Round. 4 虫の息の容疑者 学級裁判編Ⅲ
(裁判場に現れた男。恵まれた体躯。虫かごを携えた姿。見間違えるはずはない。)
「獄…原…。」
(俺は男の名を口の中で呟いていた。)
(ーーそうだ。裁判場に現れたのは、“超高校級の昆虫学者” 獄原 ゴン太。死んだはずの人間だ。)
(獄原の姿に、全員が息を呑む。最初に呟きを漏らしたのは、野伏だ。)
「え…。マジで、ゴンちゃん?」
「うん。ゴン太だよ。」
(生きていたのか?…いや、獄原は確かに死んでいた。そんなはずはねー…。)
「ぎゃー!オバケだ!!」
「化けて出ただ!殺されたゴン太さが化けて出ただ!!」
「ご、ごご安心を!仕置人の名において、わたくしが退治しますっ!あああ悪鬼退散!!」
「半泣きで言われても頼りないです!仕置人ってオバケ祓えるんですか!?」
「オバケじゃないよ!紳士は人を おどかしたりしないんだ!」
(混乱して言葉も出せずにいたが、さすがに周りが やかましすぎる。)
「全員 落ち着け。獄原…なんだな?」
「うん。ゴン太だよ。」
「…生きていたのか?」
「うん。目が覚めたら校舎にいて…モノクマに言われて、慌てて ここまで来たんだ。」
「嘘さ言うでね。モノクマ、ずっと ここいたべ。」
「言っとくけど、オマエラが思ってるよりモノクマって多いからね。」
「ハイラルに たくさん姫巫女がいるように。公安零課に たくさん同じ顔の男がいるように。」
「モノクマって世襲制とかパブリックドメインなんですか?いえ、それより、ゴン太先生のオバケです!」
「ええ。獄原さん。貴方様の無念は必ずしも我々が晴らします。ですから、成仏なさってください。」
「待ってけろ。成仏すっ前に犯人さ教えてから逝ってけれ。」
「そ、そうですね!真実を話してから、お逝きなさい!」
「だから、ゴン太はオバケじゃないんだ!信じてよっ!!」
「……やれやれ。」
(困惑と混乱。そして、かすかに温かいものが胸に広がる。)
(また…こんな気持ちになる日が来るなんてな。)
「…モノホンなワケ?オレら、キミの頭から血がドバドバ出て死んでんの、見てんだけど。」
「うん…。ゴン太も不思議なんだけど…。」
「ちょっと、その包帯の下 見せてくれん?」
「え?」
「モノホンのゴンちゃんか確認させて。救世主復活ん時に弟子が疑って、傷跡 見せろって言った感じで。」
「聖書の話ですか?貴方様は本当に何に仕えているんです?」
(獄原は頭に巻かれた包帯を取った。そこには痛々しい傷跡が残っていた。けれど、その傷は既に塞がっている。)
「おい…それ、大丈夫なのか?」
「う、うん。不思議と もう痛くないんだ。」
「ふーん…前に作ってた指の傷も まだあるね。っつーことは…」
「本物…だべ?ゴン太さ、本当に生きてたんだべ!!」
「ゴン太先生…!帰ってきてくれたんですね!!」
「おお、主よ!神の子は復活なされた!」
「うっ…だがらっ!あなだざまば何にづがえでるんでずがー!」
「華椿先生っ!今だけは、今だけは裁判中ですが体液撒き散らして泣いてもいいですっ!」
(騒がしい連中に獄原は困ったような顔をした後、涙を流した。)
「ありがとう…みんな…。笑顔じゃなくて…泣かせちゃった。ごめんね。」
「……悲しい涙じゃねーさ。」
(俺は獄原の…ゴン太の泣き顔に声を投げかけた。)
「よく帰ったな…。ゴン太。」
「星君…ありがとう。ただいま。」
「感動の再会ってヤツだね。ボク的には、裁判中に生き返るより裁判中に死体が出る方が好みかなー。」
「水さ差すんでね。」
「そうだ そうだ!マジでテンアゲチョベリグマンモスウレピ~気分上々々だろーが!」
「ちょ…野伏先生のテンションが大変なことに…。」
「…ま、いいけどね。これ4章だけど、いつもの4章と違うから。セオリーとか関係ないからね。」
「………。」
(ゴン太が生きているってことは喜ばしいことだが、俺たちは確かにゴン太が死んでいるのを確認した。)
「今、ゴン太が生きてるってことは…1つ とんでもねー話が浮上してくるわけだな…。」
「とんでもねー話?」
「ああ。それはーー…」
2. 人類は不死身だった
3. 蘇りの薬は本物だった
「とんでもねー話といえば…アンブレラとアマテラス…どっちも似てるよね。」
「傘と太陽神…全く似てませんね。」
「やれやれ。」
△back
「ゴン太は確実に死んでいた。だが、今こうして生きている。」
「つまり…イーストックの蘇りの薬は本物だったってことだ。」
「ええ!?」
「そったらことーー…」
「あり得ねー…って言いたいとこだけど…実際、ゴンちゃんは生き返ったワケだww」
「ええ!!!?ゴン太、生き返ったの!?」
「気付いてなかったんかーいww」
「分からないんだ。何も…。ただ…起きたら校舎にいて…。」
「死んずまった時のことは覚えてないのけ?」
