Round. 2 蝶のように舞い、蚊のように刺せ 学級裁判編Ⅰ【創作ダンガンロンパ/創作論破/獄原ゴン太V3】

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Round. 2 蝶のように舞い、蚊のように刺せ 学級裁判編Ⅰ

 

コトダマリスト

 

【モノクマファイル】

被害者は、”超高校級の天文学者” 三途河 明日見。死体発見現場は春ノ島シアターの放送ルーム。死因は刃物で背面を刺されたことによる出血性ショック死。

【死体の状態】

死体はうつ伏せに倒れており、ベルトが外され、背中が はだけていた。腰から背中全体にかけて、かぶれにより赤くなっていた。

【現場のナイフ】

死体近くに落ちていた小型ナイフ。大量の血痕が付着している。

【防犯カメラ】

シアター正面玄関への出入りを写したカメラ。今日現場に来た全員の姿が撮られている。華椿以外は事件前、事件後、発見アナウンス15分後に華椿の姿が写っていた。

【放送ルームの鍵】

廊下から放送ルームへの扉。事件時は内側から鍵が掛けられていた。

【放送ルームの設備】

星によると、放送ルームの設備には録音機能はないそうだ。

【放送ルームの蜘蛛】

放送ルームの壁にいたクモ。通気口内にいたと思われる。本来は1度巣を構えたら動かない種。

【シアターの鍵】

シアターから放送ルームに向かう廊下に続くドア。事件時は廊下側から鍵が掛けられていた。

【通気口】

シアターと放送ルームを繋ぐ通気口。どちらも天井近くにあり、簡単な格子がしてある。小学生くらいなら通り抜けられそうだ。

【廊下のロッカー】

放送ルームと勝手口の間にあるロッカー。一般的な清掃用具が入れられている。

【勝手口のドア】

勝手口は建て付けが悪く、使えない。星によると、プラネタリウム上映前から使用できなかったとのこと。

【星の証言】

プラネタリウム上映前に虎林、伊豆野、平がシアターに訪れた。虎林は花を、伊豆野はレモンのハチミツ漬けを差し入れに、平はベルトを渡しに来たらしい。

 

 

学級裁判 開廷

 

(また…裁判が始まる。)

 

(円形の裁判所。前回の高橋君の写真と同じように…河合さんと三途河さんの写真が増えている。)

 

(ゴン太の隣の三途河さんの写真。前回は先陣を切って話し合いを促してくれた。彼女の明るい笑い声が聞こえることは、もう…ないんだ。)

 

「…まずは、事件を振り返っておこうよ。」

 

「……そうだな。」

 

「えーと…被害者は、三途河 明日見さん。”超高校級の天文学者”です。放送ルームで死体を発見しました。」

 

プラネタリウムの真っ只中だっただ。犯行時はオラたつ皆、三途河さが死んでた隣のシアターホールにいただな。」

 

「いやいや、みんなじゃなくね?若干1名、来なかったKYさんがいたじゃん。」

 

「……知らなかったので。」

 

「話を戻そう。死因は背中にナイフを刺されたことである。」

 

「放送ルームは血まみれで、死体近くにナイフが落ちてたよな。」

 

「キッチンの小型ナイフ。…なので、キッチンから誰かが持っていった。」

 

「しかし、現場の部屋は鍵が掛かっていたよ。完全密室というやつだ。それに、ボクらも鍵が掛けられたシアターにいた。」

 

「…発見現場の放送ルームには、シアター玄関から、アタシ達がいたシアターホールを通るか、反対側の勝手口からしか入れないんだよね。」

 

 

(確認すると、また みんなが黙り込む。前回よりも全員 緊張している感じが伝わってきた。)

 

「おやおや、1回目より緊張してるみたいだね!それは そっか。これが正真正銘の2回目だし。7回目くらいからは落ち着くから安心しなよ!」

 

(モノクマが変なことを言ってきたけど、みんなの表情は硬い。)

 

(ゴン太も同じだった。捜査時間から、前回の…河合さんの おしおきの光景が頭から離れない。)

 

(もし間違えたら、みんな死んでしまうんだ。)

