






【十分】(じゅうぶん)という言葉を辞書で引いたり、パソコン変換しようとすると、【充分】も出てきます。
どちらも不足がないという意味で、読み方も同じ です。英語ではさまざまありますが、副詞で合わせると「plenty」などと訳せますね。
【十分】と【充分】の違い・使い分けとは
「じゃあ【十分】と【充分】ど、どちらを使えばいいの!?」と思いますよね。
この2つに違いはあるのでしょうか。
【十分】の意味と例文
数値的・物理的に満ち足りていること
公的文書に用いられる
「十分な時間があったので、試験対策はバッチリだ。」
「君が十分成績を出してくれたから、助かったよ。」
「時間に十分余裕を持って行動するようにしましょう。」
「(何かを勧められて)あ、もう十分です(のでいりません)。」
【充分】の意味と例文
精神的に満ち足りていること
公的文書には用いられない(日本国憲法除く)
「お金に余裕があったので、充分な生活ができた。」
「君がいればそれだけで充分さ。」
例えば・・・
「十分満足しています。」
「充分満足しています。」

このように思われるかもしれません。しかし・・・
【十分】は物理的に満足したとき、【充分】は精神的に満足したときに使うが、 公的文書に【充分】が用いられないため、全て【十分】で表すこともある 。
これが正解。
文部科学省用字用語例には【十分】のみが書かれているため、【充分】は公用文に使われないのです。
私的文書でも、【十分】で書けばまず間違いがありません。
つまり・・・
「充分満足だ」→「十分満足だ」でOKということ!
2つの文に意味の違いは全くありません。
逆に、公用文に携わる人は、【十分】で統一するため注意が必要ですね。
「十分気を付けます」と「充分気を付けます」どっちが正解?
はい。前述した通りの理由で、どちらも正解です。
この場合、しっかり謝罪の意図が伝わります。
しかし、パッと見たときに時間の「10分」に見えるため、「充分」を使うという人も。
公文書であれば、「十分」しか使えないので、注意ですね。
こちらも、謝罪の意図が伝わります。
「十分」よりややフランクなニュアンスにはなりますが、多くの人はその違いまで意識することはないでしょう。
くどいようですが、公文書では使えません。
「十分な時間」「充分な睡眠」どっち?
「十分な時間があります。」〇
「充分な時間があります。」△
この場合、「時間」という数値的なものがあるため、厳密にいえば【十分】が正解。
しかし、その時間が、精神的に満たされる充実の時間を意味しているのであれば、【充分】も間違いではありません。

こんな言い方なら「充分な時間」も考えられます。
「十分な睡眠」〇
「充分な睡眠」〇
一方、こちらはどちらも正解ですが、意味に違いが考えられます。
「十分な睡眠」とは、睡眠時間が十分であるということ。
「充分な睡眠」とは、その人が精神的に満たされるような睡眠だったということです。

【十分】と【存分】の違い
【十分】と同じく《満ち足りている様子》を表す類語に【存分】というものもあります。
【存分】の意味と例文
思い通りに満ち足りた様子
思うところ・考え
存分の「存」は《思う・考える》という意味があります。
「狭い部屋ですが、存分につくろいでくださいね。」
「新しいレストランの味を存分に楽しんだ。」
例えば・・・
「十分に楽しんだ。」というと、不足・欠点なく10点満点で楽しんだ!ということ
「存分に楽しんだ」は自分の思うまま、思い通りに楽しんだ!ということ
【十分】と【十二分】の違い
【十分】よりさらに満ち足りている様子を【十二分(じゅうにぶん)】と表します。
【十二分】の意味と例文
余裕があるほど満足していること
ゆとりがあること
「君の作品、十二分に楽しませてもらったよ。」
「今日が最後の試験です。十二分に力を発揮してください。」
満足度は【十二分】>>>【十分】です。
「十二分に楽しんだ」というと、ものすごく、これ以上ないくらい楽しんだ!というかんじ。
「十二分に力を発揮した」もよく使います。
まとめ
- 【十分】と【充分】の違い
【十分】は数値的、物理的満足
【充分】は精神的満足
【十分】で統一される
- 【存分】は思い通り満足
- 【十二分】はこれ以上ないほどの満足
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