Round. 5 教会とカネの音と私(非)日常編Ⅱ

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Round. 5 教会とカネの音と私(非)日常編Ⅱ

 

『キーン、コーン…カーン、コーン…』

 

(朝のチャイムで目を覚ました。)

 

(気になることが多すぎてスッキリ眠れなかった。)

 

(顔を洗って身支度を整えて、食堂へ向かった。)

 

 

【本島南エリア 寄宿舎 食堂】

 

「おはよう、みんな。」

 

(食堂に集まった人たちに声を掛けたゴン太は、いつもと違う食堂内の雰囲気に気が付いた。)

 

「なんだか暗いね。」

 

「カーテンが閉められてるからな。」

 

「あ、そっか。いつもカーテンが開いてるよね。」

 

「…なんでも、野伏さんから重要な話があるとのことです。」

 

「そ、それで どうしてカーテンを閉めきる必要が…?」

 

「オラ、知ってんべ。砂壁に耳あり障子にメアリーだべ!」

 

「そんな純和風の部屋でメアリーさん何してるんですか!!」

 

「やれやれ…野伏。全員 集まったんだ。話ってやつは何だ?」

 

(星君が閉めたカーテンの前にいる野伏君に問い掛けた。)

 

「みんなに聞きたかったんだよね。最初の事件について、どう考えてる?」

 

「最初の事件…?高橋君が死んで…河合さんがクロだった?」

 

「違う違う。いっちばん最初に見つかった2つの死体のこと。」

 

「……東の灯台で発見された焼死体と、西の灯台の内臓なし死体ですね。」

 

「1人は西の灯台内で高橋さがヤッつまったんだべ?」

 

「”超高校級のハンター” 狩野 銃子だったな。」

 

「正確には、殺された状態で西の灯台に連れて行かれ、捌かれたのです。」

 

「ハイハイ。その話が真実ってことにしとくよ。じゃ、東の灯台の焼死体もタカちゃんにヤられたんよね?」

 

(野伏君はゴン太を見据えた。これまでのことや死体の状態も考えて、ゴン太は慎重に答えた。)

 

1. それに賛成だよ

2. それは違うよ

 

 

 

「最近イエスマンばっかりで困っちゃうよね〜。ってヤツに反論したら『口答えするな!』って言われるヤツ。」

 

「昔のCMみたいですね。」

 

「……?」

 

 

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「えっと…それは違うと思うよ。」

 

「お!完全に『虫さんが言ってたよ』は卒業した系?何で そう思うん?タカちゃんは殺人鬼だったらしいじゃん?」

 

「えっと…華椿さんが話した内臓を取っちゃう やり方と…焼死体は、全然 違うと思うから。」

 

「男女の違いもありましたね。内臓抜き死体は女子で、焼死体は男子でした。」

 

「うんうん。同一犯ではない。んじゃ、この島の どこかにオレらの知らねー犯人が隠れてんのかなー?」

 

「わたくしは…そう思います。」

 

「でもさー、冬ノ島も探したけど、今までで そんなヤツは見なかったワケじゃん?」

 

「えっと…それは…、つまり?」

 

「犯人は…ゴン太たち14人の中に…いる。そう言いたいんだね。」

 

「正確に言えば、高橋さんを抜いた13人ですね。」

 

「いんにゃ。高橋さに殺された狩野さも、一応 容疑者だから14人だべ。」

 

「では、誰が1番 怪しいでしょうか。”イレギュラー”のゴン太君。」

 

▼1番 怪しいのは?

   

 

 

 

「へー。ゴンちゃんは、そう考えるワケだww」

 

(野伏君は いつもの調子で笑った後、真剣な表情になり……こう言った。)

 

犯人は私です。」

 

「……え?」

 

「何を…?」

 

「東の灯台で発見された焼死体…彼を殺したのは、私だと言いました。」

 

「な、何 言ってんだべ?オメさ。」

 

「…ですから、焼死体…相上 旺あいうえ おう(仮)君を殺した犯人は私です。」

 

「何度も言わなくても分かります!唐突すぎて、意味 分かりませんけど!某巨人もビックリの突然の告白ですよ!」

 

「……ええ。あ、危うくビックリするところでした。」

 

「華椿さ。ビックリしすぎて、涙 出てんべ。」

 

「う、嘘だよ。そんなの。」

 

「嘘など言いません。紛うことなき、私の犯行なのです。」

 