 

(もう1度、隣の空席を見た。三途河さんの笑顔を思い出した。)

 

 

「私、みんなにも笑って欲しいわ。みんなの笑顔を守りたくて、夜空の鑑賞会やプラネタリウムを開催するの。」

 

 

「……。」

 

(ーーそうだ。三途河さんは笑って、そう言った。ゴン太も、みんなを守りたい。)

 

(そのために、考えて、考えて、考えなきゃ。)

 

「みんな!ゴン太は1人じゃ たくさん考えられないけど、みんなや虫さんの力を借りて、みんなを守りたいんだ!」

 

「だから、力を貸して!」

 

「……。」

 

「ゴン太先生…。知恵の借りものしてるんですね。」

 

「おー、青春学園モノ〜!」

 

「ゴン太…かっこいい。」

 

「そうだね。怖がっていても始まらない。思うことは何でも話し合おうじゃないか、ベイビー達。」

 

 

 

ノンストップ議論1開始

 

「…そうだな。現場は密室で、プラネタリウムの会場にいた俺たちァ入れなかった。」

 

「シアター出口に廊下側から鍵さ掛かってたべ。」

 

「それに、現場の放送ルームもです。まさに完全密室、完全密閉ですね!」

 

「しかし、完全密室であれば、犯人の侵入も逃走も不可能。」

 

「廊下の先に勝手口があった。…ので、放送ルームの密室さえ作れれば、勝手口から逃げられる。」

 

 

【勝手口のドア】→プラネタリウムの会場にいた

【廊下のロッカー】→勝手口から逃げられる

【勝手口のドア】→勝手口から逃げられる

 

 

 

「冗談は、起きて顔さ洗って飯さ食ってトイレ行ってから言ってくろ!」

 

「ご、ごめん!ゴン太、今トイレには行きたくないよ!」

 

 

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「それは違うよ!ーーって、虫さんが言ってるよ!」

 

「出たww虫さんが言ってるよww」

 

勝手口のドアは壊れてるらしいんだ。内からも外からも開けられないから、誰も出入りできないんだって。そうだよね?星君。」

 

「…ああ。そうだ。」

 

「つまり、建物はシアター側には我々が、勝手口は開かずで外部から侵入する隙は全くなかった。さらに放送ルームも密室と。」

 

「そんな中で殺しなんてできんのか?火事の中の密室なら…一酸化炭素中毒とかで死ぬけど。」

 

「そんならオラたつも死んでっぺ。そもそも、ナイフで刺されたっち言っとろ?」

 

「火気はなかった。…ので、あり得ない。」

 

「密室にガスを充満させたのであれば…臭いが残るはずです。現場に そんな臭いはありませんでしたね。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「……やはり、現場のナイフが凶器なのでしょう。」

 

「……。」

 

「……。」

 

(何だろう。とっても変な雰囲気だ。)

 

「……何ですの?」

 

「単純に考えるならば、現場にいなかった貴殿の怪しさが増すことを、君 忘れること勿れ。」

 

「うん。悪いけど、その通りだよ。ベイビー。」

 

「………。」

 

「わたくしとて、現場の密室を作ることはできないでしょう。」

 

「いえ、作れますよ。密室なんて、その場にいない者なら いくらでも作れるんですよ!」

 

 

 

ノンストップ議論2開始

 

「上映中、ボク達は鍵が掛かったシアターにいました。異変に気付いた後も全員で放送ルームに入ったんですよ。」

 

「つまり、ボクらに犯行は不可能。けれど、華椿先生なら現場に隠れて三途河先生をヤれます!」

 

「…隠れておりません。貴女様たちが どこにいたかも存じませんでしたから。」

 

「いいえ、知っていたんです!華椿先生なら、放送ルームに ずーっと姿を隠してればいいんですから!」

 

「確かにw死体発見後、ハナハナいつの間にか その場にいた系wwみんなが動揺してる間に出てきたんかもねww」

 

「そう!つまり、華椿先生は三途河先生を殺した後、放送ルームのどこかに隠れ、ボクらと合流したんです!」

 

 

