【とても】と【すごく】の意味・品詞・英語言い換え
「とても」「すごく」は、どちらも日本語学習の初級から登場する言葉。教科書では「すごく」より「すごい!」とか「すごいですね。」という「すごい」が先に出てくることが多いようです。
まずは、「とても」と「すごく」の使い方、言い換え表現、英語訳について詳しく解説します。
【とても】の品詞・英語言い換え
意味:行為の程度がはなはだしいこと、非常に
品詞:副詞
用法:書き言葉的で主に良いことに対して使われ、フォーマルな場面でも適しています。
英語:very, extremely など
「とてもおいしい朝ごはんでした。」
「彼はとても賢いんだ。」
「今日、とてもきれいな人を見ました。」
【すごく(すごい)】の品詞・英語言い換え
意味:行為の程度がはなはだしいこと、それ以上にない様子、ゾッとするほどおぞましい様子
品詞:「すごい」(い形容詞)の連用形
用法:口語的で良いことにも悪いことにも使われます。口語的でカジュアルな表現です。
英語:precious, (ネガティブなことに対し)awfully など
「おいしいですか?」「はい、すごくおいしいです!」
「腰がすごく痛い。」
「すごく嫌な気持ちになったんだ。」
【とても】と【すごく】の違い・言い換え
「とても」と「すごく」はどちらも「程度が非常に高い様子」を表す日本語です。どちらも日常会話や文章で頻繁に使われますが、それぞれの使い方には微妙な違いがあります。
【とても】と【すごく】の言い換え|英語の対応表現
【とても】の英語訳: “very”, “extremely”
例:「彼はとても賢い。」→ “He is very smart.”
【すごく】の英語訳: “extremely”, “awfully” (ネガティブな意味の場合)
例:「この料理はすごくおいしい。」→ “This dish is extremely delicious.”
【とても】と【すごく】の違い|例文
「とても美味しい」
「すごく美味しい」→どちらも○
「とてもまずい。」→【とても】には悪い意味が続きにくいため△
「すごくまずい。」→○
ですが、「とてもまずい」でも違和感を持たれることはそうありません。
【すごく】と【すごい】の違い|どっちが正しい使い方?
「すごい」は形容詞として名詞を修飾する際に使われ、「すごく」は動詞や形容詞を修飾します。次の例で確認しましょう。
【すごく】+用言(動詞・形容詞)
それでは、問題です。【すごい】の使い方で正しいものを以下から選んでください。
②「すごい可愛い服だね。」
③「すごいイイじゃんこれ!」
④「毎日早起きをするなんて、君はすごい。」
正解は、①と④。
【すごい】は【すごく】と全く同じように口語で使われるため、②③も口語では間違いとは言いませんが、正しいとも言えません。どういうことでしょうか?
【すごい】は文末に使う、または体言(名詞)を修飾するのが正解。【すごく】は用言(動詞・い形容詞・な形容詞)を修飾するのが正解。ただし、話し言葉では「すごいきれい」のように【すごい】+用言も使われます。
②「すごい可愛い服だね。」→口語的。正しくは「すごく可愛い」
③「すごいイイじゃんこれ!」→口語的。正しくは「すごく良い」
④「毎日早起きをするなんて、君はすごい。」→【すごい】は形容詞
丁寧・敬語/書き言葉での「すごい」言い換え
「すごい」という言葉はカジュアルな場面で広く使われますが、敬語や丁寧な表現を必要とするシーン、書き言葉では避けるべきです。敬語を使う際は、「非常に」「大変」などの言葉に言い換えるのが適切です。
類語【かなり】と【とても】【すごく】の違い
【とても】や【すごく】と似た言葉でよく使われる類語が、【かなり】です。
【かなり】の品詞・英語言い換え
意味:程度が普通より勝っていること(非常にとまではいかない)、(口語で)非常に
品詞:副詞
用法:良いことにも悪いことにも使われます。
英語:considerably, fairly など
「かなりの人数が集まりました。」(普通以上の人数)
「この問題はかなり難しいです。」(普通以上に難しい)
「今回のテスト、かなり良い点とれたと思う。」(非常に)
【かなり】の意味は2種類あります。
①「非常にとまでいかないけれど、普通より」・・・【とても】や【すごく】ほどではない
②「非常に」・・・【とても】や【すごく】と同じ
もともとは①の「普通より」という意味でしたが、話し言葉で「非常に」の意味で広がっていきました。日本人のほとんどが、今では「非常に」という意味で【かなり】を使っています。
【とても】【すごく】の言い換えは?
【とても】や【すごく】の言い換え表現にはどのようなものがあるでしょうか。
【とても】【すごく】の言い換え表現
程度を表す【とても】や【すごく】の言い換えや類語はとても多いです。
「非常に大きな岩でした。」
「ひどく気に入った様子でした。」
「誠にありがたいお言葉です。」
「何より可愛い女の子。」
「きわめて珍しい動物です。」
「大変おいしい料理でした。」
「すこぶる元気な男の子。」
「痛く感動しました。」
「大層美しい女性が住んでいた。」(少し古い表現?)
めっちゃ多い【とても】や【すごく】のスラング
若い日本人の会話を聞いているとよくわかりますが、【とても】や【すごく】の言い換え表現は、方言やスラングを含めると【めっちゃ】多いです。
【とても】【すごく】や上の例のような強調語は、スラングが非常に多い言葉。さらに、本来スラングではない方言の【とても】【すごく】が、東京近辺の若者にも使われ、スラング化しつつあります。
参考:【海外の反応】難しい!日本語のオノマトペの数多すぎ!オノマトペの教え方・特徴・一覧
【とても】の昔の意味は違った?
古語で【とても】は、「とて(迚)もかくても」の略でした。
【とてもかくても】とは
どうせ、結局は
どんなにしても
非常に、たいへん
後に打ち消しの言葉を伴って、「とても~ない」「とても~(である)まい」という使い方がされるようになりました。現代でもこの言い方は使われます。
「君にはとても真似できまい。」(古い?)
「富士山なんてとても登りきれない。」
「富士山なんてとても登りきれまい。」(古い?)
口語だと、「とても~ない」が一般的で、「~まい」は少し古い言い回しに聞こえます。「とても~ない」の形が、現代では【とても】だけで使えるようになったのだと言われています。
参考:漫画アニメの中国人はなぜ「あるある」言う?お嬢様は「ですわ」?博士キャラは「~のじゃ」?
まとめ
- 【とても】と【すごく】の違い
【とても】は、良いことに使う副詞
【すごく】は、良いことにも悪いことにも使う形容詞
- 【すごい】の正しい使い方
形容詞文で使用/名詞に付ける
それ以外は口語的。敬語を使うフォーマルシーンではNG
- 【かなり】には2種類の意味がある
【とても】【すごく】より程度が少ない
【とても】【すごく】と同じ意味(口語の場合)
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