Round. 5 教会とカネの音と私 学級裁判編Ⅱ

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Round. 5 教会とカネの音と私 学級裁判編Ⅱ

 

学級裁判 再開

 

(星君は人を殺したことがあって…囚人だった。クロ候補生だった。)

 

(その話に驚いて、ゴン太は何も言えなかった。ただ、星君が抱えた過去や苦しみを想って胸が痛くなった。)

 

「おっと…同情はしてくれるな。俺は可哀想だなんて思われていい人間じゃねー。」

 

「星君…。」

 

「今、考えるべきは、野伏を殺したクロだ。」

 

「そ、そうですね!星先生が囚人かどうかは、この事件には関係ありませんよ。」

 

「…確かに、俺には殺意も自覚もないが、野伏がクロ候補生である俺をクロに仕立て上げた可能性があると思うぜ。」

 

「そ、んな…。」

 

「自覚のねぇ犯人…。華椿さのドジ以外で、そったらこと起こりうるだか?」

 

(自覚のないクロ。そんな言葉を聞いて、後頭部がズキズキ痛んだ。)

 

「ボ、ボクは…星先生はクロなんかじゃないって思います!!」

 

「野伏さんが貴方様をクロに仕立て上げるなんて…そんな方法があるのですか?」

 

(星君は少し思い出すような仕草を取って、それから話し始めた。)

 

「俺が冬ノ島の教会に行ったのは1回目の移動の後、ゴン太の後だった。」

 

「俺がしたことは…野伏に声を掛けたこと。それから正面玄関の扉を開けようとした。」

 

「ゴン太の時と同じで…扉は開かなかったんだね。」

 

「ああ…。取手を下げたまま、力任せに扉を押したり引いたりもしてみたがな。」

 

「そんな状態で、どうやってクロになれんだべ?」

 

「そ、そうですよ!そんなの…不可能です!星先生は裏口も知らなかったんでしょう!?」

 

「ドアの取手に手ぐすや糸、ワイヤー等で仕掛けを作ることは…できたかもしれません。」

 

「えっ!」

 

 

ノンストップ議論1開始

 

「ドアの取手と弓のような物を手ぐすで繋げて張らせるんです。弓を引いた状態で。」

 

「それがドアの取手を動かすことで外れ、引いた弓が元に戻る。その時、矢が発射されるのです。」

 

「弓も矢も落ちてなかったけんどな。」

 

「矢の代わりがメスだったのかもしれません。」

 

「そ、そんな…でも、弓なんてなかったじゃないですか!」

 

「弓だって何か代替品が使われたのかもしれません。」

 

【死体の状態】→矢の代わりがメスだった

【教会のレコーダー】→代替品が使われた

【教会の椅子】→代替品が使われた

 

 

 

「代替品という言葉は…あまり好きではないんですけどね。」

 

(どうしたんだろう。華椿さんが落ち込んでいる…。)

 

 

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「それに賛成だよ。」

 

「教会の椅子にゴムが取り付けられていたんだ。」

 

「ゴム…?」

 

「ああ。傾けた椅子の座面に沿う形でな。張ったゴムにメスを掛け、扉の取手を繋げておけば…。」

 

「星さんが取手を動かした時にメスが放たれる仕掛けができる…と。」

 

「た、確かに、割り箸でボーガンだって作れますけど…!でも、それだったら星先生以外も犯人になったはずですよ!」

 

「星さがクロ候補生だから野伏さが犯人に仕立てたって話だっただな?」

 

「……っ!だから、星先生はクロ候補生なんかじゃ…!」

 

「桐崎。もういい。」

 

「星先生…!」

 

「あんたが必死になる必要はねーさ。俺が人殺しなのは事実だ。そんな俺を野伏が警戒したっていうのもな…。」

 

「でも、でも…!」

 

「そ、そうだ!!メスが肩に刺さったくらいじゃ人は死にません!星先生はクロじゃないでしょう!?」

 

「……その話は、さっきもしたぜ。」

 

「ふあ〜あ。同じようなネタを何度も擦らないで欲しいんだよなぁ。どのシリーズだっけ?これやったの?」

 

「っていうか、本家でもあったっけ?もー、書いてるヤツの記憶力脆弱だから忘れちゃったよ。」

 

「な、何ですか…!」

 

メスに毒でも塗っておけば、殺しになるんだよ。野伏の死因はモノクマファイルに記載がないからな。」

 

「で、でも、星先生はーー…」

 

「野伏さんがクロに仕立てた。そして、殺意はなくとも、クロは裁かれる。」

 

「……!」

 

「じゃあ…この事件、野伏さがメスに毒塗って仕掛けさ作って、星さをクロにしたっちことけ?」

 

「ど、どうして…?」

 

「ゲームを終わらせるため…だったんだろうよ。」

 

「星先生をクロにしたところで、コロシアイが終わるはずないじゃないですか!!!!」

 

「……違いねぇ。悪いが、俺が おしおきされたところで、このゲームは終わらねー。」

 

(野伏君は…ゴン太と同じだったのかな。みんなのためなら、死んでもいい。そう思ったのかな。)

 

(野伏君の言動を思い出す。特に、昨日から、たくさん彼は気になることを言っていた。)

