第□章 ※either killed жe♪ 非日常編
(目を閉じて動かない山門さん。)
(一見、眠っているかのようだったが、彼女が目覚めることは…もう、ない。)
「……。」
(……地下に行かないと。)
(ドアを開け放して外に出る。と、廊下の向こうで前谷君がリビングのドアを開けて出てくるのが見えた。)
「白銀先パイ、さっき何か音がーー…」
「前谷君…っ……」
(言いかけて、口を つぐむ。)
(モノクマによれば、地下に行く機会ができるのは、死体発見アナウンスが流れるまで。発見者を増やしてはいけない。)
「白銀先パイ?え、どうしたんですか!?」
(わたしは彼の声に返答せずに玄関ホールまで走り、そのまま地下へ続く階段を駆け降りた。)
【ホーム 地下】
(薄暗い地下道。しばらく進んだところで、門が見えた。警戒しつつも、その扉を開けた先にはーー…。)
(うつ伏せに倒れた人物。)
「……え?」
(暗い地下の部屋をスポットライトが照らしていて、ちょうど その下に彼女は倒れていた。)
(近付いて触れてみる。体温は残っているものの、脈はない。)
「…死んで…る?」
(どうして?これは4章でしょ?どうして2人も…?)
(見たところ、彼女に外傷はない。固く握りしめられた右手から はみ出た紙を抜いた。)
(……何これ。)
(ーーううん、考えるまでもない。これは、今回の動機。モノクマが言ってた“世界の真実”だ。)
(それが…ヒロインについて?これは…『ダンガンロンパ』がフィクションだというヒント?)
(それなら、わたしは…役割を演じなければならない。みんながフィクションという世界の真実を暴くために。)
「……。」
(それなのに、わたしの頭は上手く働いてくれなかった。)
(寝不足のせいか。2人の死者が出た混乱のせいか。驚きとか悲しさとか…罪悪感のせいかもしれない。)
『死体が発見されました!オマエラ、発見現場であるホームに集まってください!』
(死体発見アナウンスが流れたのは、それから すぐのことだった。山門さんの死体が発見されたのだろう。彼女も、やはり確実に死んでいた。)
(時間的に…わたしの様子を見た前谷君が死体を発見し、誰かを呼んだんだ。もうすぐ、わたしを追って地下にもやって来る。)
(ーー急いで。落ち着かなきゃ。)
(頭がガンガンするのを堪えて息を整える。)
……
…
「白銀先パイ!」
「デカメガネ女!!」
「無事で…よかったわぁ。」
(しばらくして、足音と共に前谷君と郷田君、遅れて夕神音さんが走ってきた。)
(そして、わたしの目の前で倒れた死体に絶句した後、彼女の名前を叫んだ。)
「ローズさん…!」
(夕神音さんがローズさんの体に駆け寄った。そして、それを合図にしたように…)
『死体が発見されました!オマエラ、発見現場のホーム地下に集まってください!」
「うそ…。ローズさん…?」
「ローズ先パイ…まで…?」
「クソッ!クソが…!!!」
(悲しみ、悔しさ、後悔…。それぞれの感情を吐露する3人を眺めながら、わたしはポケットの中でローズさんが握っていた紙に触れた。)
…………
……
…
(それから しばらくして、全員が地下に集まった。)
(外を探索していた天海君たちは、ちょうどホームに戻るために引き返したところでアナウンスを聞き、急いで帰って来たらしい。)
(山門さんの死体を確認してから、地下の わたし達と合流したそうだ。)
「……ローズさんもっすか。」
「な、何で、2人も…。」
「山門さんもローズさんも…最初に発見したのは、わたしだよ。山門さんの様子を見に行ったら…亡くなってて。」
「ハイ。慌てて山門先パイの部屋から出て行く白銀先パイを自分も見ています。」
「うん。動機を思い出したんだ。」
「動機…地下に秘密があるっていう…?」
「そう。それで、ここまで来たんだけど…ローズさんが倒れてて…。」
(わたしは みんなにローズさんの手から抜いた1枚を見せた。)
「『1章時点のヒロインは退場しなければならない』…。」
「どういうこと?」
「……さあ。」
「……つむぎが撫子とローズを発見した時、2人は確実に死んでたのかな?何か変わったことはなかった?」
「……なかったよ。」
「…そう。アナウンスは どのタイミングで流れたの?」
「山門先パイは…まず、白銀先パイが発見した後、自分が発見し、郷田先輩と夕神音先パイを呼んだ後です。」
「ローズ先パイも、白銀先パイの後を追って地下に来た自分たち3人が発見した瞬間、アナウンスが流れました。」
コトダマゲット!【死体発見アナウンス】
「4人が発見した時点で流れたんだね。」
(哀染君が わたしの目をジッと覗き込みながら言った。)
(ーー疑われてる?…そりゃそうか。)
