメの取り乱し様には、もう慣れたべ。」
「お恥ずかしい。初めての経験で…どうしたら良いか分からず…。」
(涙で真っ赤になった目のまま、華椿さんは伊豆野さんの手を取った。)
「わたくし、貴女様のフアンになってしまったようです。」
「不安…?あ、ファンのこと?」
「婆さみてぇな言い方だべな。」
「女子会で教えていただきましたアレです。…おすし。」
「”推し”だべ。」
「それです。初めての”推し”です。」
「……そっが。ほんに気に入っでぐれだんなら、良かったべ。」
「ええ。貴女様の舞いは本当に美しかった…。わたくし、虜になった気分です。」
「オラは子泣き爺さに取り憑かれた気分だったべ。」
「貴女様の踊り子たる所以を垣間見たのです!虜にならぬ者がいましょうか!!」
「そ、そっだらに褒めねぇでけろ!」
「いいえ!言わせてください!”推し”にカツ丼ごちそうさせてください!!」
「オメの推し活 独特すぎんべ!!」
(それから伊豆野さんは褒められて赤くなりながら華椿さんを見て、こう言った。)
「…そんだに言うなら、もっげぇ見るべ?」
「え…。でも、伊豆野さ…」
(伊豆野さんは踊ると嫌なことを思い出す。そう言おうとした時、伊豆野さんは口の前で人差し指を立てた。)
(ーー言わないでってことだよね。)
(ゴン太が1人で慌てていると、華椿さんが首を振った。)
「いいえ。わたくし1人のために等、もったいない。わたくしは陰ながら応援させていただきます。仕置人として。」
「仕置人が陰から見てんの怖ぇから、ファンとして応援してけろ。」
(少しホッとしたような顔をする伊豆野さんと華椿さんを残して、ゴン太はダンスホールを後にした。)
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【秋ノ島南 体育エリア グラウンド】
(イーストック君は薬作りに夢中になってて…伊豆野さんは華椿さんというファンができて…。)
(みんな、とりあえずは元気そう…なのかな。)
(昨日の夜、様子が変だった虎林さんに会いにグラウンドに来た。虎林さんは、ここにいるみたいだ。)
「よ、ゴンちゃん!!」
(グラウンドに入ってすぐ、野伏君が声を掛けてくれた。)
「野伏君も来てたんだね。」
「そーそー、少林サッカーしよ思って。けど、先客いっから待ってんの。」
(野伏君の視線の先には、昨日と同じゴルフクラブを握る虎林さんがいた。とても集中してるみたいだ。)
(そういえば、虎林さんは ずっとゴルフクラブを持ち歩いてるみたいだ。)
「声かけても気付かねーの。けど、そろそろ日も落ちて寒くなっから…」
(そう言って、野伏君は大きく息を吸ってーー…)
「トラリーーン!!!!」
「うひゃあ!?」
(虎林さんの近くで大声を上げた。虎林さんは驚いた様子で野伏君を見た。)
「ちょ、野伏!?お、驚かさないでよー!」
「メンゴメンゴ。全然 気付かねーからさww」
「あ、ごめん。ずっと いたの?集中してたから。あ、集中といえばさ…」
(あれ?虎林さん、全然 元気そうだ。)
「良かった。元気になったんだね。」
「うぴゃおあ!?ゴ、ゴゴゴ、ゴン太!!?」
(ゴン太が言うと、虎林さんは さっきの倍くらい驚いたみたいだった。)
「ゴゴゴン太も、こっここーにいたの!?」
「こっここー?」
「そーそーwwゴゴゴンちゃんも、こっここーにいたワケ。」
「昨日 様子が変だったから、虎林さんに会いに来たんだ。」
「昨日っつーか…ずっと変っしょ、このコ。」
「アタシに会いに…え、えへへ。そっか…へへ…。」
「都合のいいとこしか聞こえてねー、パネェーww」
「虎林さん、そろそろ日も落ちて寒くなってくるよ。」
