第△章 絶望□жット 非日常編
「白銀さん、降りて来てください!現場に行きましょう!」
(モノクマの死体発見アナウンスの後、3階の窓から天海君が わたしへ叫んだ。)
(慌てて3階まで降りると、階段前に天海君と妹尾さんがいた。青い顔の2人と1階まで駆け降りる。と、1階の階段から、哀染君の声が聞こえた。)
【小学校1階 廊下】
「圭クン!しっかりして!」
(声の方を見ると、哀染君が倒れた男の子に呼びかけている。デジャビュという言葉が頭を よぎった瞬間、件の男子が起き上がった。)
「いてて…クソ。また転んじまったのか。」
「ひゃあ!?」
(起き上がった永本君の顔を見て、妹尾さんが声を上げた。それもそのはず、彼は頭からダラダラと血を流している。)
「え!?何?犯人にやられたの!?」
「犯人…?あ、そうだ。オレ…」
「圭クン、死体発見アナウンスっていうのがあったんだ。」
「哀染君、わたし、天海君たちで死体を発見したんだ。」
「あ、ああ…。そうか。」
「とにかく、中庭へ急ぎましょう。」
(若干よろける永本君と、玄関から校舎の外に出た。)
(校門前はモノクマがクレーン車を走らせたせいか、まだ ぬかるんでいる。中庭へ続く道に2人分と思しき足跡が見えた。そして、その先にいたのは。)
「あ、みんな。」
(泥だらけになった佐藤君が淡々と言った。)
「白銀さん達の声で、すぐ僕と祝里さんも現場に来たんだ。現場保存は祝里さんに任せてるから、早く行ってあげて。」
「キミは?」
「僕は、みんなの位置関係を確認するために、ここにいるよ。誰が小学校内にいたのか、誰がいなかったのか。…あんまり意味ないかもしれないけどね。」
「とりあえず、現場に行こうぜ。」
(佐藤君を通り過ぎて、わたし達は中庭へ向かった。)
【小学校 中庭】
(中庭に入って すぐ目に入ったのは、4階から見た光景と同じものだった。)
(黒い長身のロボットの首と胴体、手足がバラバラに散らばっている。アイコさんの本体だという電子パッドは液晶が割れて真っ暗だった。)
「アイコお姉ちゃん…。」
(ポツリと妹尾さんが呟く。他のみんなも、呆然とスクラップにされたロボットの姿を見ていた。天海君の顔なんて真っ青だった。)
(ーーこれこれ。この絶望感。『ダンガンロンパ』してます!って感じだよね。)
「あ…みんな。」
(興奮を押し隠しながら考えていると、泥だらけの祝里さんが声を掛けてきた。)
「祝里さん、その格好…」
「これぞコロシアイゲーム!絶望トロピカルというか、絶望ポケットというか、絶望ロボット!」
「うわあ!?」
(祝里さんに問いかけようとした途端、モノクマが現れた。)
「今日コロシアイが起きなかったら どうしようかと思ってたんだー!よかったよかった!嬉しさのあまり、全員集合の前に、呼ばれて飛び出てしまいました。」
「誰も呼んでないよ!」
(そうこうしているうちに、中庭に みんな集まって来た。中庭の地面を覆う石畳は、すっかり泥だらけになった。)
(みんなは、アイコさんが殺…壊されているのにショックを受け、コロシアイが始まったことに狼狽している様子だった。ーーこれも、今まで通り。)
(そして、モノクマはお馴染みのモノクマファイルを配り始めた。)
(モノクマファイルの内容は…被害者は、”超高校級のAI” aiko-112358132134。)
(死体発見現場は、小学校の中庭。死亡推定時刻は、11時から11時半頃か…。)
(頭部と心臓部を同時に打たれたことにより機能停止後、再起動不可能に。……これが死因?初めて見る書き方だね。)
(壊された姿に既視感しかないから、凶器も”アレ”かと思ったんだけど…。)
コトダマゲット!【モノクマファイル】
「じゃ、頑張って捜査してねー!」
(モノクマは上機嫌で去って行くが、わたしには懸念があった。)
(わたしには、この事件のクロが知らされてない。知らされてなかったら、裁判を盛り上げるために動けない…。それに…)
(AI枠には、いつも特別な役割があったはず。AIのアイコさんが何もせず退場してもいいの…?)