 

 

「ゲームと関係のない殺し…。ターゲットではない者を殺すことはリスクになるのです。」

 

「……このコロシアイ。無作為に集められたわけではない。既に半数の人間が知っているのでは?」

 

 

「……野伏君は、この…コロシアイについて何か知ってたのかな?」

 

「何だべ?」

 

「だって、彼は半分の人が気付いてるって…そう言ってたよ。半分の人ってクロ候補生…だよね。」

 

「悪いが、俺には さっぱりだな。」

 

「クロ候補生の星さも知らねんだな?野伏さだけが持つ情報だべか?」

 

「いや、だから星先生はクロ候補生なんかじゃないですって。」

 

「華椿さは どうだ?何か知ってっか?」

 

「……。」

 

「どうしただ?怖ぇ顔して。」

 

(伊豆野さんの言葉に華椿さんの方を見る。確かに、彼女の顔は今まで以上に強張っていた。)

 

「わたくし……。申せません。」

 

「え?」

 

「この話題について…わたくしには聞かないでくださいまし。」

 

「ど、どういうことだべ!?オラにも言えねぇっちことけ?」

 

「ごめんなさい、伊豆野さん。貴女様であっても…ごめんなさい。後生ですから。」

 

「……。」

 

「華椿先生…。」

 

「うぷぷぷ。5章で5勝を狙い後生のお願いってね!後生も何も、後がないのにね!」

 

(華椿さんは俯いて、脱力している。いつもの泣いている表情じゃない。でも、その不安がゴン太にも伝わってきた。)

 

(それでも…ゴン太たちは真実を見つけなきゃいけない。)

 

「ごめん、華椿さん。ゴン太は…クロ候補生について、もっと話し合うべきだと思うんだ。」

 

「ああ…。俺も同感だ。」

 

「んだな。……華椿さは無理に入ってこなくてもいいだよ。何で話せねっかは…しんねーけど。」

 

「……。」

 

「…そ、そうですね!話し合える人で、話し合えばいいんですよ。」

 

「まず、俺が冬ノ島で発見した冊子だ。今までの死者の内のクロ候補生が記載されてると見て間違いねーだろう。」

 

(星君に言われて、ゴン太が預かっていた冊子を取り出した。)

 

16人中8人ハ、クロ候補生デアル。内、死亡者ノ犯罪歴ハ以下ノ通リ。
 切リ裂キジャック…推定殺人数15人
 人肉解体業者…推定解体数38人
 デマゴーグ…推定自殺教唆数59人
 武器商人…推定武器販売総額1.6億円
 運ビ屋…推定密輸総額5800万円

 

(確認して、ゴン太は隣の人に冊子を手渡した。冊子は巡って、星君の手に収まった。)

 

「このクロ候補生が誰だったのか。あんた達は想像できそうか?」

 

(…野伏君は「なんとなく分かる」って言ってたよね。)

 

(今、分かっているのは、切り裂きジャックの高橋君。死んだ人の中で、残りはーー…)

 

▼人肉解体業者・デマゴーグ・武器商人・運び屋とは?

これが、ゴン太の答えだよ!

 

 

 

「運び屋が馬術部の河合先生…。ど、どうりで、馬術部がドローンというのは おかしいと思ったんですよ!」

 

「うぷぷ。馬もドローンも金稼ぎの手段であって、目的ではなかったんだね。」

 

「武器商人はテイラーの平。服にナイフを仕込んでいたからな。しかも『河合と自分は同じだ』とも言っていた。」

 

「かたはば〜って歌いながら、肩幅を削る武器こさえてたんだろうね!」

 

「ちょっ、ちょっと待ってけろ。人肉農家が蔵田さなら、オラたち知らずに人肉も食っちまったんでねぇか!?」

 

「大丈夫。美食家・蔵田さんの家業で提供するのは新鮮な肉だけ。この島に加工できる人肉はなかったはずだよ!」

 

「イーストック君の遺書から…彼はデマゴーグ…なんだと思う。」

 

「うんうん!誤情報で個人の人生を破滅させ59人を自殺に追いやる素敵家業はイーストッククンん家。」

 

「ま、彼は誤情報を広めたくないが故に伝わらないように情報発信してばかりの落ちこぼれだったけどね。」

 

「……切り裂きジャックは高橋さんの家業…ということで間違いありませんね。」

 

「華椿さ…。」

 

「あー、それがね。家業は家業でも、高橋クンって天涯孤独の身なんだよね。だから、彼 創業って感じ?」

 

「それは果たして家業っていうんですか?」

 

「ま、何はともあれ、このゲームの参加者には8人のクロ候補生がいたんだ。」

 

「普通の”超高校級”じゃなかったの。色んな裏の家業を持つ人に参加してもらってたってわけ。」

 

「運び屋。武器商人。人肉も卸す農家。デマゴーグ。掃除人。切り裂きジャックに仕置人。それから、もう1人。」

 

「……。」

 

「…おかしいよ。だって、星君は…家業じゃないでしょ?」

 

「高橋だって、厳密には家業じゃない。俺も天涯孤独の身になってから犯罪に手を染めた。同じ扱いだってだけさ。」

 

