Round. 4 虫の息の容疑者 学級裁判編Ⅱ
(最初に死んだのは、獄原。今回見つけ出すべきクロは、獄原を殺した犯人。)
(そんなことを言いながら、あれこれ議論を始めた面々に、もう1度 訂正を加える。)
「あくまで仮説だ。」
「そうそう。あくまで仮説!で、ゴンちゃん見つけてショック!のトラリン…ってとこまで話したよね。」
「ああ。その後、何らかの理由で虎林は近くで倒れることになる。」
ノンストップ議論1開始
「でも、虎林先生は外傷なかったんですよ?苦しそうな表情でしたが…絞殺跡とか吉川線もありませんでした!」
「あ!電気ショックとかでしょうか!?」
「だから、スタンガンで気絶とかフィクションだけだって。ま、物凄い電流 流れるヤベェのなら、死ぬかも?」
「そたらモン倉庫にあったけ?」
「死ぬほどの電流を浴びせられたら、少なくとも火傷の跡くらい残るのでは?」
「トラリンにはなかったねww」
「…それでは毒などでしょうか?」
「つまり…死因は、複数 考えられる…そういうことですね!証明完了です!」
「何ひとつ完了してねーと思うがな。」
△back
「それに賛成だ。」
「虎林に外傷がない以上、図書館の研究室にあった毒としか考えられねーな。」
「あー、あったねー。ドクロマークとか書かれたビンの怪しい薬品ww」
「そういや、研究室の貸出機の記録に、22時過ぎに薬品の持ち出し手続きがされたって出てたべな。」
「昨日の22時過ぎというと…わたくし達が秋ノ島の屋台にいた頃ですね。」
「貸出の記録は数字で示されてただけだかんな。誰が持ち出したかは分がんね。」
「くっ…。お約束め…。」
「まーまー。とにかく、ゴンちゃんの死体を見つけたトラリン(仮)が、何者かに毒を飲まされた(仮)ってことな?」
「ぜーんぶ仮説なんだべなぁ。」
「仕方ありません。もし食い違いが出てきたら、また仮説を立て直しましょう。」
「んで?ホッシー。研究室から毒ってのを持ち出したのは誰なんかね?」
(確信めいた言い方で、野伏が俺を見た。)
▼毒を持ち出したのは?
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「オイオーイ!そいつが毒 持ち出す意味分からんてーww」
「俺には あんたのハイテンションの方が意味が分からねーが…。」
△back
「あいつしかいねーな…。」
「研究室に篭りきりだったイーストック。あいつだけだ。…野伏、あんたは そんな顔してるぜ。」
「え?マジ?そんな顔してた系?って、どんな顔だよ〜www」
「とにかく、22時過ぎに俺たちは屋台にいたからな。貸出し手続きをしたならイーストックの可能性が高い。」
「だども、イーストックさ呼びに何人か図書館に行っただよな?」
「あ、はい。ボクと華椿先生と野伏先生ですね。」
「わたくし達の内、誰かが貸出し手続きを行うことができた…そう仰りたいのですか?」
「いやいや、誰にも気付かれずに手続きするとか無理ゲーしょ?どんな早業ってカンジww」
「ああ。できなくはねーだろうが…イーストックの死体は小瓶を持っていた。」
「だべ。ズボンのポッケに無色の液体入りの小瓶あっただ。小瓶は研究室に散らばってたのと同型同色だったべよ。」
「ふーん。研究室のドクロビンじゃなく?」
「と、とりあえず、イーストック先生が研究室から何かしらを持ち出したのは間違いなさそうですね。仮説ですが。」
「んで、イーストックさが虎林さに毒ば飲ませただな。仮説だけんど。」
「しゃーなし!分かってることなんて、ゴンちゃんが池で殴られたことくらいだからね。」
「…んで、ゴンちゃんの死体は茶室に運ばれて、それを発見したトラリンを殺害したイーちゃん(仮)ね。」
「その場合、獄原さんを殺したのもイーストックさんの可能性が高いでしょう。」
「…ああ。殺した獄原を運んだ現場を見られたため、虎林の口を封じた。だが…違和感は残るな。」
(何だ…?この違和感は……。)
2. 虎林に勝てたとは思えない
「確かに…それも一理ありますが、ご存知ですか?この国にはペンは筋肉より強しという言葉があるのです。」
「ペンを突き刺せば、どんな筋肉でも痛い…という意味ですね。」
「俺が知ってる言葉と色々と違うな…。」
△back
「そうか…。この違和感は…2人の殺害方法が違うからだ。」
「ん?どゆこと?」
「獄原は頭を殴られていたのに、どうして虎林は毒だったんだ…?」
「どうしてって…虎林さに現場を目撃されたから、慌てて持ってた毒で殺したんじゃねっか?」
「それなら、何故 獄原は撲殺だったんだ?死体を運ぶってんなら、外傷がない方がいい。」
「そっか!血が落ちない工作も必要ないですもんね。」
「けれど、獄原さんは殴り、虎林さんには毒を盛った。」
「毒があるだにな。なじょして獄原さを殴んだ?」
「そうですよ!そのイーストック先生(仮)は何がしたいんですか!」
「えー…まず、イーちゃんは毒を持ってんのに、ゴンちゃんを殴り茶室に移動。」
「それをトラリンに見られて抵抗されながらも毒殺…うん。確かに謎すぎなwwww」
「ううう…。躍るライト見つめても謎が解けていきません…!」
(……いや、待て。それは、本当に”毒”だったのか?)
