第一章 絶望ポケット 非日常編

創作

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第一章 絶望ポケット 非日常編

 

「アーハッハッハ、やっぱりコロシアイが起きてしまったね!待ちわびたよー!」

 

「テメェ…!」

 

「ダメダメ郷田クン!器物破損は校則違反。校則違反は死亡フラグ。」

 

「器物扱いなんて傷つくなぁ…。ま、いっか!念願のコロシアイが始まったんだし、張り切っていきましょ〜!」

 

「……。」

 

(モノクマがモノクマファイルなるものを全員に配る。その中には、白銀さんの死がデータとして収められていた。)

 

(被害者は、”超高校級のコスプレイヤー” 白銀 つむぎ。死亡推定時刻は午前10時〜11時頃。)

 

(後頭部に受けた一撃により即死。死亡後、ナイフによって全身を激しく損傷…か。)

 

コトダマゲット!【モノクマファイル】

 

 

(本当に…白銀さんは死んでしまったんだ。そう実感した。)

 

「あれ、ここにいるのは死体含めて15人?1人 足りなくない?遅刻?やだなぁ。」

 

「時間にルーズな人間は、この国の社会では淘汰されるのに。ま、ボク今、上機嫌で この上ないほど幸福だからね!」

 

「現場入りの遅刻くらいは許すよ!さすがに、学級裁判の遅刻は許さないけどね〜。」

 

「じゃ、天海クン。これ、まだ来てない”彼”に渡しといて!」

 

(モノクマが俺にモノクマファイルを もう1つ押し付けて消えた。)

 

「ほ…本当に、学級裁判…するの?」

 

「犯人を間違えたら、犯人以外…全員…。」

 

「クソがっ…!誰だよ!?殺人犯は!?」

 

「言うはずないと思うがね?」

 

「困ったわねぇ。捜査をして犯人の手掛かりを探さないと…。」

 

「…っていうか、けい、どこ行ったー?こんな時に。」

 

「昨日の朝といい…永本先生は遅刻常習犯ですね。」

 

「ねぇ…。永本さん…生きてる、よね?」

 

(佐藤君の言葉で全員息を呑む。白銀さんの遺体を前にして、あり得ないとは誰も言い切れなかった。)

 

(「あの野郎!」と郷田君が声を上げたところで。)

 

「わ、悪い。遅くなっちまったな。」

 

「永本君、良かったっす。何かあったのかと思ったすよ。」

 

「けい、遅いよー。」

 

「テメー、何してやがった!?」

 

「いや、校内を調べてたんだけどよ。……あれ、は、白銀か…?」

 

(現れた永本君は、白銀さんの姿を見て顔を蒼白にして黙りこんだ。)

 

「とにかく、みんな揃いました。……時間が惜しい状況です。手分けして手掛かりを探しましょう。」

 

「ツーマンセル、どうデスか?」

 

「そうねぇ…。証拠を隠蔽される可能性があるから、1人行動は避けるべきねぇ。」

 

「ね、ねえ…隠蔽を防ぐのなら、2人じゃなくて、3人か3人を越えた人数で行動した方が…良いんじゃないかな?」

 

「あ?どういうこった?」

 

「…共犯のことを考えているんですね。」

 

「きょ、共犯…?」

 

「そっか。この事件の犯人…クロって、他の人と2人で脱出できるから…。」

 

「共犯関係を結んで、2人で脱出する…。そうも考えられますね。」

 

コトダマゲット!【共犯の可能性】

 

 

「ふむ。では、念のため4人で行動するのは どうだね?」

 

(各々4人ずつになり、調査に向かった。残ったのは俺と妹尾さん、哀染君…そして、動かなくなった白銀さんだ。)

 

(白銀さんと行動することが多かった俺と哀染君、体格的に犯行が難しい妹尾さん。)

 

(この中には犯人がいないだろうというグループ分けなのだろう。)

 

(もう1度、白銀さんの姿を見る。)

 

(生前の面影を全く残さぬ彼女。今朝まで笑っていた彼女が…死んだ。もう、動かない。)

 

(悔しさや悲しさや後悔…やり切れなさが胸の中をグルグル廻って、吐きそうだ。)

 

 

「天海君にもあるんでしょ?そういう目標。……じゃあ、早く脱出法を見つけて、この町から出ないとね。」

 

「天海君って、良い意味で”超高校級”っぽくないよね。……天海君といると落ち着くっていうか…。」

 