「でも…やっぱり変だよ。星君は、ゴン太と同じだから。」

 

「同じ…?あんたと俺が…?」

 

「何の話してんだべ?」

 

「ゴン太と星君が同じなのはーー…」

 

1. スポーツタイプ

2. 個室の箱

3. ロッカーからスポーン

 

 

 

「……何を言っている?」

 

「ご、ごめん。自分でも何を言ってるか分からないや。」

 

 

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「捜査時間、星君の個室の箱を見たけど、ゴン太の部屋と同じで開かなかったんだ。」

 

「でも、野伏君とイーストック君の部屋の箱は開いていた。」

 

「そういや、オラたちで確認したべな。それが何だべ?」

 

「高橋、河合、平の部屋の箱も開いていたな。あれが事件と関係があるって言うのか?」

 

「……。」

 

「……箱って、三途河先生が死んだ事件後に見ましたよね。最初の死者…狩野先生と焼死体の個室も開放された日。」

 

「三途河さんの箱も、死体で発見された2人の箱も開かなかったから、死んだ人の箱が開くってわけじゃないよね。」

 

「ええと…三途河先生のはモノクマが特別にって開けに来ましたね。中にが入っていて、平と書いてありました。」

 

「そういや…貝なんだべな。」

 

「…ああ。」

 

「蔵田さが死ぬ前、ハマグリが どうのっち言ってたべ。何か関係あるんか?」

 

「……。」

 

「箱が開いていたのは…高橋先生、河合先生、平先生、イーストック先生、野伏先生ですよね。」

 

「……蔵田の個室は時間切れで調べられなかったが…恐らく、箱は開いていたんだろうな。」

 

「…それって、」

 

「うん。箱が開いていた人はーー…」

 

1. クロの組織

2. クロ候補生

3. クロード・モネ

 

 

 

「ボケかましてる場合じゃねぇべよ!カマスにしちまうぞ!」

 

「か、かますって何?」

 

 

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「…そっか。ゴン太、箱が開いてた人はクロ候補生だったんだって思うよ。」

 

「……。」

 

「…そ、そうですよ!高橋先生、河合先生、平先生、イーストック先生、野伏先生、そして多分、蔵田先生!」

 

「箱が開く人がクロ候補生!でも、星先生の箱は開かなかったはず。星先生はクロ候補生じゃない!QEDです!」

 

「……。」

 

(弾んだ声を上げる桐崎さん。対照的に、華椿さんは黙ったままだ。)

 

「華椿先生の箱も開いていたんですよね。そして…この中に、もう1人…箱が開いている人物がいる。」

 

(桐崎さんが、急にトーンを落としてゴン太に向き直る。)

 

「ゴン太先生。その人物は……誰ですか?」

 

(この中で、箱が開いていたであろう人物。クロ候補生の最後の1人はーー…)

 

▼クロ候補生 最後の1人は?

   

 

 

 

「ゴン太先生、落ち着いてください!!心が乱れた時はアイドルのプロデュースをしてる気分で!」

 

「その後、熱い火に炙られても『キミのためなら』とスノーマンスマイルですよ!!」

 

「き、桐崎さん、落ち着いて??」

 

 

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「最後のクロ候補生は……桐崎さん。…だよね。」

 

「……え?」

 

「桐崎さ…だべ?」

 

「華椿さん以外で…ゴン太は、星君と伊豆野さんの箱が開かないことは知ってるんだ。」

 

「残る1人は、桐崎さんしかいないんだよ。」

 

(ゴン太が桐崎さんを見つめると、彼女は少し寂しげに笑った。)

 

「……ナゾ解明、ですね。さすがゴン太先生。」

 

「……あんた。」

 

「あ、貴女様も…?」

 

「すみません。ずっと、嘘を吐いていました。しがないインテリミステリオタクを演じていましたが、それは仮の姿。」

 

「え…演じてただか、インテリ……?」

 

「ボクは善良な市民とは言い難いドブネズミです。何かに寄生しないと生きていけない虫みたいなものです。」

 

「き、寄生虫さんがいないと宿主が困ることだってあるよ?」

 

「…ゴン太先生、ありがとうございます。でも、その言葉は今、慰めにならないかと…。」

 

「…桐崎、あんたにも家業があったってことだな?」

 

「……ええ。父から教わった生業があります。まあ、教えを受けた後すぐ父は蒸発しましたが。」

 

「そんな…家業とは一家で協力するものでは…!」

 

「ボクの家は違ったんですよ。それに…他の皆さんに比べ、大それたことをしていたわけでもないですから。」

 

「……それでは、ここで新しいナゾです。」

 

「ボクの家業は…ボクが犯してきた犯罪は…何でしょうか?」

 

(桐崎さんの家業…。今までの彼女や他の人の言動から分かるのかな…。)

 

 

「新しくアウターを贈ろうか?キミの服は…キミ用のものじゃないみたいだし。」

 

(そんな時、春ノ島でテイラーの平君が言ったことを思い出した。)

 

1. 殺し

2. 脅し

3. 盗み

 

 

 

「ゴン太…よく考えろ。桐崎のことを見てたなら、俺でも分かる。」

 