「それじゃあ、捜査は3人か4人グループでしよう。」
(考えている間に、みんなは捜査の話し合いをしていた。グループで監視し合いながら捜査するつもりらしい。)
(そっか。動機が動機だけに、共犯の可能性があるから。でも…)
「もし共犯者がいたとして、共犯者も…おしおきされるのかな…。」
「お答えしよう!」
「どわぁ!?」
(突然また目の前にモノクマが現れて、ひっくり返りそうになった。)
「もし共犯者がいたとしても、共犯者は おしおきされないよ!おしおきはクロ専用!『赤くて3倍』みたいにね!」
「クロなのかアカなのか。」
(つまり…共犯者は”クロではない”ってことだね。)
コトダマゲット!【共犯の可能性】
(みんな、いくつかのグループになって散っていく。)
(待ってました!『ダンガンロンパ』の捜査パート。やっぱり”ゲンバヒャッペン”!)
(心臓が息の根を止まるまで真実に向かって直走れ!捜査ッス!捜査ッスゥゥ!って感じが堪らない。)
(もちろん、研究室で実に面白い事件に挑む大学教授やディナーの後で謎解きする執事みたいな安楽椅子探偵ジャンルも好きだけど。)
「白銀さん。」
「あ、天海君。何?」
(突然、声を掛けられて肩が跳ねた。顔を上げると、天海君が結構な近さで そこにいた。)
「ちょっと いいっすか。」
(そして、なぜか わたしの手を取り、顔を覗き込んでくる。その顔色は、さっきにも増して悪い。)
「…え?は?」
(何これ…ネイルブラシないのに、まさか あのイベントが始まるーー…)
(…なんてことは、もちろん、あるはずもなく。彼は、わたしの手首に指を当てて、脈を取っている。)
(つまり…これは、ウソ発見器的なアレ。わたしの脈や表情から、わたしの嘘を暴こうとしている…?)
(まずいな…。演じるのは得意でも、さすがに脈拍はコントロールできない。)
「天海君?あの…」
「キミは、白銀 つむぎさん…っすよね。」
「えっと…どうしたの、急に?右手に寄生獣 宿したりしてないよ?」
(脈を測りながら言う天海君に言うと、天海君は少し困ったように笑った。)
「そうっすね。頻繁に よく分からないことを言うところ…間違いなく白銀さんっす。」
(そして、彼は手を離した。結構 不名誉なことを言われた気がする。)
「お、お兄ちゃん!早く捜査しなきゃだよ!」
(後ろから声が掛かる。妹尾さんは天海君の腕を掴んで、わたしから距離を取るようにグイグイ引っ張った。その様子を哀染君が眺めている。)
「妹尾さん、引っ張らなくても大丈夫っすよ。……そうっすね。早く捜査しましょう。」
(うーん…妹尾さん、何か勘違いしてそうだなぁ。)
「妹子の言う通りだね。捜査を始めよう。」
「う、うん。そうだね。」
(中庭の石畳に散らばるロボットの残骸。人間じゃないからかグロテスクさはないけれど、アイコさんと会話した分、悲しい気持ちも湧いてくる。)
(そう。コロシアイを望んでいるのに、誰かが退場すると悲しい。悲しいからこそ、コロシアイは楽しいんだ。)
「アイコさんの本体は…この電子パッドっすね。」
「画面が割られてグシャグシャになっちゃってるね…。」
「周りの破片は液晶モニターのもの…だけじゃないね。」
「あ…これ、音楽室の鏡じゃないかな。モノクマが今日 直すって言ってた。」
「そうだね。大量に散らばってる。モノクマは、クレーンで4階まで運ぶって言ってたよね.」
「…アイコお姉ちゃんの上からクレーンで鏡を落としたら、こんな風になるのかな?」
「アイコさんの本体やロボットの下にも大量の鏡の破片があるっすから…それはないっすね。」
「あ、そっか。蘭太郎お兄ちゃん、すごい!じゃあ、犯人にアイコお姉ちゃんが壊されちゃった時、揉み合いになって鏡が割れちゃったのかもね。」
「……。」
コトダマゲット!【鏡の破片】
「…これは、シーツ…っすかね?」
(天海君が壊れた機械の傍らに落ちた布に目を向ける。)
「たぶん、これは事件前に鏡に掛かっていた布だよ。ボク達は さっき校門前でクレーン車に乗るモノクマに会ったから。ね、つむぎ。」