「えっと…急に暗くなって後ろから頭に衝撃があって……。ごめん、よく分からないんだ。覚えてないんだ。」
「混乱してんねー。ま、無理もねーよ。死んで、生き返ったんだもん。でも、オレは嬉しいゼ☆」
「あのー…生き返るとかは流石に…信じがたいんですが…。ただ死んでなかったってことなんじゃないですか?」
「…だとすると、ゴン太の分のモノクマファイルを配ったのはモノクマのミスだったってことになるな。」
「ちょっと!そんな凡ミス、モノクマはしません!あの時、確かにゴン太クンは死んでたんだよ!」
「はい…それは、捜査時間にボクも確実に見てたんですけど…。」
「死んだと見せかけて生きてた〜みたいなの、よくあんじゃん?それじゃね?」
「適当だべな。」
「なるほど…流浪人でもCTUでも見たことありますね。納得しました!」
「それで納得できたんですか。まあ、殺ったと思ったら生きていた…というのは仕置人界でありがちです。」
「それはハナハナがミスって殺せてなかっただけじゃね?www」
「とにかく…ゴン太が生きている以上、マユツバだと思ってた薬は本物だったと納得するしかねーな。」
「納得できてない顔して言ってらーww」
「この世界ではあるんだよ。蘇りも終末世界も異世界転生も。」
「異世界転生ですか。そそられますね。」
「そそらんね。オラ、水洗便所ねぇ所はゴメンだべ。」
「えっと…ここに来るまでにモノクマファイルを見たんだけど…虎林さんとイーストック君は…。」
「ああ。2人とも死んだ。だが…あんたが生き返ったとなると…2人も生き返る可能性があるかもしれねーな。」
「あ、虎林先生も蘇りの薬を飲んだ可能性があるんでしたよね!もしかして、イーストック先生も?」
「あくまで可能性だ。」
「これで2人も帰ってきたらハッピーエンドだべ。」
「そうですね。……っうッ。想像したら既に涙が…。」
「もうツッコまねーからwwww」
「2人とも帰ってくるの!?よ、良かった!!」
(裁判場を安堵が満たすのを感じた。)
…………
……
…
(ーーしかし。それから暫く待っても、イーストックや虎林が戻る気配はない。)
「どうやら…早合点だったようだな。」
「そ、そうなんですか?死んでしまうとは情けない!と言われながら2人が舞い戻ることはないんですか!?」
(俺は黙ってモノクマに視線を向けた。)
「も〜、そんな目で見ないでよね。最近の子は、すぐ答え見ようとすんだから。」
(モノクマはワザとらしく怒った素ぶりを見せてから、嫌な笑みを浮かべた。)
「うぷぷぷぷ。今回 蘇ったのは、ゴン太クン1人だよ。虎林さんもイーストッククンも、生き返ることなんてないよ。」
「えっ。な、何で!?」
「死因がハッキリしないイーストックさんは ともかく…虎林さんもですか?」
「獄原と同じ薬を飲んだわけじゃねーってことか?」
「それか、ゴンちゃんの生命力がバチクソ強くて奇跡的に薬が効いたとか?」
「そんな…ゴン太だけ、生き返ったの?」
「……ゴン太、あんたが生き返ったから2人が生き返らなかったなんて考えないことだぜ。」
「そうです!今はゴキブリ並の生命力とトカゲの尻尾のごとき再生力、ぶわけものみたいな自分を喜びましょう!」
「……うん。ありがとう。」
「怒っても良いとこだと思うけんどなぁ。」
「やれやれ。とにかく、ゴン太。覚えてる範囲で構わねー。昨日の夜のことについて話してくれ。」
「う、うん。」
(獄原は不安げに頷いて、こう言った。)
「ゴン太、茶室の庭にいて…その時に殴られたんだ。」
「茶室?」
「うん。みんな、ゴン太は本島と繋ぐ橋近くの池だと思ってたみたいだけど…違うんだ。」
「昨日の昼、茶室の庭の池にいたヤゴさんが羽化しそうなのに気が付いたんだ。それで、一晩中 見守ろうと思って。」
「花火の時に虎林さんに話したら見たいって言ってくれて。そのまま一緒に行こうって言ったけど断られちゃって…」
「今夜はヤゴさんを見に行こうと思うんだ。」
「ヤゴ?」
「ヤゴさんは、蜻蛉さんになるんだよ。今晩、蜻蛉さんになりそうなヤゴさんがいるから、応援しに行くんだ!」
「そ、そうなんだ。秋ノ島の池だよね?たくさんいるの?」
「あ、ううん。茶室の池にもいたんだ。」
「あの…アタシも一緒にいていい?」
「うん!じゃ、一緒に行こう!」
「え!?ゴ、ゴン太と並んで歩くって…もはやデートじゃん無理!あ、違…心の準備したいし、アタシは後で行くよ!」
「ほら、秋ノ島は安全っぽいって分かったし!」
「でも、暗いし危ないよ?任せて!女性の送り迎えは紳士の嗜みだから!」
「違うの違うの!!ゴン太と歩くと爆発しちゃうから!!」
「ええ、爆発!?い、今は?今は歩いてないから大丈夫だよね!?」
「違う違う!ほ、本当に、大丈夫だから!ほら、アタシ、ゴルフクラブ持ったら最強だから!!」
「とにかく、アタシ、一旦 部屋に戻らないとだからっ!アレ…ハチのレモン漬けみたいなの部屋にあるから!」