 

(彼女の言葉が頭の中で反芻はんすうされる。)

 

(彼女を、こんな目に合わせた人間が…本当に この中にいるのだろうか。)

 

(…信じられないが、やるしかない。そうしなければ…みんな死んでしまうんだ。)

 

(拳を握りしめて、俺は足を踏み出した。みんなのために。…白銀さんのために。)

 

 遺体を調べよう

 図書室全体を調べよう

 図書室にいる人の話を聞こう

全部調べたな

 

 

 

(シーツに体を隠された死体は、直視できる状態じゃない。顔は傷付けられ、血で染まる肌から肉が覗いている。)

 

「……ぅ。」

 

「…哀染お兄ちゃん、大丈夫?」

 

(哀染君が顔を青くして、また口元を抑えていた。妹尾さんも小刻みに震えている。)

 

(ーー無理もない。図書室にいるだけで血の匂いで吐きそうなくらいなんだ。)

 

「……2人とも無理しなくていいっすよ。俺が…確認しますから。」

 

「……ダメ、だよ。」

 

「え?」

 

「目を…背けるわけにはいかない、から…。」

 

「……そ、うだね。お姉ちゃんの最期を、あたし達…知らなきゃ。」

 

(2人とも声を震わせながら、白銀さんに近付く。俺は白銀さんの体に掛かっていたシーツを そっと捲った。)

 

(シーツの下も、ひどいものだった。全身を滅多刺しにされ、えぐれた肉と血が床にベットリと貼り付いている。)

 

「シーツは…返り血を浴びないために…っすね…。」

 

コトダマゲット!【死体に掛けられたシーツ】

 

 

「お姉ちゃん…。きっと痛かった、よね…。」

 

「………。」

 

(いや、さっき配られたモノクマファイルによるとーー…)

 

「……白銀さんの死因は後頭部に受けた一撃っす。犯人は、その後に刺し傷を作ったんすね。」

 

「そ、んな…、何で そんなことするの…。何の恨みがあるの…?」

 

(妹尾さんが涙を浮かべて呟く。)

 

(そうだ。犯行後すぐ立ち去らずに、死んだ白銀さんを滅多刺しにする理由は何だ…?)

 

コトダマゲット!【死体の損傷】

 

 

(白基調のセーラー服も、今は真っ赤に染められている。右手袖口のボタンは外れていて、細い腕が見えていた。)

 

「右の袖口だけボタンが外れてるっすね。いつも白銀さんはキッチリ制服を着ていたっすが…。」

 

「……腕まくりしたのかもしれない…ね。」

 

「腕まくりっすか。」

 

「でも、腕まくりって両方の手をするんじゃないの…?」

 

(妹尾さんが自身のブカブカな袖口を揺らした。)

 

(もう1度、白銀さんの腕を見る。よく見ると、右手は固く握り締められていた。)

 

(そっと その手に触れた。もう、ほとんど体温を感じられない手に。)

 

(握り締められた彼女の指を開こうとした。しかし、まだ死後硬直は始まっていないはずなのに簡単に解けない。)

 

「…何だ?これ…。」

 

(力を込めて、ようやく開いた指から零れたのは、潰れた“何か”だ。それは、床の血の海に落ちて血に染まった。)

 

「赤くてブヨブヨしてるね…。……お姉ちゃんの…お肉、かな…。」

 

(妹尾さんが言いながら顔を背けた。)

 

(固く握られていたためか、指は比較的 綺麗だ。手の平は血ではない何かで濡れていて、ホコリが付いていた。)

 

(体温がある時に…彼女の手を取りたかった。ーー不意に、そんなことを考えてしまった。)

 

コトダマゲット!【手の汚れ】

 

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(図書室内には、むせ返るほどの血の匂いが充満している。)

 

(白銀さんの遺体のそばにボーリングの球が転がっていて、その球にも血がベットリと付いていた。)

 

「犯人は、これで白銀さんを殴ったんすね。」

 

(モノクマファイルによると、後頭部を殴られたことにより即死…とある。)

 

「このボーリングの球は体育倉庫にあったものっすね。あらかじめ犯人が図書室に隠していたんでしょう。」

 

「このボーリングの球、あたしが知ってるのと違うんだけど…。何でかな…?」

 

「これはプロ用の球っす。7kg以上あるので、女性や子供が振り回すのは難しいっすね。」

 