(外を団体で動いてた人たちには不可能だから容疑者は絞られる。ずっとホームにいて、2人の死体の第一発見者。わたしが、1番 疑わしい。)
(ーーでも、わたしはクロじゃない。)
(そこまで考えたところで、)
「スポットライトを浴びて死亡!エーテルなんちゃら女学院の事件みたいですなぁ!」
(モノクマが現れた。そして、楽しそうに弾んだ声を上げる。)
「ねぇ、オマエラが心揺さぶられるミステリシチュエーションって、どんなの?ボクは謎を解いて各地の爆弾解除してく系かな。」
「人質は多ければ多い方が楽しいし、大爆発で大爆笑できるからね!爆発オチなんてサイコー!寝起きドッキリ爆発をやっていた時代が懐かしいですなぁ!」
「では、白銀さん、何系ミステリが好き?暴露ターイム!」
「……。」
「もー。ノリ悪いなぁ。ないわけないよね?」
(確かに…密室とか町や建物や死体の消失とか暗号解読とか…好きなシチュエーションは腐るほどあるけど…。)
「ま、ボクはオマエラの性癖から好きな殺され方まで熟知してるよ。白銀さんが唆るじゃねぇか…と唸るのは連続殺人!おめでとう、2つ死体が出たね!」
「ちょっと!つむぎお姉ちゃんは何も言ってないじゃない!そんなことより お姉ちゃんの性癖を…じゃなかった、死んだ2人のこと教えてよ!!」
「はいはーい、いつもの配りまーす!」
(モノクマがモノクマファイルを2枚ずつ配る。)
「前にも言った通り、できたてホヤホヤの死体のクロが学級裁判で導き出すクロですからね。」
「できたてホヤホヤって…どっちが先に死んだか分かるの?」
「分かるかどうかは分かりませんが、最善を尽くすに限るよ!でないと、限りある命が最前で尽きるからね。ちなみに、被害者の名前とクロがーー…」
「……モノクマが前に言ったのは、クロについてだけでしたね。被害者とクロの名前を一致させて初めて正解…なんて後付けはなしっすよね?」
「ムムッ。」
「前回の裁判では、既に決まっていたルールは裁判の前に話してたたっすよね。」
「メメ!」
「2人被害者が出た時のルールなら、2人被害者が出る前に伝えているはずっす。」
「モモッ!」
「……被害者とクロ、どちらも当てるのなら、選択肢が増えて正答率が変わっちゃうよね。」
「後から正答率が下がるようなルールを発表するなんて、今更そんなズルいことしないよね?」
「……。」
「もー。しょうがないなぁ。ウルトラ大サービスだからね。あ。そうそう、タイムリミットの件だけど、無事 事件も起きたし不問とします。」
「……ぜ、全員 おしおきというのは…ないということですか?」
「けど…ローズさんも山門さんも死んでしまったわ。」
「犯人を見つけないと、結局 処刑されちゃうね。」
「その通り!分かってるなら、捜査に集中するように!”世界の秘密”は既に手にしてるようだからね。」
「はあ!?」
「ほら、白銀さんが持ってるでしょ?物言わぬローズさんの手から拝借した1枚だよ!」
「あれのどこがーー…って行っちゃいました。」
「…とりあえず、今回も2人行動で捜査しましょう。」
(天海君が呼び掛けたのを合図に、わたしは隣に立つ大きな体に目を向けた。)
「それじゃあ、前谷君。一緒に捜査してもらえるかな?」
「えっ。」
「え。」
「え?」
「今回の助手は光太クンなんだね。」
「助手ってわけじゃないよ。…前谷君は嫌かな?」
「え…えっと、こ、光栄です。妹尾先パイ、ついて来てくれませんか?」
(前谷君が一瞬で わたしから距離を取り、妹尾さんの背中に回り込む。けれど妹尾さんは、プイと そっぽを向いた。)
「ふ、ふーんだ。つむぎお姉ちゃんは前谷お兄ちゃんが お気に入りなんでしょ!知らないもん!行こ!天海お兄ちゃん!」
「え。俺っすか。」
(妹尾さんは天海君をグイグイ引っ張って行ってしまった。)
「……何だか懐かしい風景ねぇ。」
「チッ…行くぞ。黄色女。」
「…あ。」
「ぽぴぃクン、残ったのはボクらだけだし一緒に調べようか。」
「…う、うん。行こう。」
「え…。お2人とも、ここにいてくださいよ。」
「人数も少ないから、散らばった方がいいよ。じゃ、光太クン、つむぎを よろしくね。」
(爽やかに残酷な笑顔を浴びせて、哀染君たちは立ち去った。地下には肩を強張らせた前谷君と わたしだけが残った。)
「前谷君。今朝も言った気がするけど、そういう反応は地味に傷付くよ。」
「す、すす、すみません!白状すると、自分は女性が苦手でして…!」
「…知ってるよ。」
「とりあえず、モノクマファイルを調べようか。」
(わたし達は、それぞれ配られた2枚のモノクマファイルを眺めた。)
(1つ目は…被害者は“超高校級の翻訳家” 山門 撫子。死体発見現場はホームの山門の個室。目立った外傷は見られない。)