「蜂さんのレモン漬け!?」
「違う違う!あのっ、とにかく、1人で歩いてる間に気持ちを整えるから!茶室では、爆発しないようにするから…!」
「茶室で爆発する可能性があるの!?」
「……それで、ゴン太はヤゴさんを見ながら虎林さんを待ってたんだ。」
「そうか…。犯行現場は茶室の庭だったんだな。」
「どうして虎林さんは一緒に行かなかったのでしょう…。」
「そこ重要じゃねっだろ。待ち合わせデートのが好みだったってだけだべ。」
「そうそう。一緒に行ったら事件が起こらないから、ミステリもののキャラクター達は別行動を好むのです!」
「それで虫観察に気を取られていた俺は背後から来る犯人に気付かなかった…ということですね。」
「うん。殴られたのは0時くらいだったよ。直前にモノパッドを見たんだ。」
「虎林さんが遅いから心配で彼女の位置を確認したんだ。本島の寄宿舎にいたみたいだけど、動いてたから。」
「ゴン太が殴られたのは、0時頃。その直前に寄宿舎にいたなら、虎林が現場に着くまで30分は掛かるな。」
「なるなる〜。ゴンちゃんは犯人の顔、見てなかったワケ?」
「うん…。突然のことだったから…。」
「もし…ゴン太が そこで倒れなかったら…虎林さんもイーストック君も虫さんも…死ななかったかもしれない。」
「タラレバ言ってても しょんなかべ。」
「虫さんって、ヤゴのことですか?ゴン太先生の死体…死体、だったもの?に虫くっついてましたね。」
「……ヤゴさんは頑張って蜻蛉さんになったんだよ。それなのに、ゴン太が潰しちゃったんだ。」
「妙に白いトンボだっち思ってたけんど、あれはトンボなりたてだったんだべな。」
「蜻蛉さんだけじゃなくて…ずっとゴン太と一緒にいてくれた虫さん…今まで色々アドバイスをくれた虫さんも… 。」
「……ゴン太の胸に もう1匹へばりついていたな。」
「あー、あの黒いの?小さいゴミかと思ってたわww」
「……うん。ゴン太のせいで…蜻蛉さんも、ずっと一緒にいた虫さんも死んじゃった。」
「オメのせいじゃねっでろ。」
「そーそー、ゴンちゃん殴ったイーちゃんのせいっていうかー。」
「ええ!?ゴン太を殴ったのは、イーストック君だったの!?」
「マジで気付いてなかった系〜?」
「無理もありません。突然 灯りが消えたのなら、目が慣れるのに時間もかかりますし。」
「どうして…イーストック君が…?」
(顔を青ざめかせて困惑したゴン太に、これまで議論したことを説明した。)
「そっか…。」
(話を聞いたゴン太は、真っ青な顔のまま、肩を落としている。)
(2人の犠牲者。イーストックがゴン太を実験体にしようとしたこと。共に裁判を乗り越えてきた虫を失ったこと。)
(ショックが大きすぎて、とても前に進めない。そんな顔だ。)
「………。」
(ーーまるで…あの時の俺みてーじゃねーか。)
「ゴン太。あんたの近くにいた虫さんとやらはいねーが、あんたは もう…自分で考えられるはずだ。」
「えっ…。」
「……それに、あんた1人で真実を導き出そうなんて思わなくていい。」
(その重圧を1人で背負わなくていい。)
(そんな思いで、俯くゴン太に声を投げかけた。)
「言ったろ。そんな時こそ、他の奴らを…俺たちを思い出せって。」
「星君…。」
「そうですよ!みんなで力を合わせて英国紳士級のナゾに挑みましょう。」
「それは意味不明だけんども…まあ、1人じゃ踊れねぇ舞台もあんべ。」
「貴方様が間違ったならば、わたくし共が反論いたします。」
(ゴン太が ゆっくり顔を上げた。)
「でも…ゴン太は、虫さんがいたから話せていただけで…。たぶん、虫さんがいなかったら…役に立たないよ。」
「それは違うぜ。」
「……。」
「あんたは既に虫の力を借りずに考えてた。…それとも、モノクマを倒そうって考えも虫からの助言だったのか?」
「それは…」
(ゴン太は躊躇いがちに口を開き…そして、はっきりした口調で続けた。)
「それは違うよ。」
「………。」
(そうだ。あの時も、自分で考えた。結局モノクマを倒そうっていうのは間違いだったけど。)
(ゴン太だけじゃ…正しい答えなんて……分からないけど。みんながいるなら。)
「そうだね…。みんながいるなら、絶対に大丈夫だよね。みんなで、真実を見つけよう…!」
「ゴン太先生…!」
「うぐぅ…っ、な、泣いてませんからっ…!」
「…別にいんでねーか、泣いても。」
「超☆せいしゅーんwww」
(虫さん、ありがとう。もうゴン太は大丈夫だよ。みんながいるから。)
(虫さんの声を思い出していると、星君がゴン太を見た。)
「…『あの時の俺と同じ』なんて考えて悪かったな。」
「え?」
「あんたは前に進んでる。…俺と違ってな。」
「…えっと?あ、ありがとう。」
(みんなで、真実を見つけるんだ!)
コトダマリスト Update Ver.