「うん。あの時は鏡に、この黒い布が掛かってたよね。それをロープで縛って、クレーンで吊ってたよ。」
「うん。その時は、吊るというかロープで繋いでクレーン近くに鏡が置いてあるって感じだったよね。」
「…そうっすか。」
コトダマゲット!【鏡の布】
「アイコさんの持ち物も調べておきましょう。」
(天海君がバラバラになったロボット部分の胴体に近付く。爆弾処理の映画で見たような機械が見え隠れしているロボットの黒い服から彼が取り出したのは…)
「俺たち全員に配られた電子パッドと…これはメモっすかね。」
(天海君がロボットの懐から取り出したのは、モノパッドと紙片。重そうなロボットの下敷きになっている割にモノパッドは無傷。さすがの耐久性だ。)
「メモ?何て書いてあるの?」
「『中にわにコイ』…っすね。」
「中庭に鯉?ここ、お池ないよね?」
「『中庭に来い』じゃないかな?」
「これは、アイコさんを呼び出すメモっす。」
(メモは、特徴的な筆跡で書かれていた。けれど、この筆跡には見覚えがある。)
(このメモは当然、クロがアイコさんを呼び出すためのものだ。でも、どうして見覚えあるんだろう。みんなの字を見る機会なんて、あったっけ…?)
「アイコは、ここに呼び出されて、その後 殺されたってことかな。」
「……。」
コトダマゲット!【アイコのメモ】
△back
(中庭は大して広くない。けれど、校舎の玄関ホールが見える はめ殺しの全面窓のおかげか、閉塞感を感じない造りになっているようだ。)
(玄関ホールで調査する人たちの様子が、ここからでも よく分かった。)
(中庭は、バラバラロボットがあるせいなのか気のせいなのか。オイルのような、何かが燃えたような匂いが漂っている。)
(そして、バラバラロボットもさることながら、一際 存在感があるのは、少し離れた校舎裏口を塞ぐように停められたクレーン車。)
(クレーン車は首を伸ばさない状態で その場にある。さっきまでフックの先に吊っていた鏡も手放しているため、そこには当然 何もなかった。)
「モノクマが校門近くで運転してたけど、あのまま裏口前に置いたのかな。」
「あれ?クレーン車で抜け穴 塞いでやるーとか言ってたような?」
「少なくとも、11時頃には裏口前に停まっていたはずだよ。」
(話していると、わたし達と同じく中庭を調べていたグループが近付いてきた。)
「あらぁ?どうして時間まで分かるのかしらぁ。」
「もしかして、石畳の乾き方から予測してるのかな?」
「そう。クレーン車のせいで、校門前が ああだったろう?その点、石畳はグチャグチャになることはない。この乾き具合から、既に時間が経っている。」
「なるほど。11時頃っていうと、俺は急に睡魔に襲われて寝てしまったんすよ。」
「うん。あたしとお兄ちゃん、同時に眠くなって、そのままスヤスヤ同衾したんだよね。」
「…その言い方は どうなんすかね。」
「君たちもかい?実は、僕は小学校外にいたんだが、近くでね。11時頃 寝てしまったよ。」
「そうなんだ。実は、その時間 僕と祝里さんは校門から中庭に行くまでの道にいたんだ。おかげで、ぬかるみをベッドにするハメになったよ…。」
「それで泥だらけだったんすね。」
「ボクとつむぎも、寝ていたよ。」
「白銀お姉ちゃんと哀染お兄ちゃんも、お昼寝デートだったんだね。グーグークチュクチュできた?」
「クチュクチュ?…は、してないけど…というか、夕神音さん。」
「何かしらぁ?私は1階の放送室にいたわよぉ。」
「えっと、夕神音さん、もしかして…」
「やあやあ、みなさん。」
「……何かな。モノクマ。」
(わたしの言葉を遮って、モノクマが哀染君の背後から現れた。白銀 つむぎのキャラ的には驚いて声を上げたいところだけど、さすがに慣れてしまった。)
「いやぁ。ただ、ボクの頑張りを見てもらおうと思って。」
「頑張り?」