(2つ目は…被害者は“超高校級のチャイニーズマフィア” リー・ファン。死体発見現場はホームの地下。死亡推定時刻は午前11時45分〜午後12時15分頃。目立った外傷は見られない。)
「このリー・ファンというのは…ローズ先パイのことでしょうか?」
「情報的に、そうだろうね。ローズは本名じゃなくて、愛称だったのかも。」
「どちらが先に死んだのかは、やっぱりファイルを見ても分からないですね。」
コトダマゲット!【モノクマファイル1】【モノクマファイル2】
「じゃあ、始めようか。」
「は、ハイ!!」
(ローズさんはスポットライトで照らされて、うつ伏せに倒れている。よく見ると、靴裏に血が付いていた。)
(うつ伏せの彼女の上体を少し持ち上げて覗き見ると、赤い服には広範囲にシミが残っていた。既に茶色く変色している。)
「ローズさんの服…正面側が血塗れだ。」
「え?あ、ほ、本当ですね。赤い服ですから目立ちにくいですが…。」
「……ローズさんの持ち物はモノパッドだけだね。部屋の鍵は持っていないみたい。モノクマファイルの通り、外傷もなさそうだよ。服の血は かなりの量なのに。」
「ひっ。」
(ローズさんの服を少し捲って調べると、前谷君が勢い良く目を逸らした。)
「殴られたり刺されたわけでもないみたい。」
「そ、そうですか。じゃあ、どうして血塗れなんでしょう?」
「…ローズさんの部屋とかも調べておきたいね。」
「はい。あと…ローズ先パイの死体、おかしくないですか?手が握りしめられてますし。」
「え?」
「ローズ先パイは、うつ伏せに倒れています。普通、人が前に倒れる時 手を開いて倒れるものじゃないでしょうか。」
「たとえ受身を取得していない人でも咄嗟に手を開いて着くはずですよね?しかも、ローズ先パイほどの人ならーー…」
(彼は言いながら、握りしめられたローズさんの右手を見て言葉を止めた。)
「…うーん、立った状態から倒れたかは分からないからね。それに…ローズさんは”世界の秘密”の紙を握っていたから…。」
(わたしは屈めていた膝を伸ばして立ち上がり、スカートのポケットから さっき見つけた紙を取り出して視線を向けた。)
「……。」
「どうかした?」
「……。」
「前谷君?」
(呼びかけると、彼は ぎこちない動きで立ち上がった。)
「……何か見つけたの?」
「いいえ!!何もありませんでした!!!」
(グワンと彼の声が周囲に響く。)
「……前谷君。病み上がりなんだし、声 張り上げなくてもいいよ。」
(ローズさんの手に再度 目を向けると、握りしめられていた右手が いつの間にか開かれていた。)
「……。」
「……ど、どうかしましたか?」
「…なんでもないよ。ローズさんの死体の状態は…服に かなりの血が付着しているけど外傷が見られない。右手に”世界の秘密”が握りしめられていた。」
「持ち物はモノパッドのみ。こんなところかな。」
コトダマゲット!【ローズの死体の状態】
(他に何かないか、現場の周囲を見回したけれど、特に手掛かりらしいものは見つからなかった。)
「とりあえず、ここは こんなものかな?山門さんの現場も調べようか。」
「は…はい。」
(わたしが前谷君を見ると、彼は怯えたような表情で遠ざかった。薄暗い中に2人きりという状況の限界が来たのかもしれない。)
【ホーム 山門の部屋】
(地下から1階に戻り、廊下の1番 奥…山門さんの部屋に入った。)
「白銀さん、前谷君。」
「……。」
(中には、天海君と妹尾さんがいた。そして…ベッドには、動かなくなった山門さん。眠っているように見えるけど…死んでいる。)
(黙って山門さんの顔を見つめていた妹尾さんが、わたしに気付いて近寄って来た。)
「山門お姉ちゃん…寝てるみたいなのに…。」
「あ、あの、妹尾先パイ。ちょっと…いいですか。」
「つむぎお姉ちゃん…。どうして2人も死んじゃったのかな…?」
「あ、あれ?聞こえてますか?妹尾先パイ?」
「つむぎお姉ちゃん…あたし…」
「妹尾先パイ!!」
「今、つむぎお姉ちゃんと話してるの!!」
「す、すみませんっ!」
「前谷君、どうかしたんすか?」
「あ、天海先輩。あの…。」
(わたしも前谷君の方を向くと、彼は姿勢を正した。)
「な、何でもありません。」
(……いつも以上に怖がられている。)
(まあ…いいか。とりあえず、みんなが裁判を進めるための情報を集めないと。)
「山門さんの死体、綺麗だね。」
「うん、スヤスヤ寝てるみたい。」
「モノクマファイルの通り、目立った外傷はないっすけど…見てください。」
(そう言って天海君が山門さんに掛けられた布団を めくった。山門さんのスーツが中途半端に腕まくりされている。)
「さっき死体を調べてる時、腕まくりしたらーー…」
「……ひ、ひどいですね。女性の肌なのに。」
(左腕の内側に鋭利なもので何度も刺した跡が残っている。)