【廊下のロッカー】→どこかに隠れた後 合流した

【防犯カメラ】→どこかに隠れた後 合流した

【現場のナイフ】→どこかに隠れた後 合流した

 

 

 

「ゴン太先生の能力は、蟲を操る程度の能力…つまり、ゴン太先生はリグル・ナイトバグ!?」

 

「ご、ごめん…何を言ってるのか、ゴン太には分からないよ。」

 

 

back

 

 

 

 

「それは違うよ!ーーって、虫さんが言ってるよ!」

 

「三途河さんの死体を発見した後、確かにゴン太たちはパニックになってたけど、華椿さんは その場にいなかったはずだよ。」

 

「シアター側の玄関にあった防犯カメラにはアナウンスを聞いて駆けつける華椿さんが映ってるんだ。」

 

「時間は ちょうど11時くらい?発見アナウンス鳴って、15分ほど的な?」

 

「15分。…は、本島の寄宿舎から春ノ島に走って来たくらいの時間。」

 

「じゃ、じゃあ…犯行後、勝手口からシアター側の玄関に周りーーって、勝手口は開かないんでしたね。」

 

「それじゃ、華椿も放送ルームに行けないってこと?」

 

「…分かっていただけましたか?」

 

「すみませんっ!ボク、てっきり…ほら、前回の裁判でも怪しかったから…。」

 

「それは…そう。前回 被害者を殺そうとした。…り、犯人を貶めた。」

 

「そんなことはーー…」

 

「やってねぇっち言いたいんけ?」

 

「………。」

 

「な、なあ。やってねェなら話してくれよ、前回のこと。」

 

「………。」

 

(言われた華椿さんは、しばらく黙って、)

 

「もう結構。前回のことより今回のことを話し合うべきではないですか?」

 

(すぐに そっぽを向いた。)

 

「引っ張るねーwwま、じゃ。今回の事件だけどー、オレ的には やっぱ密室ってのが、1番 引っかかるかな的な。」

 

「同意する。事件時、被害者と華椿殿以外はシアタールームにいた。」

 

「三途河さが おっ死んでた部屋、オラたつには入れねかったべ。」

 

「密室殺人…難しいのが来ましたが、このナゾを解けば犯人が見えてくるというのがミステリのセオリーです!」

 

(密室…。シアターは鍵が掛かっていて、誰も三途河さんがいた放送ルームに入れないはずだった。それなのに、彼女は亡くなった。)

 

「密室の作り方…か。例えば…人間の身体は焼けると死体は屈曲するんだよ。うまく死体を置いときゃ死体に鍵を閉めさせることはできるぜ?」

 

「真っ青になりながら おっかねぇ話しねーでけろ!どんだけ火事の話すんだ!?」

 

「…だから、現場で火事はなかった。」

 

「密室殺人のパターンは3つです。①犯行後に犯人が密室にした②被害者が密室に逃げ込み事切れた③密室の状態で殺された。」

 

「どのパターンかを精査すべし。」

 

「例えば、勝手口のドアが壊れていたっていうのは本当なのかな?」

 

「え?」

 

勝手口が使えなくなったのは事件後だった。そうだとすれば、この密室事件は単純になると思うんだよ。ベイビー。」

 

「え…でも、星君がーー…」

 

「…ああ。俺と三途河が準備していた段階でも、勝手口は閉ざされていたぜ。」

 

「それって、ホッシーが言ってるだけなんだよね?」

 

「……そうだな。」

 

「ホッシーがクロとか虚言癖のシロで嘘吐いてたりしたら どうすりゃいいの?」

 

「うぷぷ。星クンが言うなら そうだろって思った?違いまーす!星クンだって容疑者です!ホシだけにね!!」

 

「あのクマ、誰に向かって話してんだ?」

 

「…信じるかどうかは あんたらに任せる。俺は自分の知ってることを話したまでだぜ。」

 

「ゴメンよ。疑うわけではないんだけど…勝手口を後から施錠した可能性があれば、こんな仮説も立てられるんだ。」

 

 

 

ノンストップ議論3開始

 

「プラネタリウム上映中、三途河さんが実は放送ルームの外にいたとしたら?」

 