「あ、ありがと…。ゴン太、優しいね…。」
「……ハイハイ。ここの気候、マジで秋だし、夜 冷えっからね。練習はしまいにしたら?」
「え?あー。アタシ、ナイターとかも慣れてるからさ。全然 大丈夫なんだ。」
「ナイター?」
「夜もゴルフできるんだよ。楽しいよ。真っ暗な中、勘を頼りにゴルフするの。」
「それはオレの知ってるナイターと違ぇ〜ww」
「アタシ、夜目 利く方だからね。」
「そうなんだ!凄いね!!」
「そういう問題じゃなくね?…てか、トラリン。そのゴルフクラブ、ずっと持ち歩いてんの?」
「うん。ここ来る前に持ってたアタシの相棒と似てるからね。鬼に金棒、ゴルファーにクラブってやつだよ。」
「そんな言葉は初めて聞いわ〜。てか、オレら少林サッカーすっから、そろそろ代わってくれやww」
「え、ごめん!待ってたのも気付かなかった!!っていうか、汗かいたからシャワー浴びなきゃ!ま、また後で!」
(虎林さんは慌てたように駆けて行った。)
「おっしゃ!じゃ、ゴンちゃん、約束通り、一緒に少林サッカーしようずww」
「う、うん。」
(約束してたっけ?…と思いながら、野伏君とサッカーした。)
【本島西エリア 橋の前】
(野伏君とサッカーをした後、本島に戻ってきた。)
(野伏君は まだ少し遊んでから帰ると笑っていたので、1人で宿舎への道を進む。)
「獄原。」
(足元の虫さんを確認しながら歩いていると、声を掛けられた。顔を上げると星君が立っている。)
「星君。」
「……。」
(星君はゴン太の顔を確認すると、安心したように息を吐いた。)
「どうかしたの?」
「……いや、大丈夫そうみてーだな。」
「え?」
「今朝のことを気にしてんじゃねぇかって思っただけさ。」
「心配してくれたんだね。」
「……いや、俯いてたから気になっただけだ。」
「ありがとう。ゴン太、虫さんを見ていたんだよ。この虫さん、地面にいるのは珍しいなって…。」
(ゴン太が言うと、星君はゴン太の足元の虫さんに視線を向けた。)
「……最初の事件で灯台の光を遮った虫だな。そういや、この虫は他の島では あまり見かけねーな。」
「うん。基本的に本島が好きみたい。でも、良い匂いとか強い光があると他の島にも行くみたいだよ。」
「地面にいるのは見たことなかったから、気になって。たぶん甘い匂いの物が落ちてたんだと思うんだけど…。」
「そうか。とにかく、気を病んでるんじゃねーならいい。」
(星君は短く言うと、反対側へ歩き出した。)
(ーーやっぱり、星君は優しい人だ。)
【本島南エリア 寄宿舎 獄原の個室】
(それから、みんなで夕飯を食べて解散した。)
(部屋に戻ったゴン太はベッドに横になって、キツく目を閉じた。)
(今朝はモノクマを倒すなんて無茶を言って、みんなを心配させちゃった。)
「無茶っていうか…無駄だよね。絶対に やめた方がいいよ。」
(…うん。その通りだったよ。)
「ゴン太は本当にバカだなー。」
(そうだよね。でも、ゴン太はーー…。)
(頭の中で響く声に対する答えを探す。そんなことを繰り返す内、いつの間にか寝てしまっていた。)
………
……
…
『キーン、コーン…カーン、コーン』
(朝のチャイムが鳴り、ゴン太は身支度を整えて食堂へ向かった。)
【本島南エリア 寄宿舎 食堂】
(食堂に入ると、イーストック君以外みんなが既に集まっていてーー…)
「おはよう、ゴン太クン。」
(モノクマもいた。モノクマがいるせいか、食堂の雰囲気も緊張感があった。)
「さて、一晩 考えたんだけどね。キミの処遇。」
(モノクマが楽しそうに笑った。)
「モノクマ。昨日も言ったが、獄原は何の校則違反もしてなかったはずだぜ?」
