Round. 3 愚人は夏の虫 学級裁判編Ⅰ

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Round. 3 愚人は夏の虫 学級裁判編Ⅰ

 

コトダマリスト

 

【モノクマファイル】
被害者は全身を焼かれているため判別不明。死体発見現場は、夏ノ島東 山エリアの遊園地内ホラーハウス。死亡推定時刻は午後1時〜2時半頃。

【消火器】
ボロボロの状態で死体の近くに落ちていた。中は空らしい。

【ホラーハウスの火事】
昼すぎに獄原他数名が火事に気付き、現場へ急行。最初に獄原が到着した時、ホラーハウスは中に入れない程に強く燃えていた。その後、野伏が到着し、モノクマが消火した。建物自体がとても燃えやすい素材で、出火直後から弱まることはなかったらしい。

【遊園地のマネキン】
遊園地内に設置されていた来園者を模したようなマネキン。1体がホラーハウス内に移動していた。死体発見現場である部屋と同室の窓付近で発見。布製であるにも関わらず、燃え残っていた。

【スプリンクラー】
ホラーハウス内のスプリンクラー。制御システムらしき機械が刃物やハンマーで壊された跡があった。

【ホラーハウスの設備】
ホラーハウスにはスプリンクラーの他、空調などの設備があるが、録音・放送などの設備はなかった。

【火野の作業場】
火野が花火作りに使用していた山エリア山頂の小屋。火野は小屋の扉を開け、正面に座り来訪者にすぐ気付く状態で作業をしていた。捜査時、作業台は散らかっていた。

【火野のスケジュール】
火野は朝から昼まで夏ノ島の山頂にいた。12時ちょうどに昼食をとり、夏ノ島の山頂に戻った。虎林が今朝聞いたことで、全員がスケジュールを把握していた。

【『1』のステッカー】
現場のホラーハウス入り口近くで発見した大きめのステッカー。何かのロゴのようで、『1』と印刷されている。

【夏ノ島の出入り】
夏ノ島のビーチから、本島〜夏ノ島の橋が見える。イーストック、伊豆野によると、午後通ったのは2人。13時前 被害者が本島から山へ戻ったのと、13時半頃 野伏が本島から来た2回だけ。

【春ノ島のパン屋】
春ノ島の南、町エリアにあるパン屋『ココ1パン屋』。店内には至るところに店のロゴマーク入りのアイテムがある。初めて来た時からパンの良い匂いが漂っていた。

【倉庫の様子】
寄宿舎内の倉庫のオイル、ろうそく、録音機の数が減っていた。

【星の証言】
事件前夜、星と火野は本島キッチン裏 夏ノ島の橋前で話をした。火野は「火を克服する」と語っていた。

 

 

学級裁判 開廷

 

(やって来た裁判場。3回目だからといって慣れることはない。空気は重く、息が詰まる感じがした。)

 

(みんなの間に、ところどころ並べられた写真を見た。高橋君と河合さん。三途河さんと平君。)

 

(そして、今回の被害者の火野君。…みんな、ゴン太が守れなかった人たちだ。)

 

(せめて…残った みんなを守りたい。)

 

「とりあえず…もう1度 事件を振り返ってみよう。」

 

「被害者は、”超高校級の花火師” 火野 花血朗殿。」

 

「夏ノ島 山エリアのホラーハウスで見つかりました。」

 

「だねー。全身まるこげで。」

 

「ホラーハウスは火事だった。…ので、死因は そのせいかもしれない。」

 

「でも、モノクマファイルに死因は書かれていなかったですよね。隠れた死因があるのかもしれません!」

 

「死亡時刻は昼過ぎだっただな。」

 

「火野は昼食後、ずっと山頂の小屋で花火の用意をしていたらしいが…。」

 

「えっと、それなんだけど…ちょっといいかな?」

 

「うん、どうしたの?虎林さん。」

 

