Round. 5 教会とカネの音と私 学級裁判編Ⅰ
コトダマリスト
被害者は、”超高校級の修験者” 野伏 茸。死体発見現場は、冬ノ島の教会内。
メスが肩に刺さった状態でシャンデリアの下敷きになっていた。頭はシャンデリアに潰されていると思われる。全身濡れていて冷たくなっている。
死体の周りに落ちていた。春ノ島の花畑近くに咲いていたもの。
全島に放送を流すためにモノクマが野伏に貸したマイク。ダンボールの中から発見された。
ダンボールの中から発見。カネタタキが同じダンボールから発見された。倉庫にあったもの。
高い窓枠に固定した跡がある。刃物で少し切られていたようだ。
教会の椅子は事件後、整列が乱れていた。1つは本が挟まって傾いている。さらに、背面にゴムが取り付けられていた。
教会内からはダンボールに埋もれて見えないが、教会正面扉とは反対側に外開きの裏口がある。鍵は掛かっていなかった。
切れたロープが低い位置に残っていた。ロープは教会内のシャンデリアに繋がれて固定されていたと考えられる。死体発見前、華椿が木の前で倒れていた。
前回の事件前にモノクマが秋ノ島の研究室に用意していた怪しい本。蘇りの薬についての記述がある。
死者の書が見つかってから、イーストックは蘇りの薬を研究し始めた。その結果、事件が起きた。前回の裁判では、イーストックが蘇りの薬の失敗作を飲ませたことで虎林は死に、イーストックがクロとなった。殺意はなかったと思われる。
野伏の部屋から発見された。前回の事件でイーストックが死にかけた虎林に”蘇りの薬”を飲ませて殺したと告白している。
野伏の部屋から発見された金短髪のウィッグ。夏ノ島の遊園地にあったマネキンのものと思われる。
箱が開くのを確認できたのは、高橋、河合、平、イーストック、野伏。最初に死体で発見された2人、三途河、火野、虎林、獄原、星、伊豆野の箱は開かない状態だったが、三途河の箱はモノクマによって開かれ『平』と書かれた2枚貝の半分が見つかった。高橋と焼死体の人物の箱には、名前と才能の記載がない。
学級裁判 開廷
(裁判場は いつも通り、不気味な雰囲気だった。)
(野伏君の白黒写真が出されて、いよいよ写真の方が生きている人より多くなってしまった。)
「では、議論を始めてください。ちなみに、今回の現場は館と教会が繋がったループ構造…とかないからね。」
(いつも通りルールを説明し終えたモノクマが訳の分からない言葉を添えた。ゴン太は、みんなの顔を見回した。)
「とりあえず…事件を まとめていこうか。」
「被害者は、”超高校級の修験者” 野伏さ。冬ノ島の教会ん中で倒れてただ。肩にメスが刺さってただな。」
「現場にはシャンデリアも落ちていたよね。ゴン太はシャンデリアが落ちるような音も聞いたよ。」
「野伏先生、教会に立て篭っていましたよね。」
「彼は自らの罪を告白していました。まず、最初に見つかった焼死体は自分の仕業だ…と。」
「ああ。あいつは自分を”掃除人”と言っていた。最初に目についた人間を混乱のまま殺した…と。」
「それに…前回の事件でゴン太を殴ったのも自分だって…そう言ってたね。」
「俺たちは、あいつの指示に従い、順に冬ノ島に渡った。」
「最初に冬ノ島にいたのは、ゴン太先生でしたよね。」
「うん。ゴン太が教会に行った時…野伏君は出て来てくれなかったよ。」
「全員 同じだったな。教会前まで言ったが野伏と話した奴はいない。全員そう言ってたな。」
「……。」
「……あ、」
「……あの、」
(みんなが黙り込んだ後、伊豆野さんと桐崎さんが同時に口を開いた。)
「何だべ、桐崎さ。話してけろ。」
「…いえ、いえ!お先に どうぞ!レディファーストです!」
「オメも女でろ?オメから話せ。」
「いえいえ、ボクは この通り、ボクっ娘ですし、ゴンベーですし、服も男物ですから…!」
「そったらこと関係ね。オメから話せ。」
「いやいやいやいや…」
「おい、会計について揉めるようなことしてる時間はねーぞ。」
「…それでは、間を取って、わたくしから。」
「え?あ、はい。どうぞ。」
「間を取っての意味が分からねっけど、譲るだ。」
「現場は野伏さんが立て篭っていた教会。正面扉は開かれないようになっていました。」
ノンストップ議論1開始
「つまり、今回の事件現場は密室だったのです。」
「何人たりとも教会の扉が叩けねぇぐれぇだったなぁ。」
「ええ。つまり、わたくし達が教会に侵入するのは不可能。外から侵入できるはずなかったのです。」
「あの…教会には裏口があったんですよ?」
