い形容詞・な形容詞の違いとは?見分け方と教え方|きれいと嫌いは?なぜ形容動詞ではなくナ形容詞?


トラウマウサギ
トラウマウサギ
先生、アメリカ人の友だちに形容詞と形容動詞の話をしたら、「間違ってる」と言われました。
ほおほお。
先生
先生
トラウマウサギ
トラウマウサギ
「きれいだ」は形容動詞ですよね!?ぼく間違ってますか?
合っていますよ。アメリカの友だちは、「『きれいだ』は、ナ形容詞だ」と言ったのではないですか?
先生
先生
トラウマウサギ
トラウマウサギ
先生、エスパー?
日本語学校では、形容詞・形容動詞を「い形容詞」「な形容詞」と教えるんです。
先生
先生
トラウマウサギ
トラウマウサギ
ええ!?な、なぜ??
それも含めて、「い形容詞」「な形容詞」の違いを見ていきましょう。
先生
先生

 

日本語教育に関わる人なら必ず聞いたことのある「い形容詞」と「な形容詞」

『みんなの日本語』では8課の初級。

外国人にとって、最初の「違いは何?」と思う文法です。

 

 

「い形容詞」と「な形容詞」の違いとは?

見分け方が分かりにくい「い形容詞」と「な形容詞」。

この2つの違いとは何でしょうか。

 

「い形容詞(イ形容詞)」とは

 名詞を修飾するときに「~い+名詞」の形をとる 

学校教育における形容詞

おもしろい、いい(良い)、楽しい、悲しい、うれしい、つまらない、苦しい、すごい、高い、低い、安い、古い、新しい、小さい、大きい、赤い、青い、重い、軽い、狭い、広い、近い、遠い、長い、短い、汚い、早い、遅い、強い、弱い、おいしい、にがい、暑い、寒い、危ない、忙しい、難しい、美しい など

 

「な形容詞(ナ形容詞)」とは

言い切りの形が「だ」 名詞を修飾するときに「~な+名詞」の形をとる 

学校教育における形容動詞

きれいな、にぎやかな、げんきな、ゆうめいな、しずかな、ひまな、ハンサムな、下手な、上手な、簡単な、大切な、ユニークな、熱心な、複雑な、むだな など

先生
先生
「げんき」や「ひま」は名詞にもなる言葉です。「元気をそそぐ」など、「~を」にできるものは名詞。

 

「い形容詞」と「な形容詞」の見分け方・教え方

トラウマウサギ
トラウマウサギ
先生、イ形容詞とナ形容詞の見分け方はなんですか?

多くの日本語教師が聞かれてきたことでしょう。

「い形容詞」は語末に「イ」がつく形容詞、「な形容詞」には「イ」がつきませんと教えられたらどんなに良かったことか…。

この教え方だと例外も多いのが困るところです。

 

「い形容詞」と「な形容詞」の見分け方【日本人編】

日本人は学校で、「い形容詞」=形容詞、「な形容詞」=形容動詞として習いましたね。

そのときに、こんな教え方をされたでしょう。

「~だ」「~な」の形のもの、またはこの形になるもの→形容動詞

それ以外の「~い」で終わるもの→形容詞

とてもシンプルですね。

しかし、当然、外国人にこの見分け方は分かりません。

先生
先生
ちなみに形容詞「大きい」「小さい」と似ている「大きな」「小さな」は品詞が違います。

参考:【大きい】と【大きな】の違いとは?