「うぇ!?ゴ、ゴン太は、そ、そんなに注目しないで!!」

 

「え?な、何で!?ゴン太、何かした!?」

 

「う、うううう〜…。」

 

 

ノンストップ議論1開始

 

「えっと…本当に、一応の確認なんだけど…火野は殺されたってことでいいんだよね?」

 

「星が言った通り、火野はアタシ達に見せるために花火の準備してたでしょ?」

 

「例えば、それが原因でホラーハウスが焼けちゃって、消火しようとしたけど失敗して…とかはないかな?」

 

「花火が原因で出火した…と?」

 

「ふむ…。花火の準備以外でも、湿度が低い場所で高温になると山火事は起こり得る。」

 

「ワンチャン事故による焼死もアリよりのアリって感じー?」

 

【ホラーハウスのスプリンクラー】→花火の準備

【ホラーハウスのスプリンクラー】→事故による焼死

【遊園地のマネキン】→事故による焼死

 

 

 

「うう…ごめん。ゴン太…アタシ…。」

 

「え、ど…どうして泣きそうなの!?お腹 痛いの!?大丈夫!?」

 

「……優しさが痛い〜。」

 

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「それは違うよ!ーーって、虫さんが言ってるよ!!」

 

「ホラーハウスにはスプリンクラーがあったんだ。でも、そのスプリンクラーの機械が壊されていた…。」

 

「つまり、誰かが故意に火を放ったってことだな。」

 

「事故で学級裁判 開くわけないんだからさー、ロンパ稼ぎ止めて欲しいよねー。」

 

「うう…みんな、ごめん。」

 

「謝ることなかれ。モノクマは我々ではない誰かを非難している故。ここは忌憚のない意見を議論する場なり。」

 

「いや、ここは犯人を見つける場所っしょwwでも、疑問に思ったこと口にすんのは大切じゃん?」

 

「ずいぶん優しい世界ですね。嫌いじゃないです。」

 

「事故でないなら、犯人が故意に火を起こし、火野さんを火に焚べたことになりますね。」

 

「とんでもねぇ お焚き上げだな。」

 

「あのー、疑問に思ったことは言っていいんですよね?」

 

「…言ってみな。」

 

「あれって、本当に火野先生なんでしょうか?」

 

「は?」

 

「ほら、あの死体…黒焦げで人相も分からなかったじゃないですか。」

 

「人相は分からない。…けど、ここにいないのは、彼だけ。」

 

「でも、モノクマファイルに名前すら書いてないんですよ!つまり、入れ替わりトリックフラグです!」

 

「よくあるんですよ。被害者の顔が分からない=入れ替え殺人!」

 

「容疑者メンバーに顔が見えない隠している人がいたら要注意です!」

 

「オラたつン中に顔さ隠してる奴なんていんね。」

 

「ええ…ですが、思い出してください!この島には1人…顔が分からない人物がいたことを!」

 

(それってーー…)

 

1. “超高校級のハンター” 狩野 銃子

2. 東の灯台で発見された焼死体

3. モノクマ

 

 

 

「ゴンちゃん、記憶領域 虫しかいない系?」

 

「ご、ごめん!確かに、虫さんのことは絶対に忘れないんだけど…。」

 

「ウェーイ、分かる分かるwオレもエロ系は絶対 忘れねーもんww」

 

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「そっか。この島に来て、すぐ発見された死体…東の灯台にあった焼かれた死体…。」

 

「はい。あの黒焦げ死体です。今回も同じなのは…何か こう、隠された謎がありそうじゃないですか?」

 

「隠された…謎?」

 

「例えば…今回 見つかった死体は火野先生ではなく、あの死体だったとか。火野先生は死んだと見せかけ生きている…とか。」

 

「なぜ見せかける必要が?」

 

「え?そりゃ謎を増やすためですよ!思い込みが覆った瞬間、『やられた!』と頭 抱えながらドーパミンドバドバ…」

 