「うん。分かってるよ。だからね、真実の暴露を以て、ゴン太クンへの罰とします。」
「ば、罰…?」
(息を呑んでモノクマの言葉を待つ。そして、モノクマは「うぷぷ」と笑ってから、こんなことを言った。)
「ーーというわけで、犯人はゴン太だよ。」
「……え?」
「あ、まつがえた!ーーというわけで、“イレギュラー”はゴン太クンだよ。」
「え?」
「イレギュラーって何だべ?」
「オマエラの仲間じゃないヤツってこと!」
「仲間じゃないって…どういうことですか!?」
「言葉を変えると、同じ”超高校級”なのに、皆と志を一にしない者…ですかねぇ。」
「裏切り者ってこと?それが…ゴンちゃんって?」
「あ、あり得ないよ!!」
「俺たちを裏切るってのは、モノクマ側ってことか?何でモノクマは そんな情報を俺たちに与える?」
「ん?別に これも動機ってわけじゃないから理由はないけど、敢えて言おう!4章だから!と!!」
「………?」
「えっと…ご、ごめん、星君。ゴン太、モノクマが何を言ってるか分からないんだけど…。」
「気にするな。いつもの戯言だ。」
「ムキー!!モノクマは嘘吐かないよ!!イレギュラーはゴン太クン!オマエラ、それを知らないだけなんだよ!」

「4章は身体が大きいヤツがキーになるし、そのステージ内で最も死なないヤツこそ被害者なんだ!だからーー…」
(モノクマは意味の分からないことを言い続け、やがて消えた。)
「んで、ゴンちゃん?結局のところ、どうなん?」
「えっと…。」
「モノクマの嘘だよ!ゴン太が裏切り者とかイレギュラーとか!」
「あの…その、ゴン太は よく分からなかったんだけど…イレギュラーって?」
「モノクマは、貴方様が裏切り者だと言いました。わたくし達の仲間ではない…と。」
「え?えええ!?」
「ゴン太は、みんなの仲間じゃないの!!!?」
「ゴン太は いつ、仲間外れになっちゃったの!!?」
「ゴンちゃんが1番びっくりしてるww」
「ゴ、ゴン太…落ち着いて!」
「……。」
「みんなは虫さんが嫌いなの!!!?」
「今 虫を引き合いに出さないでくださいっ!」
「でも!!これだけは言わせて!みんなの仲間じゃなくなっても、ゴン太は みんなを仲間だと思ってるよ!!」
「……どう見てもシロだべ。」
「うんうん、ピュアホワイトかっつのww」
「そうだよ!当たり前だよ!!ゴン太だって仲間なんだから!」
「え!」
「…安心しな。誰も疑っちゃいねーよ。」
「あ…ありがとう!!」
「そうですね?本当だとしても、ゴン太先生が善人のイレギュラーってオチ…あ、待ってください!今のナシ!」
「ええ。わたくし達は人間で、獄原さんは何か別のヒト科種族だというだけでしょう。体格などを見るに。」
「それは それで、怖くないですか?他のヒト科は、今のヒト科に駆逐されたはずでは…。」
「ごめん…桐崎さん。怖がらせて…。」
「あ!ち、違うんです!ゴン太先生は仲間なんですから、怖がるわけないですよ?」
「いや〜、でも、ゴンちゃんマジで汗ヤベェからマジかと思ってマジ焦った。」
「マジマジアセアセ うるせぇだな。」
「あ…でもゴン太、本当に凄い汗だよ。大丈夫?顔色も悪いし…。」
「う、うん…。ちょっと…びっくりしちゃって。」
(虎林さんが渡してくれたハンカチで汗を拭く。背中に冷たい汗が流れていくのを感じた。)
「ーーというワケで、犯人はゴン太だよ。」
(さっき…何か……とても怖いことを思い出しそうになった。)
(ーーとても怖い?)
(……ううん。とても、大切なことだ。)
(それから、みんなで朝食を食べて、解散した。)
(今日は どうしよう…。どこに行こうかな。虫さんは どう思う?)