「男でも狙いを定めて正確に後頭部に当てるのは厳しいはずっす。」

 

コトダマゲット!【ボーリングの球】

 

 

(白銀さんを血で染めた物は、これだけじゃない。俺は足下に落ちたナイフを見た。血まみれのアーミーナイフだ。)

 

「シーツに穴が空いてるけど…ナイフで空けられた…のかな。」

 

「そうっすね。おそらく、シーツを掛けた状態で刺したんでしょう。何度も何度も…。」

 

コトダマゲット!【アーミーナイフ】

 

 

「このナイフって…調理室にあったやつだよね。」

 

「これも…犯人が図書室に隠してたんすかね…。」

 

「隠して…?」

 

「町や校内の至る所に凶器を隠していた人物がいるんすよ。体育倉庫の中にあった物も隠されていたっす。」

 

「…それじゃあ、体育倉庫をお兄ちゃん達で封鎖する前から…犯人は決めてたのかな…。」

 

「………。」

 

(俺たちは毎日、校内や町中を調査していた。すぐ凶器が見つかってしまう可能性の方が高かったはずだ。)

 

(なぜ…様々な場所に隠し続けていたんだろう。自分で隠し持っていた方が確実なのに。)

 

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(もう1度 図書室全体を見回したところで、松井君、夕神音さん、ローズさん、山門さんが入って来た。)

 

「みなさん、今日の行動について教えてもらってもいいっすか。」

 

「ああ。そうだね。僕らは第一発見者だ。話しておくよ。」

 

「僕と夕神音さんは、一緒に校内を調査していたのだよ。音楽室で見つけたものが気になっていたからね。」

 

「えぇ。4階から調べて、3階を見ていた時、松井君が血の匂いに気付いたの。」

 

「3階の階段近くの教室を出たところで、アイコさんが階段を上がって来たよ。」

 

「3人で図書室に入って…シーツを捲ったら、この状態で。すぐにアナウンスが鳴ったわねぇ。」

 

「わたしとローズさんは、一緒に校外にいました。町の東エリアを調査してましたね。」

 

「そうデスネ。包丁を見つけマシタ。誰かが包丁を隠しマシタ。」

 

「あたしも町の外にいたよ。西の方。芥子お兄ちゃんとお話しして…蘭太郎お兄ちゃんにも会ったよね。」

 

「そうっすね。その後、俺は 小学校に戻ったっすけど。」

 

「ぼくは…ずっと1人で校内を見ていたよ…。」

 

「ありがとうございます。」

 

「しかし、この町の管理者、マメなのかズボラなのか分からんね。」

 

「どういうことっすか?」

 

「見える所はチリひとつない綺麗なものだが、見えない所はホコリが溜まってるのだよ。例えば、棚の下とかね。」

 

「松井君は 探索中も、ずっと教室の掃除をしていたわねぇ。」

 

(本当に掃除が好きらしい。)

 

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(この部屋は大方調べられた。後は、包丁の出所と思われる調理室と…話せていない人の話も聞いておきたいな。)

 

「他の場所も調べましょう。」

 

「う、うん。」

 

「………。」

 

「……哀染君?」

 

(哀染君は遺体に向かって屈み、動こうとしない。再度 彼の背中に声を掛けると、やっと返事が返ってきた。)

 

「……うん。行こうか。」

 

(妹尾さんと哀染君が歩き出す。もう1度、白銀さんの遺体を視界に入れて、前を行く妹尾さんと哀染君を見た。)

 

「……?」

 

「どうしたの?早く行かないと…。」

 

(ふと感じた違和感。何だろうと考えていると、廊下へ続く引き戸に手を掛けた妹尾さんが小さく声を上げた。)

 

「痛っ…。」

 

「どうしたんすか?」

 

「…ううん。ドアの木、ささくれてたみたい。大丈夫だよ。」

 

(ドアの木が…?)