「知的探究心くすぐられてゾクゾク身を震わせるんです。」

 

「気色ワル~ww」

 

「それに、あの灯台の死体を発見したのは火野先生だったんですよね?」

 

「火野君と…平君だったよ。」

 

「な…何?ひ、火野が死体を焼いたって…言いたいの?」

 

「え?…あ、いえ、そこまで言ってるわけではなく…。」

 

「あの死体の人。…は、名前も分からない。」

 

「んだべな。もう1人、内臓がない方は狩人だったんろ?」

 

「左様。個室の箱によると、”超高校級のハンター” 狩野女史。」

 

「彼女の顔は分かります。顔のパーツは残されてましたから。」

 

「でも、オレら見てないんよねwwカノーちゃんの顔を知ってるのはゴンちゃんとホッシーとハナハナだけ的な?」

 

「…名前も分からない あの焼死体はモノクマによって捨てられたはずだったが、また今回 発見された。そういうことか?」

 

「あり得ませんか?」

 

「その場合、モノクマも噛んでることになるな。それに、火野が姿を消したのは何でだ?火野が火事を起こし隠れてるってことか?」

 

「…う、えっと…。た、例えば、火野先生が今回の黒幕だった…とか?」

 

「く…黒幕?」

 

「ええ。火野先生がボクらを集めてコロシアイをさせている張本人!!それで、マンネリ防止というかラストに向けて大きめの謎を投下!」

 

「ーー…って、こんな中途半端な時にフェードアウトするのは変な感じなんですけど。このタイミングだと盛り上がりにかけますよね。」

 

「最後まで生き残って実は首謀者!とか、最初に亡くなったと見せかけて実は黒幕!の方が盛り上がると思うんです。」

 

「ブツブツブツブツ、何 言ってんだ(笑)」

 

「えっと、でも、前に見つかった焼死体って、火野とは体格ちょっと違ったよね?」

 

「それは…切るなり削るなりすればボクら高校生の目をゴマかすくらいできるのでは?…というのがボクの推理です!」

 

「推理というより妄想に近いですが…」

 

「顔が分からないと言えば…もう1人いるはずです。」

 

「え?」

 

「わたくしたち14人と、死体で発見された2人。この16人の他にも、どこかに隠れている者がいるはずです。」

 

「それって……。」

 

1. 殺人鬼

2. 汚職政治家

3. 盗撮魔

 

 

 

「冗談は、その猛々しく雄々しく逞しい身体だけになさい!」

 

「う、うん…ごめん。」

 

「え!?な、何で…華椿、ゴン太の身体を褒めちぎってんの?え、何で?え…?」

 

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「狩野さん…内臓を抜かれた死体と焼死体…亡くなった2人を殺した殺人鬼がいるかもしれないんだよね。」

 

「正確には、焼死体の方を殺した犯人です。一方は高橋さんの仕業だと分かっていますから。」

 

「………うん。」

 

「ま、タカちゃん犯人云々はハナハナの主張でしかないわけだけど〜ww」

 

「…とにかく、あの身元不明の焼死体を作った犯人は、どこかに隠れているのです。わたくし達の中に犯人がいないなら…。」

 

「…この中に犯人がいることはなかろうか。」

 

「なくねー?みんなに会う前でコロシアイルール説明とかの前から殺す意味わかんねーしww」

 

「ね、ねえ、だったら…その殺人鬼が火野を殺したんじゃない?」

 

「んだべなぁ。この中に犯人が…っつーよりはありそうだべ。」

 

「…でも、裁判が行われている。」

 

(みんながモノクマの方に視線を向けた。)

 

「ん?何?裁判?…ああ、裁判あってるんだから、この中に犯人がいるよ。絶対に。」

 

「…そうですか。でも!被害者は火野先生ではない!とか…」

 

(桐崎さんが言うと、モノクマは首を傾げながら あっさり言った。)

 

「いやいや、アレ、火野クン。間違いなく。」

 