「存じております。けれど、いずれにせよ裏口前には大量の荷物が置かれ、バリケード状態。外にいた者が中に入る者ことは不可能。」
「つまり…現場は完全密室。その中で犯人として考えられるのは、被害者の野伏さん以外いません。」
「わたくしだったら、教会ではなく館に篭城いたします。」
「ゴン太なら、館には…あまりいたくないかもしれない…。」
△back
「それは違うよ。」
「裏口前はダンボールが積まれてバリケードみたいだったけど、鍵が掛かってなかったから密室とは言えないよ。」
「しかし、大量の物で扉が塞がれていたのです。外から扉を開ければ、ダンボールが倒れたはず。」
「けれど、現場のダンボールは積まれたままでした。誰も中に入らなかった証拠です。」
「あ、あの裏口、外開きだったんですよ。物を退けながら進めば、教会に入ることは可能なんです。」
「外に出る時もダンボールを戻しながらなら、密室っぽい空間を作ることは可能かと…。」
(桐崎さんが言うと、華椿さんは驚いた顔をした。)
「…まあ、外開きとは珍しい。家業の教えで『海外の家屋は内開き』と学びましたのに。」
「大雑把な教えだべな。国によんべ。」
「…いずれにせよ、俺たちの中に犯人がいるなら、裏口から出入りがあった可能性が高いな。」
「それでは…説得の時間に何者かが教会内に侵入した…と?」
「……。」
「伊豆野さん、どうかなさいまして?」
「……何でもねぇ。」
「あんたと桐崎、さっき何か言いたそうだったが?」
「仰ってくださいまし。議論を尽くし、真実を見つけましょう。」
「……。」
(華椿さんの言葉に、伊豆野さんは溜め息を吐いてから話し始めた。)
ノンストップ議論2開始
「オラたつが移動するたび、野伏さは合図の放送をしてただな?」

「そうですね。なんか毎回おんなじようなこと言ってました!」
「……あん放送、全員が全ての島を周りきるまで続いたべ。だから…」
「だから、野伏さが おっ死んだタイミングは明白だ。」
「最後の放送まで野伏さは生きてただ。最後の放送の後 殺されちまっただよ。」
「放送は全ての島で流れてただ。まさか、聞こえなかったべ?」
「ご、ごめん。ゴン太は目が良いんだけど、耳は普通なんだ。ノミさんの声が聞けるくらいしかできなくて…。」
「普通…とは?」
△back
「それは違うよ。」
「教会内でもレコーダーが見つかったんだ。ダンボールの1つに入っていて、同じ箱にマイクも入ってたよ。」
「あ、そうですよ。ゴン太先生が見つけてくれたんです。マイクはモノクマが渡したもので間違いないそうです。」
「レコーダーには『次、行ってみよう』という録音が一定間隔でされていました。野伏さんの合図と同じものです。」
「…ってことは、俺たちが聞いていたのは、野伏の生声ではなかったってことか。」
「録音されたもんだっただか?」
「……。」
「そういえば…野伏先生、レコーダーの電池も回収してましたよね。計画通り(暗黒微笑)だったんでしょうか。」
「…つまり、彼が どのタイミングで殺されたかは定かではない…と?」
「そう…思うよ。」
「わたくし達の中の誰かは分からないということですね…。」
「…でも、とりあえず安心すただ。録音なら録音って早く言って欲しかっただよ。びっくりしただ。」
「………。」
「星君?」
「教会に向かう順番…その他の島に行く順番。全て、野伏の計画の内だったんだろうな。」
「計画の内?」
「ど、どういうこと?」
(ゴン太が星君を見ると、彼は意味深に口を歪めてゴン太を見上げた。)
「野伏は俺たちを島ごとに分散させた。何故だ?『1人ずつ冬ノ島に来い』と言えば済む話だってのに。」
「えっと…やっぱり、単独行動させるため…じゃないですか?ほら、ミステリーでは単独行動が基本ですから。」
「ああ。最終的に俺が冬ノ島から最も遠い夏ノ島にいて、ゴン太が最も近い秋ノ島にいたのは偶然じゃねーと思うぜ。」
「ゴン太さんと星さんを一緒に行動させないように時間差を作ったと?」
「それだけじゃねー。各島で起こった爆発音にも、この『島を訪れる順番』が関係していたんじゃないか?」
「爆発音もレコーダーに入れられていた録音でしたね。あれも野伏先生の仕業で間違いありません。」
「レコーダーの電池を持っていたのは彼でしたからね。」
「んだな。オラ、最初に夏ノ島の小屋で爆音ば聞いて、びっくらこいただ。物凄ぇ音だったべからな。」
「……野伏は、俺たちの中の1人を爆発音で攻撃したんじゃねーか?そいつの能力を封じるために。」
「え?えっと、それってーー…」
▼野伏に攻撃を受けたのは?
