



「~ので、」と「~から、」「〜ため、」はどれも理由・原因を話すときに使う言葉。
日本人は感覚的に使い分けて、「同じ意味」と思いがちですが、実は違いがあります。
【ので】と【から】の違い・区別
「~ので」と「~から」は、丁寧さや書き言葉・話し言葉の違いと思われがち。
ですが、実はそれだけではありません。
【ので】とは
原因を表す助詞
より客観的な因果関係
【から】より丁寧でフォーマルな印象
「この会社は福利厚生がしっかりしているので、働きやすい。」
「普段から勉強をしっかりしているので、抜き打ちテストがあっても平気です。」
【から】とは
理由を表す助詞
主観的な結びつき
【ので】より強い意志がある
「ここは危険ですから、離れていてください。」
「彼が悪いことをしたから、私は怒ったんです。」
「明日はテストだから、今日は勉強頑張らないと。」
例えば・・・
①「風邪をひいたので、今日は休みます。」
②「風邪をひいたから、今日は休みます。」
①は丁寧な印象を与え、「風邪をひいた」というのは客観的事実であり原因であり、「休みたい!」という気持ちは強く出ません。
②は、風邪をひいたことを理由に、より「休みたい!」という気持ちが強く現れます。
①「電車が止まったので、遅れました。」
②「電車が止まったから、遅れました。」
①では、電車が止まったことと、自分が遅れたことには客観的因果関係が存在します。
②では、「電車が止まったことが遅れた理由だと本人が強く思っている」というニュアンスが強くなります。
「休む」「遅れる」「日にちを変えてほしい」などの「いいわけ」をする場合は、【ので】を使うのが良いかもしれません。
特に、フォーマル・ビジネスの場面では、【ので】を使うことをおすすめします。
【ので】と【から】の使い分け方
下の例を見てみましょう。
より気持ちが強いのはどちらだと思いますか?
①「君がとても好きなので、付き合ってほしい。」
②「君がとても好きだから、付き合ってほしい。」
①だと、意味は伝わりますが、気持ちは伝わりにくいです。
「好き」の気持ちが客観的で冷静で、自己分析した上で言っているように感じませんか?
【ので】は、より客観的で丁寧な言い方です。
②なら、気持ちが伝わりやすく、「付き合ってほしい」理由が「好きだから」と分かりやすいです。
【から】は、気持ちや強い主張をするときに使いましょう。

①「お金が足りないので、貸したお金を返して。」
②「お金が足りないから、貸したお金を返して。」
これはどうでしょう。
①より、②の方が「返して」という強い気持ちを表しています。
【ので】【から】の使い分けとして、「こう使ったから間違い!」というものはない です。「電車が止まったから遅れました。」も「君が好きなので付き合いたい。」も、文法的に絶対間違いとはいえません。
また、たいていの場合、日本人でも違和感を覚えることがあまりないです。
フォーマルや丁寧さを重視したいなら【ので】、気持ちを強く伝え主張したいなら【から】を使う と覚えておくと良いでしょう。
【ので】【から】と【ため】の違い・区別
「〜ので」と「〜から」の大きな違いは、気持ちの度合い。
そして、原因と理由の違いにあります。
この2つと同じ意味を持つ「〜のため」はどうでしょうか。
【ため】とは
原因や理由を描写・記述する助詞
【から】や【ので】より堅い印象を与える
ニュースや論文・レポートなどでよく使われる。
「コロナウイルス蔓延防止のため、自粛要請が出された。」
「結婚したため、姓が変わっております。」
「日本は外国語、欧米化を進めたため、アジアでいち早く工業国化した。」
例えば・・・
①「コロナウイルスが世界に広がったから、海外旅行に行けない。」
②「コロナウイルスが世界に広がったので、海外旅行に行けない。」
③「コロナウイルスが世界に広がったため、海外旅行に行けない。」
①<②<③の順に堅い印象を受ける表現。
【から】と【ので】が話し手の意思や判断を伝える表現であるのに対し、【ため】は出来事の描写・記述をする場合に使われます。
つまり、話し相手に伝える表現ではなく、ニュースやレポート・論文など、不特定多数に伝える表現です。
【ため】を使うと、根拠がはっきりした客観的なデータに基づくものだという印象を与えられます。
【ので】【から】【ため】書き言葉で使われるのは?
さて、【ので】と【から】【ため】の使い分けについての質問と一緒に出るのが、「書き言葉ではどれが良いの?」というもの。
答えは、どれも使われます。
ここまで述べた通り、【ので】は客観的、【から】は主観的要素が入ります。
【ため】は、【ので】よりさらに堅い印象を与える、多くの人に伝える表現です。
したがって、書き言葉では、その書き物の種類によって【ので】【から】【ため】の使い分けが必要です。
【ため】が使われる場合→公文書・ビジネス・論文・レポートなど
【ので】が使われる場合→ビジネス・セミフォーマル・論文・レポートなど
【から】が使われる場合→プライベートな手紙やメール・小説など
まとめ
- 【ので】は、客観的な原因。フォーマルで丁寧に伝えるとき使う。
- 【から】は、主観的な理由。気持ちを強く伝えるときはこちらを使う。
ただし、文法的にどちらを使っても意味は通じる。
- 【ため】は出来事の描写・記述。堅い表現や書き言葉で使う。
「~ので」「~から」の違いは、【原因】と【理由】の違い。
じゃあ原因と理由の違いとは??となった方は、下からどうぞ↓↓
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