「…え?」

 

「黒幕にまで話を広げられちゃったら長くなるからね。それは、また別の章でやってよ。」

 

「というか、こっちは飽きてるんだ。あの死体は誰なのか?って議論。裁判編 書き終えたけど文字数が少なくて慌てて書き足したような議論。」

 

「何 言ってっか分かんねーべ。」

 

「とにかく!今回 出た死体は火野クンのものでした!特にモノクマファイルに記載してないことに意味はありません!」

 

「ええー…。」

 

「…だそうです、みなさん。お騒がせしました。恐れ入ります、すみません。」

 

「謝ることなかれ。モノクマは我々ではない誰かを非難している故。ここは忌憚のない意見を議論する場なり。」

 

「いや、ここは犯人を見つける場所っしょwwでも、疑問に思ったこと口にすんのは大切じゃん?」

 

「あれ?ループしてません?やめてください無限ループ怖いです。」

 

「んじゃ、マジもんの罵倒してやろか?ww」

 

「うう…すみません。火事があると入れ替わりを疑うクセがあって…おかげで、色々な作品のラストで、全く全然驚けません。」

 

「やれやれ…だな。」

 

 

「とにかく、あの死体は火野だったのは間違いないことは分かった。」

 

「けれど、彼は小屋にいたはずです。なぜ遊園地で死んでいたのでしょう。」

 

「だねー。昼過ぎ会った時、ヒーノー、また小屋に篭るって言ってたのに。」

 

「たすかに、昼に本島から山に戻るのは見ただなぁ。」

 

「手前も見た。しかし、山頂まで戻ったのかは定かではない。」

 

「小屋に戻る途中で寄ったんじゃない?気晴らしに1人遊園地みたいな。」

 

「で、でも、朝はなかった花火が小屋に たくさんあったよ?午後も たくさん作業してたってことじゃないかな?」

 

「作業台が散らかっていたから、作業中に出て行ったような印象だったな。」

 

「犯人のせいで遊園地に移動した。…のかもしれない。」

 

「考えられるのは、犯人が彼を拘束して火で殺したか…。」

 

「もしくは、小屋で火野先生を殺し、火で焼いたか…ですね。」

 

「小屋には血も争った痕跡もなかったが、色々 道具はあったな。」

 

「左様。火薬各種、可燃剤、酸化剤、ロープ、テープ…。」

 

「殺しも拘束も放火もできそうな道具ばっかだべな。」

 

「…こ、こういう時は、どちらの可能性も順に検討してみるといいですよ!」

 

「ふむ…。では、まずは小屋で殺されたと仮定しようか。」

 

「小屋で殺されたとしたら、争った跡とか残りそうだよね?」

 

「作業台は散らかってたが、争った形跡ではなかったな。」

 

「う、うん。作業の途中で止めて、小屋を出たような感じだったよ。」

 

「争った形跡なくてもさ、圧倒的な体格差があったとか、体力差があったとか、犯人が殺しが家業で慣れてたとかなら?」

 

(そう言いながら、野伏君はゴン太を見た。それから、星君や華椿さんに視線を向けた。)

 

 

ノンストップ議論2開始

 

「んで、争うことなく相手を無力化できるヤツなんて限られてるよな。」

 

「……。」

 

「わたくしは家業ではありますが、慣れていません。」

 

「不意打ちでロープで首を絞める。…なら、体格差がなくてもできる。」

 

「作業に夢中になっていた火野は背後から近付く仲間に気付かなかった…ってことだね。」

 

「こ、これから毒を飲まされて身体が縮んでしまいそうな言い方ですね。背後から襲われたのなら、確かに納得です。」

 

【火野の作業場】→背後から襲われた

【ホラーハウスの火事】→背後から襲われた

【倉庫の様子】→背後から襲われた

 

 

 

「このシチュエーション、年に1度は聞きますからね!」

 

「え?え??ど、どういうこと?」

 