(違和感が頭の中で文字になっていく。俺は そんな文字を並べ替えた。)
閃きアナグラム スタート
蘇 り
の
「そうか…。毒じゃなくて…イーストックが研究していた薬だ。」
「薬?」
「ああ、研究室から持ち出されたのは毒じゃなくて、イーストックが作ってた蘇りの薬だったんじゃねーか?」
「ええ!?本当に完成させちゃったんですか!?」
「確かにチャレンジしてたけどさ。苦戦してるっぽかったぜ?オレ的にはイズノン作とかのが信じられるわww」
「何でオラだべ。一般教育課程の化学も知らねっぞ?」
「ほら、芸術家って、色々あんじゃん?解剖学に長けてるとか、電信 発明するとか、兵士経て独裁者になるとか。」
「芸術学部生が弁護士、ピアニストを経て、また弁護士になる話もあります!」
「特殊すぎる例ばっか出すんでね!んなモン、歌手が女優になったりタレントが政治家になったりキリねーだ!」
「漫画家がプロミュージシャンになったり芸人がマラソン選手になったり警察官が声優になったり。よくあるよね。」
「それは唯一無二というか…。1人ずつしか思い当たりませんが…。」
「そもそも、蘇りなんて、本当にあるんべ?」
「蘇りの薬が本物かマユツバか知らねーが、少なくともイーストックは蘇りの薬だと思って作っていたものだ。」
「それをイーちゃんが飲ませたん?そんなのトラリンに飲ませて どーすんの。」
「虎林に飲ませたのは偶発的な出来事だ。イーストックの目的は獄原に薬を飲ませることだったんだろう。」
「獄原さに?自分で殴っておいて、どういうことだべ?」
「イーストックは蘇りの薬とやらを完成させた。少なくとも、奴は そう信じていた。…次にすることは何だ?」
「あ!実験!!」
「完成した薬を実験するために…獄原さんを殴り殺した…?」
「いやいや、マッドサイエンティストかっつ〜の(笑)新聞部のやることじゃねーわww」
「ほんと、クマっちゃうよね。最近の”超高校級”ときたら。ちゃんと表の才能 使って殺人しろって感じだよね。」
「ドローンで被害者を誘導運搬したり、武器仕込みの服を作ったり、フグとハチミツ混ぜて毒で屠殺したり。」
「……表の才能?」
「いやいや、こっちの話。いつもと違うは言わない約束だよ。だってコレ、いつもと違うからね。」
「いつもと同じでワケ分かんねーだな。無視すんべ。」
「とにかく、獄原が1番に死んだと仮定すると…イーストックが薬の実験のために犯行を行ったと考えられる。」
「生きてる虎林さに飲ませたのは何だったんだべ?」
「ゴンちゃん蘇らんから、失敗したって分かってたんじゃね?薬には、材料に毒も使うってイーちゃんに聞いたわw」
「あ、さっき言ってた明らかに毒だと分かるドクロのビンですね。」
「蘇りの薬なのに毒を使う…おかしな話ですね。」
「だよねー。なんか、毒…薬品Aって言うらしいけど、そのまま飲んだら眠るように死ぬらしいww」
「安楽死っつーやつだべな…。よく聞く練炭とか保健所のアレコレは、全然 安楽じゃねーらしいけんど。」
「仮死状態にしてから生き返らせるみたいな感じでしょうか。よく映画でありますよね。」
「虎林の表情は、どう見ても安楽死ってモンじゃなかったがな。」
「薬品Aは安楽死できるけど、蘇りの薬(失敗作)は苦しんで死ぬよ~的な?」
「ゴンちゃん殴って、薬 飲ませたけど、薬は失敗でゴンちゃん死亡。そこをトラリンに見られてイーちゃん大慌て。」
