日本語で「標準」とされるのは、東京の言葉。
中国語なら北京の言葉。
ドイツ語ならハノーファー近辺の言葉。(ベルリンじゃないの驚きじゃないですか??)
これらは【標準語】なのでしょうか?【共通語】なのでしょうか?
【標準語】と【共通語】の違いとは
【標準語】と【共通語】かなり似た意味があるように思いますが、実は違いがあります。
それぞれの違いをまずは見ていきましょう。
【標準語】とは
国の公用語・国語の規範 になるもの法律や教育で使われる言葉
アナウンサーが使う言葉(NHKでは特にこっち)
【共通語】とは
どこでも意思疎通できる言語
日本なら東京語
「世界」共通語なら、英語
例えば・・・
【共通語】は、自然な誰でも分かりやすい日本語 。 【標準語】は、「こうあるべき!」という意識が働く国語 で、人為的な操作が入ります。新しい言葉ができたとき、国の偉い人とか学者さんとかが「こうやって使おう!」と追加するのが【標準語】。
そのようなお偉いさんの集いはなく、自然とみんなが使っていくようになった言葉が【共通語】です。
【標準語】【共通語】と【公用語】の違いとは
【標準語】と【共通語】は、公的かどうかの違いがありました。
それでは、【公用語】はどうでしょうか。
【公用語】とは
国で定められる政治、法律、教育で使われる言葉
明治時代から、日本では【公用語】=【標準語】という認識の元、教育を行ってきました。
戦前のアナウンサー、特にNHKのアナウンサーは、この【公用語】【標準語】を話すよう徹底されていました。
共通語=東京語は方言?
今の【共通語】とされるものは、東京語・東京弁・東京方言などと呼ばれています。
東京語には大きく分けて「山の手言葉」と「江戸言葉」があります。
山の手言葉とは・・・
東京の山の手で話されていた言葉を山の手といいます。
現代人なら「山の手線上かな?」と考えるかもしれませんが、山の手は時代によって指す場所が変わります。
江戸時代初期は江戸城近辺と西側の高台エリア。
江戸中期には麹町や赤坂、麻布などを含めていうこともあったようです。
次第に「山の手」と呼ばれるエリアは西に拡大していき、現代の東京23区西部を指すようになっていきました。
山の手言葉は、江戸の上層武士の言葉を基準に、明治時代に【共通語】として整理されました。
江戸言葉とは・・・
江戸町人の言葉。
「てやんでぇ、べらんめぇ」というと分かりやすいですね。
昔の漫画のキャラクターが話しそうな、下町言葉です。
「てやんでぇ、べらんめぇ」を使う人は少ないですが、イントネーションなどは現代の共通語に受け継がれています。
【共通語】になった方言もある!
【共通語】は何も東京語だけではありません。
『日本人の知らない日本語』によると、山口県や鹿児島県の言葉も現在の【共通語】に入っているそうです。
現代で考えると、横柄な呼びかけですね。
鹿児島では、「ねえちょっと」くらいの呼びかけとして使われていました。
明治以降、薩摩藩出身者が警察職に就くことが多く、警察官が市民を呼び止める言葉だったようです。
これが少し偉そうなイメージを伴って、広く使われるようになりました。
兵隊さんの言葉のイメージですね。
この「〜であります」は、山口の方言。
長州出身者が明治期の兵士に多く、そのイメージのまま広がっていきました。
標準語・共通語のデメリット
世界共通語といえば、英語。
私は日本語を学びたい真摯な方々に囲まれていますが、稀に、本当にまれ〜に、日本に住んでいるのに簡単な日本語も覚える気なく、暮らす英語圏の方を見受けます。
こんな感じ↓
上の実録漫画みたいに、「日本では英語通じないダメだわ」とお手上げポーズの方、実は結構いるんですよね…。
世界共通語またはリンガフランカとして、英語は地位を確立していますが、 絶対英語主義は結構危険 です。
これまで支配者としての歴史が長い英語圏の国が、その地の言葉を殺してしまった過去があるように、過度なグローバリズムは各国の言葉を消してしまう危険性があります。
参考:英語はなぜ共通語なの?いつから?メリット・デメリットは?
同じように、標準語・共通語至上主義により、方言がなくなっていってしまっても悲しいですよね。
『標準語・共通語』という言葉は、様々な土地で通じる言語として、とても良いもののように聞こえます。
しかし、そればかりでは多様性がなくなってしまいます。
本当の多様性の理解者なら、ある国に行ったらせめて挨拶くらいはその国の言葉を使いたいもの。
方言を話す人を尊重できる人でありたいものですね。
まとめ
- 【標準語】と【共通語】の違い
【標準語】は国語の規範になるもの
【共通語】はその国で通じる言葉
- 【標準語】=【公用語】
- 【共通語】も東京の方言
- 【標準語】【共通語】絶対主義にご注意!
前回記事:【十分】と【充分】の違いとは?
わかりやすい
著者がどなたなのか未確認ですが、興味深い論考と拝読しました。
英語はいわゆるリンガ・フランカと理解します。「母語が異なる人の間で共通語として機能する言語」の意味です。「世界の共通語は英語だ」だとか「東京の教育のある人が話すことばが標準語だ」という言い方、嫌ですね。
栃木県人(英語通訳案内士)
最近、標準語の発音、イントネーションが方言に引きずられたりして耳障りになってきたと感じます。特にアナウンサーの発音の乱れは気になります。NHKの若手アナウンサーも乱れてきており、ベテランの先輩アナウンサーのきれいな発音、イントネーションを学んでほしいです。