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【十分】と【充分】の違いとは?「十分気を付ける」「十分な時間、睡眠」?気持ちを表すのはどっち?意味と用法、公用文に注意!

先生
先生
ここに、昨日の漢字テストがあります。「ジュウブンに気を付ける」のカタカナ部分の漢字を書きましょう、という問題です。
僕は「十分」と書きましたね。
トラウマウサギ
トラウマウサギ
先生
先生
はい、ですが隣の席のサカダチウサギさんは「充分」と書いています。
ぼ、僕は間違いでしょうか?
トラウマウサギ
トラウマウサギ
先生
先生
いえ、実はこれ、どちらも正解なんです。
ええええ!?どうしてですか先生!テキストには「十分」しか書いてなかったですよ!だから僕はそっちを書いたのに!他も正解なんて!!
トラウマウサギ
トラウマウサギ
先生
先生
まあまあ、「十分」いえ「十二分」に時間はありますので、落ち付いて説明していきましょう。

 

 

【十分】(じゅうぶん)という言葉を辞書で引いたり、パソコン変換しようとすると、【充分】も出てきます。

 どちらも不足がないという意味で、読み方も同じ です。

英語ではさまざまありますが、副詞で合わせると「plenty」などと訳せますね。

 

【十分】と【充分】の違い・使い分けとは

じゃあ【十分】と【充分】ど、どちらを使えばいいの!?と思いますよね。

この2つに違いはあるのでしょうか。

 

【十分】の意味と例文

数値的・物理的に満ち足りていること

公的文書に用いられる

「十分な時間があったので、試験対策はバッチリだ。」

「君が十分成績を出してくれたから、助かったよ。」

「時間に十分余裕を持って行動するようにしましょう。」

「(何かを勧められて)あ、もう十分です(のでいりません)。」

 

【充分】の意味と例文

精神的に満ち足りていること

公的文書には用いられない(日本国憲法除く)

「お金に余裕があったので、充分な生活ができた。」

「君がいればそれだけで充分さ。」

 

例えば・・・

「十分満足しています。」

「充分満足しています。」

トラウマウサギ
トラウマウサギ
「満足」とあるから、精神的なことだし、「十分満足」は間違いでは?

このように思われるかもしれません。しかし・・・

【十分】は物理的に満足したとき、【充分】は精神的に満足したときに使うが、 公的文書に【充分】が用いられないため、全て【十分】で表すこともある 

これが正解。

文部科学省用字用語例には【十分】のみが書かれているため、【充分】は公用文に使われないのです。

私的文書でも、【十分】で書けばまず間違いがありません。

つまり・・・

「充分満足だ」→「十分満足だ」でOKということ!

2つの文に意味の違いは全くありません。

逆に、公用文に携わる人は、【十分】で統一するため注意が必要ですね。

 

「十分気を付けます」と「充分気を付けます」どっちが正解?

はい。前述した通りの理由で、どちらも正解です。

「十分気を付けます。」

この場合、しっかり謝罪の意図が伝わります。

しかし、パッと見たときに時間の「10分」に見えるため、「充分」を使うという人も。

公文書であれば、「十分」しか使えないので、注意ですね。

「充分気をつけます。」

こちらも、謝罪の意図が伝わります。

「十分」よりややフランクなニュアンスにはなりますが、多くの人はその違いまで意識することはないでしょう。

くどいようですが、公文書では使えません。

 

「十分な時間」「充分な睡眠」どっち?

「十分な時間があります。」

「充分な時間があります。」

この場合、「時間」という数値的なものがあるため、厳密にいえば【十分】が正解

しかし、その時間が、精神的に満たされる充実の時間を意味しているのであれば、【充分】も間違いではありません

先生
先生
ただし、この場合は「充分な時間があります。」という言い方にはならないでしょうね。
「充分な時間をそちらでお過ごしだったようですね」

こんな言い方なら「充分な時間」も考えられます。

「十分な睡眠」

「充分な睡眠」

一方、こちらはどちらも正解ですが、意味に違いが考えられます。

「十分な睡眠」とは、睡眠時間が十分であるということ。

「充分な睡眠」とは、その人が精神的に満たされるような睡眠だったということです。

先生
先生
穏やかで質が良く、朝スッキリ目覚められた…そんな睡眠は「充分」と言えますよね。

 

【十分】と【存分】の違い

【十分】と同じく《満ち足りている様子》を表す類語に【存分】というものもあります。

 

【存分】の意味と例文

思い通りに満ち足りた様子

思うところ・考え

存分の「存」は《思う・考える》という意味があります。

「狭い部屋ですが、存分につくろいでくださいね。」

「新しいレストランの味を存分に楽しんだ。」

 

例えば・・・

「十分に楽しんだ。」というと、不足・欠点なく10点満点で楽しんだ!ということ

「存分に楽しんだ」は自分の思うまま、思い通りに楽しんだ!ということ

 

【十分】と【十二分】の違い

【十分】よりさらに満ち足りている様子を【十二分(じゅうにぶん)】と表します。

 

【十二分】の意味と例文

余裕があるほど満足していること

ゆとりがあること

「君の作品、十二分に楽しませてもらったよ。」

「今日が最後の試験です。十二分に力を発揮してください。」

満足度は【十二分】>>>【十分】です。

「十二分に楽しんだ」というと、ものすごく、これ以上ないくらい楽しんだ!というかんじ。

「十二分に力を発揮した」もよく使います。

 

まとめ

  • 【十分】と【充分】の違い

【十分】は数値的、物理的満足

【充分】は精神的満足

【十分】で統一される

  • 【存分】は思い通り満足
  • 【十二分】はこれ以上ないほどの満足

 

前回記事:【違う】と【異なる】の違いとは?

次回記事:【標準語】と【共通語】の違いとは?

 

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