▼全部見た
【春ノ島 町エリア プラネタリウム】
(春ノ島に来た。太陽の光が温かい。蝶さんや蜂さんも元気そうだった。)
(洋服屋さんを通って、プラネタリウムの前まで来た。2つ目の事件があった、プラネタリウムだ。)
「……。」
(建物の前には、伊豆野さんがいた。声を掛けると、伊豆野さんは決まり悪そうな顔を見せてから呟いた。)
「三途河さの死体、どこ行ったんだろなぁ。」
「うん…。裁判が終わったら、なくなっていたよね。」
「海に捨てたら本島に戻っちまうはずだかんな。モノクマが どっかに捨てたっちことだろなぁ。」
(それから伊豆野さんは思い出すように言った。)
「三途河さはエンターテイナーだったな。皆を楽すませるために色々してくれて、本人が誰より楽すんでただ。」
(伊豆野さんは少し寂しそうに笑った。「羨ましかった」と。)
「三途河さんは、どんな時も笑顔だったね。」
(三途河さんの笑顔を思い出す。彼女は「みんなも笑顔にしたい」と言ってくれた。)
「だべな。プラネタリウム上映すてた声…心の底から楽しそうだっただ。…オラにはできね。」
「……。」
(否定したかったけど、それを言っていいのか分からなかった。代わりに口から出てきたのはーー…)
「自分に嘘を吐くのは良くないよ。」
「……。」
「嫌だったら嫌だって顔して、怒りたいと時は怒って、泣きたい時は泣いて…その方が…すっきりするんだって。」
(「受け売りだけど」と添えると、伊豆野さんは頷いた。)
「たすかに、思っきししたらストレス解消になるだな。だども、オラ、日常的には割と発散すてる方だべよ。」
(「日常的に」と彼女は強調して言った。たぶん…踊ってる時は違うんだ。)
「あ、けんど、泣くのは苦手だな。目 腫れっから泣ぐなっつって、お師匠に ぶっちめっつぁれたから。」
「そ、そうなんだ。」
「この機会に、華椿さに泣き方でも聞いてくっかな。」
(そんなことを言って、伊豆野さんは華椿さんを探しに行った。)
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【夏ノ島 山エリア 遊園地】
(夏ノ島は、変わらず照りつける太陽が痛いくらいで、汗ばむ陽気だった。今日も蝉さんの声が賑やかだ。)
(蝉さんは国によっては生息してないから…ここが どこなのか、大まかな場所は分かるのかもしれない。)
(『アリとキリギリス』は元々『アリとセミ』だったけど、蝉さんがいない国のために題が変えられた。)
(海外に詳しい人から教えてもらった虫さんの知識を思い出した。)
(たくさんの虫さんと挨拶しながら、山道を進み、遊園地まで来た。遊園地は、”前に来た時と同じ”だった。)
「獄原さん。」
「ゴン太先生!」
「華椿さん、桐崎さん。遊園地…元に戻ったの?」
「そ…そうみたいです。火事なんてなかったみたいに…。」
「事件直後は真っ黒になっていたホラーハウスも…あの通り。」
(華椿さんの指す方を見ると、ホラーハウスが以前と同じように、そこにあった。)
(以前ーーゴン太が初めて見た時みたいに。)
「火野先生の死体も、高橋先生や三途河先生と同じく消えてましたし…何なんでしょう。」
「海に落ちた物や者が戻って来たりするのです。今更 驚きはしませんが…」
「でも、火野先生の死まで…火野先生が勇気を出して火事に飛び込んだ事実まで消えそうで…嫌ですね。」
「うん…。」
(火野君の最後の笑顔が思い出された。「花火大会だ」と笑っていた顔が。)
「そうだ…。」
「どうしました?」
「火野君が作ってくれた花火…やってみようよ。」
「え?」
「彼がゴン太たちのために作ってくれた線香花火…あのままできなかったから…。」
「それは、ナイスアイデアです!」
「…そうですね。彼への弔いになるかもしれません。」
「…というわけで、ゴン太先生。花火 取ってくるの、お願いします。」
「え?2人は行かないの?」
「わたくし達には無理ですね…。」
「見ての通り、ここまでの道のりでヘトヘトです。」
「獄原さんと星さんは前回の捜査時間に山頂まで登って降りて他の島にも行ってましたね。」
「あれを短時間でこなしていたゴン太先生と星先生に若干ヒいてるまであります。ドワーフ見てる僧侶の気分です。」
(引いてるって…ロープか何かかな?)