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|---|---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
「…どうして、そう思った?」
「えっと…ご、ごめん。きちんと考えられてなかったよ。」
「やれやれ…。もう1度 考えてみてくれ。」
△back
「伊豆野さん。野伏君の標的になっていたのは…伊豆野さんだよ。」
「あ?オラだべか?攻撃なんざされてねっぞ?今日は直接 野伏さに会っでね。」
「伊豆野が受けた攻撃は物理的なもんじゃねぇ。音だ。」
「音…?」
「最初に伊豆野さんがいた夏ノ島でも、爆発音があったんだよね。」
「ああ。待機場所の浜茶屋ん中にレコーダーがあっただな。びっくらこいた。」
「野伏は他の島については待機場所まで指定していなかったが、何故か夏ノ島だけはビーチの小屋を指定していたな。」
「野伏君は伊豆野さんの耳の良さを警戒して、大きい音を聞かせたんじゃないかな。」
「なーに言ってんだべ?オラの耳、いつも通り聞こえてっだよ。」
「日常に支障はないが、今までほどの繊細な聴覚というと…どうだ?」
「……夏ノ島に行く前の放送…朝イチの野伏さの放送は録音じゃなかったべ。断言できるだ。」
「ああ。あの時は野伏がマイクに話していたんだろうぜ。そして、あんたの耳を封じてから、録音に切り替えた。」
(星君が言うと、伊豆野さんは目を瞬かせた後、耳元に手を当てた。)
「そんなはず…ね。」
「そ、そうです!怖いこと仰らないで!伊豆野さんの舞踏は音楽との融合で成り立つのです。永久不滅です!」
「伊豆野、あんた…今まで野伏の合図が録音かどうか聞き取れてなかったんだろ。」
「………。」
「プラネタリウム密室殺人事件の時に録音か生声か言い当てた伊豆野先生が!?」
「そんなっ!う、嘘です…!」
「………。」
「嘘ですよね?……ぐず、伊豆野さんの耳は…ぅう。踊りは、永遠に…。」
「華椿先生、本人がショックを受ける前に鼻水垂らしてショックを受けるのは…どうかと…。」
(伊豆野さんに視線が集まる中、彼女はーー…)
「ーーま、日常生活に支障がねぇなら構わね。」
「えっ?」
(思いの外、あっさりと言い放った。)
「……よろしいのですか?」
「ああ、しょんなか。音 聞けんなら、そんでいい。」
「けれど…。」
「お師匠にバレたら ぶっちめっつぁれるけんど、細けぇの聞こえなくてもバレねぇべ。」
「貴女様は…耳を大切にしてたではないですか。ヘッドホンすら使わないと仰っていたでしょう?」
「…お師匠に言われて使わなかっただけだ。」
「そうそう。本来、音に携わる人にとってヘッドホンとか騒がしい場所…みんなでカラオケとかタブーだよね。」
「ヘッドホンしたりカラオケコラボのピアニストはフィクションだけってことですか…?」
「それに、一時的なもんかもしんね。そんな心配する前に、ここから出る心配しねぇとな。」
「伊豆野さん…!何と猛々しい…!!」
「……いちいち感動しねーでくろ。」
(華椿さんが泣きながら賞賛するのを伊豆野さんも笑って見てる。けれど、ゴン太にはその顔が寂しそうに見えた。)
「で?野伏さはオラの耳ぶっちめって、何がしたかったんだべ?」
「…合図がレコーダーの録音だと気付かせたくなかったんじゃないかな。」
「ああ。レコーダーは教会のダンボールの中にあったと言ってたな?」
「うん。カネタタキさんがいなかったら見つけられなかったよ。」
「カネダアキ?」
「カネタタキさんだよ。キリギリスさんの仲間でチッチッチって鳴くんだ。本当は寒い所では鳴かないんだけどね。」
「は、はあ…。探し物見つけたと思ったら虫と一緒…トラウマになりそうですね。」
「野伏君の最後の合図で声を聞いたから探したんだ。その時、レコーダーとマイクを見つけたよ。」
「レコーダーとマイク…。野伏さんは録音を使って、わたくし達を混乱させたかったということですか?」
「意味わがんね。だども、これで最後の合図の後 殺されたとは限らねんだな?華椿さが犯人ってことではねんだな?」
「……伊豆野さん。もしかして、わたくしを心配してくれていたのですか?」
「……違ぇ。」
「……違いましたか。失礼しました。」
「……そんで、どーなんだべ?華椿さが犯人ってことはなくなったべな?」
「…なくなっちゃいねーさ。俺たち全員、同じように野伏を殺した可能性があるってだけだ。」
「そうですね。合図が録音なら、ボク達 全員が容疑者…。」
