
先生、外国人に聞いたんですが、日本語って悪口とか少ないんですか?

ど頭かち割ってストローで血ィちゅるちゅる吸うたろかい?

うわっ!怖っ!!やめて!

すみません。日本語のバリエーションの豊富さを表そうとしただけですよ。私は草食なのでストローで血をちゅるちゅるしません。

肉食でもしませんよ!
海外の反応を見ていると、「日本語は悪口や汚い言葉、差別用語が少ない」というような評価をよく目にします。これは果たして本当なのでしょうか?インターネットやゲームで使われるネットスラングや2023年~2025年の最近の若者言葉を含めた日本のスラングについて見ていきましょう。
日本語はスラング・悪口が少ない?
海外の反応でよくあるのが、「日本語には悪口/汚い言葉/差別用語が少ない」というもの。日本語学習中の外国人には「日本語はスラングさえ少ない」と言う人もいます。果たして、それは本当なのでしょうか?
スラングとは
そもそも、スラングとは何なのか。「slang」は、英語で「俗語」を意味する言葉です。俗語に含まれるものは、若者語や業界用語、隠語、卑語、流行語、蔑視語など。つまり、スラングとは、教科書や参考書などに載っていないカジュアルな表現であり、汚い言葉や悪口だけではなく、円滑なコミュニケーションのために使用される言葉をいいます。若者言葉やカルチャー用語、業界用語、職業用語やインターネット用語など、特定の人たちの間で使われる言葉がスラングと言えるでしょう。スラングは時代や流行を反映する表現が多く、日常会話で使われるようになったものも数多く存在します。
日本語スラングは少なくない!
海外に住んでいたり、日本語学習者の外国人と会う機会があると、「日本人ってスラングとか悪口言わないよね」と言われることは多いもの。

僕、ドイツ語の先生に言われたことあります。「日本人はスラングとか使わないよね」って。「日本人は頭の中で使います」と返しましたが。
日本人=礼儀正しいというイメージを持つ人には、日本語は他言語に比べてスラングが少ないと感じるのでしょう。けれど、実際には豊富なスラングが存在します。
ただし、日本語のスラングは、使用される場面やコミュニティによって限定的であるため、その存在があまり知られていない場合も多いようです。さらに、日本語は一般的に敬語や丁寧語が使われ、フォーマルな場面ではスラングの使用が控えられる傾向があります。スラングが少ないと感じられるのは無理のないことでしょう。

日本語学校では「です/ます」で教えるのが一般的ですからね。スラングどころか、カジュアルな話し方も勉強するのは習い始めて半年くらいからです。

初級ドイツ語の教科書のCDに罵倒するシーンがありましたが、ピー音入ってました…。
日本語スラングは悪口が少ない?なぜ?理由は
日本語にはコミュニティや年代により様々なスラングがあります。しかし、その中に人を直接罵倒・侮辱するものが少ないことも確かでしょう。
日本語は、罵倒言葉や罵り言葉、卑語(ひご)が少ないと言われる言語です。が、実際にはどうでしょうか。表現や言葉のバリエーションが豊かなので「悪口が少ない」と純粋な日本人なら信じられないのではないでしょうか。

こういう表現が少ないと言われる理由は、①直接罵る文化がない(陰口や皮肉の方が多い)②英語などヨーロッパ言語で翻訳できる言葉が少ない③使えるシーンが限られているなどが挙げられます。

僕は④日本人は礼儀正しく、優しい民族だからというのを推します!

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草生やさないで!
ちなみに、日本語の直接的な罵倒語といえば、「ばか、あほ、まぬけ、おたんこなす、ちび、でぶ、はげ、ぶす、ぶさいく、お前の母ちゃんデベソ、じじい、ばばあ」などが主なところです。どれが世界的にタブーでしょうか?