「……本当に あんたが犯人だって言うなら、どうして急に明かす気になった?」

 

「それは…山の導きです。」

 

「意味 分がんね。」

 

「いつもの笑えない冗談です…よね?やめてください!」

 

「………。」

 

「あんたの言うことが本当なら、どういうことか、話してくれねーか?」

 

「…そうですね。何故そんなことをしたのか、どうして今になって話したのか。聞かせてもらおうじゃないですか。」

 

(野伏君は穏やかな表情で頷いた。)

 

「それを語るには、まず、私が初めて本島で目を覚ましたところから話す必要があるでしょう。」

 

「私は表の顔は修験者…。ですが、その役目は、山を下賤な輩から守ること。山の掃除人なのです。」

 

「掃除人…。」

 

「私の守る山は、この島々と匂いが似ている。それもあって、初めて本島で目覚めた時、ひどく混乱していました。」

 

「匂いは同じなのに景色が違う。ここに来た記憶がない。暫く歩いた後、人影を発見しました。」

 

「相上 旺(仮)君です。冷静な私なら、彼から情報を引き出そうとしたでしょう。」

 

「けれど、私の脳は本能的に彼を山に侵入した敵だと認識した。それで…彼の首を締めて殺したのです。」

 

「えっ、な、何で?いとも簡単に行われる えげつない行為を?」

 

「貴方様は殺しに慣れていたわけでもないでしょうに。」

 

(華椿さんの言葉に、野伏君が自身の人差し指を口元に持っていき薄く笑う。)

 

「言ったでしょう?私は、”掃除人”だと。」

 

「…な、何だべ?冗談じゃねんか?」

 

「……。」

 

「彼を殺したことは軽率でした。死体を海に放った後、モノクマが現れ、無駄な殺しを禁じられたのです。」

 

「無駄な殺し?」

 

「ゲームと関係のない殺し…。ターゲットではない者を殺すことはリスクになるのです。」

 

「考えなしに1人を処理してしまいましたから、2人目は慎重に選ぶ必要があったのです。」

 

「…ターゲットってのは何だ?」

 

「……このコロシアイ。無作為に集められたわけではない。既に半数の人間が知っているのでは?」

 

「……えっ?」

 

「……。」

 

「さて、それでは皆さんに試練を課しましょう。」

 

(静かに淡々と語っていた野伏君が言葉を切った。そして、次いで発したのはーー…)

 

「明日までに私を殺してみせなさい。」

 

「えっ!?ええ〜!?」

 

「願ったり叶ったりでは?私が、”貝合わせの君”かもしれない。」

 

「貝合わせ?」

 

「……もし、明日の正午までに私を殺さないのなら。この茶番劇に見切りをつけるまで。」

 

「全員、土に お還しして、掃除しましょう。」

 

「それって…殺すっちことけ?」

 

「死にたくないなら…私を殺すことです。私は何がなんでも、ターゲットの命は頂戴します。」

 

「なんと無慈悲な…。」

 

「出来損ないの仕置人とは違います。全員 固まって行動したとて、無駄です。建物に火を放つこともできます。」

 

「飲み水を経つことも、毒を混入させることも、生理現象で別行動を取った者から殺すこともできましょう。」

 

「……獄原がいる限り、皆殺しが簡単だなんて言えねーと思うが?」

 

「そ、そうだよ!みんなの命は、ゴン太が絶対に守る!!」

 

「そんなに皆さんを全滅させることは難しくない。前回、獄原君を殴った私だから言えることですよ?」

 

「…え?」

 

「今…何と言った?」

 

「前回、獄原君を殴ったのは私だ。…そう言ったのです。」

 

「え。えええええ!?」

 

「ど、どういうこった!?獄原さを殴ったのはイーストックさだろ?」

 

「ああ。たしかに、イーストックの様子と研究室に篭っていたことから、そう結論づけたが…」

 

「それも仮説…いえ、誘導されていた…?獄原さんを殴ったのはイーストックさんと決めうっていましたね。」

 

「…もし、ゴン太が生き返ってなけりゃ…俺たちシロ全員、犯人の指摘を間違えて死んでたってことだな。」

 

「うわああぁ!危ない…!ゴン太先生、本当に帰ってきてくれて、ありがとうございます…!」

 

「良かったですね。奇跡が起こって。」

 

「…あんたは、クロになって勝利するために、獄原を殴ったのか?」

 