「刃物で付けられた傷…には思えないね。細くて鋭いものを無理やり突き刺したみたいな…。何かに嚙まれたみたいな…。」
「うう…痛そう。」
「でも、さすがに致命傷には成り得ないのでは…?」
「そうでもないっすよ。例えば、この傷を付けた鋭いものの先に毒を塗っていたら…。」
「……。」
「ーーでも、この部屋には毒の入れ物や注射器などはないっす。どこかで処分されたのかもしれないっすね。」
コトダマゲット!【山門の死体の状態】
△back
(部屋を見回す。今朝ここに来た時と一見 変わったところはない。けれど。)
「あれ…。この花…朝はなかったよ。」
(机のペン立てには今朝と同じように鉛筆が立てられている。その間に、一輪の赤い花が飾られていた。)
「この花…外にあったっすね。天井のトラップの向こう側っす。」
「誰かが お供えしたのかな?」
「本当に今日も天井のトラップがあったんだね。」
「はい。今日は昨日とトラップも地形も変わってなかったっす。知ってたんすか?」
「今朝 山門さんが散歩で外に出てて、天井のトラップがあるって言ってたから、昨日と同じだと思ったんだよね。」
「山門さん、外に出てたんすか。」
「山門お姉ちゃん、自分で摘んできたのかな?」
「でも、今朝はなかったよ?」
「この花はトラップの向こう側にあったっすから、山門さん1人で摘んでくるのは無理っすね。」
「そっか。あのトラップは最低でも2人 必要だもんね。」
(花は事件前後にペン立てに入れられた可能性がある…か。)
コトダマゲット!【ペン立ての花】
「山門さんのモノパッドも部屋の鍵も、机の引き出しにあったっす。」
「わたしが死体を発見した時、部屋の鍵は掛かってなかったよ。」
「誰かが押し入って殺したってことなのかな?」
△back
「だいたい、山門さんのことは調べられた…かな。手掛かり少ない気もするけど。」
「……!…!」
「どうかしたの?前谷君?」
「え!?いえっ…何でもありません!」
(山門さんの部屋の時計 辺りでウロウロしていた前谷君に問いかけると、彼は慌てた様子でドアまで退いた。)
「何?前谷お兄ちゃん、いつもに増して変だよ?」
「いえ!いえ!!妹尾先パイ、天海先輩、また後ほど !では!!」
(声を枯らしながら前谷君は部屋のドアを開け放して出て行った。)
「えーと、じゃあ、わたしも行くね。」
「はい。俺たちも後で地下のローズさんの調査をするっす。」
「あ、つむぎお姉ちゃん!」
「何?」
「前谷お兄ちゃん、熱あったんだよね?あんまり大声 出さないように言っといて。」
「…クラスメイトが心配なんだね。」
「そ、そんなんじゃないもん!前谷お兄ちゃんのツバで、つむぎお姉ちゃんが汚されないか心配なだけだもん!」
(わたしが呟いた瞬間、真っ赤になる妹尾さん。そんな彼女に、開け放たれたままのドアへ押されて追い出される形で部屋を後にした。)
【ホーム ローズの部屋】
(山門さんの部屋を出ると、前谷君がローズさんの部屋の前で扉を開けて待っていた。)
「前谷君、部屋の鍵 開いてたの?」
「は、はい。中には誰もいませんでしたがっ。」
「……汗 凄いよ?まだ熱あるなら無理せず休んでた方がーー…」
「いえ!白銀先パイと部屋で2人きりになるが故の脂汗ですっ!!」
「………妹尾さんが、病み上がりなんだから、あまり大声 出さないようにって心配してたよ。」
「妹尾先パイが!?クラスメイトに心配してもらえるなんて、光栄です!!」
「……叫んじゃダメだって。」
(ローズさんの部屋の中は、他の部屋と同じだった。シンプルな家具に壁掛けの時計。机の上のペン立てに鉛筆が入っている。)
「特に、変わったところはなさそうだね。前谷君、机 調べてくれる?」
(彼の近くの机を指差すと、彼は慌てた様子で机に近付き、わたしに背中を向けた。)
(机の反対側の時計を見上げると、何だか時計に違和感があった。)
(ーー…と言っても、事件自体、違和感だらけだけど。)
(前谷君が まだ背を向けているのを確認して、そっとローズさんの手から抜き取った紙を取り出した。)
「……。」
(この事件の違和感は…被害者が2人出たこと。そして、動機だ。)
(『1章時点のヒロインは退場しなければならない』……本当に、これが動機って言えるのかな。)
(タイムリミットの動機だって…被害者2人は知らなかったはずなのに。)
(紙を手にしたまま考えながら、わたしは時計に手を伸ばした。)
(ーーでも、これまでの殺人だって、モノクマの用意した動機が働いたとは思えないものもある。それでモノクマは…『ダンガンロンパ』は満足なのかな。)
「白銀先パイ、机は特に変わったところはありません。」
「そっか。」
(わたしが机に近付くと、彼は反対に、わたしがいた所まで飛び退いた。)
