【ら抜き言葉】とは?意味と例文
よく年配の人に嫌いといわれる【ら抜き言葉】とは、どんな意味でしょうか。
「見られる」が「見れる」、「食べられる」が「食べれる」など、「ら」が欠落した言葉。
可能形で使われます。
口語では普通に使われていますが、今のところ公的に認められていない言葉です。
「映画館、とても混んでいたらしいけど、見れたの?」→見られたの
「生卵は食べれますか?」→食べられますか
「昨日はよく寝れなかった。」→寝られなかった
なんて聞かれると、意外と日本人でも困ってしまったりしますね。
【ら抜き言葉】の見分け方とは
「あれ?これって【ら抜き言葉】??」ということはありませんか?
実は日本人でも違いが分からない人も多いものです。
例えば・・・
これらは、すべて【ら抜き言葉】です。
書き言葉では、来られる、出られる、見られる、食べられる、決められる、着られる、起きられる、寝られるとしましょう。
「着れる」は【ら抜き言葉】で正しくは「着られる」ですが、同じ音である「切れる」はこのままが正しかったりします。ややこしいですね。
どのように【ら抜き言葉】かどうかを見分ければ良いんでしょうか?
ここで【ら抜き言葉】の見分け方をご紹介しておきましょう。
【ら抜き言葉】の見分け方①動詞に「ない」をつける
日本語話者が【ら抜き言葉】を見分けるには、動詞の後に「〜ない」を付けてみらと良いでしょう。
【ら抜き言葉】にならない
ない形で直前がア段(a)の音:入る、知る、止まる、踊る、取る、切るなど
「このドアから入れます」
「あなたはどんなダンスが踊れますか?」
【ら抜き言葉】になる=「られ」の形が正しい
ない形で直前がイ段(i)の音:見る、起きる、着るなど
ない形で直前がエ段(e)の音:食べる、決める、寝る、出るなど
+(例外)来る
「朝なかなか起きられない。」
「明日10時までに来られますか?」
【ら抜き言葉】の見分け方②動詞につくのが「よう」か「ろう」か
【ら抜き言葉】の見分け方で有名なのはもうひとつ、「Let’s 〜」の形、「踊ろう」「取ろう」「食べよう」「起きよう」にするもの。
【ら抜き言葉】にならない
「ろう」になるもの:入る、知る、止まる、踊る、取る、切るなど
「人は急には止まれない。」
「すごい、これなら金メダル取れるよ!」
【ら抜き言葉】になる=「られ」の形が正しい
「よう」になるもの:見る、起きる、着る、食べる、決める、寝る、出る、来るなど
「この服は小さくてもう着られない。」
「どちらが良いかなんて決められないよ。」
【ら抜き言葉】の見分け方は動詞の活用形
その活用動詞を見分けるのが、「ない」や「ろう」「よう」だったんです。
ない形で直前がア段(a)の音=五段活用動詞:入る、知る、止まるなど
ない形で直前がイ段(i)の音=上一段活用動詞:見る、起きる、着るなど
ない形で直前がエ段(e)の音=下一段活用動詞:食べる、決める、寝る、出るなど
(例外)来る=カ行変格活用動詞
日本人として国語で学んだ人は、活用形の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
【ら抜き言葉】外国人の見分け方はⅠグループかⅡグループか
外国人のための日本語学校での動詞の分類といえば、Ⅰグループ・Ⅱグループ・Ⅲグループです。
これは、学校文法の五段活用動詞や下一段・上一段動詞などを外国人により分かりやすくために言ったもの。
「ない」をつけるとどの形になるかと考えられるのは、母語話者だからこそです。
外国人の場合、まず動詞がⅠグループ・Ⅱグループ・Ⅲグループどれに属するか覚えて、動詞の活用をします。
「ない」や「ろう」「よう」の形だけでなく、「(し)て」や敬語の作り方も、動詞のグループ分けによって活用しているんです。
Ⅰグループ:五段活用動詞(入る、知る、止まる、踊る、取る、切る、買う、立つ、読む、書くなど)
Ⅱグループ:上一段活用動詞+下一段活用動詞(見る、起きる、着る、食べる、決める、寝る、出るなど)
Ⅲグループ:不規則変化動詞(来る、するなど)
辞書形が「る」で終わらない→Ⅰグループ(書く、読む、買うなど)
辞書形が「る」で終わり、過去形が「〜った」(知る、走るなど)→Ⅰグループ
辞書形が「iる」「eる」で終わり、過去形が「〜た」(着る、寝るなど)→Ⅱグループ
このうち、 Ⅱグループの動詞と「来る」は、「られる」が正しい形 です。
ビジネス文書はNG!ら抜き言葉は問題/問題ない?