「ゴン太先生を例の映画風に言うなら…『褐色のフィスト』…『心優しき紳士ジェントルマン』…いや違うな。『虫のキング』…。」

 

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「それは違うよ!ーーって、虫さんが言ってるよ!!」

 

「火野君は作業場の換気をよくして、小屋に来た人に すぐ気付けるように作業していたんだ。」

 

「小屋の扉を開けて外を見る形で座ってたよ。」

 

「しかし、何か備品を探していたなど、扉から背を向けることもあったろう。」

 

「えっと…使う材料は手元に用意して、あまり立ち上がらないようにしてるとも言ってたよ。」

 

「そっだに すぅつぅすてたなら、目の前から犯人さ来でも気付かなかったのかもすれね。」

 

「でも、様子を見に行ったゴン太にも、彼は すぐ気が付いたよ。危ない作業だから人の出入りに気を遣ってるって言ってたんだ。」

 

「えっと、じゃあ…火野が不意打ち喰らって殺されて、ホラーハウスに連れて行かれたっていうのはないのかな?」

 

「なしではないけど、小屋から遊園地に死体を運んだとしたら不自然かもね。死体を焼きたいなら小屋を燃やせばいいんだしww」

 

「それが苦にならない力持ちだったなら話は別だけどねww」

 

(ーーあれ?また野伏君、ゴン太を見てる?)

 

「……刃物で脅して遊園地に連れて行かれた。…のかも、しれない。」

 

「人に見られる危険性はありますが…刃物は…本島のキッチンや倉庫にもありましたね。」

 

「夏ノ島の海エリアの小屋にもあった。」

 

「あ、倉庫にあったのは、オレが まとめて隠しちゃったよwwだから使えないよ!」

 

「つまり、野伏殿以外は使えない…と。」

 

「あ、やべww」

 

「野伏先生、倉庫のカセットレコーダーの電池も回収してましたよね。」

 

「本島と海エリアの小屋のキッチンの刃物。…は、誰でも持ち出せる。」

 

「でも、別に刃物で脅さなくても、火野を遊園地に連れ出すことはできるよね?」

 

「…ああ。何か理由を付けて遊園地に誘導することはできるな。」

 

「その理由って何だべ?」

 

「ホラーハウスに火をつけて、『火事だ!一緒に消火してくれ!!』というのは如何か。」

 

「それは違う。…と、思う。」

 

 

ノンストップ議論3開始

 

「火野さんが自ら火に飛び込んでいった。…とは、思えない。」

 

「その心は?」

 

「被害者は火を怖がってた。…と、思う。」

 

「花火師なのにけ?そういや、パンさ作っ時、脂汗でビチョビチョだったべなぁ。」

 

「ああ…甘いパンに無駄な塩分が入りそうでしたね。」

 

「ふーんw花火師が火を怖がってたら世話ねーけど…とりま、自分から火に入ってくことはないってことねww」

 

【『1』のステッカー】→火を怖がっていた

【スプリンクラー】→火を怖がっていた

【星の証言】→自分から火に入ってくことはない

 

 

 

「…真面目に考えて。」

 

「ご、ごめん!考えているつもり…なんだけど…。」

 

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「それは違うよ!ーーって、虫さんが言ってるよ!!」

 

「火野君は確かに火が怖いって言ってた。でも、彼は克服しようとしてたんだ!そうだよね、星君。」

 

「…ああ。あいつは花火を作り、花火大会を開催することで火を克服できると考えたみてーだ。」

 

「実際に克服できたかどうかは まだ分かんねーべ。」

 

「確かに そうだな。俺は昨日の夜、あいつの決意を聞いただけだ。」

 

「ホッシーに?何で、ホッシー?」

 

「たまたまだ。食堂の裏で夏ノ島を見てる火野に出くわしたってだけさ。」

 

「それも、ホッシーだけの証言なワケ?」

 

「…そうだな。」

 