「俺でもって…星先生の感情共感力がカンストしてるからでは?ポアロも びっくりの心理観察者ぶりですよ。」

 

「くどいようですが、星先生には金田一派であって欲しいんですけどね。」

 

 

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「そっか…。桐崎さんの家業は…盗みに関係があるものじゃないかな。」

 

「……どうして、そう思うんですか?」

 

「桐崎さん、前に平君に言われてたよね。『自分の上着じゃない』って。その上着、誰か他の人の物なんじゃない?」

 

「あ、そういえば、男物だっち言ってたべな。」

 

「……。」

 

(ゴン太が桐崎さんを見つめると、彼女は少し沈黙した後、自嘲気味に笑った、)

 

「はは。正解です。」

 

「ボクは追い剥ぎってヤツです。死体から金目のものや衣類や髪の毛…全てを頂いて、自分が生きる糧にするんです。」

 

「か、髪の毛もだべか?」

 

「これを抜いてな、これを抜いてな、カツラにするんじゃぁ…。ってヤツだね!文豪もドン引きのエゴイストさ。」

 

「…そんなの、言われなくても分かってますよ。」

 

「とにかく…星先生はクロ候補生なんかじゃないんです!このボクが、クロ候補生なんですから!!」

 

「……それで、あんたは大丈夫なのか?」

 

「え?」

 

「今まで それを語らなかったのも、今 華椿が黙っているのも…あんた達が何かを握られてるからじゃねーのか?」

 

「何か…?何だべ?飯とかハンドルとか握られてるんか?華椿さ…!?」

 

「……ッ。」

 

(伊豆野さんに視線を向けられた華椿さんは苦しげに目を伏せた。)

 

「華椿先生に聞かないであげてください。華椿先生もボクと同じで家業を共にする者…家族という弱みがあります。」

 

「家族…。」

 

人質…か?」

 

(桐崎さんがコクリと頷いた。)

 

「皆さんの箱には恐らく、三途河先生と同じようにクロ候補生の名前入りハマグリが入っているのでしょう。」

 

「しかし、ボクらクロ候補生の貝には、ルールが書かれていたのです。細かい字で。集合体恐怖症なら倒れるほどに。」

 

「ルール?」

 

「コロシアイにおける追加ルールです。たぶん…ハンデみたいなものなのでしょう。」

 

1人を殺せば家長を生かし、ターゲットを殺せば一家全員を生かす。これが貝に書かれていたルール。」

 

「もちろん、これらのルールは他言無用。違反すれば直ちに一家は死の苦痛を味わう…と。」

 

「……。」

 

「ターゲット…か。野伏も そんなことを言っていたな。」

 

「ええ。ボクらには決められたターゲットがいたのです。けど、ボクらにも、それが誰なのかは分からなかった。」

 

「ただ、貝合わせで示されていたんです。」

 

「貝合わせ?」

 

「前回、イーストック先生のメモ帳を借りた後、調べたんです。貝合わせは貝を使った神経衰弱みたいな遊びで…」

 

「2枚貝の上下の貝殻を切り離し、それぞれに同じ絵を描いて当てる遊びらしいです。」

 

「2枚貝の貝殻は同じ形でピッタリ合うものは他にないらしく、赤い糸みたいに唯一無二の相手を指すとか。」

 

「それから…イーストック先生の手記には”media naranjaメディア ナランハ“という言葉も残っていました。」

 

「スペイン語で“オレンジの片割れ”です。」

 

「…あ!平君が…最期に言ってた…!」

 

「……ええ。切り分けたレモンの片方…ではなく、オレンジ。あれも、この国の貝合わせと似た意味があるようです。」

 

「他に合うものがないほど、運命的な繋がりってやつかな。クロと被害者。ロマンチックあげるよ。」

 

「三途河先生の貝に平先生の名前がありましたよね。平先生のターゲットは三途河先生だったってことです。」

 

「このコロシアイで殺人を起こさなかったクロ候補生は、大切な人を殺される。だから…みんな必死だったんです。」

 

「そーそー!これまでクロになった人たちもね!」

 

「じゃあ、イーストックが蘇りの薬を実験してたのは…。」

 

「オマエラのためじゃなくて、家族のためだったのかもねー!運営ボクらが家族を殺しちゃった後のため?」

 

「自分が殺人に手を染められず家族が殺された後の手立てを模索してたんだ。バカだな、誰か殺した方が早いのに!」

 

「ま、結果、イーストッククンは虎林さんを殺せたわけだから、少なくとも家長の命は保証されましたっと!」

 

「下劣者…何が おかしいのです。」

 

「みんな必死だったんだ。河合さんも、平クンも、蔵田さんも。」

 

「ま、本能のままにコロシアイ前に殺っちゃった人たちは知らないけどね。」

 

「……。」

 

「ちなみに、クロ候補生の持ってた貝殻は死んだ時点で回収させてもらったよ。」

 

(モノクマは嫌な笑い声を上げた後、ふと真顔になって左目を光らせた。)

 

「でもさぁ、桐崎さんにペラペラ話されるのは想定外だったかなぁ。」

 

「……。」

 

「あ!そうだべ!桐崎さの家族が八つ裂きにされんべ!?」

 

