海外の反応「日本人が擬人化してないものはない」
「日本人はなんでも擬人化する」というイメージが海外にあるのはご存知でしたか?japanizing beam(擬人化光線)なんてネットミームも存在します。
まずは、擬人化大国日本に対する海外の反応を見ていきましょう。
「日本人の感性、すごい。」
「日本のかわいいキャラクターが大好き!」
「細胞や血液型、食中毒まで人にするのは正直クレイジーだろ。」
「日本人に見つかった結果、変わりすぎww」
「もう日本人が擬人化してないものはないだろw」
「鳥獣戯画を知っているか。そんな時代から擬人化やってんだぜ。」
「(国旗の擬人化キャラクターを見て)自国があんなにクールに描かれていて嬉しい!」
「日本で動物も食べ物も電車も擬人化されていて驚いた。」
「擬人化がこんなkawaiiの日本だけ。」
「日本のクリエーターには驚かされるよ。」
「(擬人化キャラクターを見て)カートゥーンが街中を埋めるのはすごいな。え?これ刀なの?」
「日本の擬人化は擬人化というより、美少女化だよね。」
「擬人化光線」Japanizing Beamとは
なんでも擬人化する日本に対する海外の反応はさまざまです。
しかし、日本といえばアニメや漫画大国。これらのメディアと絡み合ったひとつの文化としての擬人化は、世界でも「日本といえば」と認知されるものとなっています。
数年前にネット上で「Japanizing Beam」というハッシュタグが流行しました。
これは、擬人化キャラクターのビフォーアフターをビームを放つキャラクターを挟んで貼り付けるもの。
日本(の擬人)化ビームに当たれば、なんでも萌え化するという風刺として、有名になりました。このように、日本人=なんでも擬人化/擬人化してないものはないというイメージは覆せない事実になっています。
擬人化とは?日本のアニメ例一覧
そもそも、擬人化とは何なのでしょうか。実は、最近よく聞く「サファリアニマルの擬人化」「競走馬の擬人化」とは少し違う意味があります。
擬人化とは、 人間でないものを人間に見立てて表現すること 。
つまり、ものや動物を美少女や青年に描くことだけが擬人化ではないということです。
擬人化アニメ・マンガ例一覧
こう聞くと、日本以外でも擬人化は絶対行われていますし、受け入れられています。
しかし、海外の反応は「日本人はなんでも擬人化する」というもの。これは、近年のアニメやマンガのイメージによるものでしょう。
擬人化のアニメやマンガ、ゲームなどをザッと挙げても、これだけのものがあります。
『艦隊これくしょん -』『けものフレンズ』『侵略!イカ娘』『這いよれ!ニャル子さん』『ウマ娘 プリティーダービー』『怪獣娘』『はたらく細胞』『刀剣乱舞』『ヘタリア』『ラブ米』『ミラクル☆トレイン ~大江戸線へようこそ~』『青春鉄道』
いくつか詳しい例を見ていきましょう。
動物擬人化の決定版『けものフレンズ』
日本語を勉強する外国人に人気のアニメ『けものフレンズ』。
参照:アニメで日本語を覚えた外国人の勉強法とは?アニメで日本語覚えるおすすめの作品10選
サファリに住む動物たちが可愛いらしい少女の姿で描かれています。彼女たちはその動物と同じ特性を持つ「フレンズ」として紹介されます。
個性的で可愛いフレンズがたくさん登場するとにかく可愛いお話です。
国の擬人化現代版『ヘタリア』
昔から行われてきた国擬人化の現代代表『ヘタリア』。ある国の人々のステレオタイプや歴史、言語などの特徴を1人の人物として擬人化しています。
イタリアは社交的で女好き、ドイツはまじめで堅物、日本は大人しくて曖昧…などなど。
個性豊かな世界の国々が登場し、「何となく世界情勢も分かった気になれる」のがありがたい作品です。
人体で働く細胞の擬人化『はたらく細胞』
擬人化は人体の内側でも起こります。
「勉強になる」と話題になった『はたらく細胞』は、赤血球や白血球など、体内で活動する細胞を擬人化した作品。名前の通り、キャラクターたちは働く世代の人物として描かれています。
難しい病気や回復のメカニズムが分かりやすくなる作品です。
日本だけじゃない!国旗ボールも擬人化のひとつ
アニメやマンガなどの影響で、「日本=擬人化好き」「擬人化してないものはなし」という海外の反応が広がっています。が、冒頭でも述べた通り、擬人化とは、人間でないものを人間のように描くものです。
いわゆる擬人化作品でなくても、『DRAGON BALL』『NARUTO』『ONE PIECE』にも擬人化したキャラクターは登場します。
ディズニーの『ミッキーマウス』や『くまのプーさん』、『機関車トーマス』や『ピーターラビット』なども言ってしまえば、擬人化作品です。