「……それも含めて、私の今際の際に全てを話しましょう。さあ、私を殺してごらんなさい。」

 

(彼が言った瞬間、辺りが真っ暗になった。)

 

「えっ!?停電!?」

 

「ーーっ、動くな、野伏!」

 

(星君の声に目を向けると、人影が素早く動くのが見えた。慌てて捕まえようとしたけれど、スルリと避けられた。)

 

(続いて、入り口の方が急に明るくなって思わず目を閉じた。ドアが閉まる音がして、また真っ暗になった。)

 

「全員 無事か!?」

 

「ええ!」

 

「暗くて何も見えませんが、無事です!」

 

「誰か出てった音がしたべよ!」

 

「野伏君だと思う。どこか行っちゃったよ。」

 

(暗闇に目が慣れて、やっと電気を点けた。そこに野伏君の姿はなかった。)

 

「だから窓のカーテンを閉めきっていたのか…。」

 

「野伏さんは暗闇に慣れているようですね。急に暗くなっても逃げられるなんて。」

 

「そういえば、ずっと目ぇ閉じてっかんなぁ。」

 

「え?あれって、そういうキャラデザというだけでは…?」

 

「…それより、あいつを探さねーとな。」

 

「そ、そうです!野伏先生、とんでもないこと言ってましたよ!?」

 

「最初に発見された焼死体も、ゴン太を殴ったのも…野伏君だったって。」

 

「本当でしょうか?」

 

「…冗談 言ってる声ではなかったべな。」

 

「と、ととにかく、手分けして探しましょう!!」

 

「ーーいや。単独で動くのは危険だ。全員で探すぞ。」

 

(それから、全員で固まって野伏君を探した。全てのエリアを全員で探していたためか、とても時間が掛かった。)

 

(そのうち、辺りが暗くなってしまったので、ゴン太たちは宿舎に戻ることにした。)

 

 

【本島南エリア 寄宿舎 個室前】

 

「野伏君…どこに行ったんだろう。」

 

「島中 探したが、見つからなかった。俺たちの動きを見て移動していたのかもしれねーな。」

 

「何なんだべ…。今までで いっちゃん、ワケ分がんね。」

 

「野伏先生が人殺しだったなんて…。」

 

「…ええ。獄原さん、野伏さんに殴られたそうですが、覚えてらっしゃらないの?」

 

「う、うん。全然…。後ろからだったから。」

 

「とにかく、今日は もう遅い。夕飯を食って、明日に備えるぞ。」

 

(それから、みんなで夕飯を食べ、全員で個室前に戻った。部屋に入ろうとした時、桐崎さんに呼び止められた。)

 

「あ、あの、ゴン太先生。」

 

「桐崎さん。どうかした?」

 

「えっと…その、昨日は すみませんでした。」

 

「昨日…?」

 

「変な態度を取ってしまい…みなさんの中にクロ候補生とやらがいると思ったので、疑心暗鬼というか…怖くて…。」

 

「無理もないよ。でも、もう怖くないの?」

 

「え、だって。クロ候補生の1人は野伏先生ですよね?なら、ゴン太先生は安心です!」

 

「えっと…あと もう1人、いるはずだよね?」

 

「……あ。は、はい。そうなんですけど、」

 

(途端、桐崎さんは口ごもった。)

 

(ーー桐崎さんは気付いているのかもしれない。)

 

 

「明日、全て話す。少し時間をくんな。内側を曝け出すのには慣れてねーんだ。」

 

 

(結局、今日は色々あって、星君と ゆっくり話せなかった。)

 

「では、ゴン太先生。施錠を忘れずに。おやすみなさい!」

 

「う、うん。おやすみ。」

 

 

【本島南エリア 寄宿舎 獄原の個室】

 

(個室に入って部屋の鍵を掛ける。途端に、どっと全身に疲労感が襲ってきた。)

 

(ーー今日は野伏君のことで色々ありすぎたから。)

 

(彼は初めに見つかった焼死体の犯人で、前回の事件でゴン太を殴った犯人。)

 

(ゴン太たち…全員を殺すって、そう言ってた。)

 

(でも、ゴン太は必ず…みんなを守る。紳士として。)

 

 

「紳士って何なんだろうね?」

 

 

(ふと、昨日 言われた言葉を思い出した。)

 

(紳士は もちろん、優しくて、賢くて、みんなを守れる強い人だ。…でも、)