「え?でも、事件があったのはプラネタリウム上映中だったよね?」

 

「あの上映が録音だったら?録音した音声を流し、その間に三途河さんは放送ルーム外で刺されて、放送ルームに逃げ込んだ。」

 

「それなら、廊下で三途河さんを刺して、普通に勝手口から外に出て、正面玄関から合流できるんだ。みんなの前に現れなかった人なら…ね?」

 

「…でも、廊下に血なんて落ちてなかったよ。」

 

「刃物を抜く時 多量に出血する。刺しただけでは出血しない場合もあろう。上映中に流されていた説明が録音だったなら、一理ある。」

 

 

【死体の状態】→正面玄関から合流

【放送ルームの設備】→説明が録音だった

【死体の状態】→説明が録音だった

 

 

 

「…えっと、ゴン太。その根拠…教えてくれる?」

 

「あ…ごめん。根拠は…あまりないんだ。」

 

「そっか。……。」

 

 

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「それは違うよ!ーーって、虫さんが言ってるよ!!」

 

「プラネタリウムの上映中、三途河さんは放送ルームにいたはずだよ。」

 

「そうかな?放送を事前に録音して、それを流していただけという可能性があるはずだよ?」

 

「ううん。それはないんだ。そうだよね?星君。」

 

「…そうだな。俺は三途河の手伝いをしていたんだが、放送室には録音できる装置はない。」

 

「マジで?それもホッシーの話でしかないわけ?放送ルームなら、そんくらいの機能ありそうなもんだけどねー?」

 

「…嘘だと思うんならモノクマにでも聞いてくれ。」

 

「お?唐突にボクのターン!…そうだね。放送ルームの設備では、生声しか お届けできないよ。」

 

「あ、でも、宿舎の倉庫には録音の機械…カセットレコーダーもありましたよ!」

 

「カセット…。ずいぶん古いものが出てきたね。見たこともないよ。」

 

「ハイハーイ!今の高校生のリアルにショックを受けた人、挙手!!」

 

「…何 言ってんだよ。けどよ、現場には ンなモン、落ちてなかったよな?」

 

「犯人。…が、回収した?」

 

「録音なんてされてねぇべ。あの放送中、三途河さはゴン太さに話し掛けてたべ。」

 

「あ、そ、そういえば…。」

 

 

(星君が呼びかけに応えた後、シアター内の電気が消えた。そして、天井だった所には一面の星空が広がっていた。)

 

「す、すごい…!」

 

『ふふっ、ゴン太君…驚いているわね。』

 

『みんな、この星空の中で一際 輝く星を見てちょうだい。それが火星…マーズよ。ローマ神話の軍神マルスから取られたの。』

 

『ちなみに、3月…marchの語源もマルス。興味深いわよね。』

 

「んー?何で3月ー?」

 

『ふふ。聞かれると思ったわ。昔の人にとって、3月は寒い季節が明けて戦争に行く季節だったのよ。』

 

 

「『ゴン太君、驚いているわね。』という台詞か?」

 

「あ!うん!ゴン太、あの時 本当に驚いていたよ!」

 

「それくらい予想できんじゃーんwwそんなんじゃ、録音じゃないとは言えないよね?」

 

「でも、アタシの質問にも答えてくれたよー?」

 

「あれは、星についてウンチクを聞いた時だったね。彼女の声も言っていた通り、聞かれると分かっていたのかもしれないね。」

 

「なあ、そういえば、三途河には俺たちの声が聞こえてたのか?シアターを見るカメラとかは放送ルームになかったぞ?」

 

「…おそらく、通気口から声が聞こえてたんだろ。シアターの声は響いて放送ルームの通気口からも聞こえてた。」

 

「ふーん、んじゃ、放送ルーム側の通気口から声出したとしても、シアター内に響くかもなワケね。」

 

「でもさ、もし録音が使われてたなら、犯人が三途河に録音を頼んだってこと?『ここにプラネタリウムの放送を録音しておいて』って?」

 

「怪しすぎんべ。星さ、そんな奴いたんけ?」

 