「あ、ゴン太も今日の昼、そんな話をしたよ。火野君は言ってたんだ。『虎の穴に入って虎の子を捕まえる』って!」

 

「え?何それ?」

 

「虎穴に入らずんば…であろう。」

 

「…可能性はあると思うぜ。死体の近くに消火器が転がっていたからな。」

 

「可能性。…だけ。」

 

「一応、火事によって彼が誘導された可能性もあるということですね。」

 

「シロートが1人で消火しようなんて無謀だべ。火の中 入って虎の子も燃えちまったら意味ねっだろ。」

 

「うーん…何か根拠となるものがあれば納得できますが…。」

 

(もし…火野君が火事を見つけて1人で消火しようと頑張ってくれたなら…)

 

(火野君が火事の中に飛び込んだとしたら…このためかもしれない。)

 

1.【遊園地のマネキン】

2.【ホラーハウスの設備】

3.【倉庫の様子】

 

 

 

「ったらモンのために、火事の中へぇってくのは馬鹿だけだべ。……だども…そんな馬鹿も嫌いじゃね。」

 

「伊豆野さん…。」

 

「何だ その茶番。」

 

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「そっか。マネキンのせい…かもしれない。」

 

「何だべ?」

 

「マネキンがホラーハウスの中に移動してたよね?火野君は…それが窓から見えて助けに入ったのかもしれない!」

 

「かもしれん話を自信満々にww」

 

「V3 5章の探偵を思い出すよねーww」

 

「マネキンが移動していたのは確かに謎でしたね。」

 

「ああ。しかも、あのマネキンは布製だったのに、死体が黒くなるような火の中で燃えてなくなることもなかった。」

 

「…ああ!あらかじめ ずぶ濡れにしておいたり、防火加工をするなりすれば燃えるのを遅らせることができますよ!」

 

「ったらことしたのは犯人ってことけ?」

 

「燃え盛る炎の中に人影を見せる。…それで、火野さんを飛び込ませた?…ちょっと、できすぎてる。」

 

「うーん…マネキンがあったからって、人と間違えるかな?」

 

助けを求める声があるならば まだしも。」

 

「んー、もしかしたら助けを求める声が聞こえたとかかもねー。」

 

「あのホラーハウスには録音したものを流す設備はなかったぜ。」

 

「しかし…この島にはあった。そう言いたげな様子。」

 

(もしかして、それってーー…)

 

1. 思い出しビデオ

2. カセットレコーダー

3. ロボット内蔵レコーダー

 

 

 

「………。」

 

「ご、ごめん。思い付いたことを言っただけなんだ。ごめんね、そんな顔をさせたかったわけじゃなくてーー…」

 

「…いや、覚えがある気がしてな。」

 

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「そっか。倉庫にあったカセットレコーダー…。」

 

「あ、ありましたね!」

 

「…倉庫に行ったが、いくつか なくなってたな。」

 

「前回の事件でも使われたかもしんねって話になったべなぁ。」

 

「けれど、結局 前回カセットレコーダーは使えなかったという結論に至りましたね。」

 

「全部の電池が抜かれてたんだよね。」

 

「左様。つまり、今回 使えた人物も限られるということである。」

 

▼カセットレコーダーが使えた人物は?

   

 

 

 

「獄原殿、人の命が掛かっている。真剣を交えるつもりで考えたもれ。」

 

「わ、分かったよ!まずは、真剣を探してくるね!」

 

「いや待て行くな。」

 

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「キミしかいない。ーーって、虫さんが言ってるよ!」

 

「野伏君。野伏君は、カセットレコーダーの電池を持ってるんだよね?」

 

「えー?うんうん。オレが預かってるよww」

 

「野伏君ならカセットレコーダーを使うことができたよね?」

 

「うんうん。できたねwwそれで?」

 

(野伏君は楽しそうな声で言った。でも、その顔は全然 笑っていないと思った。)