(2人に託されたので、火野君が作った花火を取りに山頂の小屋まで行った。)
△back
【秋ノ島 文化エリア 図書館】
(秋ノ島に来た。本島に繋がる橋の近くで元気そうなトンボさん達を確認して、文化エリアに向かった。)
(ーーやっぱり、イーストック君が心配だ。)
(図書館の隠し扉から研究室に入る。中にはイーストック君がいた。)
(昨日と同じように真剣な目で机の上の物を混ぜたり観察したりしている。)
「あのさ、イーストック君。少し休憩しようよ。」
「………。」
「ご飯 食べてる?ゴン太、食堂から何か持ってくるよ。」
「……。」
(答えてくれない。よく見ると、目の下に大きなクマがある。真剣な顔だと思っていた表情は辛そうにも見えた。)
「イーストック君!!」
「!」
(思わずゴン太が腕を掴むと、やっと彼は気付いたようにゴン太を見た。)
「……今度は獄原殿か。何か?」
「……えっと、あのね。イーストック君、寝てないんじゃないの?」
「仮眠は取っている。案ずること勿れ。」
「でも、辛そうだよ。」
「……声なき声を聞くというやつか?」
「え?」
(華椿さんに言われて、実践しようと頑張ってきたことだ。でも、イーストック君の前で言ったことはなかった。)
「手前も耳がいい。ネタになりそうな情報においては…という意味で。」
「うん、イーストック君の顔…とても辛そうなんだ。無理をしている顔だよ。」
「今、手前の手を止めることが、手前の笑顔に繋がるとでも?」
「えっ…。」
「御免。貴殿が目指す紳士は皆を笑顔にする紳士。手前が目指すは勉強に励む紳士。」
「手前の故郷で『勉強』の意味は『強いること』。この国では、学びを強いられ勉めたことで、今の意味になった。」
「過去の紳士に倣い、己に強い勉む。その先に、我が紳士道、極まれり。」
「えっと…。」
「頑張ることが手前の目指したる紳士。そういうことだ。」
「……。」
(イーストック君の真剣な表情に、ゴン太は何も言えなくなっていた。)
(ゴン太とイーストック君の目指す紳士が違うなら…ゴン太が止めてもイーストック君は笑顔になってくれない。)
(ゴン太が彼の腕から手を放すと、イーストック君は口の端を持ち上げた。)
「案ずるな。手前はブンヤ。刊行前は徹夜もする。慣れっこだ。」
「…うん。それでも、休憩もしてね。」
(また机の上の物に視線を戻した彼に一言かけて、部屋を出た。)
【文化エリア 茶室】
(図書館近くの茶室は静かだった。庭の大きめの砂利が転がる音が聞こえるだけだ。)
(ここにも虫さんが たくさんいる。蜘蛛さん、蟻さん、コオロギさん。それからーー…)
(ゴン太は池を覗き込んで、虫さんの様子を眺めた。)
△back
(日が落ちてきて、そろそろ本島に戻ろうと思った時、ふと指に痛みが走った。見ると、一筋の赤い線。)
「あ…どこかで切っちゃったんだ。」
(食堂に行く前に、医務室に寄っていこう。)
【本島南エリア 寄宿舎 医務室】
(医務室に来た。部屋の中には誰もいない。扉を閉めて絆創膏を探す。)
「えーと…。」
「ゴ〜ンちゃん。」
「わっ。野伏君!」
(背後から声を掛けられて驚いた。振り返ると、閉めた扉を背に野伏君が立っていた。)
「何 探してんの?」
「絆創膏だよ。どこかで指を切ったみたいで。」
「へー、ゴンちゃんも物理的に傷付くことあんだ〜。無敵超人かと思ってたわ。不死身系的な。」
「ゴン太は不死身じゃないよ!紳士は不死身じゃないんだ!」
「そりゃそうだww」
「でもさ、もしイーちゃんが作ろうとしてる蘇りの薬がモノホンなら、不死身の紳士になれそじゃね?」
「うん。でも、イーストック君が心配だよ。」
「そっだね〜。目、ガン決まりでヤバめ〜。」
「そいじゃさ、ゴンちゃんが手伝ったげたら?」
「えっ?ゴン太は難しいことは分からないよ。」