「む、無駄にエグい想像しないでください。ボクには父以外家族はいませんし、父も生きているか分かりません。」

 

「それに…ボクが野伏先生を殺してしまったんでしょうから。」

 

「……1人を殺せば、家長を生かす…ですか。」

 

「桐崎さが野伏さを殺したんだべ?」

 

「……クロ候補生は野伏によってクロに仕立て上げられた可能性があったな。」

 

「ええ。野伏先生がクロにしたかったのは星先生じゃありません。ボクです。」

 

「そして、先程の扉と毒メスの仕掛けは正面ドアじゃなくて、裏口にあったはずなんです。」

 

「裏口…?」

 

「…ボクが教会に着いた時、正面扉側から野伏先生に話しかけました。その時…」

 

「彼は答えたんです。」

 

「え?答えたんだか?」

 

「はい。すみません、返事がなくて屍のようだったというのは嘘でした。彼は扉越しにボクの秘密を暴いたんです。」

 

 

「貴君が”最後のひとり”でしょう?」

 

「な、何のことですか!?」

 

「貴君の箱は…開いている。そして、貴君の正体を知るのは、焼死体の正体を知る者のみ。」

 

「……!」

 

 

「…焼死体の正体?」

 

「焼死体と貴女様と、何の関係が?」

 

(…焼死体は野伏君が殺してしまった人。桐崎さんは殺しに加担なんてしてないはずだ。)

 

「……なるほどな。俺には野伏が死体を焼いた意味が分からなかったんだが、それなら納得がいくな。」

 

「それってーー…?」

 

1. 死体を焼いたのは桐崎

2. 死体を作ったのは桐崎

3. 死体を運んだのは桐崎

 

 

 

「や、やめてください。ボクは ただの盗人です!しかも、生きた人からは頂きません!頂きません、死ぬまでは!」

 

「盗人と言えば、逆に推理モノの生存率を上げるんですから!」

 

 

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「まさか…あの死体を焼いたのは桐崎さんだったの?」

 

「……。」

 

(彼女は小さく頷いた。その様子から、また平君が言ってたことを思い出した。)

 

「その上着、あの焼死体…野伏君が殺した人から盗ったものなんだね。」

 

「そうなのですか?男性物のジャケットだとは思っていましたが。」

 

「よく見りゃサイズも合ってねぇだな。」

 

「……はい。軽蔑されるでしょうが…その通りです。ちなみに、帽子も拝借しました。」

 

「野伏は死体を焼いちゃいなかったってことだな。」

 

「……う、はい。ボクが…焼きました。」

 

「えっ、勝手に火葬したんだべ?」

 

「そ、そうです…。」

 

「被害者の彼が土葬の文化圏だったら どうするのです?鳥葬の宗教信者だったら?」

 

「…うう。仰る通りですが、あの宗教の人たちも今は鳥葬してない気が…。」

 

「野伏には死体を焼く理由なんてねーからな。ただ、海に捨てればいい。」

 

「実際、海に捨てたのでしょうね。けれど、ゴミ収集プログラムによって死体は島に戻ってきた。」

 

「ええ。近くにいたわけじゃなくて…野伏先生が殺して海に投げた死体が灯台に送られ、ボクが発見したんです。」

 

「だども、桐崎さだって死体を焼く必要はねっだろ?身ぐるみ剥ぐだけでいんだろ?」

 

「………。」

 

「桐崎、あんた…身ぐるみ剥いで焼いた後、さらに海に捨てたんじゃねーのか?」

 

「……。」

 

「どうして、そこまで言えるのです?」

 

「焼死体が見つかったのは、その日じゃねぇ。翌日になって再び東の灯台に現れた。」

 

「そ、そっか。初日は みんな、たくさん探索してたから、もし死体があったら見つかるはずだよね。」

 

「確かに…西の灯台の死体と異なり、焼死体は灯台前に剥き出しでしたからね。」

 

「何でだ?何で死体さ焼いて…海に捨てて…って、そこまでしただか?」

 

「ううう…。これも、言ったら軽蔑されるでしょう…。ボクは全てを盗むコソドロですから…。」

 

(全てを盗む…。もしかして…。)

 

1. 名前

2. 容姿

3. 財産

 

 

 

「うう…。みなさんと出会うまでは…盗みを恥だなんて思ったことなかったんです。」

 

「むしろ、死ぬまで借りてるだけだぜ!って思ってました…。」

 

「桐崎さん…。」

 

 

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「そっか…。桐崎さんが盗んだのは上着だけじゃなくて…名前も…?」

 

「名前…?」

 

「桐崎ゴンベーって、偽名だったべか!?」

 

「偽名…というか、名前も盗んだというか…。」

 

「つまり、追い剥ぎして死体ば焼いた上に、名前まで盗っつまったわけだか!?」

 

「…うう…う。軽蔑してください。これがボクの家業なんです。」

 

「…幼き頃より『それが善』と教え育てられたのです。それが…わたくし達、犯罪家業の咎…。」

 

「……そうか。まあ、親や師匠が言ったことが絶対になっつまうんは分かんべ。」

 

「…いえ、皆さんに触れて、倫理道徳も少しずつ学びました。許されざる行為です。」

 