「野伏君と話せた人は…いなかったんだよね。」
「……ええ。」
「野伏さが呼んだくせにな。意味わがんね。」
「…野伏先生は結構、ずっと意味が分かりませんでしたけど。」
「今回の事件…野伏の死因についてモノクマファイルには何もなかったな。」
ノンストップ議論3開始
「モノクマファイルに記載がないのは、ほぼ いつも通りですね。」
「野伏さの死体は満身創痍だっただ。メスで刺されて、トリカブトに囲まれて、シャンデリアの下敷きなってただ。」
「刺して、毒を使って、圧殺…殺人カーニバルですね。」
「犯人は裏口から侵入し、被害者をメスで刺し、トリカブトをバラ撒き、シャンデリアのロープを切ったのでしょう。」
「ええ!?そんな犯人います!?」
【マネキンのウィッグ】→侵入者がシャンデリアのロープを切った
【シャンデリアのロープ】→侵入者がシャンデリアのロープを切った
「ゴン太先生。落ち着いて考えてみてください!真実は いつもひとつです!」
「……フィクションでは。」
「う、うん。分かったよ。」
△back
「それは…違うよ。シャンデリアを吊るロープは教会の内側から切れる高さにはなかったんだ。」
「どういうことですの?」
「ロープは窓枠…鉄格子の高い位置を通り、教会の外で固定されていた跡があった。」
「……教会の外…に?」
「妙だべな。」
「はい。教会外では低い位置で木に繋がれていました。地面に固定するため使われていた杭も見つかっています。」
「教会内ではゴン太でも手が届かない高い位置に吊るされてたから…中にいた人がロープを切ったとは考えにくいよ。」
「例えば…教会の段ボールを足場にしてロープを切ったということは?」
「その時 野伏が生きていたとすると、悠長すぎねーか?」
「あ!あれだべ。高枝切りバサミ。」
「確かに、あの教会は何でも揃う安売りの殿堂店みたいでしたが、さすがに高枝切りバサミは見なかったような。」
「ゴン太、シャンデリアの落ちた音を聞いて すぐ教会に着いたから、教会内に野伏君以外いなかったはずだよ。」
「……や、やっぱり。犯人は教会の外側からシャンデリアのロープを切り、野伏先生を下敷きにして殺害した…と?」
「可能性はあるな。」
「……獄原さん。それをした者は…一体 誰だと言うのですか?」
(ゴン太が秋ノ島から全速力で走って すぐ、大きい音を聞いた。あの時、他のみんなは、違う島にいたはずだ。)
▼シャンデリアのロープを切ったのは?
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|---|---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
「つまり、ハサミを持った殺人鬼が冬ノ島にいたってことだよね!」
「ホラーをする人かミステリーをする人かでイメージする人物像が変わりそうですな!」
「そうですね…シザーマンVSジェノサイダー…って、ちょっと黙っててくれません!?」
△back
「…その時、冬ノ島にいて…ロープが切れたのは、華椿さんしかいないよね…?」
「……。」
「何 言ってんだ。華椿さに殺人なんて無理だべよ。普通の”超高校級”なら まだしも、超ド級の泣き虫ドジだぞ?」
「……死体発見アナウンス前、俺は冬ノ島から最も離れた夏ノ島にいた。あんた達は?」
「ボクは本島にいました。最後の放送後、走ってきた星先生と合流し、冬ノ島に同時に到着しましたね。」
「ゴン太は放送が終わって、すぐ秋ノ島から冬ノ島に向かったんだ。現場に1番に着いたのは、ゴン太だよ。」
「オラは春ノ島だ。本島への橋のが近かったべから、本島から冬ノ島に向かっただな。いっちゃん到着は遅かっただ。」
「で、だから何だべ?華椿さが冬ノ島にいたからって犯人扱いだべか?」
「……わたくしは その時、教会裏で気を失っておりました。」
「気を失うって…殺人事件で1番怪しいとされる人なんですよね…。」
「ゴン太が冬ノ島に入った瞬間、大きい音がして…教会に行ったら、裏で華椿さんが倒れてた。」
「ちょうど、ロープが固定されていた木の前で…。」
「……。」
「あの大きい音は…華椿さんがシャンデリアを落とした音だったんじゃないかな。」
「な、何だべ。さっき、華椿さは犯人じゃねって話だったでねぇか!」
「伊豆野さん。おやめになって。」
「だども…ッ!」
(華椿さんが伊豆野さんを制し、ゴン太を真っ直ぐ見た。その眼差しには、覚悟のようなものが現れていた。)
「確かに、ロープを切って、シャンデリアを落としたのは わたくしでしょう。」