モノクマが研究室に用意していた怪しい本。蘇りの薬についての記述がある。薬の材料は有毒の薬品Aと無毒の薬品B。薬品Aはドクロマークのビンに入っており、服用後 数分で眠るように死に至る。
獄原が殴られたのは24時前。直前のモノパッドによると、虎林は生きていて本島の寄宿舎辺りを移動していた。秋ノ島に到着したのは24時半頃だと思われる。
学級裁判 再開
「コトダマアップデート形式って、違う裁判ゲームすぎない?ま、いつもと違って、それで良いんだけどね!」
「ーーで?今はっきりしてんのは、イーちゃんがゴンちゃん殴って実験した蘇りの薬が本物だったってこと。」
「この裁判のクロは、先に死んだ人の犯人を当てることだよね?」
「…そうですね。虎林さんとイーストックさん、どちらが先か。仮説しか立てられていませんでしたが…」
「獄原が言うには、0時頃 虎林は生きていたんだったな。」
「うん。ゴン太が殴られる3分くらい前だったと思うよ。」
「本島から秋ノ島まで普通に歩いたら30分くらい…。走っても15分は掛かりますよね。」
「一応、トラリンのモノパッドを犯人が持ち運んで偽装した可能性もあるけどねー。」
「それでは、犯人が獄原さんと虎林さんが会うことを知ってたことになります。」
「誰か殺してぇなら、わざわざ2人でいる奴ば殺し行くんは意味わがんね。」
「ああ…。たとえ虎林を本島で殺したんだとしても、秋ノ島に運ぶ理由がねーからな。」
「えーと…。あれ?普通に考えたら、クロも被害者も分かっちゃいません?」
「どういうことですの?」
ノンストップ議論1開始
「実際は貸出し手続きはいらなかったようですが…裁判が開かれるまで、それをボクらは知らなかったわけです。」
「それなら、やっぱりイーストック先生が持ち出した薬が使われた…最初の仮説が正しいんですよ!」
「イーストックさがゴン太さに薬ば飲ませっのを虎林さに見られたから、同じ蘇り薬で殺したっちことけ?」
「ええ、貸出記録は1件…蘇りの薬だけですから!」
「では、どうして虎林さんは生き返ってこないのでしょう?」
「それは…やっぱりゴン太先生が強靭で再生力バツグンだったとかですよ!」
「イーストック先生は蘇りの薬を虎林先生にも飲ませたけど、虎林先生は身体に合わず死んでしまったんです!」
「虎林さんは生き返れなかったんだよね…。」
「彼女ができなかったのではなく、ゴン太先生が特殊だったんですよ!再生力が変わらないただ1人の昆虫博士!」
「掃除機みてぇに言うでね。」
△back
「それは違うよ!」
「……貸出しのルールは、2時間以内に返さなきゃいけないってものだったよね。」
「そうですね。22時に貸出しの記録がありましたから、それがイーストック先生が持ち出した蘇りの薬かと。」
「うん…でも、それなら おかしいよ。ゴン太が殴られたのは0時頃。その時、虎林さんは本島にいたんだ。」
「22時過ぎに貸出し手続きがされているから…0時半に茶室近くに来た虎林に薬を飲ませることはできねーな。」
「あっ…た、確かに。」
「0時以降に持ち出しがあった可能性もあるが、少なくともゴン太に飲ませた薬を虎林にもっ…てのは考えにくい。」
「1つの薬品につき、1回の貸出手続き。」
「イーストックさだったらマメに規則は守りそうだべなぁ。」
「ふーん、じゃさ、こういうのは?いったん0時以降の持ち出しは無視してさ。」
(ニヤリと笑って、野伏君は語り始めた。)
「まず、イーちゃんがゴンちゃん殴って薬飲まして、制限2時間のこともあっからダッシュで研究室に薬 戻してー、」
「で、ゴンちゃんを茶室の庭に放置だと目立つから、茶室内に運んでたとこをトラリンに目撃された…とか?」
「で、追いつ追われつして図書館に転がり込んで、殴り殴られつつ、事件が起こった。」
「図書館内でも研究室から出るなら貸出手続きがいるんですよね?」
「だからよ。先に死んだのがイーちゃんであれトラリンであれ、外だったら手続きが必要だから中でやった。」
「…野伏さん。現場が研究室だと…そう仰りたいんですの?」
「イエス イエス!図書館内で2人は激闘の末、イーちゃんは頭に殴打を受けながら、トラリンを研究室に連れ込む。」
「それで、研究室内にあった薬品で…虎林さんを?」
「そんな感じ〜。そしたら、貸出機に記録 残らんじゃん?」
「だが、モノクマが0時過ぎに研究室外への持ち出しがあったって言っていたのを無視はできねーぜ?」
「ま、それもそーなwww」
「……。」
(あっけらかんと言い放つ野伏君に、星君は難しい顔を返してから、ゴン太を見た。)
「…どうにも、違和感がある。この違和感は何だ?ゴン太、あんたは どう思う?」
「……ゴン太…は、」