「え、そうなん?でも、死者の書について、何か知ってたんしょ?」
「えっと…。」
「『漏れの知ってる死者の書とチゲっし〜』とか言ってなかった?」
「う…うん。何でか分からないけど、そう思ったんだ。」
「ぷげらww ゴンちゃん、マジおもれ〜わww」
「ま、生き返るだの降霊術だの魔法だの不思議な力だの、オレ信じてないけどねww」
「あれ?野伏君、自己紹介の時『不思議な力を授かるために修行してる』って言ってたよね?」
「そういや言ったわwww」
(野伏君は明るく笑って、棚の奥から絆創膏を取ってくれた。)
「ほい、絆創膏ってか、傷パッド?ドバドバドバイな出血も止血できる!『傷ピタッ』!だってさww」
「ありがとう。」
(野伏君に手当をしてもらって、2人で食堂へ向かった。)
【本島南エリア 寄宿舎 食堂】
(食堂にはイーストック君を除く全員が集まっていた。)
「獄原さ、野伏さ。おせかっただな。」
「お腹が空いて涙が出るところでした。」
「いや、赤ん坊かww」
「イーストック先生を呼びに行きましたが、やっぱり来てくれませんでした。」
「心配だね。後で何か差し入れに持ってこうかな。」
「…なあ、ひとつ提案なんだが…。」
(みんなが話す中、少し遠慮がちな低い声。)
「どうしました、星さん。」
「夕食は軽めにして、秋ノ島の屋台とやらに行ってみねーか?」
「えっ!」
「そういえば、あったね。確かに、行ってみたいかも。」
「どしたの、ホッシー。そんな提案めずらしっ!」
「…ああ。柄にもなく気になってな。」
「柄にないことねぇべ。屋台で1杯ひっかけそうだ。」
「だ、ダメですよ!未成年者の飲酒は法律で固く禁じられています!善良な高校生として、法は守らねば!」
「……酒なんか飲まねーさ。それより、どうだ?」
「いいねー!行こうぜ 行こうぜ!」
「うん!夜に外出ないと、夜目が鈍っちゃう!」
「夜目が鈍るって何だべ。」
「じゃあ、ついでに火野先生が作った花火もしましょう!秋の花火もオツなものですよ!」
「うん!ゴン太、火野君が作業してた山小屋から持ってきてるよ!」
「わたくしは反対です。」
「えっ。」
「言ったはずです。この島には殺人鬼が隠れているのです。」
「あー。最初に見つかった黒焦げ死体の犯人な?」
「でも、全然そんなヤツ見ないよね。」
「そもそも、いねぇんでねーか?」
「華椿先生、昼は花火に賛成してくれたじゃないですか。」
「ハナハナ、ノリ悪いぞ〜!」
「お黙りなさい。わたくしは夜に秋ノ島に行くのは反対です。」
「みんなで行くなら大丈夫じゃない?」
「…俺が気を張っておく。」
「……星さんが?」
「ああ。何かあった時の反射神経くらいは残ってると自負してるんだが?」
「……。」
「それに…ここには忍び寄る気配に敏感な奴が多いみてーだぜ?」
「あ、夜目 利くし、アタシも警戒しとくよー!」
「しがない修験者のオレは役に立てねーわ!ホンマゴメンやで!けど、オレらにはゴンちゃんがいっから!」
「修験者なら頼りになって欲しいんですが…。」
「だども、野伏さの言う通りだべ。ゴン太さいっがら、安心だぁ。」
「うん!みんなのことはゴン太が絶対に守るよ!!」
「…どうだ?華椿?」
「…分かりました。仕置人として、わたくしも周囲を警戒しておきましょう。」
「ハナハナは頼りなさそうだけどね〜ww」
「うう…っ!」
「これ!泣かすでねぇ!」
(こうして、ゴン太たちは軽く夕食を食べた後、夜時間に屋台へ向かうことにした。)
(星君からの提案なんて、ちょっと意外だったな。急に どうしたんだろう。)
(ーーもしかして、今朝のことを気にして、ゴン太に役割をくれたのかな。)
【秋ノ島東 屋台】
(夜の秋ノ島は虫さんの声に包まれていた。)
「心地良い虫の音だなぁ。」