 

(妹尾さんは何でもない風に笑って、廊下へ出て行った。俺たちも後に続く。)

 

(さて、どこから行こうか。)

 

 廊下にいる人の話を聞こう

 調理室を調べよう

 中庭へ行こう

全部調べたな

 

 

 

【小学校3階 廊下】

 

(図書室前の廊下に、郷田君、永本君、芥子君、佐藤君がいた。永本君以外は俺たちに気付いたようだ。)

 

「おう、緑頭。犯人は分かったか?」

 

「いえ、今は何とも言えねーっす。キミ達は どうっすか?」

 

「分からないないないない内々定。死体は怖くて見られません。」

 

「……白銀さんの死体、かなり損傷してたからね。どんな恨みがあるのっていうくらい…。」

 

恨み……か。)

 

「みなさん、今日、どこを探索してたか教えてください。」

 

「オレは1人で町の南を見てた。どうにか鏡の壁を ぶち破れねーかってな。」

 

「探索 検索、西エリア。途中 妹尾サンと談笑。天海クンと失笑。その後1人で疾走。」

 

「僕は朝からアナウンスで全員が集まるまでずっと校門近くにいたよ…。だから、校内にいた人も…分かるんだ。」

 

「あ?そーいやテメー、アナウンスの後も中に入ろうとしなかったな。」

 

「うん…誰が外にいて、誰が中にいたのか確認してたんだ…。」

 

(そういえば…校舎の門は1つで、俺たちが出入りできるのは校門からだけだったな。)

 

「佐藤君。アナウンス時に校内にいたのは誰だったんすか?」

 

「うん。校内にいた人は…天海さん、哀染さん、永本さん、松井さん、夕神音さん、アイコさんだと思うよ…。」

 

「アナウンスが鳴ってから小学校に入った人は…その他の人たちだったから。」

 

「ここにいる天海クン、哀染クンと、才能不明の永本クン、掃除師・松井クン、歌姫・夕神音サン、AIコサン。」

 

コトダマゲット!【佐藤の証言】

 

 

「天海さんは…アナウンスの20分くらい前に、小学校 入って行ったよね…。」

 

(佐藤君が何か言いたげに視線を寄こす。俺は曖昧に「調査のため」と返した。)

 

(そして、少し離れた先で窓を調べているらしい永本君に声を掛けた。)

 

「永本君は…随分 現場に来るのが遅かったっすよね。」

 

「………。」

 

「永本君?」

 

「……。」

 

「永本君!」

 

(大きめの声にも返答がないので、彼の肩を軽く叩いた。すると、すぐ振り向いた彼は決まり悪げな顔をした。)

 

「あ、ああ。天海?何だよ、急に。どうかしたか?」

 

「何度か呼んだっすよ。」

 

「ああ、悪い。このヘッドホンしてると何も聞こえなくてさ。」

 

(何故、今そんな物を つけてるんだろう。)

 

コトダマゲット!【永本のヘッドホン】

 

 

「永本君。今日、どこにいたか聞いてもいいっすか?」

 

「オレは1人で校内にいた。途中 玄関で天海にも会ったよな。あれから少し玄関を調べて…2階に上がったな。」

 

「そうっすか。」

 

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【小学校1階 調理室】

 

(給食室内の調理室に入る。ここでアナウンスを聞いたことが、もう遠い昔のようだ。)

 

「ナイフは、ここから持ってこられたのかな…。」

 

「おそらくは。」

 

「……。」

 

(哀染君、だいぶ参ってるみたいだな。)

 

「今日の分の食事は…もう片付けられてるんだね…。」

 

「うん。用務員のオジサン、片付け頑張っちゃったよ。」

 

「ひゃあ!」

 

「あ、声 出ちゃったね。白銀さん亡き今、誰も反応してくれないかと思ってたけど、良かった良かった。」

 

「な、何の用?」

 

「もー、冷たいなー。手掛かりになるかもしれない怪しい情報、教えてあげるっていうのに。」

 

「あ、怪しい情報?」

 

「…何すか?」

 

「うぷぷぷ、やっぱり知りたい?知りたいよねー?」

 

「この学校では食品ロスが絶対ないんだよ。毎食前、その時 使う分だけピッタリ仕入れて、無駄は一切なし。」

 

「地球に優しい、残り物が存在しない給食を実現しているのさ!だから、冷蔵庫は調味料以外いつも空。」

 

「給食のオバチャン、プロデュース頑張っちゃったよ。」

 

(モノクマは自慢気な声を残して去っていった。)

 

(……町長なのか用務員なのか調理師なのか。ツッコんでも仕方ないか。)

 

コトダマゲット!【給食のシステム】

 

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【小学校 中庭】

 

(小学校の敷地には校門を通らないと入れないが、校舎内には正面玄関じゃなくても中庭の勝手口から入れる。)

 

(犯人が白銀さんを図書館で殺したなら…犯人は小学校にいたか、小学校へ入ったはずだ。)

 

