- 【思う】は頭で、【想う】は心で考える
【思う】と【考える】はどちらも頭に浮かぶ思考を指しますが、使い方に違いがあり、特に論文やレポートではその使い分けが重要です。これを意識することで、より質の高い文章を作成することができます。
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【思う】と【考える】には違いがある
【思う】と【考える】の違いについて考察する際、日常会話や哲学的な文脈でしばしば話題に上ります。例えば、デカルトの名言「われ思う、故にわれあり」やパスカルの「人間は考える葦である」では、英語ではどちらも「think」と訳されますが、日本語ではそれぞれ「思う」と「考える」として訳されています。
なぜこれらの言葉が違うのかを理解することは、レポートや論文作成においても重要です。
【思う】の意味・英語・言い換え
感情的・一時的に 何かを思い起こすこと
英語:think, feel, suppose
コントロールできない、より感情的な思考
「あなたのことが好きなんだと思います。」
「この道をまっすぐだと思います。」
「私が思うに、リスクが高すぎます。」
「君はもっと思ったことを言うべきだ。」
「思う」は、感情的で一時的な思考を表す言葉です。感情や直感に基づいた主観的な判断や感覚を指し、コントロールできない思考を意味します。英語では “think” の他に “feel” や “suppose” とも訳されます。
【考える】の意味・英語・言い換え
論理的・継続的に 何かを思い描くこと英語:”think”の他、”consider”に近い意味あり
コントロールできる思考
「ずっと君のことを考えているよ。」
「僕が考えた最強のモンスター!」
「将来は独立したいと考えています。」
「〜に対して、考えを述べよ。(小論文など)」
「私が考えるに、設備投資に力を入れるべきです。」
「考える」は、論理的で継続的な思考を意味します。意識的にコントロールできる思考で、深く分析したり、計画を立てたりする際に用いられます。英語では “think” の他、”consider” にも近い意味を持ちます。
【思う】と【考える】の違い
【思う】と【考える】は、どちらも頭に何かを思い起こすこと。英語ではどちらも”think“と翻訳されます。(他の英語訳は後述)
以下のように、日常でよく使う日本語ですね。
「私は彼が勝つと思います。」
「彼は新しいアイデアを考えています。」
それでは、どのような違いがあるのでしょうか。
【思う】と【考える】は言い換えられる?
「子どもの将来を考える」
【思う】なら、漠然と頭の中に急にわきおこっている状態。【思う】ときは、「うちの子大丈夫かしら」「将来はお医者さんになってほしいな」などと思いつくことです。
【考える】なら、感情ではなく、時間をかけて論理的に頭に思い描いている状態。【考える】となると、「将来お医者さんになるには、まずこの学校に行って…」というように、より具体的になります。
小論文やレポート、ビジネスでは、【思う】ではなく【考える】を使用されることが多いです。
【思う】と【考える】の語源は同じ
【思う】は、「重い」と語源が同じとされる説があり、「面(おもて)=顔」の活用型とされています。
【考える】は、「かんがふ」「かむがふ」から転じて今の形になりました。「かむがふ」の「か」は《場所・指し向かうもの》、「むがふ」は《向かう・対》を意味します。差し向けた対のものに考えを巡らせるという意味から、【考える】の意味が生まれました。
【思う】と【考える】レポートや論文での使い分け
レポートや論文では、より論理的で根拠のある主張が求められるため、「思う」よりも「考える」を使用する方が適切です。感情的な表現を避け、論理的な思考を示す表現を選ぶことが、説得力のある文章を作成する鍵となります。
レポートや論文、作文で使える類語・言い換え一覧
よく聞かれることですが、レポートや小論文などで「思います」と書くのはNGなのでしょうか?
答えは、小さい声でYes。絶対NGではありませんが、レポートや小論文などで自分の意見を述べるとき、「~と思う」 という表現を使わないのが一般的です。
それは、「思う」が書き手のコントロールできない感情的な思考を表す表現だからです。レポートや論文では論理性と根拠の妥当性が求められるため、「~と思う」を多用するのは良くないという考えがあります。
〜と考えられる・〜(の)ではないだろうか・〜の可能性がある・〜(だ)と推測される
想像する・決意する・心配する・希望する・恋情する など
〜と考えられる・〜と推測される
考察する・研究する・分析する・推論する・検証する・検討する・振り返る
面接や就活、ビジネスで使える類語・言い換え一覧
これもよく聞かれることですが、面接や志望理由書など就活で「思います」と書くのはNGなのでしょうか?
答えは、強い希望や意思を見せるべきところでの使用はNG。例えば、志望動機や入社後のビジョンを「~と思う」 と表現すると、その意思は弱く聞こえます。就活で強い希望や意思を言う場合は、「考える」や以下の表現を使うと良いでしょう。
丁寧な表現:(相手が)お思いになる・おぼし召す
(私が)拝察する・存じる・存じ上げる・(~する)所存です
熟語など:推察する・思案する・感じ取る・感じる・みなす・自覚する・はかり知る など
丁寧な表現:(相手が)お考えになる、ご高察なさる
(私が)拝察する・検討いたす・存じる・存じ上げる
熟語など:知恵を絞る・推察する・熟考する・思案する・考慮する など
【思う】【考える】と【感じる】の違い
【思う】【考える】と同じように、頭に浮かべたり認知する動詞に【感じる】があります。
どんな意味があるのでしょうか。
【感じる】の意味と例文
感情や感覚により認知される
英語:feel,sense など
【思う】と同じく、主観的で感情的
自然的な感情判断をいうときに用いる
「彼の言葉に、強い怒りを感じた。」
「腹部に痛みを感じて、病院へ行った。」
「君とは初めて会ったけれど、親しみを感じるよ。」
【思う】【考える】と【感じる】の違い
【考える】とは、理性的で知性を伴う思考。
【思う】と【感じる】はより感情的。【思う】は、感情を伴う思考的判断です。
【感じる】は、感情や感覚によって認知されます。
【思う】と【想う】の違い
【想う】は「おもう」と読む上、【思う】と意味も似ていて紛らわしい言葉かもしれません。
違いは、頭で思うのか、心なのか。
「故郷を思う。」
「故郷を想う。」
頭の中で「故郷はどうなったかな?」というときは【思う】。
心でイメージするのが【想う】。
【想う】はより感情を込めた表現です。
まとめ
- 【思う】と【考える】の違い
【思う】はコントロールできない一時的感情
【考える】はコントロールできる論理的思考
- 【思う】【考える】と【感じる】の違い
【感じる】は、感情や感覚によって認知される一時的感情
- 【思う】は頭で、【想う】は心で考える
【思う】と【考える】はどちらも頭に浮かぶ思考を指しますが、使い方に違いがあり、特に論文やレポートではその使い分けが重要です。これを意識することで、より質の高い文章を作成することができます。
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