「ええ。姿を見なければ好きになれそうです。」
「あ、屋台、開いてるよ!」
(虎林さんが指差す先には、幻想的な光に包まれた店が見えた。昼間は閉じていた屋台車が開いて並んでいる。)
「ふむ。チヒロの旅を思わせる光景ですね。名前を取られた気分です。」
「おっ、オレここ〜!おでんの屋台〜!」
「オラ、焼きラーメン。」
「何ですか、それ!?ラーメンって焼くものですの?」
(みんな好きな屋台で提供されている食事を楽しんだ。そんな時、虫さん達も集まってきた。)
「うわぁ…!」
「うわぁ……。」
「テンションの差よww」
「見覚えある虫だな。」
「最初の事件で灯台の光を覆った虫さんだね。」
(最初の事件。高橋君が馬術部の河合さんに殺された事件だ。)
(河合さんは虫さんを集めて灯台の光をなくし、ドローンを操作して高橋君を海に誘導した。)
「はっはっは!素晴らしいよ、ゴン太君。紳士たるもの、そうでなくては。」
(ーー紳士的な河合さんが殺人を犯したなんて、今でも信じられない。)
「あのね。この虫は光や甘い匂いに集まるだけじゃなくて、酸っぱいのも大好きなんだよね。」
(最初の裁判を思い出していると、いつの間にかモノクマがゴン太の隣でタコさんの足を咥えていた。)
「JKの甘い香りじゃなくても、おっさんの脇の匂いで集まる習性ってワケ。」
「ストレートゾーン広すぎっしょww」
「ちなみに、モノクマには遺書を集める習性があるよ。見る?」
(そんなことを言いながらモノクマは紙をテーブル台に落とした。)
「ちょ…こんな所で広げないでくださいよ!えーと、なになに…『これは わたしの自殺です。』?」
「『我が死ねば争いの火種は消え、殺し合いが起こることはなくなろう。』…?なんコレ?サムライww?」
「こちらのメモ紙には『遺書じゃないよ』とありますよ。中身は意味不明ですが…。」
「遺書っぽい感じがしたら何でも集める…それがモノクマニズムなのです。」
「カラスが光り物 集めるみてぇだな。」
「さてと、お宝も見せびらかしたし、退散しようかな。あんまり夜更かしするんじゃないよ!歯磨いて寝ろよ!」
「お母さんみたいですね。」
「お母さんというか、ドリフみたいでしたけど。」
(モノクマが消えて、ゴン太たちと虫さんだけ残された時、伊豆野さんが呟いた。)
「蔵田さ、夏ノ島じゃ よくハエが来っからって、船着場の小屋のキッチンはレモンの皮さ置いてただな。」
(そういえば、そう言ってた。)
「レモンの匂いが苦手な蝿さんが多いからね。」
「え!じゃ、じゃあ、ゴン太はレモン嫌い!?」
「え?ううん。嫌いじゃないよ。」
「そっか…。良かった。」
「?」
(よく分からなくて首を傾げていると、星君が「やれやれ」と首を振った。)
「…イーストックの奴は、やっぱり来なかったな。」
「わたくしと桐崎さん、野伏さんで呼びに行ったんですけれど。呼び掛けても反応もありませんでした。」
「血眼になって死者の書と睨めっこしてるよね。ま、図書館内で仮眠とったりもしてるみたいだし大丈夫っしょ。」
「大丈夫じゃないですよ!ここに来て単独行動…死亡フラグすぎますよ。」
「死亡ふらぐ?」
「何ですの、それ?」
「死にそうな行動とか言動だべ。」
「この戦争が終わったら結婚するんだ…みたいなのです。乱立して死なんのか〜いみたいなのもありますが。」
「マジで〜?じゃ、めちゃフラグ立たせたら逆にいい的な?ほら、ゴンちゃん、どーぞ!言って!フラグ的なの!」
「え!?えっと…!ゴ…ゴン太、歯磨きが終わったら寝るんだ…!」
「wwww」
「ここまで死亡フラグ下手な人、初めて見ました。」
「死亡フラグ下手って何だべ。」
「でも、夜でも秋ノ島は安全そうで安心したよ。」
「あまり油断しすぎないでくださいまし。」