「……でしょう?」
「わたくしの故意ではなかった。そういうことです。」
「か、過失でロープを切ったと?」
「わたくし…固定されていたロープに つまづき、転んでしまったのです。その拍子に、ロープが切れたのでしょう。」
「…はあぁ!?」
「えっ…。じゃあ…ロープが切れたのは…華椿先生のドジで?確かに、ロープは低い位置で固定されていましたが。」
「わ…わざとじゃないだべな?事故でロープが切れただな?」
「ええ。」
「ロープには刃物を使った跡…切れ目があったが…。」
「それは わたくしではありません。わたくしが つまづいた時、切れやすいようになっていたのでしょう。」
「ロープに気付く間もなく頭を強かに打って記憶も曖昧ですが。」
「タイミングとしては間違いないよ。もし、野伏君の直接の死因がシャンデリアに下敷きになったことならーー…」
(ゴン太が言おうとして、言葉に詰まった。華椿さんがジッとゴン太を見つめていたから。)
「……。」
(何も言えずに固まっていると、華椿さんが少し笑った。)
「そんな顔なさらないで。わたくしがクロ。そう仰りたいんでしょう?」
「……。」
(ーー覚悟の宿った瞳だった。その目の奥に”声なき声”を感じて、ゴン太は何も返せなかった。そんな中、)
「…んなはずねぇべ。」
反論ショーダウン 開始
「転んでロープが切れたっち、そんで犯人なんて おかしいべよ。」
「こんなん、ただの事故だべ。」
「華椿さに殺意がなかっただ!クロじゃねぇべ!」
「華椿さは、殺意があればあるほど失敗する女だ!これまでの華椿さの華々しい枯れた過去を聞いてみれ!」
「えっ…。うん、分かった!聞くよ!!」
「大金が掛かった仕事で時間ば間違っで!家業存続のための仕事で凶器をなぐし!高橋さの時は居眠りこぐ!」
「華椿さが殺意を持って殺人を犯すのは不可能!つまり、今回のことも100%事故だ!」
「華椿さに殺意がなかったから、華椿さはクロじゃねっだろ!」
「何だ?華椿さが殺意なく夢遊病的に人に毒を盛りメスを刺しシャンデリアの下敷きにするサイコっちいいてぇのか?」
「ヒェッ…そんな人、敵でも見方でも怖すぎますね…。」
△back
「それは…違うよ。」
「前回の裁判だって…殺意がなかった人がクロになったんだよ。」
「……っ。」
「う…うう。そ、そうでした。イーストック先生には殺意はなかった。」
「イーストックさんの遺書が発見されましたね。彼は虎林さんを蘇らせようとした。けれど、失敗して…。」
「結果、彼がクロでした。やはり…今回の事件も……わたくしがクロ…ということです。」
「華椿さんは、どうして教会の裏に行ったの?」
「え?」
「捜査時間にゴン太は初めて裏口の存在を知ったんだ。みんな そうだと思ってたけど、華椿さんは知っていたの?」
(ゴン太の疑問に華椿さんは躊躇った様子を見せた。)
「……野伏さんが言ったのです。」
「野伏君が?」
「わたくしの説得は無視して、『裏口があるよ』と。録音…かもしれませんが。」
「とにかく、裏口のことを聞いて、わたくしは裏に周ろうとして…ロープに引っかかったのです。」
「……それって、野伏先生が誘導したみたいじゃないですか?野伏先生は華椿先生をクロにしたかった…とか?」
「……確認だが、全員が集まる前に死体を発見した奴は?」
「え?」
「教会は閉ざされてただ。中、見ることはできね。」
「…そうですね。裏口からも教会内の死体は見えませんでした。」
「……そうか。」
(星君が少し間を置いて、ゴン太たちを順番に見た。)
「死体発見の際、俺は咄嗟に自分の視界を覆った。」
「は?」
「分かります。本物の死体なんて、ミステリフリークでも見たくないですから。」
「…いや、死体発見アナウンスは3人のシロが死体を確認した時に流されるだろ。」
「ありゃりゃ。またアナウンスを推理材料に使われるパターンだね。嫌だなぁ。」
「あの時、獄原さ、星さ、華椿さはドアを蹴破ってただな。か弱いオラは後ろっから見てるだけだったべ。」
「ああ。だが、俺はアナウンスが流れるまで死体に目をやってねー。発見者は、ゴン太と伊豆野、そして華椿だ。」
「あ…だから、ボクに『見るな』なんて言ったんですね。急に父性に目覚めたのかと思ってビックリしたんですから。」
「えっと…発見者はシロ3人だから、華椿さんはクロじゃないってこと?」
「確定じゃねー。…が、その可能性は高いってことだ。」
「けれど、わたくしが話す直前まで野伏さんは…」
「裏口の所在を話した声は録音かもしれねー。あんたも そう言ったな?」