「…前谷君。わたしだって傷付くんだからね?」
「…す、みません!疑っているわけではないんです!じ、自分は次は、こちらを調べますね!」
「……だから、声 張り上げない方がいいよ。」
『ポッポーポッポー』
(そんな時、部屋のハト時計が鳴った。振り返ると、前谷君の近くの壁の時計から、わたしの部屋のハト時計と同じ白いハトが飛び出して14時を告げている。)
「あ、ローズ先パイの部屋もハト時計なんですね。…あれ?」
(彼はハトが飛び出る様子を眺めながら、何かに気付いた様子だった。)
(わたしも、さっきの時計の違和感の正体を確認して、彼に再び背を向けた。)
コトダマゲット!【ローズの部屋のハト時計】
「ローズさんの部屋も、手掛かりが少なかったね。」
「…はい。……白銀先パイ!!すみませんでした!」
(部屋を出て すぐ、若干しゃがれた大声に耳を攻撃される。)
「え?何の謝罪?」
「……そうですよね。白銀先パイは ずっと自分の部屋にいて、寝ていたから……。」
「……。」
(前谷君は1人ブツブツ呟いた後、すっきりした顔で笑った。)
「……わたしが寝ちゃった時、前谷君も寝てたの?」
「あ、いえ…さすがに…。白銀先パイが眠ってしまったので困り果てて途方に暮れて呆然とはしていましたが…。」
「困りすぎだと思うけど…ごめんね、わたしのせいで眠れなかったよね。」
「いえ!横になるだけでも休めましたから!!そ、それより、先パイが お休み中、廊下の花瓶がなくなっていました!」
「花瓶?山門さんの部屋の前の?」
「は、はい。自分が少し外に出た時、廊下1番 奥の花瓶がなくなってたので少し変だなと思ったんですが…事件に関係あるのでしょうか?」
「……今は廊下の奥に ちゃんとあるから、事件と関係がありそうだよね。」
コトダマゲット!【廊下の奥の花瓶】
「とりあえず、外も見ておこう。天海君によると山門さんの部屋にあった花は外に咲いてたって話だったし、郷田君にも話を聞かないないとだからね。」
「ご、郷田先輩ですか?どうして、郷田先輩なんですか!?」
「郷田君は昼にホームに戻るって言ってたから、何か知ってるかもしれないよね?発見アナウンスの時もホーム近くにいたんだよね?」
「あ。そ、そういえば!」
「わたしが山門さんを発見して地下に向かった時、前谷君は真っ直ぐ山門さんの部屋に向かったんだよね?」
「は、はい。山門先パイを発見して動揺してしまい…動機のことなど綺麗さっぱり忘れて他の人を呼びに行ったんです。」
「それで、郷田君と夕神音さんは どこにいたの?」
「お2人でホーム近くを探索していました。」
「そっか。郷田君は外の探索から外れてたってことだよね。」
「それじゃ、外に行こうか。」
「あ…その前に、自分の部屋に寄ってもいいでしょうか。」
「…すごい汗だもんね。シャワー浴びたいよね。」
「い、いえ、さすがに、こんな時に呑気にシャワー浴びたりしませんっ。でも顔と手を洗わせてください。」
【ホーム 前谷の個室前】
「すみません、少し待っててください。」
(前谷君は自室の部屋のドアを開け放したまま、洗面所へ向かう。)
(わたしは廊下から前谷君がシャワールームに入るのを見送った。その時、)
『パッポーパッポー』
『カァーカァー』
(部屋の中と、廊下の奥から鳥の声がした。前谷君の部屋の時計から灰色の鳥が出たり入ったりしている。)
(カラスの声は廊下の1番 奥、山門さんの部屋からだろう。さっき開け放された扉が そのままになっていて、音が漏れ聞こえたようだ。)
「お待たせしましたっ。」
(鳥が鳴き止み時計の中に引っ込んだところで、前谷君がシャワールームから出てきた。)
「前谷君。部屋の時計って、何時間おきに鳴ってたっけ?」
「え?1時間おきじゃないでしょうか?夜時間は鳴かないようでしたが…。」
「そっか。」
(わたし達がローズさんの部屋を出たのは、20分前。部屋の時計の違和感は…やっぱりーー…。)
コトダマゲット!【山門の部屋のカラス時計】
【ホーム前】
(いくらか顔色が良くなった前谷君とホームを出て少し歩いたところで、わたしは地面の色を変えているものに気が付いた。)
「これ…血の足跡だ。」
「え?あ。本当ですね。さっきは急いでて気付きませんでした。犯人の足跡でしょうか?」
「…ローズさんだと思う。ローズさんの靴型と一致するし、彼女の靴裏に血も付いてたし。ローズさんの服の血と同じような色だから時間経過的にもーー…」
「……。」
「ど、どうかした?」
「哀染先輩が言った通り!まさに探偵みたいですね!名探偵ナイトスクープです!」
「…それは哀染君の言う探偵とは違う気がする。」
「それにしても、ローズ先パイは意外と歩幅が大きいんですね。」
「うーん。これ走ってたんじゃないかな?」