「ゴン太は…イーストック君は そんな人じゃないと思うよ。」
「だども、オメ、殴られてんだべ。」
「そ…そうですよ。確かにイーストック先生が そんな蛮行を…というのは信じられませんが…。」
「彼の様子は おかしかったでしょう。蘇りの薬に心を囚われてしまったのかもしれません。」
「……でも。」
「ゴン太。もし、イーストックと虎林が揉み合う中でイーストックが殴られたとしたら…違和感はねぇか?」
(違和感…?それってーー…)
1. 虎林の男気あふれる行動
2. 地球の温暖化
「………。」
(星君がタバコみたいなものを出して口に咥えた。)
「安心しな。…ただのチョコレートさ。」
△back
「…そっか。イーストック君の頭に残ってたっていう打撃痕は変だよ。」
「変だべ?何がだべ?」
「揉み合ったってことは…向かい合ってたはずだよね。どうして、後頭部に傷痕があったんだろう。」
「確かに、ゴルフクラブのヘッド部分で至近距離正面の相手の後頭部を殴るのは難しいでしょうね。」
「では、虎林先生が油断して後ろを向いたスキにガツンと!」
「虎林さんは右利きだよね?もし、背後からイーストック君を殴ったら、右の後頭部に傷が残るんじゃないのかな?」
「…そうか。ずっと感じていた違和感は それだ。右利きが振りかぶるなら、真上から右上からが自然だな。」
「でも殴るだけなら どっちでもできませんか?利き手問題って推理モノで見ますけど納得いかないんですよね。」

「ドアノブの指紋がとか、袋の開け方が どうとか…。それで犯人当ては浅はかじゃないですか?」
「他の奴なら分からねーが…虎林が慣れたゴルフクラブを使うなら、左からってのは考えにくいな。」
「プロレベルでスポーツする人間ってのは身体が動きを覚えてるからな。」
「ゴルフでの打ち方と振りかぶる動きでは、違うものなのでは…?下から振り後頭部へ…というのも難しいですね。」
「ああ。だから、使い慣れたクラブを振りかぶって虎林が左後頭部を殴るってことに違和感があるのさ。」
「ふーん。てか、ホッシーは人殴るために振りかぶるなら、右からイくん?www」
「……テニスにはバックハンドってもんがあるんだぜ?」
「ちょっと!星先生は人を殴ったりしませんよ!」
「まあ、これも仮説に過ぎねーが、虎林がゴルフクラブを使ったわけではない可能性も出てきたわけだ。」
「うん。虎林さんはクラブを大切そうしてたよ。そんな彼女が、大切な道具で人を傷付けるなんて考えられないよ!」
「………。」
「トラリンが肌身離さず持ってたモンなのに?って疑問はあっけどねー。てか、ゴンちゃん、左右 覚えたんだね〜。」
「教えてもらってから、みんなが使う手とかも よく見るようにしてたんだ。虎林さんが練習しているのも見てたし。」
「結局、どういうこった?イーストックさ殴ったのは、虎林さでねってことだか?」
「…ゴン太、あんたが殴られたエモノは分かるか?」
「えっと…丸太みたいなもの…だったと思う。気を失う前、ゴン太の血が付いた丸太が見えたから…。」
「…なるほどな。ゴルフクラブを使ったのが誰であれ、付いていた血はイーストックのもので間違いないってことだ。」
「けれど…虎林さんがやったのではないとしたら…左利きの人間がやったということでしょうか。」
「…ここにいる皆、ゴン太さ以外 右利きだべ?まさか、ゴン太さがイーストックさ殴ったんか?」
「違うよ!紳士はゴルフクラブで人の後頭部を殴ったりしないんだ!」
「しないっつーか、できねーよなー。ゴンちゃん、その時には死んでたし。立派なアリバイだわww」
「利き手を偽装するためにイーストック先生の左後頭部を殴ったという可能性はありませんか?」
「ほぼ右利きしかいねーのに偽装も何もねーっしょ!つーか、今更 他のヤツが秋ノ島にいたとか考えにくくね?」
「図書館にイーストック君と虎林さんがいた。何が起こったんだろう。」
(虎林さんはゴルフクラブを大切に、ずっと持ち歩いていた。それが現場にあったならクラブを使えた人は限られる。)
(2人しかいない現場。普通に考えたら虎林さんしかいない。イーストック君が自分で自分を殴らない限り。)
「………。」
(もしかして、イーストックはーー…)
1. ゴルフクラブを踏んだ
3. ゴルフクラブを投げた
「何でったらことすんだ?」
「えっと…な、何か理由があったのかも!ゴン太、よく考えてみるよ!」
「やめれ。時間のムダだべ。」
△back
「…そっか。イーストック君、ゴルフクラブを踏んじゃったんじゃないかな?」
「踏んだ?」
「うん。虎林さんのゴルフクラブの持つ所…ちょっと特徴的だよね。彼女、言ってたんだ。踏むと危ないって。」