また、近年では『インサイド・ヘッド』(人間の感情である喜びや悲しみなどを擬人化)などのように、従来とは異なる擬人化作品も海外で登場しています。
美少女化は日本だけ?日本と海外の擬人化の違い
世界で行われる擬人化。しかし、世界で一般的に行われるのは、アニメーションや童話などに代表されるような、動物が人のような行動をしたり言葉を話したりというもの。
一方、現代日本のものは、事物を美少女化・美青年化という点でかなり特徴的といえるでしょう。
『けものフレンズ』『艦隊これくしょん』などは、いわゆる「萌え」と融合し、可愛らしい少女たちの姿で描かれています。また、美少年・美青年キャラクターの多い『ヘタリア』や『刀剣乱舞』などは、女性人気の高い作品です。
『はたらく細胞』のように、事象としては難しい内容を擬人化して、わかりやすく描くことに成功した例もあります。
このように、現代日本でいう「擬人化」とは、動物やものが人の姿をし、そのものに合った特性とキャラクター性を持つというものです。多くは、可愛い女の子やかっこいい男性に擬人化され、そのキャラクター性が売りになっています。
どうして日本人はなんでも擬人化するのか?その理由
世界で行われている擬人化ですが、なぜ日本ばかりが、「なんでも擬人化大国」になりつつあるのでしょうか。
日本人が擬人化を受け入れやすい理由、海外の反応の理由を見ていきましょう。
日本の擬人化の歴史は鳥獣戯画から
日本で擬人化はどんな歴史をたどってきたのでしょうか。
近年の「萌え」とは異なる本来の擬人化の歴史は、安時代末期から鎌倉時代初期に描かれたとされる『鳥獣戯画』までさかのぼります。『鳥獣戯画』は、兎や猿、蛙などが水遊びをしたり、宴会したり、人間っぽく描かれた絵巻です。
また、江戸時代の画家・歌川国芳の『猫のすずみ』や『かえるづくし』などは、擬人化作品として有名です。
このように、絵巻やポンチ画(後の漫画)では、古くから動物が人間のようにふるまう擬人化が表現されてきました。他国との関わりが強くなってくると、国や国の代表を人として扱う風刺画も多く見られるようになります。
また、難解な仏教文学を大衆化するために擬人化が使用される例もあります。
仏教文学では、難しい仏教の教えを簡単に伝えるため、たとえ話や擬人化が用いられました。『今昔物語集』『沙石集』では、動物や草木、抽象的な記号や観念を擬人化し、その話から仏教の教えを読み取るお話が広まりました。
さらに、2000年頃からアニメやマンガのサブカルチャーと結びつき、さまざまなものを人として描く「現代の擬人化」が登場。今もなお人気を博しています。
擬人化は平安時代から存在し、最近流行の擬人化と深く関係があります。長い歴史があることも、日本人がなんでも擬人化する理由のひとつでしょう。
「全てのものに魂が宿る」アニミズム信仰
世界的に見ても、日本人は擬人化を受け入れやすいお国柄といえます。その理由は、「森羅万象すべての物に魂が宿る」というアニミズム的信仰によるもの。
八百万の神が信じられてきた多神教の日本では、物には魂が宿る=人間のような心を持つと信じられてきました。山や川など、自然そのものが信仰の対象。「森羅万象全てに神が宿っている」「長く使われた物に付喪神が宿る」などの考え方がごく自然にされます。
このように、日本人は古来より「全てのものに人間のような魂がある」と信じてきました。これが日本人が擬人化を受け入れやすいひとつの理由となっています。
参考:なぜ日本人は無宗教なの?いつから?初詣は神道式?葬儀は仏式?その理由は?
アニメなどサブカルチャー文化
古来より存在した擬人化文化は、2000年代から日本で独自の進化を遂げました。そして、世界でも日本のサブカルチャーが人気を集める中、日本の萌え擬人化コンテンツも広がっていったのです。
サブカルチャーの中で、動物、食べ物、乗り物、細胞、軍艦、刀、国家、国旗、和暦、蔑称に至るまで擬人化してきた日本人。そりゃあ、「擬人化してないものはない」と言われますね。
海外の反応「japanize beam:擬人化大国日本」は間違いない
「日本人はなんでも擬人化する」「擬人化してないものはないヤバイww」といった海外の反応は当然のものだといえます。
しかし、これらの擬人化は、私たち日本人からすると(少々行きすぎることもあっても)受け入れにくいものではありません。私たちは幼いうちから、童話や昔話、アニメやマンガで(本来の意味である)擬人化に触れてきました。さらに、勉強をわかりやすくするための擬人化キャラクターにも出会ってきました。
萌えキャラ化した擬人化に萌える日もあるかもしれません。なんでも擬人化する日本人をとことん楽しむのも良いかなと思う今日この頃です。
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