「ほらほら。ボクはクレーマー野郎の永本クンに従い、ちゃんと抜け穴を直したんだよ!」
「あ、そういえば、中庭に入れるような穴があったよね。」
「入れそうだったのは、妹子とぽぴぃクンくらいで、ボクらには無理だけどね。」
「…モノクマ。抜け穴を塞いだのは何時なんすか。」
「11時くらいから30分くらい ふんばってたよ!」
「犯行時刻っすね。中庭にいたんすか?」
「いえいえ。校舎の外側から修理してたからね。中庭にいなかったし、中庭の様子も知らないよ。中庭側には ずっと鏡を立て掛けてたしね。」
「事件前にボク達がクレーンを見た後から穴を塞ぐまで、抜け穴前に大鏡が立て掛けられていたってことかな?」
「そうそう。」
「犯行時刻に校舎外から中庭に入るには、校門側を通る必要があるっすね。」
コトダマゲット!【中庭の抜け穴】
「モノクマ、校舎の裏口前にクレーン車が停まってるっすけど、いつからなんすか?」
「はて?クレーン車の動きは自動運転だったから分からないなぁ。11時から11時半頃にクレーン車が起動して、4階まで大鏡を運ぶって設定したのさ。」
「細かいことは…うーん覚えてないような?」
「鏡を運ぶのにクレーン車を使うなんて大げさな感じだよね。」
「あの大鏡はとっても丈夫だからだよ!2階3階から落としても割れないくらい。石頭の突っ込みたがりにも負けないくらいにね。その分、重量もあるのさ。」
「グラマーボディが現実世界では重量級なのと同じ理屈だよ。」
(わたしは、もう1度フックに何も引っ掛けていないクレーン車を見た。)
「……ねえ、モノクマ。」
「あのクレーン車で気になることがあるんだけど。」
(小声でモノクマに話しかけたが、モノクマは わたしの言葉を待たずに「うぷぷ」と笑い声だけ残して消えた。)
「白銀さん、何か気付いたことでもあるんすか?」
「え!?えーと…違和感がある気がするんだよね。地味に。」
(たぶん、クレーン車なんてアイテムが、裏口を塞ぐためだけのものってことへの違和感。)
(……でも、ぬかるみによって”密室状態”を作るって役割もあるのかもしれない。完全なメタ推理なので天海君たちには適当に誤魔化した。)
コトダマゲット!【クレーン車】
「あのさ…それより、この匂い…。」
「うん。ずっと気になってたんだけど、焦げ臭いよね。」
(ロボットが壊されたことによる匂いにしては、妙な匂い。クレーン近くの、この場所の方がアイコさんの近くより匂いがキツイ気がする。)
「……クレーン車の裏に焼却炉があったっすね。」
「ほんとだ。少し狭いけど、見てみようか。」
(哀染君がクレーン車の隙間にスルリと入り込み、焼却炉の前に立った。見るからに古い焼却炉のスイッチは黒ずんでいる。)
「何かを焼いた跡があるよ。」
「前は焼却炉を使った痕跡はなかったっす。何を焼いたものか分かるっすか?」
「…いや、燃えカスになってるから、分からないや。」
「ねえ、そこ。哀染お兄ちゃん以外の足跡がない?」
「あ、本当だ。」
(泥の付いた哀染君の靴跡の他に、少し小さめの泥の足跡が焼却炉前に付いている。)
「これは…草履の跡だね。」
(草履…か。)
コトダマゲット!【焼却炉】
△back
「現場は、ある程度 調べられたっすね。」
「まだ凶器も分かってないけどね。」
「凶器がありそうな所と、話を聞いてない人にも聞きに行きましょう。」
(全員で校門前に回る。校門前は未だに ぬかるんでいて、さっき通った時より踏み荒らされていた。)
「みんなが通ってドロドログチャグチャだね。」
「俺たちが通る前は、2人分の足跡しかなかったっすね。」
「さすが、お兄ちゃん!よく覚えてるね。」
「先に中庭に行ってた佐藤君と祝里さんの足跡だよね。」
「うん。ボクも覚えてるよ。ここみの靴跡と、栞の草履跡だった。」
(雪山殺人では足跡の上を歩くトリックとかもあるけど…靴跡まで記憶してるなら、さすがに違うのかな。)
コトダマゲット!【校門側の足跡】
「さて…どこから調査しましょうか。」