「落としたゴルフクラブのグリップ踏まなくて良かったぁ…。」
「このグリップ、ちょっと出っぱってるでしょ?アタシが愛用してるのと似てるから、これにしたんだけど…」
「これ、落ちてる状態で踏んだら、ヘッドが自分に向かってくるの!踏んだ勢いでね、こう…!」
(虎林さんは球を打つ金属部分が勢いよく顔に当たる仕草をとる。確かに、そんな風に当たったら痛そうだと思った。)
「えっと…つまり、柄の部分の突起を踏んだ反動で打つ部分がイーストック先生の後頭部を直撃したってことですか?」
「何だべ、それ。」
「いえ、あり得ますよ。わたくしなら…そんなトラップがあれば週2で引っかかるでしょう。」
「フツーなら そうはならんけど、ゴンちゃん殺されてトラリンめちゃキレてたろうし。揉み合ってたらあり得る系?」
「ちょ、ちょっと、待ってください!だとしたら、イーストック先生は事故死ってことですか!?」
「いや、イーストックは それでは死んでなかったはずだ。それは現場の様子からも明らかだ。」
(イーストック君がゴルフクラブで頭を打って死ななかった根拠は…。)
1. イーストックの手帳
2. 研究室の空き瓶
3. 図書館外の血痕
「あんたは さっき、茶室で殴られたと言ったな?そこで倒れた。」
「う、うん。」
「…つまり、あんたの血痕が茶室以外で見つかることはない。」
△back
「…そっか。イーストック君は研究室に座ってたけど、図書館入り口や茶室までの道にも血が落ちてたんだよね。」
「あ!そうです!図書館の外にもありました!」
「ああ。ゴン太の血じゃねぇってことは、イーストックの血だ。それが、図書館から虎林の死体近くまで落ちていた。」
「トラリンの死体には傷とか返り血とかもなかったし、イーちゃんの血で間違いないだろねww」
「虎林さが死体ば担いでウロウロしてたはずもねーしな。頭打った後、イーストックさが歩き回ってたってことだべ。」
「一応、イーストックさんが事故死した後に虎林さんがゴルフクラブを持って彷徨った可能性もありますが…。」
「その可能性ありますか?死体発見時、ゴルフクラブは図書館にあったんですよ?」
「それだよねー。何で、事故で死んだイーちゃんを見たトラリンまで死んだのか。問題は、そこじゃね?」
「虎林さんが死んだ理由…。」
「そ。トラリンとイーちゃんが揉みくちゃの後、トラリンのクラブ踏んだイーちゃんが血を吹いて倒れた。」
「動揺したトラリンは、その後 死んだわけだけど。何でー?」
「まさか…。」
「自分で死んだ…ってこと?」
「そんな…そんなに すぐに自決を選べますか?」
「虎林が『自分がイーストックを殺した』と思ったとしたら…あり得るな。」
「…あ!裁判が始まれば、自分がクロになるかもしれないと思ったんでしょうか?」
「あれ?でも、虎林先生的に、クロはゴン太先生を殺したイーストック先生ですよね。死ぬことはないんじゃ…?」
「人の心ねーなwwそういうんじゃねんだよww」
「動転していて そこまで気が回らなかったか、クロを殺したクロになる可能性を恐れたか…。」
「…ま、辛いことがあれば、死が救済だっち思うんも無理はねぇ。」
(伊豆野さんが呟いた言葉にドキッとした。)
「そんなの…死が救済だなんて おかしいよ。」
「何でだ?十分な理由だべ。ゴルフクラブのせいでイーストックさが死んづまったんだかんな。」
「でも…何か、他に道があったかもしれないのにーー…」
「んじゃ。ま、ここでゴンちゃんの頭のリハビリいっとこか!」
「え?」
(ゴン太の言葉を遮って、野伏君が弾んだ声を上げた。)
理論武装 開始
「トラリンって、自分の言いたいことペラペラペラペラ言う系女子と見せかけて〜、割と気ィ遣いだったっしょ?」
「何つーか、気ィ遣いが沈黙 怖すぎてカラ回ってる的な?『コミュ障の自覚あるヤツ=大体 気ィ遣い』的な?」
「で、そんなトラリンが裁判のこととか考えずに勝手に自殺すっかねー?」
「いっくら愛しのゴンちゃんが死んで絶望中でも、オレら全員も死んでもええわ〜とはならないと思うワケ。」
「彼女だったら、裁判が起こった時のためにオレらに向けてメッセージの1つでも寄越すんじゃね?知らんけどww」
「最初にゴンちゃん、ゴンちゃん殺ったのイーちゃん、イーちゃんはゴルフクラブ踏んで死にましたー。」
「ーーって、そんな感じの。トラリン、何で遺書的なの置いといてくれなかったん?」
○モノ △の ×収集癖 ◻︎クマ
「モノクマが回収したんじゃないかな?」
「モノクマがー?」
「…そうか。昨日の夜に見せにきたな。」
「ああ!あの悪趣味な遺書コレクションですね!!」
「悪趣味じゃないよ!上流階級特有のハイソな趣味だよ!」