「えっと…でも、ゴン太先生が見つけてくれたレコーダーに、そんな録音はなかったかと。」
「…他のダンボールにもレコーダーがあったかもしれねー。」
「……確かに、全てのダンボール箱の中身を確認することはできませんでしたが。」
「何だべ?華椿さは犯人じゃねってことだべ?シャンデリアに潰されてても野伏さが死ななかったってことけ?」
「そ、それか、その時には既に死んでたってことかな?」
「…その場合、シャンデリア以外…メスや毒が死因になりますが。」
「だども、肩 刺されただけで死ぬべか?」
「先端に毒でも塗っておけば死ぬだろうな。」
「刺されたか飲まされたか嗅がされたか知りませんが、毒が使われた可能性が高いということですね。」
「そして、容疑者はーー…あれ。えっ、待ってください。3人シロなら、容疑者…ボクか星先生ってことですか!?」
「イレギュラーが…ねー限りな。」
「……そ、そんな。」
「……もう1人いんだろ。」
「えっ。」
「野伏さだよ。野伏さが華椿さを誘導したっち話でねーか。」
「……可能性はあるな。」
「いんにゃ、野伏さしかいね。ロープは華椿さが蹴つまづいて切っちまった。だが、元から刃物で切った跡があったんろ?」
「ああ。シャンデリアは金具を壊されて、ロープのみで支えて固定されていた。」
「教会ん中 入って、そったら仕掛け作る時間は星さにねー。そったら力は桐崎さにねー。」
「野伏さが華椿さハメようとしただ。刃物で切れ目ば入れたロープに華椿さ引っ掛けて。」
「何より、オメたつ人殺しなぞしねっだろ?」
「…俺か桐崎も華椿と同じように誘導されて、自覚のない殺人者にされた可能性もある。」
「……っ!」
「えっと…でも、そんなことをする理由、野伏君にあるかな?それで野伏君は死んじゃったんだよ?」
「……死んでも構わない。そんな風に考える奴だっているのさ。いや、死んだ方がマシ…か?」
(星君が そんなことを言って、虚空を見つめる。彼が本当に死んでしまいそうな気がして、ゴン太は焦った。)
「死んだ方がマシなんて…そんなの分からないよ。」
「……。」
「…どっしょもなく辛ぇ時は、そうだべな。」
「……。」
「そんな…。」
「とにかく、野伏さを理解しようとするだけ無駄だべ。あん人は意味わがんねがった。そんだけだ。」
「確かに…言動すべからく奇妙奇天烈摩訶不思議でしたよね。」
「やだなぁ。須くの使い方 間違える人、多くって。自称社員に おしおきしとかないとだね。」
「……どうやら、明らかにしなければならないでしょう。野伏さんの奇妙な行動を。」
(モノクマの意味不明な言葉を無視して、華椿さんが冷静な声を吐き出した。)
(ゴン太は野伏君の言動を思い出しながら口にした。)
「野伏君は…本島で人を殺したのを告白して、ゴン太達に『自分を殺せ』と言って教会に立て篭もったね。」
「ああ。『前回、ゴン太を殴ったのは自分だ』…そうも言っていたな。」
「本当でしょうか。いつものホラだった可能性は?」
「こんな大掛かりなことをしたのに…あれが嘘だったなんてことあるんでしょうか!?」
「殴られたゴン太さは どうだべ?野伏さが犯人だったとして、しっくりくっぺ?」
「……うん。野伏君、とても運動神経が良いんだよ。ゴン太が捕まえようとしても逃げられるくらいで…。」
「だから、ゴン太を殴った人が野伏君だって言われたら…おかしくないって思うよ。」
「言われてみれば…イーストック先生が気配を消して背後から襲いかかる…!というのは…難しい気がします。」
「んだなぁ。その点、野伏さは物音立てずに死角から現れることも多かったべ。」
「まさに殺し屋のようですね…。恐ろしい。」
「ええ…?華椿先生が それを言います?」
「問題は、前回の事件で野伏がゴン太を殺そうとした動機だ。」
「えっと…外に出たかったってことじゃないのかな?」
「ーーいや、だとしたら、今回の行動は おかしい。 俺たちに自分を殺させようと派手に動いたのは何故だ…?」
「誰かを殺して外に出るなら、隠密行動が基本ですね。」
「野伏先生の動き…黒幕ムーブっぽくなかったですか?」
「黒幕?」
「だって、私を殺せ!さもなくば殺す!…なんて、動機 提示して、コロシアイを盛り上げたいとしか思えません。」
「黒幕…?野伏さがオラたちを島に集めて、こんな悪趣味なことさせてたべか!?」
「ーーいや、それは違うと思うぜ。あいつが黒幕だったとは思えない。」
(野伏君が黒幕とは思えない。その理由はーー…)
「獄原、何を言ってる?」
「……っ、ご、ごめん!」