「…俺と三途河が準備してる中で そんな奴はいなかったぜ。」

 

「でも、ホッシーが頼んだのかもしんないジャーン?」

 

「…フッ。違いねーな。あんたらが俺の言うことを信じられるなら…で聞いといてくれ。」

 

「例えば、あらかじめ放映中に被害者を呼び出しておく。…と、被害者は録音機を使わざるをえない。…かもしれない。」

 

「犯人に三途河が誘導されたってことか。」

 

「そっか!そうして三途河先生を廊下で刺した。三途河先生は何とか放送ルームに戻ったけれど亡くなってしまった…。これでQED!です!」

 

「それを上映会参加者がするのは難しい。が、不参加の者なら、或いは。」

 

「えーと…じゃ、つまり、プラネタリウムに来なかったヤツが犯人か?」

 

「わたくしを犯人にするためにロジックを組み立てるのは おやめなさい。勝手口が壊れていたのですから、わたくしには無理です。」

 

「今、勝手口のドアが事件前から壊れていたことは証明できない。…ので、あなたを100%信じられない。」

 

「……。」

 

(華椿さんが一瞬 黙る。それから、ゴン太と目が合った。)

 

「獄原さん。貴方様は…どうですか?貴方様も…わたくしが三途河さんに放送を録音させ、プラネタリウム中に彼女を殺したと?」

 

「え?な、何で、ゴン太に聞くの?何で?何で、ゴン太?」

 

「えっと…。」

 

(プラネタリウムの放送は三途河さんが実際に話していたもの…そう言ってた人がいたよね。)

 

 

▼プラネタリウム放送が録音だったか分かる人は?

   

 

 

 

「…やれやれ。クールじゃねーな。」

 

「ご、ごめん!もう1度 考えるから!」

 

 

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「キミしかいない!ーーって、虫さんが言ってるよ!」

 

「伊豆野さん!プラネタリウムの放送は三途河さんが話してたものだって言ってたよね?」

 

「んだな。録音なんかじゃね。録音だったら、ずぐ 分がる。」

 

「それって絶対なワケww?」

 

「疲労骨折するくれぇ録音音声で練習した後、骨折したまま生演奏に合わして舞台で踊ってきたオラの耳に狂いはね。」

 

「耳に狂いはねェかもしんねーが…狂ってんな。」

 

「じゃ、今回は伊豆野の才能を信じるって流れだね。」

 

「そういえば…前回も似たようなことがあった。」

 

「筆跡鑑定。…を、被害者がしてくれた。」

 

「確かに…三途河先生が筆跡鑑定をしてくれて…今回、被害者に?次は あなたの番です?」

 

「思い出すよ。自称弊社スタッフが参加者 集める時、殺人マンションドラマ調で番宣するつもりが、爆笑オンエアバトル調で言っちゃったことを。」

 

「次は!あなたの番ですッ!!?」

 

「不吉なこと言うの やめれ!!」

 

「とにかく、プラネタリウム中の放送は録音なんかじゃね。オラにゃ分がる。」

 

「なぜ言い切れる。」

 

「分がるもんは分がっちゃげぇ、しょんなかばってん。」

 

「…どこの出身?」

 

「ふーん…ーーま、オレはイズノンのこと信じてもいーよ!」

 

「えっ…何だい急に。」

 

「今の今まで録音説を推してたじゃないですか。」

 

「え?だって、録音機あっても録音できないし?」

 

「え?ど、どういうこと?」

 

「そう言えるのには…何か理由があろうか。」

 

「録音機の如きアリバイ工作に使われそうな危険物は排除すべし…という八百万の神々の思し召しの通り、電池を拝借したのです。」

 

「神様の言う通り…?」

 

「ぷげらwwイエスイエスwイエス様の言う通りwwブー!ブッダ様の言う通りwww」

 

「貴方様は一体 何に仕えているんですか。」

 

「ッてか、電池より回収すべきモンがあんだろ。」

 

「倉庫にあった録音機って電池式だったわけ?」

 

「そーそー。なんか?前回も倉庫のモン使われたし?電池 取っ払っちゃおって思って?」

 