「大変!殺さなきゃ!イーちゃんはトラリンに持っていた失敗薬の残りを飲ませましたとさ…ってこと?」
「昔話みてぇに言うでね。」
「でもさ、つまり、やったぜ☆最初に死んだゴンちゃんを殺したクロは、イーちゃん!見つけた〜ってことっしょ?」
「待った!!まだ仮説ですし、おかしくないですか?じゃあ、どうしてイーストック先生まで死んだんです!?」
「ええ。イーストックさんは頭に深い傷を負っていました。」
「トラリンにボコされたんじゃね?」
「……そんな傷があるにも関わらず、モノクマファイルに死因は書いてなかったな。」
「イーストックさが死んだ理由が分かんねぇべな。」
「んー。イーちゃんって、マジで蘇りの薬ができた!って信じてたんだよね。」
(野伏が目を閉じて考える仕草をとる。それから、全員に目を向け、試すように言った。)
「人体実験でゴンちゃんを殴るくらいだから、実験も成功する気マンマンだったワケだよね?」
「んで、結局 失敗だったワケよね?しかも、トラリンまでヤッちまった。」
「まさか…イーストックさ……。」
「……。」
(犯人がイーストックだったとして、獄原や虎林を殺した後、死んだ理由はーー…)
1. 出血多量によるショック死
2. 自責の念による自殺
3. 実験失敗による憤死
「ピンポンパンポーン。洞察力の鋭い お気づきの方にお詫びします。これ書いてるヤツ、憤死 好きすぎ問題について。」
「カノッサの屈辱〜アナーニ事件の宗教vs政治の歴史が好きすぎるんだよね。くどくて ごめんねごめんね〜。」
「…黙っててくれ。」
△back
「そうか…。自殺。」
「自殺!?」
「イーストックは、蘇りの薬を開発した気でいた。獄原に飲ませた時点で、人を殺す気はなかったとしたら…。」
「殺す気はないって…力いっぱい殴りつけておきながら。」
「確かに。殺意なく殴り殺したり、目撃者までコロコロしたり。ツッコミ追いつかねーわww」
「いえ、でも…ミステリならあり得ます。蘇りが失敗に終わり、目撃者も殺してしまい…自分の行いに絶望した。」
「自殺する理由として おかしくはねぇんか。」
「ただでさえ学級裁判もあるしね。おしおきでエグいことされるくらいなら…みたいな?」
「あ、でも、頭の出血が原因で力尽きたって説もあるんじゃないですか?」
「イーストックが獄原を殴り、虎林を殺した犯人の場合、それは考えにくいな。」
「えー。どしてー?」
「イーストックさんの最終的に倒れていた机周辺には大して血が残ってなかったからですね。」
「最も出血が残っていたのは、ゴルフクラブが落ちていた辺り。その他の場所に致死量の出血はありませんでした。」
「茶室は血まみれだったが…あれはゴン太さの血だかんなぁ。」
「遺書でもあれば分かりやすかったのにねww」
(野伏が茶化すような声を上げた。それに反応したのは、捜査時間 俺と研究室内を一緒に調べた伊豆野だった。)
「そういえば、イーストックさは机で何か書いてたんじゃねっかって捜査時間に話してただな。」
「ああ。ペンが近くにあったからな。」
「んで、オラと星さがイーストックさの懐から手帳さ失敬してただよ。」
「オイオイ〜!言っといてくれよ、そういうこと〜ww」
「どうですか?遺書らしきものは残っていましたか?」
「それが…ちっちぇ字で膨大にメモ書きされてっから…よく分かんねんだ。」
「み、見せてください!ボク、小さい字でも読むのは得意ですよ!」