「おっとぉ!みんなのトラウマ、仲良くなって名前呼びしてくれてたキャラが苗字呼びに戻る瞬間だぁ!」
△back
「そっか…。野伏君はルール説明の前に人を殺してる…。」
「あ…。身元不明の焼死体ですね。」
「ああ。コロシアイのために人を集めた黒幕側が開始前に人を減らすとは考えにくい。」
「けれど…わたくし達の疑心暗鬼や不安を煽るため…ということも考えられます。」
「野伏は、モノクマに釘を刺されて『2人目は慎重に』選んだんだ。ルールを知らなかったってことだろう。」
「1人を考えなしに処理してしまいましたから、2人目は慎重に選ぶ必要があったのです。」
「そ、そう言えば…言っていたね。」
「待ってけろ。2人目は慎重に選んだ?もう選ばれてたのけ?2人目の犠牲者。」
(野伏君が選んだ『2人目』…。)
▼野伏が選んだ2人目とは?
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|---|---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
「なじょして、そいつが おメガネに適っただ?」
「えっと…メガネ、ゴン太しか掛けてないよ?」
「参加者の内2人…できれば男女で掛けておいて欲しいんだけどね。まあ、最初に死んでた人が掛けてたんでしょう!」
△back
「野伏君が2人目に選んだのは…ゴン太だよ。」
「えっ…?あ!前回の事件ですね!!」
「野伏さんは獄原さんを殴り殺した…はずでした。獄原さんは生き返りましたが。」
「だども、吟味してゴン太さ狙っただか?自分よりもデケェ人ば、狙う理由なんかあるけ?」
「ゴン太先生より小柄で鈍く殺しやすそうな人はいるのに…。まあ、その場合、真っ先に狙われるのはボクですが。」
「えっと…ゴン太が狙われた理由はーー…」
閃きアナグラム 開始
ギュ ラ
ー イ
「そっか。ゴン太は、モノクマにイレギュラーだって…そう言われたから…。」
「誰も信じてませんでしたけどね。…まあ、ボクは ほんの少し、ちょっぴり微量ながらビビッてましたが。」
「野伏さんも信じていないように見えましたが…それは演技だった。…と?」
「ああ。可能性はある。」
「野伏君はゴン太がイレギュラーだから、ゴン太が死ねばコロシアイが終わると思ったのかな。」
「そっが?コロシアイを終わらせるために…っつーのが動機だべか?」
「……危うくボクらが全滅ルートだったんですけどね。」
「けれど…彼がコロシアイを終わらせたかったとすると、今回も そのために狙った人物がいたのかもしれません。」
「結局、死んずまったのは野伏さ自身だったけどな。」
「……野伏先生が狙っていた人物って…他の人よりクロになりやすい人じゃないでしょうか。」
「クロになりやすい人?」
「ほら…クロになりやすい人を殺してしまえば、もうコロシアイはなくなる…とか。」
「ーー学級裁判を考えると、そう野伏が考えるのは不自然だが…。」
(星君が言った。次いで、深く呼吸してゴン太を見た。)
「ゴン太、クロになりやすい人物に心当たりはあるか?」
(クロになりやすい人は、もしかしたらーー…)
1. 頭が良い者
2. クロ候補生
3. 世紀末覇者
「…そのタイプもクロになりやすそうではありますが。」
「はっきりとは言いにくいんですけど、もっと真面目に考えてくださいっ!!!」
(はっきり きっぱり叱られた。)
△back
「そっか…。クロになりやすい人は、クロ候補生じゃないかな。」
「クロ候補生…。」
「…星先生が冬ノ島で見つけた冊子にありましたよね。野伏先生は、あれがボクらのことだと言っていました。」
「それだけではありません。モノクマが高橋さんについて殺人鬼であると認めていましたね。
「これまでに死んだ人らも犯罪歴があっだみてぇな話だったな。」
「…イーストック先生の手記にも『16人中8人』というメモがありました。」
「……だから、クロ候補生をハッキリさせれば…この事件は見えてくる…んじゃないでしょうか?」
「………。」
「死んだ人たちの中に5人。残り3人の内、恐らく2人は、仕置人の華椿先生と掃除屋の野伏先生。そして…残り1人が…」
(残り1人が、この…裁判場の中にいる。)
(ゴン太は、”彼”に目を向けた。既に、本人から過去に何かがあったことは聞かされていた。)
(野伏君のことがあって、結局 詳しくは聞けていなかったけど…。)
(ゴン太は、目を閉じたまま俯いた人物に声を掛けた。)
▼クロ候補の最後の1人は?