「あんたの才能…ミステリー研究部員っていうのも、死体から奪った肩書きか?」

 

「いいえ。これは前に盗んだ才能です。”超高校級”があると便利ですから。それからミステリも勉強しました。」

 

「才能も…ウソだったべか。」

 

「すみません…。」

 

「フッ…今は嘘を責める時間じゃねーさ。それで、野伏とは どうなった?」

 

「…野伏先生は、ずっと探していたようです。自分が殺して海に投げた死体を真っ黒に焼いた人間を。」

 

「そして、彼は言いました。」

 

 

「貴君は…本当に”桐崎 ゴンベー”ですか?」

 

「な、な、な、何をゆってうんですか!ボク、ボクは、き、き、桐崎ですよ!?」

 

「貴君の個室の箱は開いている。そして、貴君の箱には名前も超高校級もないのでは?」

 

「なっ、な、なな何を根拠に?」

 

「皆で死亡者の個室を確認した時、貴君の様子から推測したまで。しかし、そうすると おかしいのです。」

 

「お、おおおかしなおかしなおかしなな??」

 

「そう。箱に名前がないのは、高橋君、焼死体、そして貴君。」

 

「な、にが おかしいんですか!モノクマのウッカリでしょう!?」

 

「なぜなら…高橋 実は、東の灯台で発見された焼死体のものーー私が殺した男の名だからです。」

 

「……え?」

 

「間違いありません。彼を殺して すぐ、彼が携帯していたモノパッドを確認しましたから。」

 

 

「えっと…どういうこと?」

 

「ボクは…いえ、みなさんは、初日から大きな勘違いをしていたんです。」

 

「ボクらが高橋先生だと思っていた人は…高橋先生じゃありません。」

 

「何 言ってんだべ?」

 

「ボクらが体育館前で出会う前…”高橋 実”は野伏先生に殺された。そして、野伏先生は海に”高橋 実”を捨てた。」

 

「えっと、えっと…ゴン太たちが知ってる高橋君は…西の灯台で狩野さんを殺して……」

 

「…それを、わたくしは目撃しました。そして、近くにあったハンマーで殴って…海に落としました。」

 

「ボクは、焼死体から”桐崎 ゴンベー”の名を盗ったと思っていました。けれど、彼の名前は”高橋 実”だった。」

 

「ーーそれじゃあ、ゴン太先生。”桐崎 ゴンベー”って誰だったんでしょうか。」

 

▼桐崎 ゴンベーとは?

   

 

 

 

「ミスロジックハラスメントをミス・ロジハラと名づけましょうか。」

 

「ああ!この世に またハラが増えた!パワハラ…カスハラ…ロジハラ…ヌーハラ…ゴクハラ…サイハラ…。」

 

「やんなっちゃうよね!!」

 

 

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「そっか…。本当は…高橋君は桐崎君だったんだ。」

 

「わけ分かんねぇ言い方だべ。」

 

「高橋と名乗っていた男…最初の裁判の被害者の名前は、桐崎 ゴンベーだったってことだな。」

 

「…しかし、どうして そんなことが?」

 

「野伏先生の推測ですが…華椿先生がハンマーで殴った時点で、”桐崎 ゴンベー”は、記憶を失っていたんです。」

 

「そんな簡単に記憶がスポスポ抜けるもんだべか?」

 

「無理ないよ。あれ、ジャスティスハンマーだっから。打ち所が良ければ忘れた学園生活を思い出したりするけどね。」

 

「高橋を名乗る殺人鬼 “桐崎 ゴンベー”は、記憶を失くし東の灯台に送られた。」

 

「時を同じくして…”高橋 実”の死体も、そこにあったのでしょう。」

 

「”桐崎 ゴンベー”は目覚め、”高橋 実”の所持品…モノパッドを見て、自身を”高橋 実”だと思い込んだ。」

 

「まさか…その後、わたくし達と出会い…そのまま高橋を名乗った…?」

 

「奴は その後、倒れてたな。あれも殴られて海に落ちたことが原因だったのかもしれねぇな。」

 

「何だべ、その ご都合主義の展開。」

 

「そういうもんなんですよ!ミステリってのは!」

 

「そ、そういえば…モノクマ、みんなのプロフィールについては、自己申告に基づいて作ったって言ってたよ。」

 

「ええ。自己紹介の後、全員のプロフィールが見られるようになりましたが、ボクの名前は”桐崎”になっていました。」

 

「そして、高橋君…と名乗っていた桐崎君が、”高橋”君になったんだ…。」

 

「名前シャッフルされるとかボクも焦ったよ。昨今の若者はカード宜しく、名前までトレーディングかーい!ってね。」

 

「ポケカを株代わりに売買する若者か!ってね。おかげで個室の箱の名前を削り取る仕事が増えたんだから。」

 

「それにしても、”桐崎 ゴンベー”が切り裂きジャックって、どんなネーミングセンスだよって話だよね。」

 

「一応、凝りすぎネーム付けない配慮だけどね。ほら、作者からしたら頑張って考えて愛着ある可愛いキャラクター。」

 

「でも、読み手からすれば『誰ダヨ コイツ』だからさ。読み方すら分かりにくいキャラ作るもんじゃないんだよね。」

 