(伊豆野の手元にあった手帳が桐崎の手に渡った。桐崎は手帳をパラパラと捲りながら言った。)
「ふむ…えっと、新聞のネタ?とか…よく分からないことが多いですね。黒塗りで潰されてる所もあるし…。」
「検閲されてんじゃん。表現の自由って、この世からなくなった系?ww」
「笑い事じゃないですよ。えーと…最初のページは…『16人中8人』…。」
「16人…?」
「オラたつのことでねぇか!?」
「え!?え…と…いえ、ボク達と会う前に書かれてるので関係ないかと。ボク達と会ってからのメモはーー…」
(手帳を読みながら桐崎はパラパラとページを送る。)
「あ!ありました!全員のプロフィールや、その感想をメモしてます!『獄原殿は巨躯なる巨人』ですって!」
「何だ その感想。オレは?」
「『支離滅裂な言葉を発する破壊僧』ですって。うわ、ボク『属性無理矢理こじつけ少女』だ…。」
「www」
「そったらこと、どうでもいいだ。」
「何か事件に関係することはねーのか?」
「えー…と『貝』『平殿』『メディア…ナラ』…?違いますね。たぶん、2回目の事件についてのメモです。」
「今回の事件については…書かれていますか?」
「えーと…最近書いてあるのは、死者の書の解読?と、難しい化学式ですね。」
「あとは…殴り書きで『急がねば』『早く完成させろ』『死ななければならぬ、生きているのが罪の種なのだ』と。」
「…何だと?」
「ですから、『急がねば』『早く完全させろ』『死ななければならぬ、生きているのが罪の種なのだ』…あ!」
「その最後の、遺書だべ?」
「ああ。それらしく聞こえるな。…だが、どこかで聞いた文言だ。」
「はい、決定。ゴンちゃん殺したのも、トラリン殺したのも、イーちゃん本人殺したのも、ぜーんぶ、イーちゃん。」
「イーストック先生は、薬で生き返ると思いゴン太先生を殺したものの生き返らず、虎林先生も殺してしまった。」
「それを苦に自殺…ですか。」
「……自分で言っておいて何だが、腑に落ちねーな。」
「星さが自殺っち言ったんでろ?イーストックさは確かに、最近 変だったべからな。」
「死者の書 見てから、マージで取り憑かれてるみたいだったもんね。どっか狂っちゃってたのかもね。」
「ああ…太宰ファン、基本 病んでますからね。」
「……。」
(本当か?これが、事件の真相なのか?)
「とにかく、これで事件は解決だね!」
「野伏さん、お忘れですか。これはあくまでも、獄原さんが1番 最初に死んだと仮定した場合の話です。」
「あ!そうでした!そうじゃない可能性もーー…」
「んー、でもさ、ゴンちゃんが先にしろトラリンが先にしろ、ヤったのはイーちゃんっしょ?」
「万が一、イーストックさが1番に死んでたとしても、自殺だったら、クロは1人だべ。」
「そーそー。遺書がある以上はさ。」
「え、でも…イーストック先生が1番なら、他の被害者は出ないはずじゃ…。うー…こんがらがってきました。」
「イーストックさんの足の裏の虫から、虎林さんがレモンを落とした時には生きていたという仮説でしたね。」
「レモン落としたからって死んだとは限らね。」
「けどさー、遺書があるってことは今までの仮説で合ってる系じゃね?遺書だぜ?遺書?」
「……。」
「それは…本当に遺書か?」
「どういうこった?」
「俺は…どこかで似た文言を見聞きしたんだ。」
(あれはーーどこだ…?)