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|---|---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
「ゴン太さん。本気で仰っていますの?だとしたら、貴方様には やはり相棒のムシムシさんが必要ですね。」
「ワクワクさんみてぇに言うでね。そん人の相棒はゴロリだべ。」
「うう…ごめん。何を言ってるか…ゴン太には分からないよ!」
△back
「星君…。クロ候補の最後の1人は、星君…じゃないかな。」
「……えっ?」
「星さ…が?」
「……確かに、星さんには只者ではない雰囲気ではありますが。」
「星君。ずっと聞けていなかったこと…今、話してくれないかな?」
(星君は俯いたままだ。ゴン太に話してくれるって言ってたけど、こんな所で話す気はなかったのかもしれない。)
(火野君の秘密を星君の前で明かしてしまったことを思い返しながら、星君の胸中を思って不安になる。でもーー…)
「ごめんね、こんな所で こんなことを聞いて…。けど、今…聞いておかなきゃいけない気がするんだ!」
(ゴン太が言うと、彼の方からフッと息を吐く音がした。そして、)
「ーーあんたの言う通りだな。」
(彼は俯いていた顔を上げた。その瞳には、いつもと同じ冷静さの他に、いつもとは違う色も見てとれた。)
「聞けていなかったこととは何ですの?本当は2人だけの秘密にするつもりでしたの?どういうことですの?」
「華椿さ、ちょっと黙っててけろ。」
「ゴン太先生、クロ候補生の1人が星先生って、どういうことですか!?そ、そんなはずないですよ!」
(みんなが困惑気味にゴン太と星君を交互に見る。何を言うべきか考えて口をパクパクしてると、星君が口を開いた。)
「ゴン太には前にも溢しちまったことがあるが…俺は人殺しだ。」
(彼の言葉が重く裁判場に響く。それから、みんなの困惑の声が上がった。)
「……え?えええええ!?」
「人殺し…?星さが!?だ、誰だべ!?誰をヤッつまったんだべか!?」
「…まさか、貴方様にも何か守り伝えるべき家業が?」
「いや…俺のは家業なんてもんじゃねー。ただの過ちさ。」
(そして、星君は話してくれた。ある日、家族や恋人、友人、周囲の人々 全て失ったこと。)
(報復に”超高校級”の才能を使ったこと。ここに来る前は囚人だったこと。ここを出ても、もう誰もいないこと。)
「………。」
「…驚くべきことです。」
「つまり、星さが最後のクロ候補ってことだべな?」
「…ああ。そうだろうな。」
「そんな…そんなはずないです!」
「これは事実だ。変に怯えさせたくねーから黙ってたがな。…すまなかったな。」
(星君は動揺する桐崎さんに優しい声を投げかけた後、真っ直ぐゴン太を見て言い放った。)
「そして、野伏は俺をクロに仕立て上げた可能性がある。俺にさえ気付かせずに…な。」
「……!」
(彼の言葉が再び重い響きとなって裁判場内を駆け回る。)
(ゴン太は彼の表情を見つめながら、拳を握りしめた。)
学級裁判 中断















コメント
更新ありがとうございます、とっても楽しみに待っていました…!
前回ロープのコトダマが出てきた瞬間に、もしかしてハナハナ犯人か?と思ってしまったのですが論破がそんなに単純な訳がなかったです_(:3」z)_
星くんの過去もこんなタイミングで話すことになってしまうとは…
事件の全貌はまだ全然見えてきてませんが、次回の裁判編も楽しみにしています♪
コメントありがとうございます!ロープのくだりはもっと後出しして、ミスリード要員にしたかったんですが、なりませんでした笑 星君も早々にカミングアウトしたら死亡フラグな気がしてこのタイミングになりました; コメントを励みに最後まで頑張りますので、また覗いてやってください◎