





【違う】【異なる】はどちらも、《何かと何かが別のもの》という意味です。
英語では動詞「differ」などを使うよりも、形容詞文として「It`s different from~」などで表されることが多いでしょうか。
【違う】と【異なる】の違いとは
以下の例、ニュアンスの違いが分かりますか?
「話が異なる。」
「上の例、ニュアンスの違いは何となく分かるけど…説明が難しい」という人は多いでしょう。
日本人は ほとんど違いなく使っているようですが、実は【違う】【異なる】にも相違点があります。
【違う】の意味と例文
2つ以上のものが、あるものと合わないこと普通の状態と合わない・正しくないこと
「パスワードが違います。」
「君と僕じゃ立場が違うよ。」
「違う違う、そんな意味で言ったんじゃないって。」
【異なる】の意味と例文
あるものと他のもの間に差がある・合わないことやや硬い表現
学問分野(特に数学)で用いられる
「彼は明らかにいつもと様子が異なった。」
「異なる2つの絵から共通点を見つけなさい。」
「私と彼女は異なる環境で育ちましたが、とても話が合います。」
例えば・・・
①「色が異なる」
②「色が違う」
①「色が異なる」は、AとBを比べて色の違いを意味します。
②「色が違う」となると、より広い意味でAとBを比べる、自分の求めた色ではない、本来あるべき色ではない、などいろいろなシーンが考えられます。

①「話が違う。」
②「話が異なる。」
②の「話が異なる」は、例えば昨日言っていた話と今日の話が異なるといったときに使います。
①「話が違う」は、昨日と今日の話が違う以外にも、(事実や倫理として)正しくない話であるというニュアンスも出てきます。
【異なる】を使うときは、硬い文章で意味に《間違い》を含まない2つのものの比較、【違う】はそれ以外で用いると覚えておけばまず間違いはありません。
【違う】と【異なる】の漢字の成り立ち
【違う】の「違」は、十字路で立ち止まる足と別方向に足を向ける象形を含む会意形成文字。
そむき離れるの意味を持ちます。
【異なる】の「異」は、人がお面をつけて手をあげている様子を表します。
お面で別人になることから、《ことなる》の意味を持つようになりました。
【違う】と【異なる】の類義語
【違う】と【異なる】は、それぞれ類義語の関係です。
この他、言い換えが可能なのは以下のような動詞。
例文でも見ていきましょう。
「音楽性の相違により、解散した。」
=「音楽性の違いにより、解散した。」
「話が食い違っているようだ。」
=「(誤解があって)話が違っているようだ。」
「昨日と今日で意見が相異なる。」
=「昨日と今日で意見が変わる。」
=「昨日と今日で意見が違う。」
=「昨日と今日で意見が異なる。」
【違う】と【異なる】の敬語表現
【違う】は、広い意味があり使いやすい言葉ですが、敬語で使うにはストレートすぎる印象があるようです。
「私の認識と違います。」
「あなたは間違っています。」
これだと直接的すぎますね。
ビジネスの場合には、【異なる】やその他の類語を使うのがベスト。
「私の認識と異なるようですが…」
「私の認識と相違があるようですが…」
「食い違いがあったようで恐縮ですが…」




まとめ
- 【違う】と【異なる】の違い
【違う】は、広い意味で「あるものと合わない」「間違っている」
【異なる】は、「二者間を比べて違う」
- 漢字の成り立ち
【違】は、《そむきはなれる》
【異】は、お面で別人になる→《ことなる》
- 【違う】と【異なる】は、それぞれ類義語の関係
相違する、食い違う、相異なる、変わる
-
【違う】と【異なる】の敬語表現
【違う】は、敬語で使うにはストレートすぎる
【異なる】を使い、申し訳ないフリをする
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