 

(本当に、そうなのかな…。)

 

…………

……

 

『キーン、コーン…カーン、コーン』

 

(ーー朝だ。よく眠れなかった。)

 

(いつも通り、開かない箱を確認して、身支度を整えた。個室の扉を開ける。)

 

「おはっくま〜。」

 

(目の前に、モノクマが立っていた。何かを言う前に、モノクマはゴン太を押して部屋に入ってきた。)

 

「な、何?何の用?」

 

「うぷぷぷぷ。ゴン太クンに、ちょっと有益な情報を持ってきたよ。」

 

「有益な情報?」

 

「有益っていうのはね、」

 

「意味は分かるよ。情報っていうのは?」

 

「あらあら、賢くなっちゃって!よその子とオクラは育ちが早いとは、よく言ったもんだね。」

 

「……。」

 

「ぷぷぷ。情報っていうのは〜…名前を偽ってるヤツに気を付けてねってこと。」

 

「名前を偽ってるヤツ…?」

 

「そうそう。この島のヤツら、裏家業に従事してる人が多いせいか、偽名を名乗ってるヤツも多くてね〜。」

 

「偽名…。」

 

「名前を偽る人間は過去のコロシアイにも何人かいたけど、その中には黒幕的なヤツもいたんだよねー。」

 

「過去のコロシアイ…?黒幕…?」

 

「ここでの名前は自己申告だったからね。名前を間違ってる人がいることを忘れずに。」

 

「…名前を偽ってる人が、このコロシアイの黒幕なの?」

 

「その可能性があるから疑うことを止めないことだね。考えることが紳士の嗜み。疑うことも紳士の嗜みだよ。」

 

「…どうして、ゴン太に そんなことを言うの?」

 

「どうしてかな?キミがイレギュラーな存在だから…かな。」

 

(言って、モノクマは いつもの笑い声を残して去っていった。)

 

(そういえば…ゴン太は”イレギュラー”なんだっけ。それって…どういうことなんだろう。)

 

(モノクマと話しただけで、どっと疲れた。気だるい気持ちで個室から出ると、みんなが廊下に集まっていた。)

 

「ゴン太、起きたか。」

 

「獄原さん、おはようございます。」

 

「朝食さ行くべよ。」

 

「まだ脅威は去っていませんからね。一緒に行きましょう!」

 

「……。」

 

「どうかしましたか?」

 

「ううん。何でもないよ。」

 

 

【本島南エリア 寄宿舎 食堂】

 

(みんなでーー野伏君以外で朝ごはんを食べた。みんな、やっぱり緊張している様子だった。)

 

(そんな時、食堂のマイクから音がした。)

 

『あー…あー…テステス、聞こえるー?』

 

「…野伏さだ。」

 

(聞こえたのは、野伏君の声だった。)

 

「……野伏。どこにいるんだ?」

 

『聞こえてる?……って、双方向通信じゃねーから分かんねーww とりま、聞こえてるってことで続けんよ〜。』

 

「こちらの声は届かないようですね。」

 

『コホン…さて、諸君。一晩たって、心構えはできたでしょうか。もちろん、私を殺す心構えです。』

 

『昨日 申し上げたように、今日の正午までに私を殺さない場合、私が貴君らの命を頂戴することになろう。』

 

『山の掃除人から島の掃除人に鞍替えってことですね。』

 

(野伏君は淡々と話している。信じられないようなことを。)

 

『…しかし、掃除人を殺すというのも難儀な話。…ということで、本日のルールを話しておきましょう。』

 

「ルール…?」

 

『これから、貴君らは各島に1人ずつ分かれ、順に冬ノ島の教会にいる私を殺しに来てもらいます。』

 

『まず、獄原君が お越しなさい。その間、秋ノ島に星君、夏ノ島に伊豆野君、春ノ島に桐崎君、本島に華椿君…』

 

『夏ノ島に行く者は熱中症対策としてビーチの浜茶屋の小屋で待機すること。』

 

『全員 配置に着いたら、ゲームスタート。私を殺せたら貴君らの勝利。殺せなければ私が貴君らを殺す。』

 

『ゲーム中は、私は貴君らを殺さぬことを約束しよう。では、まずは それぞれ配置につくように。』

 

『貴君らの移動のタイミングは放送で、随時 知らせよう。』

 

「……。」

 