「まさか…犯人に追われて、血塗れで…。」
「うーん。どうだろ?スキップやツーステップした…みたいな跡もあるし。」
「血塗れでっ?」
「ローズさんの体に外傷はなかったから、この血は彼女のものじゃないと思うよ。」
「なるほど…?では、ローズ先パイは何者かの血を浴びて、機嫌良くホームに向かったということですね。」
「……それはそれで怖いね。」
コトダマゲット!【血の足跡】
(足跡は天井トラップ方面から来て洞窟へ向かい、ホームに戻っている。ホーム辺りで薄くなっているのを見るに、トラップ方面で血を浴びたのだろう。)
「ええと…ここは分岐していましたね。右にトラップ、左は夕神音先パイが歌っていた洞窟です。」
【天井トラップ ホーム側】
(ホームから歩いて3分。昨日 通った天井のトラップまで やって来た。血の足跡はトラップに近付くにつれて濃くなっている。)
「このトラップは1人じゃ通れないはずですよね。」
「そうだね。ボタンを押したままにしてないとトラップが落ちてくるんだったね。その説明書きは天海君が読んでくれたけどーーあれ?」
「どうかしましたか?」
「説明書きの下に時間みたいなのが足されてる。」
「時間ですか?」
「読めない文字の下に11:15と11:40。これは時間なのかな?読めないから いまいち分からないけど…。」
「昨日までも ずっと、自分たちには読めない言語でトラップの説明書きが書かれていましたよ。天海先輩のおかげで なんとかなりましたが…。」
「せめて英語で書いて欲しいよね。」
「共通語至上主義反対!言語に多様性を!」
「……モノクマ。」
「オマエラもアレかー!?現地語の挨拶すら勉強しないで『この国は世界共通語も話せないのか』なんてお手上げポーズ派かー!?」
「世界共通語って何?誰も そんなの決めてないよ?そんなルール存在しないよ?ボクは共通語得意なヤツの『教えてやる』スタンスが大っ嫌いなんだー!」
「特に『私のメソッド』なんて言う輩には注意だよ!早く効率的な外国語学習法なんて たいてい大戦中のスパイが生み出してるんだぞー!」
「一体 何の話ですか!?」
「モノクマ劇場はいいから…何で出てきたのか教えてよ。」
「うん。エスペラント語すら履修漏れの無学なオマエラに教えてあげようと思って。これは、天井が落ちた時間を表しています。」
「落ちた時間?」
「つまり、トラップの作動時間だね。昨日は作動しませんでしたが、今日の11:15と11:40に作動したことを示しています。」
(…わたしが前谷君の部屋にいて…殺されるのを待っていた時間だね。)
コトダマゲット!【天井トラップの作動時間】
「あと、オマエラに もう1つ。前にも言ったけど、未必の故意でも殺しは殺しだからね。その状況を作った人は殺人犯さ。」
(そういえば…そんなことを言ってた。)
「そう。殺意の有無は関係ない。過失の結果だろーと、未必の故意だろーと、殺しは殺しだよ!」
「ひ、ひみつのこい?秘密の恋をしていた人が犯人なんですか!?」
「未必の故意だよ。『もしかしたら相手が死んでしまうかもしれない』と認識して、あえて犯罪行為を実行すること…だね。」
「故意かどうかは、裁判で有罪かどうかを決める材料だから。」
「そうそう。故意は大罪。過失に勝ります。」
「えっと…どういうことでしょうか?」
「例えば、今わたしが行き倒れて…一緒にいた前谷君が『このままだと死ぬかも』と思った上で、わたしを放置したら故意が認められるって感じかな。」
「自分は放置なんてしませんよっ。」
「ごめん、例えばの話だよ。」
【天井トラップ 遺跡側】
(前谷君と協力してトラップの通路を抜けると、次の部屋に派手な衣装の2人がいた。)
「やあやあ、お2人さん。」
「光太クン、つむぎと2人きりでも大丈夫だった?」
「はい。何ひとつ問題ありませんでした!」
「……。」
「光太クンと つむぎも、血の足跡を追って来たの?」
(哀染君が言いながら、道の端に目を向けた。そこには、大きな血溜まりの痕跡があった。血溜まりには見覚えのあるナイフが落ちている。)
「…な、何ですか?これ。」
「たぶん…ローズは ここでモンスターを倒したんだよ。」
「そうそう。外の探索中、昨日のオバケモンスターを発見。ローズさんが1人で追った。」
「モンスターはホーム方面に逃げて、ローズが追ったんだ。」
「ローズ先パイ1人でですか?」
「ローズさん、とても素早い。ボクらは とても追いつけない。郷田クンは急いで追ったけど…。」
「毅クンは元々ホームに戻る予定だったからね。」
「そっか。…ローズさんはモンスターを倒すのに、この おもちゃのナイフを使ったのかな?」
「ここに落ちているから、そのはず。それが どうかした?」
