と ば たら なら は似ているけど違いがある
「お金がたくさんあると、大変だ。」
「お金がたくさんあれば、大変だ。」
「お金がたくさんあったら、大変だ。」
「お金がたくさんあるなら、大変だ。」
これらは、非常に似た文章です。けれど、それぞれニュアンスの違いがあります。
ここでは、【と】【(れ/なら)ば】【たら】【なら】の違いを詳しく見ていきましょう。
【と】の使い方と意味・例文
【と】はさまざまな使い方を持つ助詞です。
「友だちと遊ぶ。」相手を表す格助詞
「トマトとキャベツください。」並列助詞
これらの他に、順接を表す接続助詞の用法があります。今回は接続助詞の【と】を詳しく見ましょう。
と:いつものことの表現
「~と、~」は、自然現象や習慣、機械操作など、「いつもこうなる」という表現です。反復的、恒常的なことに対して使います。
「春になると、桜が咲きます。」
「私、食べるとすぐ太るの。」
「このボタンを押すと、音が鳴ります。」
と:過去の出来事/発見
「それまでそうでなかった→変化が起きた」という状態にも、【と】は使われます。
「目を覚ますと、病院のベッドの上だった。」
「トンネルを出ると、街が見えた。」
【と】で接続される場合、後ろの文には意志、勧誘、命令の表現は続きません。
【ば】の使い方と意味・用法・例文
【ば】は、「~れば」「~ならば」のように使うことが多いですね。【ば】は、品詞や動詞のグループによって活用の仕方が変わります。
動詞+(e)ば…「読めば」「食べれば」
- 五段活用動詞(1グループ)…iます→eば
「読きます→読めば」「書きます→書けば」「待ちます→待てば」
- 上一段活用/下一段活用動詞(2グループ)…れば
「起きます→起きれば」「食べます→食べれば」「見ます→見れば」
- サ行変格活用/カ行変格活用動詞(3グループ)…すれば/くれば
「します→すれば」「勉強します→勉強すれば」「連れてきます→連れてくれば」
形容詞(イ形容詞)+ければ…「小さければ」「高ければ」
名詞/形容動詞(ナ形容詞)+ならば…「暇ならば」「静かならば」
ば:一般法則、いつものことの表現
反復的な表現や一般法則、ことわざにも【ば】は使われます。
「牛乳を飲めば大きくなれるかなあ。」
「雨が降れば、地面が濡れる。」
「風が吹けば桶屋が儲かる。」
ば:仮定表現
「実際にはまだそうなっていないが、そうなったら」という仮定表現。
「コロナがなければ、旅行に行くのに。」
「お金があれば、旅行に行く。」
「時間ができれば、旅行に行きたい。」
【ば】は、前の文と後ろの文の主語が同じとき、意志、勧誘、命令が続きません。が、前文と後文の主語が違うときはOK。
「親が許してくれれば、(私は)旅行行くつもり。」
「まだ(店が)売っていれば、(私は)買いだめしよう。」
【たら】の使い方と意味・用法・例文
【たら】は、「動詞/形容詞+たら」「名詞+だったら」の形で使う、仮定表現。いつも過去形(た形)に接続します。
たら:仮定表現
【たら】の仮定表現は、いつも特定的・1回的です。
「明日雨が降ったら、家にいます。」
「もしテストで100点取ったら、ゲームしてもいいよ。」
「コロナがなくなったら、旅行に行こう。」
仮定表現の【たら】は、【ば】に置き換えることができます。
【なら】の使い方と意味・用法・例文
【なら】は、「動詞/形容詞[辞書形/過去形]+なら」「名詞+なら」の形で使う仮定表現。
なら:仮定表現・意見表明
【と】【ば】【たら】と少し違います。【と】【ば】【たら】の時間軸は必ず前文→後文ですが、【なら】はそうではないことがあります。
「寝るなら、歯磨きしなさい。」
「ゴロゴロするなら、手伝って!」
「お酒を飲んだなら、運転しちゃダメだよ。」
と ば たら なら の違い・使い分け
さて、それぞれの用法と意味、使い方の例文を見てきました。
では、【と】【ば】【たら】【なら】の違いとは、どのようなところにあるのでしょうか。まとめて書き出すとこのようになります。
【と】事実を表す。意志、勧誘、命令がこない。
【ば】仮定表現。(同一主語のとき)意志、勧誘、命令がこない。過去に1度起きた出来事には使えない。
【たら】特定的仮定表現。意志、勧誘、命令がくる。
【なら】意志、勧誘、命令がくる。前の文と後ろの文の時間軸は必ずしも前→後ではない。
さて、違いがややこしいですね。例文を見てみましょう。
と ば たら なら の例文
①「お金がたくさんあると、大変だ。」
②「お金がたくさんあれば、大変だ。」
③「お金がたくさんあったら、大変だ。」
④「お金がたくさんあるなら、大変だ。」
①の「お金がたくさんある」のは、客観的事実で「大変」なのは当然のことという意味です
②の「お金がたくさんある」のは、仮定の話で「大変」なのは想像にすぎません。
③は「お金がたくさんある」という特定の立場について仮定すると「大変」という想像です。
④の「お金がたくさんある」のは仮定の話にも予想の話にもなります。
①「空港が近いと、たくさん旅行できる。」
②「空港が近ければ、たくさん旅行できる。」
③「空港が近かったら、たくさん旅行できる。」
④「空港が近いなら、たくさん旅行できる。」
①の「空港が近い」のは、客観的事実で「たくさん旅行できる」のは当然という意味。
②の「空港が近い」のは、仮定の話で「たくさん旅行できる」のは想像。
③は「空港が近い」という立場について仮定すると「たくさん旅行できる」という想像。
④の「空港が近い」のは仮定の話にも予想の話にもなります。
まとめ
【と】事実を表す。意志、勧誘、命令がこない。
【ば】仮定表現。(同一主語のとき)意志、勧誘、命令がこない。過去に1度起きた出来事には使えない。
【たら】特定的仮定表現。意志、勧誘、命令がくる。
【なら】意志、勧誘、命令がくる。前の文と後ろの文の時間軸は必ずしも前→後ではない。
- 【と】と【ば】【たら】【なら】の違い
【と】は、事実を表す。仮定表現ではない。
【ば】【たら】【なら】は、仮定表現。
- 【と】【ば】【たら】と【なら】の違い
【と】【ば】【たら】は、必ず時間が前→後。
【なら】は、前→後または後→前
- 【ば】【たら】の違い
【ば】は、後ろに意志、勧誘、命令がこない。
【たら】は、後ろに意志、勧誘、命令がくる。
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