『んじゃ、タイミングよく動いてねー。クソデカ囃子みてーな、音ゲーのノリでww』

 

(スピーカーからブツリと音が鳴って、何も聞こえなくなった。)

 

「も…もっとメジャーな音ゲーあるでしょう!?極道のカラオケとか!緑の勇者演奏のオカリナとか!」

 

「そんなことは どうでもいいんだべ!」

 

「そうそう!メジャーな音ゲーといえば、理論武装だよ!!」

 

「モ、モノクマ…。」

 

「どういうことだ?あんたは何か知ってるんだろ?」

 

「ほえ?」

 

「あいつが使ってたのは、ここに元から設置されていた。つまり、あんたが手を貸したってことだ。」

 

「モノクマが1人に肩入れなんてしていいの!?」

 

「肩入れってワケじゃないよ。彼の殺しを手伝うんじゃなくて、誰かが彼を殺す手助けになるんだから。」

 

「だ、誰も野伏先生を殺したりできませんよっ!」

 

「うぷぷぷぷ。ボクはコロシアイを盛り上げてくれるなら、道具の貸し出しくらいするってだけだよ。」

 

「…何かを貸したということで?」

 

「そうそう。本島や他の島々に設置されたスピーカーに繋がるマイクを貸してやったよ。」

 

「どの島にいても野伏さの放送が聞こえるっちことだな。」

 

「野伏先生、みんな殺すって言ってましたよ!?いいんですか?そんな殺し方して!」

 

「んー?そういえば、まだ連続殺人は起きてないね〜。コロシアイのルールに入れとけば良かったかな?」

 

「まあ、でも、オマエラが彼を止めたら問題ないでしょ?」

 

「…たとえ、殺してでもね。」

 

(モノクマが楽しそうな声を上げる。聞いているだけで参りそうな声だ。)

 

「……と、とりあえず、ゴン太は冬ノ島に行くよ!!野伏君を説得できる機会だから!」

 

「……ああ。とにかく奴の言った通り、順に冬ノ島に訪れて、奴を説得する他ねーな。」

 

「で、でも、単独で会いに行くなんて…危険じゃないですか?」

 

「そうです!獄原さんと星さんは ともかく、伊豆野さんのような乙女を向かわせることはできません!」

 

「やめてけろ!おどめってガラじゃねぇ。野伏さ、ゲーム中は殺さねぇって言ってただな?信じていんか?」

 

「本当かどうかは怪しいが…。言う通りにしない場合は奴が宣言してた通りにするだろうな。」

 

「うう…確かに、ゲームに乗らなければ…今すぐ掃除しに来そうでしたね。」

 

「そうなったとして…見過ごすつもりはねぇが……。」

 

(言って、星君が少し黙る。昨日の野伏君の身のこなしを思い出しているのかもしれない。)

 

「今は野伏の言った通り動くのが最適だろう。ただし深入りするな。護身になりそうな物を携帯していくといい。」

 

「うん。ゴン太、頑張って説得するから。」

 

「き、気を付けてくださいよ!?」

 

「御武運を。」

 

「みんな、あんまり無茶すっでねぇぞ。」

 

(そして、全員が各島に向かった。)

 

 

【冬ノ島 教会前】

 

(本島の南エリアから全力で走って10分。ゴン太は教会前まで やって来た。教会の門は固く閉ざされている。)

 

「野伏君…?」

 

(声を掛けてみたけれど、教会からは何も聞こえない。それどころか、辺り一面 静寂に満たされていた。)

 

「野伏君、聞こえてる!?ゴン太だよ!説得に来たんだ!」

 

「みんなもゴン太も、野伏君を殺したりできないよ!でも、野伏君に殺されるなんてことも…黙って見てられない!」

 

「どうして?野伏君が死んでも、みんなを殺しても、悲しいだけだよ!今まで通り協力して、ここから出ようよ!!」

 

(力の限り叫んだけど、返答はない。)

 

(ゴン太は「開けるよ」と一声かけて、教会の門の取手に手を掛け扉を押した。)

 

「…開かない。」

 

(鍵なんてなかったはずなのに、教会の門はビクともしない。力を入れても、扉は動くことはなかった。)

 

「野伏君、いるんでしょ?開けてよ!話をしようよ!」

 

(精一杯 門を叩いたけど、やはり返答はなかった。そんな時、冬ノ島中のスピーカーから音がした。そしてーー…)

 