 

「間違ってたら教えて欲しいんだけど…野伏君なら、火野君を火事まで誘導できたんだと思うんだ。」

 

「ぷげらwwヒーノが誘導されて遊園地行ったってのも、火事だからヒーノが飛び込んだってのも、ただの推測じゃん?」

 

「ひでーや、みんな…オレみたいな いたいけな修験者を捕まえて…。」

 

「…いたいけ?」

 

「ゲームは1日1時間なんて守れないし、アドベントカレンダーは買った日に全部 開けて食べちゃうし。こんな無垢なオレに計画殺人なんてできると思う?」

 

「ジョギングしていた大工の頭にガキのまんまだと笑われそうな無垢さなりや。」

 

「自制できないってだけでしょう。というか、修験者が そんなウキウキクリスマス待ってもいいんですか。」

 

「良かったぜ。疑いが晴れて☆」

 

「何ひとつ晴れてないんですけど!?」

 

「ゴンちゃん、もっかい よく考えてみ?」

 

「うん…そうだよね。考え直すから待ってて!」

 

「ぷげらwwうそうそ!ゴンちゃんの推理、間違ってはねーよww」

 

「えっ。」

 

「認めると申すか?」

 

「えー?まあ?認めるっきゃないっしょ?」

 

「野伏先生が犯人ってことですか!?」

 

「火野を殺しちゃったの?」

 

「……どうして?」

 

「ちょ、タンマタンマwwオレ殺してねーしwww」

 

「…どういうことだ。」

 

「オレが認めたのは、レコーダー使われたとしたらオレしか使えないよね?ってとこだけww」

 

「だば、オメが犯人ってことだべ?」

 

「いやいやwもし使われたら、よ?使われなかったかもしんねーじゃん?」

 

「でも、カセットレコーダーは倉庫からなくなってたんですよ?」

 

「けど、火の中から出てきたワケじゃねーじゃん?燃えて跡形もなくなるってのもなさそだしww」

 

「オレを犯人にしたいヤツが倉庫から持ってったんしょ?」

 

「犯人はカセットレコーダーを現場に残せなかったんだよ。電池がなかったから。現場に置いといたら、電池ないのも すぐバレっし。」

 

「つまり、オレは犯人じゃないってことww」

 

(野伏君が話し終わって、「なるほど」と思った。何人かもゴン太と同じように見えた。けれど、)

 

「いいや、騙されるな、皆の者。」

 

(イーストック君が強い口調で言った。)

 

 

ノンストップ議論4開始

 

「現場にカセットレコーダーが残されなかったのは、野伏殿の仕業ではない?」

 

「そーそー。電池が入ってないことがバレたらマズイからw」

 

「いいや、現場に痕跡を残さない その理由は、極めて単純。犯人が、自分が疑われる物を残さぬためだ。」

 

「証拠。…の、隠滅?」

 

「左様。野伏殿は屋敷に火を放ち、証拠隠滅のため火野殿が絶命したタイミングでカセットレコーダーを回収したのだ。」

 

【ホラーハウスの火事】→電池が入っていない

【倉庫の様子】→カセットレコーダーを回収

【ホラーハウスの火事】→カセットレコーダーを回収

 

 

 

「その論拠を150文字以内で述べよ!」

 

「え、えっと、『ない』!!!」

 

「2文字!!!」

 

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「それは違うよ!ーーって、虫さんが言ってるよ!」

 

「ホラーハウスの炎は出火直後から勢いが弱まることはなかったみたいなんだ。火が強い内にゴン太も現場に着いたけど…中に入るのは無理だったよ。」

 

「ゴン太が現場に着いた後、野伏君はイーストック君と伊豆野さんと遊園地まで来てたよね?」

 

「な?オレには無理な?ってか、イーちゃんとオレ割と今日 一緒にいた系?」

 

「失念していた。」

 

「はー、疑われてマジチョベリバ〜↓」

 