「もっとキャッチャーな…ミーマ=ワルヒトやコゼニー・メグンダルみたいなネーミングができたらいいのに!!」

 

「ちなみに、切り裂きクン、死の直前は名前を思い出してたよ!それで、バレバレの嘘手紙の通り動いたんだね。」

 

「……。」

 

「やれやれ…うるせーな。それで、その後どうなった?」

 

「…野伏先生は、名前が入れ替わっていることまで見抜いて、ボクをクロ候補生だと見破ったんです。」

 

 

「”高橋 実”は、私が殺した者の名。では、我々の前に現れた”高橋 実”は何者だったのか?」

 

「簡単な話です。彼こそ、桐崎 ゴンベーなのでしょう。」

 

「え。」

 

「貴君は東の灯台にあった死体を焼き…名前を奪った。…つもりだった。」

 

「しかし、どうやら同じく東の灯台に転送された男が、先に その名を借りて行ったらしいですね。」

 

「借りるべきではない、名前を。」

 

 

「借りるべきではない…?」

 

「……。」

 

「ボクらの貝にはルールが書いてありました。そこに書かれていたんです。『高橋 実は重要人物である』と。」

 

「貝殻1枚に随分と長ぇこと書いてあったんだな?」

 

「いいの、細かいことは!隣国から米粒に絵を描く達人を呼び寄せて書いてもらったとでも思っといてよ。」

 

「高橋と名乗っていた桐崎が河合や華椿に狙われたのは…そのせいか。」

 

「……軽蔑したでしょう。わたくしが高橋さんを殺そうとしたのは、貴方様方を守るため等ではありません。」

 

「最初に彼を殴ったのは、死体を切り刻む彼を見て、恐怖したから。突然やって来た島で異常者から身を守るため。」

 

「獄原さんを装い彼を誘き出して殺そうとしたのは…重要人物を殺せば、自分の家族は助けられると思ったからです。」

 

「全て…自分勝手な…保身のためです。」

 

「華椿先生は家族を想って高橋先生(仮)を殺そうとして無様に失敗しただけです!本当に軽蔑されるのはボク!」

 

(桐崎さんの悲痛な叫びが裁判場に木霊する。ゴン太たちが何も言えずにいると、桐崎さんは続けた。)

 

「華椿先生は脅されて高橋先生(仮)を狙っただけです。他の人たちも脅されてたってことです。」

 

「ボクのことは嫌いになってもクロ候補生のことは嫌いにならないでください。」

 

「出た!アイドルモノマネ!ここじゃ地味にアイドルはコロシアイ常連だったね!」

 

「アイドルにコロシアイなんてさせんじゃねぇべ!」

 

「え?金田一ジッチャンも歴代孫も銀狼も三毛猫の飼い主もディナー後に謎解きする執事もアイドルだったのに?」

 

「下ネタ嫌いの自称弊社社員と”女子のリアルな下ネタ”は言わない発明家の中の人も元アイドルだね。」

 

「またワケの分からないことを。せっかく真面目な話をしてるんですからーー…」

 

「それより、あんたの名前を教えてくれねーか?」

 

「え?」

 

「あんたは桐崎じゃねーんだろ?じゃあ、あんたを何て呼んだらいいんだ?」

 

「……。」

 

(星君の問いかけに彼女は少し黙った後、寂しそうな顔をした。)

 

「分かりません。」

 

「分からない?貴女様まで記憶喪失ですか?」

 

「いえ、桐崎の前の名はありますが…それも借り物で。物心ついた時から借り暮らしなので本名も分からないんです。」

 

「今まで通り呼んでもらうか、アリエッティ…もしくは厨二ネーム・ゼノと呼んでもらってもかまいません。」

 

「ハイハーイ!アイコン的に混乱するから桐崎のままがいいと思いまーす。」

 

「モノクマの意見に賛同するのはシャクですが…ボクも呼ばれ慣れてますから…」

 

「……分かった。それじゃあ、桐崎。”高橋 実”は、何故 重要人物なんだ?」

 

「死体を焼いた あんたなら、何か気付いたんじゃねーか?」

 

(星君が いつも通りの口調で”桐崎”さんに呼びかけた。)

 

「あの人、本当に人…だったんでしょうか。」

 

「ど、どういうこと?」

 

「パーツパーツが人っぽくなかったというか機械鎧みたいだったというか…。いえ、確かに人だったんですが…。」

 

「人でないなら何だと言うのです?」

 

「わ、分かりませんが…たとえば、ホムンクルスとか人造人間とか…。」

 

「こらー!『ダンガンロンパ』以外の話するなーー!!」

 

「ーーなんてね。ネタバラシしちゃうと、彼はAI枠だったんだよ。アルターエゴ枠とでも言うの?」

 

「本当は初期位置としては野伏クンとゴン太クンが近いはずだったんだけどね。アルターエゴ枠のエゴだったのかな。」

 

「…何を言ってる?」

 

「本来、野伏クンと最初に遭遇するのはゴン太クンの予定だったんだ。それをAI枠の高橋クンが阻止しちゃったワケ。」

 