『はい、時間切れ。次、行ってみよう!冬ノ島のヤツは、本島に移動。本島のヤツは、春ノ島に移動。』

 

『後は時計回りで移動してちょw 移動時間は20分。急いで次の島に向かうように。』

 

(冬ノ島中にあるスピーカーから、教会から、そんな声が響いた。)

 

「野伏君、いるんでしょ?開けて!」

 

(もう一度、野伏君に声を掛ける。けれど、やっぱり返答はなかった。)

 

「野伏君…。」

 

(ーーゴン太は失敗した。説得できなかったんだ…。)

 

 

【本島北エリア 校舎前】

 

(冬ノ島から本島に戻った。なんとか本島から教会の様子が見えないかと思ったけれど、館が邪魔して見えない。)

 

(次は星君が説得してくれる番だ。)

 

(でも、野伏君は応答してくれないし…説得なんて…できるのかな。そんなことを考えた時、)

 

ドカンという大きな音が響いた。本島の東の灯台の方だ。)

 

 

【本島中央エリア 東の灯台】

 

(慌てて東の灯台に来たものの、何か変わった様子は見られない。)

 

(爆発音みたいな音だったのに、東の灯台は今までと変わらない。壊れた物もなければ、焦げた匂いもない。)

 

(辺りをウロウロしていると、虫さんの声に紛れて機会音がした。近付いてみるとーー…)

 

レコーダー…。」

 

(茂みにカセットレコーダーが転がっていた。スイッチが入っていて、今は無音を響かせている。)

 

(もしかして、さっきの音は ここから…?)

 

『はい、時間切れ。次、行ってみよう!冬ノ島のヤツは、本島に移動。本島のヤツは、春ノ島に移動。』

 

『後は時計回りで移動してちょw 移動時間は20分。急いで次の島に向かうように。』

 

(レコーダーを前に考えていると、灯台のスピーカーから声がした。)

 

(ゴン太は指示の通り、春ノ島に向かうべく、東に向かった。)

 

………

……

 

(それから、春ノ島、夏ノ島、秋ノ島と移動した。各島で爆発音がして、それがレコーダーであると確認した。)

 

(ーーみんなは大丈夫かな。)

 

(今は、華椿さんが冬ノ島に移動している頃だ。そして、彼女が最後の1人。)

 

(これで説得が失敗したら、野伏君はゴン太たち…全員 殺すと言っている。)

 

(そんなことは…絶対 止めなくちゃ。)

 

(できるだけ冬ノ島の近くーー秋ノ島と冬ノ島を繋ぐ橋前で落ち着かない気持ちを無理に落ち着ける。)

 

(みんなを守るんだ。絶対に。)

 

(決意を固めた時、スピーカーから音がした。「チッチッチ」という時計のような音。その後、)

 

『はい、時間切れ。残念ですが、貴君らには…死んでもらいます。』

 

(野伏君の声が秋ノ島中のスピーカーと、冬ノ島から遠く響く。その放送が終わる前に、ゴン太の足は動いていた。)

 

(全速力で教会に向かう。森で駆け回っていた心弾む駆けっこじゃない。)

 

(冬ノ島の館エリアに辿り着いた時、教会の方から大きい音がした。)

 

 

【冬ノ島東 教会】

 

「野伏君!!」

 

(教会の前に来たゴン太は、周囲に誰もいないことを確認して、教会内に叫んだ。)

 

「野伏君!考え直して!!」

 

(返答はない。さっき ここに来た時と同じように、静かに開かない門が鎮座しているだけだ。)

 

「……?」

 

(野伏君はいないのかな。それに…華椿さんは…?)

 

(そうだ。ここにいるはずの華椿さんがいない。)

 

(背筋にヒヤリとした感覚が走る。慌てて辺りを見回す。)

 

(そして、教会の裏側に人影を見つけた。)

 

「は…華椿さん!」

 

(大きな木の前で華椿さんが倒れている。慌てて駆け寄って助け起こした。)

 

(そんな…華椿さん…。まさか、野伏君にーー…)

 

(そんなことを考えたところで、彼女が呻いた。)

 

「……うう。」

 

「華椿さん、良かった!生きてる…!」

 

「…ここ、は…。あ…そうでした、わたくし…頭を…」

 

(呟きながら、華椿さんは おでこを抑えている。彼女の おでこは、少し赤くなっていた。)

 

「野伏さん…は…?」

 