(けれど、中庭は変わらず壁でグルリと囲われている。やはり、校門を通らないと出入りできないだろうか…。)

 

「あ!天海先輩、良かった!来てくれて ありがとうございます!まさに天の助けです!!」

 

(中庭には、前谷君、祝里さん、アイコさん、木野さんがいた。女子に囲まれ涙目だった前谷君が近付いてきた。)

 

「みなさん、今日のことを少し聞いてもいいっすか?」

 

「アリバイやな…。ウチは朝、校門周辺と中庭を行ったり来たりしとった。校門に佐藤がいたのも見えとったわ。」

 

「その後、校舎で松井様と夕神音様に遭遇。一緒に図書室に行ったら…白銀様が無惨な姿で発見されました…!」

 

「こーたと町の東を見てたよ。」

 

「ハヒィ…!自分は祝里先パイと一緒でした!」

 

「私も…東エリアを調べてた。……1人で。」

 

「そうでしたか。ありがとうございます。」

 

(4人から少し離れて中庭の様子を確認する。見たところ、一昨日と大きな変化はない。)

 

(ーーが、妙な匂いを感じて視線を彷徨わせると、焼却炉が目に入った。)

 

「今時 焼却炉なんて珍しいよね。……あれ、何か焼いた跡があるよ。」

 

「一昨日は焼却炉を使った跡はなかったっす。まだ新しい…。誰かが使ったんすかね?」

 

コトダマゲット!【中庭の様子】

 

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『時間になりました。オマエラ、小学校の校庭まで集まってください!』

 

「………。」

 

(時間が来たらしい。ーー来てしまった。)

 

(白銀さんを殺した犯人。そいつを見つけないと、全員 死んでしまう。)

 

(胃を わし掴みにされたような気分のまま、校庭に向かう。)

 

 

(全員が集まった瞬間、地面から赤いドアが現れた。不思議なことに、ドアの先はエレベーターホールになっていた。)

 

(戸惑いながらも、俺たちはエレベーターに足を踏み入れた。全員 入ったところで、それは下降を始めた。)

 

(ーーこの中に…白銀さんを殺した犯人がいる。)

 

(俺は…俺たちは、その犯人を見つけなければいけない。そうしなければ、待っているのは……死だ。)

 

(…こんなところで終われない。乗り越えてやる。俺を待っている妹たちのためにも、みんなのためにも。)

 

(この、命がけの学級裁判を…。)

 

 

コトダマリスト

 

【モノクマファイル】
被害者は”超高校級のコスプレイヤー”白銀 つむぎ。死体発見現場は小学校3階にある図書室。死亡推定時刻は午前10時〜11時頃。死因は後頭部の外傷。頭蓋骨の陥没骨折により即死。死亡後、ナイフによって全身を激しく損傷。
【死体の損傷】
死体はナイフにより激しく損傷を受けている。特に顔は判別が付かないほどに損傷が激しい。
【ボーリングの球】
致命傷となった後頭部への一撃に使われた凶器。プロ用のもので7kg以上ある。2日目に封鎖された体育倉庫から運ばれたと思われる。
【アーミーナイフ】
死体を激しく損傷させた小型ナイフ。刃の部分全体に血が付着している。
【死体を包むシーツ】
死体を包んでいたシーツ。血で染まり、ナイフの穴が無数に空いている。
【手の汚れ】
白銀の手は血ではない液体とホコリで汚れていた。潰れた”何か”を握っていた。
【佐藤の証言】
佐藤は朝から小学校校門前にいた。朝からアナウンスまでに小学校を出入りしたのは天海のみ。アナウンス時に小学校にいたのは、天海、哀染、永本、第一発見者の松井、夕神音、アイコと考えられる。アナウンスの外から中に入ったのは、その他の9人。
【共犯の可能性】
モノクマの示した動機により、事件のクロの他に共犯者がいた可能性がある。
【永本のヘッドホン】
ノイズキャンセラー付きのヘッドホン。耳に つけていると外界の音がほぼ聞こえなくなる。
【給食のシステム】
食品ロスを考慮して毎食前にその時 使う分ピッタリの材料だけ仕入れ、残り物が出ないようになっている。地球に優しいが食欲旺盛な高校生の腹に優しくない。
【中庭の様子】
焼却炉で何かを燃やした跡がある。その他は一昨日と変わりはない。中庭を取り囲む外壁に穴が空いている箇所がある。

 

学級裁判編へ続く

 

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