1. テニスの試合
2. 塀の中で読んだ本
3. 死んだあいつと行った映画
「そたらとこで、そたらモンを見聞きすただか?そら、たぶん夢の話だべ。」
「フッ…今さら夢を語る気はねーさ。」
△back
「そうか…。塀の中で読んだ本だ。」
「塀…?」
「いや…。今の文言に覚えがあったんだが…それは小説か何かの一部じゃなかったか?」
「あ!太宰です!イーストック先生は太宰ファンです。そういえば、こんなフレーズ口走ってました。」
「意外だねー。ホッシー、読書 好きなんだ?しかも、純文学的な?」
「……たまたま時間がある時に、色々まとめて読んだんだ。」
「んたば、何だ?これは遺書に見えて遺書でねーってことけ?」
「ああ。可能性だが…モノクマが回収してなかったことも考えるとな…。」
「ちょっと、ちょっとちょっと!やめてよ!モノクマの習性から推理するのは!」
「確かに、真相が分かっちゃうような事件に直接関係する遺書は、捜査時間前に回収する習性があるけれども!」
「えっ、認めてる。」
「では、手帳の文は事件に直接関係のないメモ書きだということですか?」
「え?んー…?どうだろ?ボクが言えるのは、事件の全容が分かる遺書ならモノクマが回収しちゃうよってこと。」
「何で他人行儀な言い方なんですか。自分のことでしょう?」
「……ふーん。じゃ、このメモだけじゃ事件は語れないってワケな。」
「イーストックさが自殺じゃねぇなら、また仮説さ ひっくり返して考える必要があんのけ?」
「別に自殺じゃないって決まったワケでもなくね?1番 自然だと思うけど〜。」
「いいえ。イーストックさんの死因が頭の傷だった場合、事件全体の流れが変わります。」
「え?さっき死因は頭の傷説、論破されましたけど。」
「さっきのは、あくまでイーストックが犯人だった場合の話だ。」
「では…まず、その場合イーストックさんの頭を殴ったのは、誰かという話から考えましょう。」
(言いながら、華椿を俺を見た。)
(…やれやれ。俺に答えろと言ってるらしい。)
(イーストックは研究室の机に伏せるように倒れていた。が、周辺よりも研究室外に血が多かった。)
(ーーそして、そこにはゴルフクラブ。ゴルフクラブはグラウンドの備品で誰でも持ち出せたが、アレは違う。)
▼イーストックを殴った可能性があるのは?
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「星さん。わたくしは失敗が多い人間です。恥の多い人生を送ってきました。けれど、いつでも大真面目なのです。」
(最初の事件で自分に睡眠薬を盛ってしまったのも…大真面目だったのか。)
△back
「あいつしか…いねーな。」
「虎林。あのゴルフクラブは虎林が肌身離さず持ってたもんだ。」
「トラリンがイーちゃん殴ったなんて、さっきも言ってたことじゃ〜ん?」
「先程のは、あくまでイーストックさんが虎林さんを殺そうとして、虎林さんが抵抗した末の仮説。」
「今回の仮説は、虎林さがイーストックさを殺そうとして殴った場合っちことか。」
「なるほど。その場合、犯行後、虎林先生がイーストック先生の死体を研究室へ移動したってことになりますね。」
「けんども、虎林さがイーストックさを殺したとして…動機がねぇべ。」
「外に出たかったんじゃね?」
「そんなに切迫しているような様子はありませんでしたが…。そんな人がレモンの差し入れ持っていくでしょうか。」
「レモンに睡眠薬とか入れてゴンちゃん殺そうとしてたのかもだし?」
「まだ言ってるんですか、それ。」
「レモンのタッパーは2つあったな。1つは獄原、1つはイーストックのために持ってったんじゃねーか?」
「尚更おかしいべ。虎林さに よっぽどの殺意さ沸かすくれぇのことなきゃぁ…。」
「あー…失敗したなー。各章の動機がないせいで、『まさか あの人が』って感情論が増えそうだなー。今更だけど。」
(訳の分からないモノクマは無視して…虎林が人を殺す動機…か。)
「もし、虎林に動機があったとしたらーー…」
(言いかけて、口を つぐむ。)
「星先生?どうかしましたか?」
「いや…。」
(その動機には、嫌になるほど覚えがある。)
「虎林の動機はーー…」
1. 愛する者を殺されたこと
2. 金銭目的
3. クロになって脱出すること
「………。」
「どったの?星クン?昔のコトでも思い出したの?」