「で?モノモノ、どうなん?トラリンの遺書とか回収した系?」
「あー、うんうん。回収したした。回収しないと、裁判が面白くなくなりそうだったからね。」
「そうなんですか?つまり、その遺書には裁判に直接 関係あることが書かれていたということですね。」
「えー?んー、まあ、そうちゃ そうかな。じゃ、読み上げまーす。」

(軽い口調で言って、モノクマは紙を取り出した。)
「『あ〜ん!遅刻遅刻〜!彼との待ち合わせに遅れちゃう☆なんて思ってたら、ええ~!?彼、死んでるぅ!?』」
「『もー、どうなっちゃうの!?アタシの学園生活!?これは犯人を追いかけるしかないよね☆逃がさないゾ!』」
「『ってなわけで、追い詰めたら犯人はポックリ!アタシのハートはパッキリ!水分補給にはポッカリ!』」
「『はわわ〜、こんな気持ちじゃ生きていけないよぉ〜。サヨナラ、今世☆研究室の毒を飲んで出直しまっす!』」
「『応援してくれた みんな〜!これが事件の真相だよぉ〜!こんなことになってゴメリンコ☆』…だそうです。」
「絶対 嘘ですよね!?そんな書き方されてませんよね!?」
「遺書 読み上げる時なんて、明るい調子くらいが1番いいんだよ!」
(モノクマが遺書だという紙を見せる。そこには、丁寧な言葉遣いでモノクマが言ったような内容が書かれていた。)
「へー?マジなん?」
「彼女は本当に自殺しちゃったってこと…だよね。」
「…そのようだな。研究室の毒ってことは、蘇りの薬じゃねーってことか?」
「研究室には”オレを飲んだら死ぬぜ”みたいなビンがありましたよね。」
「あー、蘇り薬の材料の薬品Aのこと?あれ飲んだら安らかに眠りにつくらしいよ。永遠に。」
「それを研究室内で服用し、彼女は亡くなった。けれど、それなら彼女は研究室で発見されるのでは…。」
「…ゴン太さに会いに行ったんかもしれねぇだな。」
「けれど、実際はイーストック先生は その時点で死んではいなかったんですよね。」
「とんだロミジュリ事件だねー。じゃ、みんなで、事件を まとめておこっか。」
ノンストップ議論2開始
「イーストックと虎林。先に死んだのは、虎林だ。」
「つまり、この事件で導き出すべきクロは…虎林先生を殺した犯人ってことですね。」
「虎林さは、ゴン太さが死んずまっだ、イーストックさを殺すつまっだ思って、研究室の毒を飲んだだ。」
「うんうん。悲しい…事件だったね。彼女の表情も悲劇的なカンジだったよ…。」
「つまり、薬品Aで死んだ彼女を殺したのは…彼女自身。今回のクロは、虎林さんということですね。」
「ブッブー!」
「えっ…。」
「あのさ、オレ、イーちゃんから材料の毒について、色々 聞いてたワケ。もっかいアプデ確認しといてー。」
△back
「それは違うよ!」
「薬品Aは毒だけど、眠るように死んじゃうんだよね?」
「そーそー。薬品Aは安楽死薬みてーな毒。薬品Bは無毒。イーちゃん、そう言ってたよー。」
「でも、虎林さんは苦しそうな顔で死んでたんだよね。じゃあ、薬品Aが使われたわけじゃないはずだよ。」
「じゃあ、何ですか?虎林さんは、研究室内に返却された蘇りの薬を飲んだんでしょうか?」
「んー、イーちゃんの死体が持ってたから可能性はあるかもね。」
「でも、イーストック先生の蘇りの薬は一目見て毒だと分かる見た目じゃありませんでしたよ?」
「んだな。イーストックさの薬は、机の上に転がってた小瓶と同形同色だったべ。」
「そ。だから、貸出機 通さないで外に持ち出された物があったかもって話を思い出して欲しいわけよ。」
「0時以降、研究室内の物が持ち出されていた可能性がある…あれは22時の蘇りの薬とは別だって話だったな。」
「でも、ルールを破ったら何か悪いことがあるんだよね?わざわざルールを破った人がいるの?」
「モノクマは処罰の予定があったとだけ…処罰はされなかったということでしょうか?」
「処罰の対象がこの世からいなくなったからじゃね?」
(野伏君は右手の人差し指を立てて笑った。)
「どういうことだと思う?『研究室の毒を飲む』という遺書があったけど、薬品じゃ あんな風に死なない。」
「かといって、イーちゃんの薬は一目で毒とは分からない。研究室に入り浸ってなければ、余計にね。」
「トラリンは何を飲んだのか。持ち出されたのは何だったのか。この事件のクロを想像できましたか?」
(ゴン太を見て笑う野伏君の表情が変わった。いつもとは違う、真剣な眼差しだった。)
(その瞬間、何故か頭の中にスポーツカーのハンドルを握る自分の姿が現れた。)
(え!?何、これ?ゴン太、免許証なんて持ってないのに!紳士は無免許運転をしちゃいけないのに!)
(そんなことを考えている間に、車は走り出した。)