「アルターエゴ枠は、ボク達サイドにとっては不都合なことが多いからさ。早めに排除したかったのはあるけど〜、」

 

「まさかコロシアイ前から排除されるとは思ってなくて、マジびっくり〜!みたいな〜カンジ〜!」

 

(モノクマが意味の分からないことを捲し立てる。いつものことだけど…それだけじゃない気がして無視できない。)

 

「AIって…アルターエゴって何なの?」

 

「うぷぷぷぷ。アルターエゴ枠は、おしおきされる。ゴン太クンにとっても無関係な話じゃないよね。」

 

「AIは、最近よく聞きますよね。人工知能で…アイルビーバックですよ。」

 

「野伏に殺された男が…機械か何かだったってことか…?」

 

「んー、まあ、そんな感じで考えてくれて差し支えないかな?厳密には完全な機械じゃなかった…くらいの設定で。」

 

「完全な機械だったら死体を完全に焼くことは不可能ですからね。」

 

「ううう…。確かに。」

 

「……そんで、桐崎さは野伏さと話して、どうしたんだべ?」

 

「全てを暴かれたボクは慌てました。なんとか教会内に入らねばと必死で…裏口を見つけたんです。」

 

「そ、それで、中に入って殺っちまったべか!?」

 

「そんなことしませんよ!中に入って、皆さんには黙ってて欲しいと お願いするつもりでした!!」

 

「けど、野伏先生は入れてくれませんでした。呼んでも反応もなくなって…。すぐ放送があって移動したんです。」

 

「裏口は鍵はなかったはずだぜ?どうして無理矢理にでも中に入らなかった?」

 

「うう、愚かしいことに…押し戸だと思い込んでいたので…引く発想がなかったんです。」

 

「あの時のボクは、ドアノブをガチャガチャして押すだけの悲しいモンスターだったんです。」

 

「けど…話していた通り、扉に細工すれば教会に入らなくても毒を塗ったメスを野伏先生に刺すことができたんです。」

 

「この事件のクロは…ボク。野伏先生はボクをクロに仕立て上げたんです。」

 

「蔑んでください。偽名で皆さんを騙してノウノウと仲間ヅラして…しかも、まんまと殺しに手を染めたんですから!」

 

(桐崎さんの言葉が反響する。ゴン太の耳の中でも響いて消えた。)

 

「…悪いのは…コロシアイだよ。」

 

(ゴン太が やっと言えたのは、そんなことだけだった。彼女はゴン太に向かって首を振った。)

 

「でも、紳士は追い剥ぎもしないし、人を殺したりもしないでしょう!?」

 

「しないよ!でも…紳士がするかどうか…じゃないんだ。」

 

「いいえ!紳士を目指すゴン太先生にとって、ボクは忌むべきーー…」

 

「ゴン太、今は、紳士的かどうかだけじゃ…紳士になれないって思うんだ!」

 

「え?」

 

「どういう意味だべ?」

 

「……分からないんだ。」

 

「……。」

 

(みんなの訝しげな顔に耐えられず、ゴン太は俯いた。)

 

(ーー紳士って何だろう?優しくて、みんなを守れる人なんだ…そう ずっと思ってた。でも…)

 

 

「考え抜くこと…これも紳士の嗜みってやつじゃないのかな。」

 

「紳士をやるには金がいる。覚えておくといい。」

 

「紳士は…時には残酷に他人を切り捨てなければならないんだよ。」

 

「見守っていて。私の覚悟を…紳士として。」

 

「己に強い勉む。その先に、我が紳士道、極まれり。」

 

「紳士って何なんだろね?」

 

 

(それだけじゃ…ダメなんだ。)

 

(ゴン太は、ただ紳士に憧れるだけだった。”紳士とは何か”なんて…ちゃんと考えてなかった。)

 

(ゴン太は紳士になりたいだけじゃない。みんなを守りたい。みんなを守るのが紳士だからじゃない。)

 

(みんなと一緒に生きたい。みんなと一緒に生きたいから守る…たとえ、それが紳士的な行いじゃなくても!)

 

(みんなが困惑する中で、ゴン太は顔を上げた。)

 

(最初に星君と目が合った。星君はゴン太の顔を見て、安心したように笑った。)

 

 

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コメント

  1. わ、わ、ああぁぁぁ…
    更新待ってましたありがとうございます、色々と衝撃的すぎて何が何やらなのですが、今回もすごく面白かったです!
    ずっと気になってたオレンジの片割れと貝合わせの君がようやく解明されたと思ったら、話が想定外の方向に…
    言われてみれば”きりさき”で発音が同じなのに、なぜ違和感を抱かなかったんだろう、、そういえばモノクマがプロフィールの名前は自己申告とかも言ってたなーうわーーと1人で大盛り上がりしました笑

    続きは気になるけどゴクハラロンパが終わってしまうのは寂しいしで複雑な気持ちですが、最後まで応援しています!!!

    • わ、わ、ああぁぁぁ…だいぶ前に散らかした伏線を覚えていただいていて、さらに盛り上がっていただけた!本当に書いてる本人もわけわからなくなっていましたが、いつも応援してくださったおかげで無事終われそうです!本当に本当にありがとうございます^ ^

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