「フッ…。あんたに語ることは何もねーよ。」
△back
「そうだ…。愛する者を殺されたら…修羅にでもなる。そういう類の人間がいる。」
「愛する者…?」
「急にラブ要素いれてくんのな〜?何ソレ?ホッシーの経験談??」
「………。」
「虎林さが愛した者…獄原さだな。」
「えっ…あれって愛だったんですか?もうちょっと淡い感じでは?恋ぐらいでは?」
「愛なら殺人が起こる可能性があるのですね。恋なら起こりますか?」
「いや…単なる動機の可能性だ。」
「なるほど。愛だの恋だの、動機になる可能性がある。覚えておきます。」
「…で、つまり?ゴンちゃん殺されて逆上したトラリンが、イーちゃんを撲殺ってこと?」
「そん場合、何で虎林さは道で死んでたんだ?」
ノンストップ議論2開始
「思わずイーストックさんを殺してしまった自責の念に駆られて…でしょうか。」
「そんなんばっかですね。」
「仕方ないんだよねー。4章キャラの特性上、仕方ないんだよねー。」
「あ、違った!これは いつもと違うからね?そういうアレもないからね。そういうアレは困るからね。」
「えーと…まとめると…虎林先生はイーストック先生がゴン太先生を薬の実験体にしているところを目撃。」
「イーストック先生をゴルフクラブで撲殺した後、研究室の毒を持ち出し、図書館外で自殺…ってことですか?」
「ねぇ、知ってる?映画最後の青島クンと古畑さんって階級同じなんだって。」
「星先生、大変です!モノクマが飽きてます!!」
「やれやれ…。」
△back
「…それは違うな。」
「研究室の毒も薬品も、貸出機を通さなけりゃ持ち出せねーはずだ。」
「あちゃー、同じコトダマでロンパしちゃったかー。ま、いいよ!これは いつもと違うから!」
「…貸出機に記録されていたのは、昨日の22時の1回だけだ。これは虎林の仕業じゃありえねー。」
「イーストックさが持ち出した薬が落ちてた…ってことはねーな。イーストックさのポッケにあっただから。」
「ああ。イーストックの持っていた無色の液体が、蘇りの薬として研究されたモンだろうな。」
「薬品Aも無色だったけど、あれはビンにドクロ入りだったもんねー。」
「研究室の外からは薬品を入れるような容器は発見されてなかったな。」
「そ、そうですか。虎林先生が持っててくれたりすれば分かりやすかったんですが…。」
「貸出記録1件は、イーちゃんが手続きしたんだよね。トラリンは自殺用 持ち出してねーってことじゃん?」
「そうですね。貸出機を通さなくては薬品を持ち出せない以上ーー…」
(貸出機について議論が進む。そんな中、裁判長席から訂正の声が振ってきた。)
「あ、別に貸出機に通さなくても持ち出すこと自体は可能だよ。」
「…何だと?」
「貸出機を通してねとは言ったけどさ。別に通さなくても、ワナが発動したり爆音が流れたりとかはないよ。」
「そういうことは早く言ってくださいよ!なら、イーストック先生以外が毒を持ち出してる可能性まで出てきます!」
「うぷぷ。でもね、貸出機を通すのがルールだから、通さなかった場合…どうなるかはモノクマにも分からないよ。」
「それが校則だって話は聞かなかったが…。」
「校則ではないけど、ルールはルール。ルールは破るためにあるけど、破ったら破ったで面倒なことになるからね。」
「処罰が必要だったら対処するよ。」
「もしかして…虎林先生、モノクマの処罰で死んだんじゃないでしょうか?」
「いや、その場合も、虎林が持ち出した薬品の容器が落ちてなけりゃ おかしい。」
「…では、前の仮説の場合なら、どうですか?」
「前の仮説って、イーストックさが虎林さを殺したっちヤツけ?」
「モノクマ。薬品等を1度 持ち出し、研究室に返却した場合、どうなりますか?」
「どゆこと?」
「イーストックさんは獄原さんに蘇りの薬を飲ませた後、虎林さんに見つかり、一旦 研究室に身を隠した。」
「そして、彼女のスキができた瞬間を狙い、再度 蘇りの薬を持ち出したのです。貸出機を通さずに。」
「そして、彼は図書館の外で虎林さんを毒殺した。そこにモノクマが現れ、罰則のためイーストックさんは死んだ…。」
「えー、モノクマは殺人に関与しないって言ってたじゃーん!」
「殺人に関与したのではなく、ルール違反を処罰しただけだとしたら…」
「イーストック先生は研究室から蘇りの薬を貸出延長することなく持ち出したせいで死んだということですね!」