ブレインドライブ・トライアル 開始
Q. 虎林の遺書にあった『毒』とは?
1.薬品A 2.薬品B 3.蘇りの薬
Q. 0時以降に研究室外へ持ち出された物とは?
1.薬品A 2.薬品B 3.蘇りの薬
Q. 研究室外に薬品Bを持ち出したのは?
1.虎林 鞠
2.イーストック・ザパド=ユグ・セベル
3.野伏 茸
「…虎林さんは遺書にあった通り、研究室内で薬品Aを飲んだはずだよ。」
「んだなぁ。薬さ持ち出すたなら、ちゃんと獄原さの所まで行って飲むはずだっからな。」
「それに、虎林は薬品のビン等は持っていなかった。虎林が薬品を持ち出した可能性は低い。」
「えーと…じゃあ、誰が?」
「……イーストック君だよ。殴られて気絶した彼が目覚めて…薬品を持ち出したんだ。」
「モノクマは『22時に持ち出された物とは別だ』と言ってたから、恐らく薬品Bだろうな。」
「うんうん、イーちゃんが薬品Bを持ち出した。それで それでー?」
「薬品Aを飲んで倒れていた虎林さんに薬品Bを飲ませたんじゃないかな。」
「いったい何故そんなことを…?」
「……。」
2. 虎林を生き返らせるため
3. 虎林を楽に死なせないため
「イーストック君は、」
「トラリンの腹で蘇り薬を完成させようとした系?」
(ゴン太が答える前に、軽い口調で野伏君が言った。)
「えっ。人の胃腸を試験管に…?マッドすぎません?」
「イーストックさはゴン太さが生き返るごとを知らなかったべ。蘇りの薬はマユツバだっち思ってたんでねっのか。」
「さあねー。前回失敗、今回こそは!って感じかもだし〜。男女や体格の違いで研究結果を見たかったかもだし〜。」
「……。」
「ゴン太は…イーストック君は、みんなのために薬を作ってくれたんだと思うよ…。」
「1度 殴られて殺されているのに、よく そんな人の好いことが言えますね。」
「でもさー、そーなるとイーちゃんが死んでたのも納得じゃね?」
「……2回の失敗で2人が死んだ。」
「そ。自殺の原因になり得るくね?」
「蘇りの薬を最後まで信ずてたら…そっかもしれねぇな。」
「イーストック先生の死に顔は安らかでした。つまり…虎林先生の死後、研究室に戻って薬品Aを飲んだんですね。」
「……。」
「これが、全員で導き出した答え…ですか。」
「獄原。」
(星君がゴン太に目線をくれた。モヤモヤしたものを抱えながら、ゴン太は頷いた。)
クライマックス推理
「事件は深夜に起こったんだ。ゴン太は茶室でヤゴさんの様子を見てる時に、誰かに殴られて気を失っちゃったんだ。」
「誰かってのは、犯人だな。犯人は獄原に薬を飲ませたんだろう。『死者の書』を元に作った、蘇りの薬を。」
「だが、獄原を茶室内に運んでいたところに、虎林が現れた。獄原を殺されたと思った虎林は犯人の後を追った。」
「図書館まで犯人が逃げた時…たぶん、犯人は虎林さんに突き飛ばされて、虎林さんのゴルフクラブを踏んだんだ。」
「その拍子にヘッドで後頭部を強打して気を失った。虎林さんは それを見て、自分のせいだと思ったんだ。」
「獄原のことも手伝って、虎林は動揺していたんだろう。そのまま図書館の隠し扉の先の研究室の薬品Aを飲んだ。」
「毒は ゆっくりと虎林の身体を蝕んでいった。虎林は図書館から出て、茶室に向かう途中で倒れた。」
「でも…犯人は死んでいなかったんだ。目覚めた犯人は倒れた虎林さんを見つけて、薬品Bを飲ませた。」
「犯人が何故そんなことをしたのか…今となっては推測しかできねーが、蘇りの薬に取り憑かれていたのは事実だ。」
「2人を失敗した薬で殺してしまったと考えた犯人は、薬品Aで自殺を果たした。」
「ゴン太と虎林さんに薬を飲ませて、自らも命を絶った犯人…」
「それは…“超高校級の新聞部” イーストック・ザパド=ユグ・セベル君。」
「これが、みんなで導き出した事件の真実だよ。」
「おー!良かった!全部イーちゃんの仕業なら、複雑化しないね!」
「良くありません。」
「んだ。滅多なこと言うんでね。」
「ゴン太先生が帰って来てくれたのだけが幸いですね。…って、あれ?ゴン太先生?」
「……。」
「ゴン太、やっぱり…イーストック君は…みんなのための薬を作ってくれてたんだって…そう思うよ。」
「だから、1番 頑丈そうなゴン太で実験したんだ。でも…虎林さんは生き返らなくて…。」
(そうだ。イーストック君は、そんなことをする悪い人じゃなかったはずだ。)
(今までクロになった人たちだって…河合さん、平君、蔵田さんだって…みんな、良い人だった。)
(全部、コロシアイが悪いんだ。)
「ハイハーイ!モノクマを睨んでる暇があるなら、投票タイムに入りまーす!!」
(モノクマが明るい声で言って、投票を促した。)
学級裁判 閉廷
「大正解!”超高校級のゴルファー” 虎林 鞠さんを殺したクロは、”超高校級の新聞部” イーストッククンでしたー!」
「……。」
「ちなみに、イーストッククンを殺したクロも、イーストッククン本人で合ってるよ!おめでとう!」
「………。」
「再三 言ってるけど、これは4章は4章でも、いつもと違うからね。特別自己犠牲のクロってわけじゃないからね!」
「そして、おしおきに使うアルターエゴとかもおりません!ということで、解散!!」
(モノクマは訳の分からない言葉を並べて裁判場から姿を消した。)
「……どうやら、今回も乗り越えたみてーだな。」
「ウェ〜イ、みんな強運〜ww」
「強運なことあっか。2人も死んずまってんだぞ。」
「…ええ。ですが、獄原さんが生き返ったことは不幸中の幸いです。未だに信じられないことですが。」
「はい!ゴン太先生、本当に、おかえりなさい!」
(みんながゴン太に笑いかけてくれる。ゴン太は感謝の意を述べながら、みんなと裁判場を出た。)
(ーーゴン太は生き返った。)
(まだ信じられないくらいだけど、1度 死んで、また蘇った。)
「………?」
(ーーあれ?ゴン太が死んだのって、本当に1度だけだったっけ?)
Round. 4 虫の息の容疑者 完
Round. 5に続く