 

「い形容詞」と「な形容詞」の見分け方【外国人編】

もし、このように教えてしまえば、どうなるでしょうか。

先生
先生
「イ」がつくのが「い形容詞」ですよ。
先生!!「きれい」「ゆうめい」は「イ」がつくけど、「な形容詞」じゃないですか!!どゆこと?!
トラウマウサギ
トラウマウサギ

…こうなりますね。

教え方には、2通りあるでしょう。

まずは、日本語を始めたばかり(『みんなの日本語』8課で勉強するくらい)の学生には

先生
先生
「きれい」「ゆうめい」は「イ」が付きます。でも「な形容詞」です。スペシャルです。

こう言う他ありません。

先生
先生
実際、「きれい」「ゆうめい」はたまたま「イ」が付くだけですからね。
先生
先生
「きれいな」「ゆうめいな」という形を最初に見せておいて、スペシャルで「きれい」「ゆうめい」の形で使う例を見せる…というのも良いでしょう。混乱しないのであれば。

中級の日本語学習者で、かなり日本語が耳に馴染んでいる学生には

先生
先生
「….くありません。」と続く形容詞は「い形容詞」

「….じゃありません。」と続く形容詞は「な形容詞」です。

これも『みんなの日本語』8課で勉強する形容詞の否定形ですね。

 

なぜ形容詞・形容動詞ではなく「い形容詞」「な形容詞」?

私が日本語教師の勉強を始めたとき、「い形容詞」と「な形容詞」に出会い、「なぜ形容詞・形容動詞じゃないの!?」と思いました。

日本人の国語教育で、形容動詞を覚え込まされたのに…!?

なぜ、国語で「形容詞・形容動詞」だったものが、日本語教育では「イ形容詞・ナ形容詞」なのでしょうか。

 

なぜ「い形容詞」と「な形容詞」?

なぜ日本語教育文法で、「い形容詞」と「な形容詞」というのか。

これは、ズバリ言うと、学習者が混乱するから

「形容動詞」という漢字を見ると、漢字圏の学習者はこう勘違いするようです。

トラウマウサギ
トラウマウサギ
「動詞」を「形容」する言葉だ!!

しかし、実際どうでしょうか。

「彼女はきれいだ。」

「きれいだ」が修飾するのは、「彼女」=名詞です。

形容詞も形容動詞も名詞を修飾するものです。

このような勘違い、混乱を避けるため、「形容動詞」という言葉は使わないように教えられます。

【日本人の国語教育】

同じ働きをする(名詞を修飾)2つの品詞=形容詞・形容動詞

【外国人の日本語教育】

形容詞の種類は2つ=イ形容詞とナ形容詞

先生
先生
「助動詞」も「動詞を助ける」と勘違いされやすいため、品詞名は使われません。

 

そもそもなぜ「形容動詞」なのか?

日本人は、さも当然のごとく「これが形容動詞」と教えられたため、名詞を修飾するのになぜ形容動詞?という考えは思いつきませんよね。

なぜなのでしょうか?

これは、古典語文法に由来するものとされています。

形容動詞という言葉自体には、2種類の由来があります。

1. 形容動詞は、文法構造的には動詞で、表現する内容は形容詞

2. 形容動詞は、動詞を修飾していた

例えば、現代語の「静かだ」という形容動詞は、古典語では、「静かなり/静かにあり」です。

1.「静かなり」

「静かなり」は、そのまま文法的に動詞といえますが、内容は形容詞ですね。

だから、形容動詞。

2.「静か+に+あり」

古典語「あり」は「存在する」ことを表すラ行変格活用動詞。

これを修飾しているのが「静か」だから、「静か」は動詞を修飾する形容動詞

トラウマウサギ
トラウマウサギ
そんな昔から形容動詞ってあったんですね…。
はい、ただ形容動詞の種類が爆発的に増えたのは、明治以降です。外国語の翻訳語をたくさん取り入れた時期ですね。
先生
先生

 

まとめ

  • 「い形容詞」と「な形容詞」の違い

「い形容詞」は、名詞を修飾するときに「~い+名詞」の形をとる(形容詞)

「な形容詞」は、名詞を修飾するときに「~な+名詞」の形をとる(形容動詞)

  • 「い形容詞」と「な形容詞」の見分け方・教え方

初級→「イ」で終わるものはイ形容詞。「きれいだ」「嫌いだ」はスペシャル

中級→「….くありません。」と続くなら「い形容詞」、「….じゃありません。」と続くなら「な形容詞」です。

 

前回記事:【大きい】と【大きな】、【小さい】と【小さな】の違いとは?

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