日本人が何気なく使う「結構です。」という言葉。
結構、外国人にはYesなのかNoなのか分かりにくいものです。
今回は、「結構です」の4つの意味の違いと、ビジネスシーンの使い方を見ていきましょう。
否定?肯定?【結構】には4つの意味がある
以下の意味の違いは分かりますか?
②「結構美味しいですね!」
③「書ける範囲で結構ですので、ご記入ください。」
④「おかわりは結構です。」
このうち、否定を表すのは④のみです。
一方、③の意味は肯定的で、YesかNoかで外国人が意味を間違いやすい日本語です。
①結構な~(素晴らしい~)
とても良い、素晴らしいの意味
相手を褒めるときに使う(形容詞)
英語 wonderful, excellent, awesome
「結構な景色ですね。」
「結構なお手前で…」(茶道の作法的な言葉)
「そうですか、あなたは結構なお家柄の出なんですね。」
「素晴らしい!」の意味で「結構です」を使うときは、皮肉に受け取られることもありますので注意が必要。
「素晴らしい」と言った方が無難です。
②結構(とても)
とても、かなりの意味
量や数、程度がたくさんのときに使う(副詞)
英語 quite, pretty
「結構食べたよね。」
「この辺、結構ノラネコが多いんだ。」
③結構です(構いません、問題ありません)
構いません、問題ありませんの意味
相手への許可や許諾
英語 No problem. It’s okay.
「お支払いは後で結構です。」
「部長、こちらが書類です。…いかがでしょうか。」「…結構です。確かに受け取りました。」
④結構です(いりません)
いりませんの意味
勧めや申し出を断るときに使う
英語 No, thank you.
「袋はご利用ですか?」「結構です。」
「おかわりいかが?」「ありがとうございます、でも結構です。」
「いや~、もうお酒は結構です。お水にします。」
②「結構美味しいですね!」(とても)
③「書ける範囲で結構ですので、ご記入ください。」(構いません、問題ありません)
④「おかわりは結構です。」(いりません)
「結構です」の使い分け・見分け方
「結構です」には4つの使い方があります。
日本人でも混同している使い方なので、外国人にはさらに紛らわしいでしょう。
ここで簡単な見分け方を見ていきましょう。
「素晴らしい」と「とても」の見分け方
①と②「素晴らしい」と「とても」の見分け方
②「結構美味しいですね!」(とても)
この2つは、【結構】の用法が異なります。
①は、「結構だ」というナ形容詞(形容動詞)→名詞に接続
②は、「結構」という副詞→動詞や形容詞に接続
後ろに「な」や名詞が付いたら、素晴らしい!と褒めているんだと覚えておきましょう。
③と④「構いません」と「いりません」の違い
③「書ける範囲で結構ですので、ご記入ください。」(構いません、問題ありません)
④「おかわりは結構です。」(いりません)
外国人を悩ますこの違い。
この2つは、文脈から考える他ありません。
向こうからの依頼やこちらの仕事に対する話なら「問題ありません」。
申し出や勧めに対して「結構です」なら「いりません」。
以下、練習問題です。どちらの意味でしょうか?
→③問題ありません。
→③問題ありません。
→④いりません。
→④いりません。
ビジネスシーンで「結構です」はOK?NG?言い換えは?
ビジネスで「結構です」という言葉は使えるのでしょうか。
「結構です」はビジネスでも使用できる?
「結構です。」はビジネスでも使用できます。
ただし、 目上の人に使うのには適しません 。
また、日本人の中には「いりません」の「結構です」が突き放す言い方だと感じる人も多いため、注意が必要です。
では、どのように言えば良いでしょうか?
「結構です」の言い換え
「遠慮しておきます。」
「お気持ちだけ頂きます。」
「もう十分頂きましたので…。」
これらは、相手の気分を害さないようにやんわり断るのにおすすめ。
「いえいえ」や「ありがとうございます、でも、」などクッションとなる言葉を入れるとなお良いでしょう。
「お茶をもう一杯いかがですか?」
「いえ、遠慮しておきます。」
「ありがとうございます。でも、お気持ちだけ頂きます。」
「お気遣いなく。もう十分頂きましたので…。」
「大丈夫です」はビジネスでNG
「結構です」の代わりに、「大丈夫です」を使う人が多いのですが、こんなシーンは見たことありますか?
店員「レシートご利用ですか?」
客「あ、大丈夫です。」
これは、「(レシートは必要ないので)大丈夫です。」ということです。
これも外国人からすると不思議な日本語ですね。
「大丈夫です」は、本来ビジネスには使わない言葉です。
特に、「大丈夫ですか?」や「大丈夫です」は、目上の人に使ってはいけません。
「結構です」には否定の意味はなかった!?
もともと、「結構です」には、「いりません」という否定の意味はありませんでした。
本来、「いりません」を意味する「結構です」は、「私は十分満足しています(からこれ以上はいりません)。」という意味。
遠慮の意味が強く、直接的に否定の意味はありません。
それが、意味的にはNoとなるため、否定的に解釈されて使われているということです。
まとめ
- 結構ですの4つの意味
「素晴らしい!」
「とても」
「構いません。」
「いりません。」
- 目上の人に「結構です」はNG
- ビジネスシーンで「大丈夫です」はNG
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