【ら抜き言葉】は、一時期「日本語の乱れ」として取り沙汰されていました。
ですが、現在では口語的な言葉のときはテレビでアナウンサーも使っています。
【ら抜き言葉】はあまり敏感になりすぎないように、けれども 論文やビジネス文書などの書き言葉、フォーマルシーンでは控えるのがベター なのかもしれません。
会社のお偉いさん世代は【ら抜き言葉】を「日本語の乱れ」とする人も多いものです。
【ら抜き言葉】の問題点は何?【ら抜き】の起源
【ら抜き言葉】が、言葉に厳格な人たちやお年寄り世代に嫌われる理由は、若者言葉だと思われているからというのもひとつあるかもしれません。
若者言葉=言葉の乱れどの世代にもそのような風潮はありますよね。
参考:漫画アニメの中国人はなぜ「あるある」言う?お嬢様は「ですわ」?博士キャラは「~のじゃ」?社会方言と役割語の起源と由来
世代によっては、今の学生さんたちが使う言葉に嫌悪感を持つ人もいるのではないでしょうか?
さて、この日本語の乱れとされる【ら抜き言葉】。
実は昭和初期から頻繁に登場するんです。
つまり、【ら抜き言葉】は今のお年寄り世代から続く言葉なのです!
ある文献によると、江戸時代に既に【ら抜き言葉】は確認されています。
実は、ある程度の歴史がある言葉ではないでしょうか。
【ら抜き言葉】に意味あり!【ら抜き】が生まれた理由
言葉は生き物ですから、変化は避けられないものです。
そして、その変化には必ず理由があります。
それでは、【ら抜き言葉】が使われることには、どんな理由があるのでしょうか。
①言いやすい
②可能形であることを分かりやすくする
ラ行を発音するには、舌を弾く動きが必要です。
舌が行ったり来たりして、発音しにくくないでしょうか?
この言いにくさを回避して、「られ」→「れ」に変化していったという説があります。
また、「られる」の形は、可能形の他、尊敬形、受け身形などの意味を持ちます。
「先生は見られる」とだけ言った場合、可能なのか尊敬なのか、はたまた受け身なのか分かりません。
先生が何かを見ることが可能なのだとすぐ分かりますね。
そんなところから、可能形のみに使われる【ら抜き言葉】が登場したのでしょう。
【ら抜き言葉】は問題ない?必然的に生まれた変化
言葉は時代と共に変化するもの。
そうでなければ、私たちは今も上代の言葉を使っていたり、古文で勉強した和歌を詠んでいたかもしれません。
参考:中国語でも使われる日本語由来の漢字とは?日本語と中国語はやっぱり似てる!中国語との語順・発音・面白い意味の違い
【ら抜き言葉】も、超自然的に生まれた日本語 です。「日本語の乱れだ!」とあまり神経質になる必要はないのかもしれません。
ただし、今現在は「正しい日本語」として奨励されているわけではないため、ビジネスシーンや書き言葉、年配の方と話すときは注意しましょう。
注意が必要なときは、今回紹介した「ない」や「ろう」「よう」の見分け方で、使い分けてくださいね!
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