えーと、全部言われたらイヤですが…

世界的にタブーなのはその人の行動でなく、その人の容姿・年齢・性別・民族を侮辱する発言です。

変えられない部分ってことですか。じゃあ日本語の罵倒語って世界的に見ると結構ヤバいんですね…。

語源を辿ればそうでもないんですけどね。
海外の反応:日本語のスラングは面白い
日本語スラングは、その独特な響きなどから海外でも興味深いものとされています。特に日本語学習者やアニメファンの間で「日本特有の表現」として人気があります。日本語スラングを外国人はどのように考えているのか、海外の反応を見ていきましょう。
「『エモい』や『バズる』は、『emotional』や『buzz』からきてるの?全然気付かなかった!(イギリス)
「『ぴえん』とか泣きたい気持ちの表現がユーモラスだね。」(スリランカ)
「↑(上の発言に対して)絵文字の国だから?」(セルビア)
「若い人だけじゃなく年配の人も普通に使ってたのが印象的。」(韓国)
「職場でもよく聞く『リスケ』とか『セクハラ』とか英語を短くしたものはスラングじゃないのか。」(ドイツ)
「若い日本人と話してたら若者言葉になっちゃって、日本の面接前で苦労したよ。」(アメリカ)
「『諭吉と別れた』『諭吉大好き』とか、最初は誰の話をしているんだろう?って思ってた。」(中国)
「日本語のスラングは人を貶す表現が少ない気がする。優しくて好き。」
参考文献:浜田、麻里『言語行動としての罵り』
スラングから日常で使うようになった日本語一覧
日本語は、直接的に相手を罵倒するようなスラングは少ないものの、話し言葉や略語など、スラングが日常的に使われるようになるパターンも多くあります。中には、辞書に登場するようになったものも。若者やインターネット上だけでなく、多くの日本人に使われるスラングを見ていきましょう。
日本人がよく使うスラング一覧
やばい
状況や物事が非常に良い、悪い。驚くべきときに使われます。「このラーメン、やばい。美味しい!」
ウケる
面白いことや笑えることを表現。「あの話、マジでウケるわ!」
マジ
本当に。真面目に。「マジでそれ言ってるの?」
イケメン
魅力的な男性、特に見た目が良い男性を指します。「彼、本当にイケメンだよね。」
キモい
気持ち悪いの略。嫌悪感を示す際に使います。「その虫、キモい。」
ダサい
センスが悪い、または古臭いこと。「このシャツ、ちょっとダサいかも。」
ビビる
驚く。びっくりする。「急に出てきて、マジでビビった!」
微妙(びみょう)
完全に良いとも悪いとも言えない曖昧な状況。「この映画、ちょっと微妙だったな。」
ムカつく
腹が立つ。「あの態度、めっちゃムカつく。」
ググる
Googleで調べる。「ググれ。」

面白いのは動詞の新語は「る(u)」で終わることですね。新語であっても文法規則が守られているんです…!興奮しますね!

