前回【論理】【理論】【倫理】の違いをお伝えしました。
【倫理】とは、道徳やモラルのこと。
ですが、【倫理】と【道徳】の違いも、実は存在します。
細かく意味を確認していきましょう。
【倫理】と【道徳】の違い
どちらも「人がふみ行うべき行為の規範」であり、辞書としては同義語として扱われます。
それでは、【倫理】と【道徳】の違いはどこにあるのでしょうか。
【倫理】とは
人間生活の秩序の中で行うべき規範の筋道 。英語では、ethic(エシック)
特定の集団や職業における善悪の判断基準を指す。
客観的に正しいと思われる規範。
「あの政治家の倫理観が問われる。」
「犯罪は倫理に反する行為だ。」
「倫理にかなった行動をすることで、正しい秩序は保たれる。」
【道徳】とは
社会秩序を守るための善悪を決める規範 。英語では、moral(モラル)
社会全体における善悪の判断基準を指す。
個人が内的に自発的に持つ規範。
「道徳的に考えて、浮気はいけない。」
「君の道徳心を疑うよ。」
「社会道徳に基づくことで、物事の善悪をはかることができる。」
例えば・・・
①「倫理的に考えて、それは行うべきではない。」
②「道徳的に考えて、それは行うべきでない。」
①は、特定集団内での発言であり、その違反行為は、客観的に見ても正されるべきことです。
②は、その違反行為は、個人的に「良くないこと」と咎められているわけです。
「職業倫理」「政治倫理」というと、客観性のある事項であり、違反すると罪に問われる可能性があります。
逆に「社会道徳」というと、法律などの圧力はなく、個人の裁量によるところです。
【倫理】と【道徳】は同じ意味で使われる
ここまで、違いを見てきましたが、倫理も道徳も同義語として使われます。
その理由は、「特定の集団」と「社会」に違いがないためでしょう。
日本の社会というものは、日本に住み、日本の文化と社会性を踏襲した人々の集団です。
また、個人の善悪の基準も、概ね法や社会的なルールによって決められます。
それゆえ、「犯罪」「人を貶める行為」「ウソ」などを指してなら「倫理的」にも「道徳的」にもNGといえます。
けれど、例えば「連絡なしの5分の遅刻」「ベビーカーを電車の中で畳まない」「壁のない喫煙所での喫煙」などは、個人の判断や所属するグループにより善し悪しが変わってくるでしょう。
倫理と道徳哲学の違いとは?
道徳哲学とは、いわゆる倫理学のことです。
倫理と倫理学(道徳哲学)の違いは、学問かそうじゃないかだけではありません。
倫理学とは、倫理に叶うかどうか考えることにあります。
倫理はその考える材料です。
まとめ
- 【倫理(エシック)】とは、特定の集団を指す規範。客観的。
- 【道徳(モラル)】とは、社会通念上の規範。主観的。
- 倫理学・道徳哲学とは、倫理や道徳について考えること。
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