(天海君は、なぜか わたしを見る。…ここは主人公に主導してもらいたいんだけどなぁ。)
【小学校 体育倉庫】
(小学校のグラウンドに佇む体育倉庫に来た。事件前と変わらないように見える。)
「……天海さん、白銀さん…みんな。」
(体育倉庫内には、木野さんと祝里さん、山門さんとローズさんがいた。扉の近くにいた木野さんが振り返った。)
「凶器…探してるの?」
「う、うん。それらしいものは現場になかったからね。」
「何か見つかったっすか?」
「いいえ。モノクマファイルには、アイコさんの頭部と心臓部を同時に打ったとありましたが…。」
「そんな殺し方ができマスの凶器、ワカリマセン。」
「なるほど。でも、ここは事件前と変わらないように見えるよ。」
「うん。そうだね。持ち出されたものもないし、物の位置も全く変わってないんだ。」
「えっと、覚えてるの?こんなに物 多いのに…。」
「あ、うん。あたし、そういうの覚えるの得意なんだ。覚えてるよ。ここから持ち出された物はないと思う。」
(…記憶力が良いタイプ。推理モノでは便利だよね。)
コトダマゲット!【体育倉庫の道具】
「みなさん、今日どこにいたか聞いてもいいっすか?」
「はい。ローズさんと木野さん、わたしは、町の西エリアにおりました。」
「ヤマトナデシコの言うトーリ。」
「うん。朝 解散して…アナウンスまで、ずっと一緒だったよ。小学校には…近付いてない。」
「祝里さんは、俺たちより早く現場にいたっすね。」
「うん。発見は らんたろー達の方が早かったみたいだけど、あたし達が1番 現場に近かったんだと思う。」
「キミは、ここみと一緒だったね。泥だらけだった。着替えたんだね?」
「う、うん。起きたら中庭 近くのぬかるみにダイブしてて…泥だらけになってたことに気を取られてたら、つむぎ達の声とアナウンスが聞こえたんだ。」
「起きタラ?」
「うん。ここみと校門 通って中庭に向かう途中で寝ちゃったんだよね。ちょうど その玄関が見える窓の所で。」
(祝里さんの視線に合わせて、窓の方を見る。玄関の鏡前で男子4人が捜査しているのが見えた。)
「…どうやら、小学校にいた人は全員 寝ていたようっすね。」
△back
「調理室にモノクマが用意した凶器が たくさんあったよね。」
「そうっすね。行ってみましょう。」
【小学校1階 玄関】
(玄関から校舎に入る。途端、怒声が耳を打った。)
「いいから、テメーは座ってやがれ!」
「…いや、そういうわけにはいかねーだろ。」
「うるせー!血みどろだったくせに何言ってんだ!」
「まあまあまあまあ、落ち着いて。」
「そうですよ!!永本先輩はケガ人なんですから!そんな大声で話したら余計悪化するかもしれません!!!」
「悪い、前谷も少し声 落としてくれ…。」
(さっき中庭の窓から見た通り、4人の男子が捜査をしている。永本君は頭を包帯でグルグル巻きにされていた。)
「圭クン、大丈夫かい?」
「さっき、血が出てたっすけど…。」
「ああ。さっき郷田に手当てしてもらったから大丈夫だ。」
「大丈夫じゃねーだろ!テメーは昨日から、血 流しすぎだ。座っときやがれ!」
「だから、大丈夫だって言ってんのに…。」
「永本君は ここで倒れてたっすね。転んだと言ってましたが…。」
「ああ。こけただけだ。別に犯人に殴られたとかじゃねーよ。つまづいた拍子に そっちの鏡に突っ込んじまっただけだ。」
(そう言って、彼は玄関の靴箱に取り付けられた一枚鏡を指差した。確かに、少しヒビが入っている。)
「昨日も圭クンは鏡に突っ込んでたよね。」
「驚きのツッコミ気質。」
「昨日の朝も血をドバドバ流してたよね。」
「”超高校級の幸運”の力を持ってしても、転倒したい気持ちには勝てないんですね!?」
「誰も転倒したい気持ちなんて持ってねーよ!」
「…みなさんの今日の行動を聞いてもいいっすか?」
「ああ。オレは、昨日も今日も南エリアにいた。1人じゃ鏡の壁どうにもできなかったからな。今日は筋肉ダルマも一緒だった。」