「まーまー。花火がシケる話題はやめよっぜー!アゲアゲで〜…って、線香花火か〜上がんね〜ww」
「そんなことないですよ!秋の雰囲気にピッタリです!!」
(数名が火野君の花火を取り出して配っている。その後、みんなで線香花火を楽しんだ。)
「…楽しんでるみてーだな。」
「うん!とっても楽しいよ!」
(ゴン太の分の花火が終わって、みんなを眺めていると、星君が近くに来てくれた。)
「…そうか。」
(それだけ言って、星君は みんなの所に行ってしまった。帽子の下で少しだけ笑った顔が見えた気がする。)
(星君と入れ替わりに虎林さんがゴン太の隣に来てくれた。)
「…みんな楽しそうだね。」
「うん。良かったよ。」
「ゴン太のおかげだよ。ありがとう。」
(そう言って、彼女は笑ってくれた。そして、少し緊張した顔になった。)
「あの、さ…ゴ、ゴン太は、レモン…嫌いじゃないんだよね?」
「うん。嫌いじゃないよ。」
「甘くしたレモンとか…も好き?」
「えっと…前に蔵田さんが作っていたっていう?」
「うん。しょっぱいパンは失敗しちゃったけど…でも、レモンを甘く漬けるだけなら…アタシでもできるから…。」
「ありがとう!とても嬉しいよ!」
「え!?ほ、本当!?じ、実は、もう作ってるんだよねっ。後で渡しに行ってもいい?」
「え?うん。あ、でも…」
(承諾しかけて、ゴン太は あることを思い出した。)
「今夜は、この後、ヤゴさんを見に行こうと思うんだ。」
「ヤゴ?」
「蜻蛉さんになる前の虫さんだよ。今晩、蜻蛉さんになりそうなヤゴさんがいるから、応援しに行くんだ!」
「そ、そうなんだ。秋ノ島の池だよね?たくさんいるの?」
「あ、ううんーー…」
(虎林さんはゴン太の話を聞いて、興味を持ってくれたみたいだ。夜に一緒にヤゴさんを見る約束をした。)
…………
……
…
(それから、屋台と花火を楽しんだ みんなと別れて、ゴン太は1人で水の中を眺めていた。)
(虎林さんは、1回 部屋に戻ってから来るって言ってたけど、1人で大丈夫かな。)
(一緒に行くと言ったけど断られちゃったから。)
「……静かな夜だ。」
(聞こえるのは虫さんの声だけ。この声は…エンマコオロギさん、アオマツムシさん、カネタタキさんかな。)
(水の中のヤゴさんは、まだ蜻蛉さんになりそうにない。)
(辺りを照らすのは小さな灯りだけだけど、ヤゴさんの様子は よく見えた。)
(虫さんの声や動きに耳を傾けていた時、ふいに周りが暗くなった。)
(ーーあれ?灯りが消えちゃった?)
(そんなことを考えた瞬間だった。)
(すぐ背後に人の気配を感じて、ゴン太は振り返る。)
(ーー振り返ろうとした。けれど、できなかった。)
(頭に大きな衝撃があったと感じた瞬間、ゴン太の身体は倒れてしまった。)
(頭が熱い。グラグラする。景色がボヤけて、暗くなった。)
(あ…そっか。ゴン太、”また” 死ぬんだ。)
(薄れる意識の中で、そんなことを考えた。)
BAD END

コメント
ええええええぇぇぇぇぇぇぇ!?
BAD ENDの文字を見た瞬間、背筋がゾワっとなりました…V3のゲームオーバーを見た時と同じ感覚……
しかもまた4章なのも色々と胸にくるものがあります涙
「犯人はゴン太」のくだりとか色々と気になる要素はあったのに、最後で全部吹っ飛んでしまったのでちょっともう一回読んできます!
嫌な予感しかしない非日常編も楽しみに待っています!
さっそくご感想ありがとうございます!背筋ゾワッとなっていただけたのに嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいです;;主人公設定的に4章が鬼門でした…。もう一回読んでいただけるとのお言葉もビックリ!お忙しい中ありがてぇ…。今後もお楽しみいただけるよう頑張ります◎