「あ…、そういえば、野伏君、倉庫に1人でいたね。」

 

「そうそうwwだから、被害者のサンズっちも今回の犯人も、録音機 使えなかったわけww」

 

「あなたは使える。…ので、可能性は捨てられない。」

 

「そういや そうだwwww」

 

「けど、野伏が犯人じゃなけりゃ録音機は使えないわけだから、使われてねェってことじゃないか?だって、野伏にも俺らにも無理だろ?」

 

「……プラネタリウムを見ていた貴方様方は廊下に出るのは難しい…とのことでしたね。」

 

「うん。それで、三途河さんの声が録音した音声だったら、シアターにいたゴン太たち以外なら犯行が可能だった。そういう話だったよね。」

 

「………つまり、わたくしでしょうか。」

 

「貴方様まで、そういうこと おっしゃるのね。」

 

「え?」

 

(華椿さんの低い声に驚いて彼女を見ると、とても悲しそうな目が見えた。)

 

「あ!ご、ごめん!!ゴン太、考えるのに一生懸命になってて!」

 

「……。」

 

「けどさ、仕方なくね?だって、前回の事件でハナハナ怪しい。そう分かっちゃったんだからさ。」

 

「んだ。疑われたくねぇなら、話してけろ。」

 

「話し合おう、皆で。語り合おう、朝まで。」

 

「朝まで語り合ってたら干からびちゃうよ。」

 

「干からびない。…ので、大丈夫。」

 

「そうだね。安心しておくれ、ベイビー。」

 

「華椿、話してくれよ。」

 

「……。」

 

(全員の視線が華椿さんに向いた時だった。)

 

 

「話し合いだけでもしておきましょう。合理的な判断を下すために必要です。」

 

「僕らは真実と向き合わなきゃいけないんだ。」

 

 

(みんなの声に混じって、何か聞こえた。)

 

(ーーまただ。虫さんの声とも違う、懐かしい声。今回は2人分。)

 

「うん、そうだよ!華椿さん、話して。」

 

「……わたくしが何を言っても…信じてもらえないと思います。」

 

「…それは どうかな。」

 

(そんな時、それまで静かだった星君が呟いた。)

 

「俺の証言を片っ端から獄原は信じてたろ?少なくとも1人は、あんたが話せば信じるってことだ。」

 

(星君の落ち着いた声。それを聞いてか、華椿さんが顔を上げた。)

 

「……よござんしょう。」

 

(それから、彼女が言ったことはーー…)

 

 

「西の灯台の死体。切り刻まれた被害者。わたくしは…その犯人を知っています。」

 

「え…?」

 

(西の灯台の死体。内臓がなくなっていた、ゴン太と高橋君が発見した死体だ。)

 

「ほ、本当なの?」

 

「だ、誰なんだ!?」

 

(みんなが驚く中、華椿さんは口を開いた。彼女の口から出た名前はーー…)

 

高橋さんです。」

 

「え…?」

 

「高橋さ?あの高橋さけ?」

 

「ええ。」

 

「あの中肉中背、性格温厚、前回被害者の?」

 

「ええ。」

 

「才能不明、個性薄味、突然死亡の??」

 

「そうです。」

 

「…信じられない。」

 

「そうだね…。さすがに。」

 

「人殺しなんてできるように見えなかったけどな。」

 

「しかし、わたくしは見たのです。あの男の犯行を。」

 

(はっきり言う彼女の目は真剣だ。嘘を言っているようには見えない。けどーー…。)

 

「西の灯台で死体を発見した時、高橋君は  とても驚いていたよ。あれは演技とは思えなかったけど…。」

 

「そうだね。ボクらと合流した時の彼は肌ツヤも良くなかった。動揺していたんだと思うよ。」

 

「…それなら、あの男が記憶喪失だという話が本当だったということです。」

 

「彼の犯行を目撃したのは、島に閉じ込められた初日。まだ体育館で皆様と会う前のことですから。」

 

「そっか…。自分で殺しても、覚えてなかったら態度に出さないもんね。」

 

犯行の記憶がない犯人…。どこかで聞いたような事件ですね。」

 

(頭がグチャグチャに こんがらがって、ゴン太は みんなの言葉を聞くので精一杯だった。)

 

(高橋君が西の灯台の死体を作った犯人。とてもじゃないけど…信じられない。記憶喪失の彼は、自分の犯行を忘れていた…?)