「あ!そ、そうだ!!」

 

(華椿さんに動かないように促して、また教会の正面に周る。その時、星君が こっちに走ってくるのが見えた。)

 

(その少し向こうに桐崎さんの姿もある。)

 

「獄原!野伏は!?」

 

「見てない。でも、たぶん中にいるはずだよ。」

 

「ゼ、ハァハァ、華椿…先生は…?無事、ですか?今…華椿先生が ここに、いる番です、よね?」

 

(息も絶え絶えに言う桐崎さんに、ゴン太は教会裏を示した。桐崎さんは教会裏に走っていった。)

 

「野伏!いないのか?」

 

「野伏君!!」

 

(残ったゴン太と星君が教会内に呼び掛けた。けれど、人の気配がしなかった。)

 

「も、もしかして…いないのかな。」

 

「……!ここにいるのは、あと桐崎と華椿だけか!?」

 

「…伊豆野…さんは?」

 

(ゴン太と星君が顔を見合わせた時、教会裏から華椿さんがフラリと現れた。)

 

「…伊豆野さんは!?伊豆野さんは…どこにいるんです!?」

 

「落ち着け。伊豆野は最後に春ノ島にいたはずだ。俺が見てくる。」

 

「いいえ!わたくしも、わたくしも行きます!!」

 

(頭を押さえながら華椿さんが叫んだ時、ゴン太の視界に、その人が現れた。)

 

「あ!伊豆野さんだよ!」

 

(かなり遠くにいた伊豆野さんが走ってくるのが見えた頃、華椿さんが叫んだ。)

 

「伊豆野さん!ご無事で何よりです!!」

 

「ハァ、疲れただ。目一杯 走ってきただけど…桐崎さ以外は集まってんのけ?」

 

「あれ、そういえば桐崎さんは?華椿さんの傍に行ったんじゃ…。」

 

「桐崎さんは教会の裏口を見つけたと言って、そちらに。」

 

「みな、とりあえず無事っちこったな。野伏さは?」

 

「さあな。教会からは返答はねぇ。…獄原。」

 

(星君がゴン太を見て「扉を壊そう」と提案した。ゴン太も頷いて、星君と扉へ体当たりした。)

 

(鈍い音と共に扉は開いた。勢い余って、ゴン太も星君も扉ごと倒れ込んでしまった。)

 

「いたた…星君、大丈夫?」

 

「…ああ。」

 

(星君が帽子を被り直すのを確認して、ゴン太は室内を確認した。そして、発見した。)

 

(ダンボールが置かれた室内に散らばったシャンデリアの残骸。そして、その下敷きになった死体を。)

 

「野伏…さん…。」

 

「どういうこと…だべ?」

 

「……。」

 

(シャンデリアの下から伸びる足は、野伏君のものだ。女性陣が息を呑む様子が分かった。)

 

(そんな時、教会裏から桐崎さんが回ってきた。)

 

「皆さん!裏口があったんですがーー…」

 

「桐崎!見るな!」

 

「えっ?」

 

(教会を覗き込もうとした桐崎さんの頭を星君が押し込んだーーかと思ったら、2人は教会から姿を消した。)

 

(それから、いつものアナウンスが流れた。)

 

『死体が発見されました!』

 

(モノクマの嫌らしい笑いが頭の中に響いて、ゴン太は嫌な予感が的中したのだと漸く実感した。)

 

 

非日常編へ続く

 

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コメント

  1. 更新ありがとうございます♪
    怒涛の展開すぎて頭の整理ができていませんが、とっっっても面白かったです!
    野伏くん、なぜそんな某幸運みたいな暴挙に出てしまったんだ…ゴン太達にとっては最悪ですが、ロンパファン的にはテンションが上がってしまいました笑
    あと少し話が変わりますがらシリアスな雰囲気に登場する相上 旺くん(仮)にふふっとなりました。
    モノクマの適当ネーミングがここまで活用されるとは、、

    野伏くんルールが色々あって推理が大変そうですが、非日常編も楽しみにしています!

    • コメントありがとうございます♪某幸運みたいな暴挙…たしかに、歴代トリックスターに色々引きずられてます…!笑 あいうえおー君に笑っていただけたやったー!我ながら絶対忘れない名前がつけられて満足です^ ^本当に本当に、コメントを励みにここまでやってこられました。ラストまでお付き合い頂ければ幸いです◎

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