「ボク、そんなことしてませんよ。」
「嘘おっしゃい。これなら、イーストックさんが亡くなった理由も頷けるというものです。」
「本当にしてないってば!学級裁判が行われている限り、クロはオマエラの中にいるの!」
「そもそも、なじょして、貸出機 通さなかったべか?2回 持ち出す時は貸出手続きも2回って知らなかったべ?」
「あり得ますね。細かいルールはボクらも知らなかったし。」
「それに、モノクマが貸出機について話す時、イーストック先生は研究に夢中でしたから!」
「ええ。夢中になると、誰しも足下すら覚束なくなるものです。」
「いや、ドジっ子仕置人と一緒にすんなし〜。研究室 隠れてたけどトラリンに見つかったせいとかじゃね?」
「だが、わざわざモノクマが『貸出機を通さなくても良い』なんて言ったのは気になるな。」
「き、き、き、気になるってなんだよー!ボクは名前も知らない木になんてなんないからなー!!」
「確かに、0時以降には貸出記録の付かない持ち出しもあったけれども!!」
「……。」
「あったんですか。」
「し、しまったァー!」
「さすが星先生!ジャック・バウアーもイナバウアーの尋問術ですね!」
「…よせ。モノクマが勝手に話しただけだ。モノクマ、それは本当なんだな?」
「……。」
「ダンマリかよ。でもさー、ぶっちゃけ、今は その情報もいらなかったかもね。」
(野伏は言って、いつものニヤケ面を真剣な顔に変え、そして続けた。)
「長らく議論を見守っていましたが…今、この議論に価値はあるでしょうか?」
「どういう意味だべ?」
「イーストック君が虎林君を殺したにせよ、その逆にせよ、獄原君が1番に神の下に召されたのは事実。」
「そして、獄原君を殴り、蘇りの薬という名の毒を投じたのは…状況から見てイーストック君でしょう。つまり……」
「今回 導き出すクロは…イーちゃんってことで、ファイナルアンサー的な〜!?」
「あ。そ、そうでしたね。あまりにも仮説がありすぎて…忘れてました。最初に死んだ人の犯人を探すんでした…!」
「…じゃ、イーストックさがクロってことでいいだな?」
「獄原さんが亡くなったのが後という可能性も…なくはないはずですが。状況証拠的には妥当かと…。」
「でも、イーちゃんがトラリン殺した場合も、ゴンちゃんの現場 見られたから。」
「トラリンがイーちゃん殺った場合も、ゴンちゃんが殺られたから。」
「ゴン太先生が1番…なんですね?イーストック先生が、池でゴン太先生を殴ったクロ…ということですね。」
「………。」
(本当に…それでいいのか?)
(獄原が後から死んだ可能性…他の人間に殺された可能性は…なくはない。)
(ーー可能性は無数にあるが…裏付ける根拠がない。)
(今までの仮説…1番に死んだのは獄原で、薬の実験体にされたというのが最も筋が通っているが…仮説は仮説だ。)
(何か根拠となる証拠はないかと探してみたが、決定打になりそうなものが まるでない。)
(ーーそれに、何なんだ。この違和感は…。)
(思わず頭に手を伸ばして帽子をグシャリと握った。その時だった。)
「それは違うよ!」
(裁判場に響き渡った声にハッとする。)
(声がした裁判場入り口に目をやると、信じられないものが目に飛び込んできた。)
「………は?」
「え、な、何で…だべ?」
「どうして…?」
「貴方様…は…。」
「生きて…たのか?」
(てんで頭が追いつかない。混乱したまま、俺は その人物の名を呼んだ。)
学級裁判 中断















コメント
お忙しい中更新ありがとうございます!
さ、最後の声はもしかして……星くん困ってるから早く助けてあげてくれーーー泣
仮説の筋は通ってるけど違和感がある、という星くんの考えの通り、読んでいて「そうだけど、そうなんだけど、なんかそうじゃない気がするんだよなぁ」というモヤモヤ感が面白かったです。
ゴクハラロンパも終わりに近づいてきていそうなのが寂しいですが、続きも楽しみにお待ちしています♪
星君の裁判の印象が「本家1章の頭いい仮説」だったので、全体的に仮説オンパレードのフワフワした感じになってしまいましたが、違和感モヤモヤを感じてくださって安心してます!ゴクハラロンパはかなりゆっくり更新でしたが、コメントを励みに終わりに迎えそうです^ ^いつもありがとうございます!