「いつの時代のギャルですか!」

 

「いやはや…成程 御免。」

 

「いつの時代の謝り方だべ。」

 

「ま、とりま、オレがカセットレコーダー使ってヒーノを誘き寄せたって仮説はナシな?証拠不十分ってことでw」

 

「う、うん。ごめん、野伏君。ゴン太…」

 

「あーあー、いいの いいの。マジテンサゲのヒゲチョロリンだけど、疑わしきは罰せよってヤツだし?」

 

「現行法では罰せず、だ。」

 

「つーか、いいの?オレら、仮説しか立てられてなくね?実証できてねーから、かなりヤベーよ?」

 

「そ、そうですね。火野先生は火事に気付いて遊園地に行ったかもしれない!マネキンを人と見間違えて火事の中に飛び込んだかもしれない!」

 

「かもしれない運転。…すぎる。」

 

「あーらーらーこーらーらー、いーけないんだー、いけないんだー!推理モノフィクションでよくあること言っちゃいけないんだー。」

 

「何 言ってんのか分かんね。」

 

「えっと…もう1度、情報を整理した方がいいのかな?」

 

(みんなの緊張感が裁判場を満たすのを感じた。)

 

「未だに火野が どうして遊園地に移動したかは定かじゃねー。」

 

「犯人に誘導されたか…犯人に脅されたか…だったべな。」

 

「火事で誘導。…は、仮説にすぎない。…ので、他の可能性も考えるべき。」

 

「拉致されたとか山頂の小屋で殺された可能性もあるんですよね?」

 

「まあ、それは、かなりの身体能力があって、遊園地まで軽々 運べちゃうってヤツが犯人だったらの話になるよねw」

 

「……わたくしと獄原さんと星さんを見ながら仰らないでください。わたくしの身体能力を過信したら痛い目を見ますよ?」

 

「うーん…。普通に考えて女子が男子を運んで山道 降りるのはキツそう。」

 

「星殿も違うだろう。いくら星殿自身の身体能力が優れているといえど、体格差のある相手を運ぶのは大変だ。」

 

「……。」

 

「んー?じゃ、小屋で死んでた説なら犯人はゴンちゃんってことで。」

 

「え!?ゴ、ゴン太はーー…」

 

「ゴン太が犯人なんてあり得ないよ!!」

 

「え?」

 

(ゴン太が口を開いたところで、虎林さんが叫んだ。)

 

「トラリンに聞いてねんだけどーww」

 

「ゴン太が人殺しするはずないよ!だって、ゴン太は…こんなに優しいのに!!」

 

「虎林さん…。」

 

(確かにゴン太は犯人じゃない。でも、虎林さんは ずっとゴン太と一緒にいたわけじゃないから、それを知らないはずだ。)

 

(無条件に信じてくれたのが嬉しくて お礼を言おうとしたところで、)

 

 

「ゴン太君は、ずっと みんなを守るために身体を張ろうとしてたもんね。」

 

「ウチの魔法でも確認済みじゃ。ゴン太は嘘は言っておらん。ウチもゴン太を信じるぞ。」

 

「そもそも獄原にそんなことできるの?」

 

 

(また、懐かしい声が聞こえた気がした。)

 

(前の裁判でも、最初の裁判でも、聞こえた。)

 

(でも、前とは違う、女性の声だ。)

 

(大切なことを忘れてしまっている気がして、ゴン太は自分の手を握りしめた。)

 

 

学級裁判 中断

 

 

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コメント

  1. 更新ありがとうございます、今回も楽しみにしていました♪
    黒焦げで正体が分からない…と頭を悩まされていたら早々にモノクマから火野くんだと告げられてしてやられた!となりました…笑
    ゴン太が時々聞いているV3キャラっぽい声の正体も気になるし、続きがとっても楽しみです!
    結局犯人はまだ全然絞れていないのですが、次回まで楽しく頭を悩ませておこうと思います。

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