興奮はしませんが、外国語もそうかもしれませんね。ドイツ語で「ググる」は「googelnグーゲルン」です!
ドン引き
人や事物に対して理解できず、一線を引くこと。「あの男、しつこくてドン引き。」
最近の若者が使う日本語スラング一覧
エグい
極端にすごい、恐ろしい、または大変な状況。「あのアクションシーン、エグい迫力だった。」
おこ
怒っていること。「今日、彼にドタキャンされておこだよ。」
パリピ
パーティー好きな人。にぎやかなイベントに積極的に参加する人。「昨夜はパリピな友達とクラブに行ったよ。」
それな
完全に同意する。「彼の意見、ほんとそれな。」
タピる
タピオカドリンクを飲むこと。「学校帰りにみんなでタピろうよ!」
映え(ばえ)る
「インスタ映え」から派生した言葉。見栄えが良いものや写真映えすること。「このカフェ、めっちゃ映えるね!」
おつ
「お疲れ様」の略。「今日も一日おつでした!」
ゲームやネットスラング派生の日本語スラング一覧
笑/ww/草
笑ってしまう状態。英語でいう「Lol」。「今日デート遅刻してフラれたww」
あざす
「ありがとうございます」の略。「昨日はあざす。」
ワンチャン
「ワンチャンス」の略。「今日の試験、ワンチャン合格できるかも。」
沼(ぬま)る
推しや趣味に夢中になる様子。「このアニメ、完全に沼ったわ。」
テンアゲ
「テンションが上がる」の略で、気分が高揚していること。「新曲出たからテンアゲで行こう!」
ガチ勢
何かに本気で取り組んでいる人、または真剣なファン。「ゲームのガチ勢が集まる大会があるらしい。」
神(かみ)
最高であること。素晴らしい出来事。「あのバンドの新曲、マジで神だわ。」
黒歴史(くろれきし)
過去の恥ずかしい経験や公開したくない事柄。「中学生の頃のブログ、完全に黒歴史だよ。」
詰んだ
状況が行き詰まってしまい、解決が難しいこと。「宿題忘れて、完全に詰んだ。」
最近の日本語スラング一覧【2023年/2024年/2025年】
日本語のスラングは年々変化し、新しい若者言葉が生まれています。以下は、2023年および2024年、2025年の最近のZ世代が作り出した日本語スラングです。
エッホエッホ
草原を走るフクロウの赤ちゃんが元ネタ。走る動物の愛らしさや、情報を伝えたい気持ちを表す時に使用。「エッホエッホ、真相が分かったぞって伝えなきゃ。」
ビジュイイじゃん
ボーイズグループM!LKの楽曲「イイじゃん」のフレーズが元になったほめるときに使われる言葉。「今日ビジュイイじゃん。メイク変えた?」
メロい
アイドルやキャラクターなどに心を奪われた状態を指す言葉。それが変化して、2025年現在ではメロメロになるほど「美しい」「かわいい」「かっこいい」という意味。「推しのメロい瞬間をポストした。」
てぇてぇ
尊いこと。「あの人は神。てぇてぇ。」
好ハオ
好き。中国語「好ハオ」から。「あのレストランのおばちゃん好ハオ。」
BIG LOVE
大好き。愛していること。特殊文字で表すことが多い。「ありがとう!BIG LOVE」
限界オタク
推しが好きすぎて自分の行動や言動が気持ち悪い、痛々しいオタク。好きすぎるゆえに、表現力や語彙力が限界になったオタク。「私は限界オタクだからコミュニケーションが上手くとれない。」
プルい
唇がプルプルの様子。「今日唇プルくない?」
かわちぃ
かわいい。「そのカバンかわちぃ。」
それガーチャー?ほんまゴメンやで
それガチ(本当)?ほんとにごめん!
ぴえん超えてぱおん
「ぴえん」という泣きたい気持ちの強調。「このニュース、ぴえん超えてぱおんだわ。」
じわる
最初は大したことはないが、時間が経つにつれてじわじわと面白さや笑いがこみ上げてくる様子。 「あのギャグ、じわるわー。」
エモい
エモーショナルから派生。感情が高ぶるようなシーンや状況。この映画、めっちゃエモいよね。」
バズる
SNSなどで一気に注目を集めること。「昨日の投稿がバズっててびっくりした。」
日本のスラングは文化的背景によって進化する
日本のスラングだけでなく、全世界のスラングは文化や社会の変化を反映しています。新しい言葉が生まれる背景には、インターネットやSNSの普及、若者文化の影響が大きく関与しています。流行語が年ごとに変わり、短期間で広まることが多い日本では、常に新しいスラングが生まれています。

以前はテレビや雑誌など、メディアが取り上げた流行語が多かったですが、最近はYouTubeやTikTok、SNSなど発信者が変わったことが興味深いですね。
日本語スラングは、豊かな日本語文化の一部として、常に進化し続けています。特に2023年や2024年、2025年現在に登場したスラングは、若者の間で広まりSNSやインターネット上で頻繁に使用されています。もちろん、ビジネスやフォーマルシーン、初めて会う人との会話では使わない方がいいですが、日本語学習者や日本文化に興味を持つ人々にとって、これらのスラングを学ぶことは、日本の現代文化をより深く理解する手助けとなるかもしれません。
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