【知る】【分かる】【理解する】は、どれもある物事について正しく判断できる様子を表します。
違いや使い分けをすぐに口で説明できますか?
【知る】は英語で「know」、【分かる】【理解する】は「understand」のように簡単に説明することもできるかもしれません。
が、簡単に見えて、結構難しいのが、これらの違いです。
【知る】と【分かる/理解する】の違い・使い分け
【知る】【分かる】【理解する】の違い、使い分け、それぞれの意味を理解するには、まず、【知る】【分かる/理解する】と分類して説明する必要があります。
【知る】とは
経験・知識・情報を持っていること
知識のない状態→知識のある状態
「昨日初めて、彼女の名前を知った。」
「ねえねえ、知ってる?あの子オタクなんだって」
「私は彼が優しい人だと知っている。」
「一を聞いて十を知る」
【分かる/理解する】とは
経験・知識・情報を正しく判断できること
分からない状態→分かった状態
「ここまで、分かりますか?」
「説明書を読んだだけではよく分からない(理解できない)。」
「私の言うこと、分かってる?」
「話せばきっと分かってくれる(理解してくれる)よ。」
【知る】と【分かる/理解する】例文
Aさんと初めて会って自己紹介した時点なら、Aさんを【知る】。
知らない人だったAさんのことを正しく判断できるようになれば、Aさんを【分かる/理解する】。
万有引力というものの存在を初めて見聞きしたら、それは【知る】。
万有引力について詳しく学び、論理的に判断し、例えば人に教えられるなら、それは【分かる/理解する】。
基本的に人は【知る】を経験してから【分かる/理解する】に移ります。
ひとつの事柄に対し【分かる/理解する】→【知る】ことはありません。
つまり、【知る】と【分かる/理解する】には、 時系列的な違い があり、時系列により使い分けるということです。
【分かる】と【理解する】の違い・使い分け
【知る】と【分かる/理解する】には、時系列的な違い・使い分けがありました。
それでは、【分かる】と【理解する】の違いとはどのようなものでしょうか。
【分かる】とは
経験・知識・情報を感性的(または論理的)に判断できること
心や気持ちで感じた結果が多い
【理解する】よりも広い意味
【理解する】とは
経験・知識・情報を論理的に判断できること
頭で理論的に考えた結果が多い
【分かる】と【理解する】例文
「ニュートンの万有引力の法則を分かっていますか?」「分かります。」
「ニュートンの万有引力の法則を理解していますか?」「理解しています。」
「分かります」の方は、何となく知っていて概要を言える人~細かく理解している人まで使える広い意味があります。
昨日テキストで見たレベルでも、学者レベルでも【分かる】が使え、理解度で使い分けしません。
一方、「理解しています」というと、かなり高いレベルの知識を求められます。
これはどうでしょうか。ややこしい言い回しですが、このような文はよくあります。
この場合、『愛してる』という意味は説明できる・論理は分かる。
けれど、感性的に伴っていないという状態です。
英語【知る】【分かる】【理解する】の違い・使い分け
【知る】と【分かる】【理解する】は、英語でなんと訳されるでしょうか?
英語でも違いや使い分けがあるのでしょうか。
中学英語で「know/知る」「understand/分かる・理解する」と習った印象が強いのではないでしょうか?
しかし、実はそれだけではありません。
英語ではさまざまな翻訳が使われており、意訳として【分かる/理解する】の場面で【知る】が使われる場合もあります。
【知る】の英語訳は?
know / understand
feel
be acquainted with
【分かる】の英語訳は?
understand / be understood
get / see
【理解する】の英語訳は?
understand / comprehend(フォーマルな言い方で理解する)
grasp(把握する)
follow
【分かる/わかる】【解る】【判る】の違い・使い分け
【分かる】と同じ訓読みで、【解る】【判る】としているものを見たことはありませんか?
全て「わかる」と読みますが、意味の違いや使い分けはあるのでしょうか?
【分かる】とは
【解る】【判る】両方の意味がある
「常用漢字表」(2010年11月改定)に「わかる」で唯一定められる
最も頻度が高く、公用文に使用される
【解る】とは
理解すること(つまり論理的な知識を指す)
公用文では「分かる」と表記される
「万有引力の理論が解る。」
「難解な問題も、解るとおもしろいものです。」
「意味が解らないよ。」
【判る】とは
物事が判別・判断されること
公用文では「分かる」と表記される
「子どもは、その人が母だと判ったとたん走り出した。」
「彼が尊敬に値しない人間だと判った。」
「高いか安いか判りかねます。」
まとめ
- 【知る】【分かる】【理解する】の違いと使い分け
【知る】知識のない状態→知識がある状態
【分かる】分からない状態→感性的(または論理的に)正しく判断できる状態
【理解する】分からない状態→論理的に正しく判断できる状態
- 【分かる】【解る】【判る】の違いと使い分け
【分かる】は、広義の意味。公文書で使われる。
【解る】は、理解する。
【判る】は、判別・判断する。
次回記事:「何」の読み方は「なに」「なん」?違いと区別・用法・方言も