「うん。ナイフを使って返り血を浴びたってことは…たとえ両手で握り込んでたとしても手に少しは血が付いたはずだよね。」
「あ!天井トラップのボタンには全く血が付いてなかったです。ローズ先パイは触ってないってことですね!」
コトダマゲット!【トラップ近くの血溜まり】
「……あれ?」
(周囲を見回すと、隅に花が咲いていた。その花には見覚えがある。)
「これは、カラナデシコ。花の名前。別名セキチク。」
「辛そうな名前ですね。」
「これ、山門さんの部屋のペン立てにあった花だね。」
「天海先輩が外で見たと言ってた花ですね。」
「撫子は こちら側に来ていなかったのに…誰かがあげたのかな?」
「……。」
△back
【洞窟】
(ホームから左の道へ行くと、すぐに昨日の洞窟まで辿り着いた。血の足跡は洞窟前で止まり、またホームに戻るように続いている。)
「足跡は ここで止まってますね。」
「ローズさん、ここまで来たからねぇ。」
(洞窟から、夕神音さんと郷田君が顔を覗かせた。)
「あ、郷田先輩!あの!」
「あ?」
「あ、あの…。」
「何だよ?」
「えっと…何でもないです。」
「何なんだよ、気持ち悪ぃな。」
「…夕神音先パイ、ローズ先パイに会ったんですか?」
「ええ。白銀さんに言われてから、私は ここで歌っていたのだけれど、途中で凄い音がしたのよねぇ。その すぐ後、ローズさんが走って来たわ。」
「すごい音?」
「チャイナ女が天井トラップに引っ掛かりかけた音だろうな。あいつは1人でトラップの向こう側から来たんだ。」
「え?2人じゃないと通れないトラップですよね?ローズさんは どうやって?」
「さあな。オレもチャイナ女を追って こっちまで来たが、追いつけなかったからな。」
「郷田君も1人だったんだよね?どうやってホーム側に戻ったの?」
「オレも1回トラップに引っ掛かりかけたが、その後、モノクマのヤローがオレを通したんだ。」
「引っ掛かりかけたって…何で?郷田君はトラップのことは知ってたよね?」
「走れば何とかなると思ったんだよ。」
「脳筋すぎません?」
「テメーにだけは言われたくねーよ!」
「そうそう。凄い音は2回したわ。ホームまでは聞こえなかったのかしら?」
「あ…。ちょうど寝ちゃってた時かも。」
「部屋は窓を閉めてたら、外の音が全然 聞こえませんもんね。でも、モノクマ、あのトラップボタン押せますか?身長が足りないんじゃ…。」
「ああ。なんか、胴がメチャクチャに伸びてた。グロかった。」
(2作目1章で奇しくも見られなかったヤツかな?)
「それで、夕神音さん。ローズさんと会ったのは何時くらいだった?」
「ええと…ある歌の102番まで歌ったところだったから…11時すぎくらいかしらねぇ。」
「102番!?」
「全部で2000番以上ある歌なのよねぇ。」
「え…それ、歌うのに何時間かかるんですか?」
「24時間以上かしら?」
「えーと…とにかく、11時すぎにローズさんが この洞窟に来たんだね?」
「ええ。元々ホームに向かう途中だったみたいねぇ。私の歌を聴いて、洞窟まで来てくれたのよ。その時は…元気そうだったわ。」
「あら、ローズさん。」
「ユガミネ、歌いマス!いいですね!ワタシ、やっぱりアナタの歌が好きです。」
「…ありがとう。あらぁ?ローズさん、手に血が付いているわ。」
「モンスターの返り血デス。」
「あらぁ。よく見たら服も血だらけねぇ。」
「赤い服は血を隠しマス。だからワタシの国の人とサンタは赤いが好き。でも、黒いになったら目立ちマスから、早く洗わなければなりマセン。」
「そうねぇ。血の汚れは時間が経つと落ちにくいものねぇ。」
「黒いになったらダイコンで擦ったらいいデスよ。」
「そうなのねぇ。これから血を浴びたらやってみるわ。」
「…物騒な会話ですね。」
「そうでもないわよ。」
「とにかく、ローズさんは11時すぎにホーム近くにいたってことだね。」
コトダマゲット!【ローズの目撃証言】
「郷田君はトラップを抜けた後、ホームの近くにいたんだよね?」
「ああ。つーか、12時20分にヤマトナデシコの部屋に行って、あいつに会った。」
「12時20分?」
「…ああ。あいつの部屋の時計を見たからな。」
「……。」
「で、またチャイナ女を探して、外 出たんだよ。ホーム内はいなかったし、血の足跡も気になってたからな。」
「私と郷田君が合流したのは、その後ねぇ。私からローズさんの話をして一緒に調べてたの。」
「…チャイナ女にケガはねぇって聞いて…安心しちまったんだ。クソ。オレが そのまま探しときゃ…。」
「……。」
コトダマゲット!【山門の目撃証言】
「……郷田君。私たちも、そろそろローズさん達の現場を調べに行きましょう。」
「…もう いいのかよ。」
「ええ。気持ちの整理がついたわ。正しいクロを見つけなきゃ。」