「はい、自分は郷田先輩と一緒でした!どうにか突破できないかと…。でも、結局、何の役にも立たず…!すみません!!!」
「ボクは1人で東の探索、癒しの贋作。途中で松井クンと談笑。彼の使命は清掃一生。」
「オレは1人で小学校にいたな。発見アナウンスの時間は倒れてて気付かなかった。」
「小学校にいた人、みんな寝てたみたいだもんね。」
「あ?どういうことだよ?」
「まあ、何となく理由は検討つくっすけど…永本君のヘッドホンは、ノイズキャンセラーが付いてたんすよね?」
「あー、そうだな。これ付けてると、全然 聞こえなくなんだ。」
「ノイズキャンセルされすぎ問題。」
(うん。現実世界では、そこまでのキャンセラー機能はないよね。)
「……圭クンが倒れていた時、ヘッドホンは掛けてなかったよ。」
「……そうっすか。」
(天海君と哀染君は意味ありげな目配せをして、頷き合った。)
コトダマゲット!【永本のヘッドホン】
【小学校1階 調理室】
(調理室まで来た。事件前と変わらず、刃物類が並んでいる。)
「つむぎとボクは事件前ここに来たんだけど、変わった様子はなさそうだね。」
「うん。そうだね。」
「ここは主に刃物が置かれてたっすからね。アイコさんみたいな機械の身体を、あんな風にバラバラにできるようなものはなかったはずっすね。」
「一応 確認できて良かったね。」
【小学校1階 放送室】
「あ、ここ、放送室なんだね。」
(給食室から近い一室に通りがかって、無意識に声が出ていた。)
「一応、見ておきましょう。」
「そうだね。事件前に放送室からの放送もあったし。」
(彼らが放送室の扉を開ける。室内は放送機器が所狭しと並べられていた。)
「すごそうな機械がゴチャゴチャいっぱいだね。」
「そうだね。ここから、事件前に放送があった。…録音されているみたいだけど11時くらいのところを聞いてみようか?」
「また寝てしまいそうな気もするっすけど…俺たちが寝た11時以降なら…大丈夫っすかね。」
(天海君が頷くと、哀染君が機械を操作し始めた。)
「哀染君、動画の編集でもしてたの?手慣れてるね。」
「うん。一応、アイドル活動の一環でね。…ここからだ。」
(哀染君がボタンを押して、室内に録音された音声が再生され始めた。その音とはーー…)
『…ん、むにゃ……』
『………スースー』
『……コロシアイと…この試合…似てるわねぇ…』
「……。」
「……。」
「……。」
「えーと…ここで夕神音さんが寝てた時の録音…だよね。11時から11時半までの寝息と寝言が録られてるね。」
コトダマゲット!【放送室の録音】
「……可愛い寝言だったね。」
「夕神音お姉ちゃんもスヤスヤここで寝てたってことだよね。」
「……やっぱり“才能は絶対”なんだね。」
「ああ、昨日の朝そんなことをモノクマが言ってたっすね。」
(言いながら、天海君はモノパッドを再度 確認している。昨日の朝モノクマが手書きをスキャンして送ってきた才能証明書を。)
(そこには、やはり特徴的な筆跡で”才能は絶対”と書かれていた。)
コトダマゲット!【才能証明書】
△back
『時間になりました!オマエラ、小学校の校庭まで集まってください!』
(時間になった…というより、学級裁判に必要な全てのコトダマをゲットしたみたいだ。)
(事件解決に十分な情報が集まったってことだね。現場の状況を まとめると、こんな感じかな。)
「……行きましょう。」
(天海君に促されて、わたし達はアナウンスにあった通り、校庭へ向かった。)
【小学校 校庭】
(校庭に15人が集まった。みんな一様に緊張した面持ちで。わたしも、彼らに倣って『緊張した人の顔』を貼り付けた。)
(しばらくすると、校庭の地面からお馴染みの赤いドアが現れた。どこでも行けるピンクのドアよろしく、その先はエレベーターホールに繋がっている。)
(全員が恐る恐るエレベーターに乗り込むと、エレベーターは下降を始めた。)
(いよいよ始まる…!『ダンガンロンパ』の裁判パート!!)
