【以来】と【以降】は日本人でも間違えて使う人が最も多い言葉のひとつです。どのように使うと間違いになってしまうのでしょうか。
また、5日以降のように言われて、その日も含むか含まないか、迷う人も多いものです。
以来と以降の違いと正しい使い方、使い分けを見ていきましょう。
以来と以降の違い・使い分け・言い換え
【以来】と【以降】は どちらも、「その」先の時点を表し ます。
詳しく見ていきましょう。
【以来】の意味と例文・英語
過去~今について
英語:since
未来のことには使わない
「子どもが生まれて以来、毎日忙しいです。」
「みんなが顔を合わせるのは、卒業して以来初めてだ。」
「先生に叱られて以来、彼はとても大人しくなった。」
「試験で赤点を取って以来、毎日3時間家で勉強しています。」
「日本に来て以来、母国に帰っていません。」
「
【以降】の意味と例文・英語
過去~未来について
それより先のこと
当日含む(その日も入る)
「明日以降、全国的に雨が続くでしょう。」
「これ以降、あなたの行動に口出ししません。」
【以来】と【以降】の使い分け
「4月1日以来、~」というと、過去の4月1日から今までずっと
「4月1日以降、~」というと、4月1日を含めた先のこと
【以降】はその日を含めるため、4月1日を含めます。
こう言われた場合、「3日も来てください」という意味です。
時制(tense)が苦手な日本人は特にあやふやに使っている人が多いですが、その 時間関係の違い が【以来】と【以降】の違いです。
【以来】と【以降】の言い換え表現
「以後」「その後」「今後」「爾来」「これ以降」
以来の間違った使い方
【以降】は過去~未来で使えますが、【以来】を使って未来について話すことはできません。
「来週以降はひまです。」○
「4月8日以来、新学期が始まります。」×
「4月8日以降、新学期が始まります。」〇
未来について、【以来】を使うのは間違い。
これをあやふやにしてしまう人や、似ているために言い間違える人は日本人でも多いです。
以降と以後の違い・使い分け・言い換え
【以降】と非常に似た言葉が【以後】です。
【以後】の意味と例文・英語
今からのち
そのときよりのち、その後
その日も含む
【以降】と【以後】は、ほぼ同じ意味として使われますが、微妙な違いもあります。
「以後、お見知りおきを。」
「以後このようなことがないように気をつけます。」
【以降】 は「その時点」に重点を置くのに対し、【以後】 は「ある時より先」に重点を置きます。
【以後】の言い換え表現
「将来」「先へ」「以降」「今後」
【以降】と【以後】の違い・使い分け
「卒業以降、彼らと会えていません」なら、卒業した時点がはっきりしていて卒業式の日に重点が置かれた話し方。
「卒業以後、彼らと会えていません」なら、卒業してからの時間に重点が置かれた話し方です。
ちなみに、重点を置く期間が異なるだけで、起点の開始は同じです。
「10日以降、遊びに来てください。」 「10日以後、遊びに来てください。」 この場合、どちらも10日に遊びに行ってもOKということです。 【以降】と【以後】の違いは少し難しいので、ほぼ同じ意味であると思っていても困ることはありません。 が、以下の「以後気を付けます」という文言だけは気を付けてください。 「以後、気をつけます。」○ 「以降、気をつけます。」△ 仕事やフォーマルの場面でミスをした場合、目上の人に向けて「以後、気をつけます」と反省の意を表す言葉が使われます。これは、【以後】が、これから先のことを重視しているからこそ使える言葉です。 したがって《ミスした時点》を重視する「以降気をつけます」は、あまり使われません。 日本人でも言われて違和感を抱く人はそういませんが、目上の人に謝罪「以後、気をつけます。」を使うのが無難です。 【以来】は未来に使えない、過去~現在 【以降】は、過去~未来、当日含める 【以降】は《その時点》を重視 【以後】は《時点から先》を重視 前回記事:【標準語】と【共通語】の違いとは? 次回記事:【とても】と【すごく】の違いとは? 「以降気を付けます」ビジネスで正しい敬語?間違い?
まとめ