(2人は そんなことを言いながら立ち去った。)
△back
「…本当に、2人も亡くなってしまうなんて…。」
「……そうだね。」
「山門先パイもローズ先パイも死体に大きな損傷がありませんでしたが、毒殺…なんでしょうか?」
「どうだろうね。このステージで毒は見なかったけど。」
「そうですね。それに、自分たちは ここに来る前、持ち物検査をしました。毒を持ち込んだ人もいなかったはずなのに…。」
「うん。みんな持ち物は少なかったよね。男の子たちはモノパッドだけって人も多いし、女子も筆記用具とか手紙ぐらいだもんね。」
「被害者の山門さんも便箋とかと万年筆、ローズさんはモノパッドだけだったよね。」
「哀染先輩が1番 荷物が多かったですよね。自分が書いた手紙とシュラスコ串、ヘッドホンと音楽プレーヤーを持ってきていました。」
「自分もモノパッドの他にも哀染先輩からの手紙を持ってきました。」
「そうだったね。」
(わたしも今は証拠品以外、ハンカチとペン類、ネイル用品くらいしか持ってない。)
コトダマゲット!【持ち物検査】
『時間になりました!オマエラ、”いせきのいりぐち”に集まってください!』
「あ…。」
「……行こうか。」
(今回はハーブティータイムはないらしい。やっぱり、前回の事件のために用意された時間に過ぎなかったようだ。)
(そもそも、このステージにはハーブティーすらないのだけど。)
【いせきのいりぐち】
(昨日と変わらないトラップを進み、やって来た場所に待っていたのは、昨日はなかった赤い扉と その先に続く下り階段だった。)
「こんなの昨日はなかったよね。」
「もう不思議なことにも慣れてきたよ。」
(みんなが集まり、階段を降り始めた。)
(地下の階段を進んだ先は、やっぱりエレベーターホール。全員でエレベーターに乗ると、お約束通りエレベーターは下降を始めた。)
(”世界の秘密”という動機。タイムリミットの動機。)
(やっぱり、この『ダンガンロンパ』の動機は機能しているのか、よく分からない。それにーー…)
(それに、4章で2人もの被害者が出た。これも、今までと違う。)
(セオリーと違ってもいいということなのか。クロ含め、セオリー通りじゃなくても視聴者は気にしないのだろうか。)
(ーー『ダンガンロンパ』が終わったと思った。でも…わたしは今、ここにいる。)
(それは、視聴者が まだ『ダンガンロンパ』を求めているということ。『ダンガンロンパ』の希望を見たいということ。)
(…わたしの仕事は、そんな人たちを楽しませること。それが、わたしの義務。だから…わたしの全てを懸けて、楽しめるものにしなければいけない。)
(……この、命懸けの学級裁判を。)
コトダマリスト
被害者は”超高校級の翻訳家” 山門 撫子。死体発見現場はホームの山門の個室。目立った外傷は見られない。
2つ目は…被害者は”超高校級のチャイニーズマフィア” リー・ファン。死体発見現場はホームの地下。死亡推定時刻は午前11時45分〜午後12時15分頃。目立った外傷は見られない。
山門の部屋のペン立てには花が飾られていた。今朝、白銀が山門の部屋を訪れた時にはなかった。
目立った外傷はなく綺麗な状態だが、左腕に数カ所 細く鋭利なもので刺された傷がある。
ホーム地下にうつ伏せで倒れた状態で発見された。服に大量の血が付着しているが、外傷は見られない。右手に”世界の秘密”の紙が握りしめられていた。
山門の部屋のカラス時計。前谷の部屋の時計と同時刻にカラスが鳴いた。
ローズの部屋の時計。前谷の部屋、山門の部屋の時計が鳴る20分前に鳴った。
廊下の1番 奥、山門の部屋の前に大きめの花瓶が飾られていた。前谷によると、死体発見前には見当たらなかったそうだ。
天井が落ちてくるトラップが作動した時間がエスペラント語で記されている。今日の11:15と11:40に作動したらしい。
天井トラップを進んだ先の部屋に血溜まりができていた。ここから血の足跡がホーム方面に続いている。おもちゃのナイフが落ちており、ローズがモンスターを倒した跡だと思われる。
ホームの外に残ったローズの足跡。トラップ方面から洞窟、ホームに向かっている。歩いたにしては歩幅が広い。
山門の死体第一発見者は白銀。その後、前谷、郷田と夕神音が発見。郷田、夕神音が山門の部屋に入ってからアナウンスが流れた。ローズの死体第一発見者は白銀。続けて現場に来た前谷、郷田、夕神音により発見後、アナウンスが流れた。
夕神音によると、ローズはモンスターの返り血を浴びた後、11時頃 洞窟に来たらしい。
郷田によると、12時20分に山門の個室で本人に会ったらしい。
ステージを移る際に全員の持ち物検査を行った。山門の持ち物は万年筆と手紙、モノパッド。ローズの持ち物はモノパッドのみ。
学級裁判編に続く