(誰が”超高校級のA I”アイコさんを壊したのか?見つけられなければ即死亡!もう1度このドキドキとハラハラを味わえるなんて…!)
(『ダンガンロンパ』が終わったと思った。でも、わたしは今、ここにいる。)
(それは、視聴者が まだ『ダンガンロンパ』を求めているということ。『ダンガンロンパ』の希望を見たいということ。)
(わたしの仕事は、そんな人たちを楽しませること。わたしの全てを懸けて、楽しめるものにするんだ。)
(……この、命懸けの学級裁判を。)
コトダマリスト
被害者は、”超高校級のAI”aiko-112358132134。死体発見現場は、小学校の中庭。死亡推定時刻は、11時から11時半。頭と心臓を同時に打たれたことにより機能停止後、再起不能になった。ロボット部分もバラバラで修復不能。
4階 音楽室の鏡が割れたことで用意された新しい鏡が、割れた状態で中庭に ばら撒かれている。被害者の体の下からも発見された。
発見現場の傍らに落ちていた。クレーン車で運ばれる4階の鏡を覆っていたもので、クレーンにロープで繋がれていた。
アイコのロボット部分の服に入っていた。特徴的な筆跡で『中にわにコイ』と書かれていた。
体育倉庫は数日前に封鎖されたが、事件当日の朝には開けられていた。小学生が体育で使うとは思えない物騒な道具が揃っているが、使われた形跡はない。
校舎校門から中庭に続く道はクレーン車が通ったことで、ぬかるんでいた。死体発見アナウンス直後に校門から中庭までの道に残っていたのは、佐藤と祝里の足跡のみ。
中庭を取り囲む壁に空いた穴。小学校低学年ぐらいなら通れそうだが、一般的な高校生が通ったらハマって動けなくなる未来しか見えない。穴は11時頃から11時半頃に掛けてモノクマが塞いだ。それまでの時間も抜け穴前には大鏡が立て掛けられていた。
中庭の奥に設置されており、使われた形跡がある。焼却炉の目の前には、草履と思しき泥の足跡が残っている。捜査時間にクレーン車が目の前に停められていた。
モノクマが鏡を4階に運ぶために小学校の中庭に停めていた。死体発見時には、校舎と中庭を繋ぐ裏口前、焼却炉を塞ぐように停められていた。排水しながら進む。
校舎内にいた人間が寝てしまったという11時頃から11時半頃までの夕神音の寝言が録音されている。
ノイズキャンセラー付きのヘッドホン。耳に つけていると外界の音がほぼ聞こえなくなる。
モノクマの示した動機により、事件のクロの他に共犯者がいた可能性がある。実行犯はクロ、共犯者はシロ扱いとなる。
モノクマがモノパッドに追加した証明書。”超高校級”の才能は確実に発揮されるとモノクマによって保証されている。
学級裁判編へ続く
図解があるのわかりやすくて助かります!