 

(犯行の記憶がない犯人という言葉に嫌なことを思い出しそうになって、ぎゅっと目を閉じた。)

 

「つーかハナハナ、何で黙ってたん?初日に体育館で会った時とかにフツー報告するっしょ?」

 

「皆様方と出会って間もないうちは当然でしょう。高橋さんの お仲間がいるかもしれないと思っていましたから。」

 

「オレらを疑ってくれてたワケね。で?その後、死体発見のタイミングでもダンマリ決め込んでたのな?」

 

「…どなたに話すか見定めているうち、あの男は記憶喪失になっていました。それが本当なら、皆様方に話すことでパニックになると考えました。」

 

「ああ。今、まさにパニックだよ。」

 

「兎にも角にも、犯行を目撃した時のこととやらを詳しく教えたもれ。」

 

「…ええ。」

 

「島に閉じ込められた初日。まだ体育館で皆様と会う前のこと。」

 

「わたくしは島の西側、灯台の近くの茂みで目を覚ましました。しばらく周囲を探索しているうち、物音が聞こえました。」

 

「見ると、西の灯台の扉を抉じ開ける男…高橋さんの姿があったのです。」

 

「ようやく人に会えたと思い、近付いたのですが…あの男は…何かを引きずっていたのです。」

 

「何か?」

 

「そして、その何かとは…女性の死体でした。」

 

「え!?」

 

「彼は死体を西の灯台に引きずって行きました。中は暗かったですが…扉が開いていたので かろうじて見えました。」

 

「彼は西の灯台の中で…捌いていたのです。」

 

「捌いてた?…それは、内臓を取り除いていたということ?」

 

「西の灯台の死体…内臓なかったもんな…。」

 

「西の灯台から出てきた彼は…手に臓器を携えてました。」

 

「グロすぎんべ。気分悪くなってきただ。」

 

「でもさ、それってタカちゃんが 死体の女を殺したとは限らなくない?」

 

「えっと…どういうこと?」

 

「たまたま死体を発見して、切り刻んでみたとか?」

 

「ヤバすぎんだろ!!」

 

「いいえ。あの男の邪気を孕んだ笑み。あれは、死体を切り刻む愉悦を味わうために人を殺す者の それでした。」

 

「…その話が本当なら とんでもないね。」

 

「…それで?その後、高橋は どうしたんだ?」

 

「彼は、内臓を手に崖へ向かいました。わたくしも跡を追いました。」

 

「よ、よく追えましたね。ボクなら真っ先に逃げます。」

 

「何で わざわざ追ったの?」

 

「……確認すべきだと思ったのです。」

 

「海岸の崖で、彼は臓器を海に撒きました。」

 

「へ、へー…?特殊な風習だね?内臓信仰とか?」

 

「そんな風習 聞いたことない。…ので、異常。」

 

「……はい。この男は異常だ。そう考えた わたくしは…彼の後頭部をハンマーで殴ったのです。」

 

「ええ!?」

 

「すぐさま行動を起こしたわけだ。」

 

「行動派〜ww」

 

「ハンマー…というのは?」

 

「西の灯台近くで拾ったものです。」

 

「あー、それはジャスティスハンマーですねぇ。何号か知らないけど。」

 

「そ、それで、その場で正義の鉄槌を!?」

 

「殴った後、高橋は どうなった?」

 

「持っていた臓器もろとも、海に落ちていきました。」

 

(華椿さんは思い出すように下を向いて、それから すぐゴン太たちを真っ直ぐ見た。)

 

「けれど、彼は戻ってきた。体育館で皆さん集まった時、高橋さんの姿を見て心臓が止まるかと思いました。」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。色々 聞きたいことがありすぎんだけど…海に落ちたのは本当に高橋だったのか?」

 

「間違いありません。死体を弄んでいた男と服装も顔も同じでした。」

 

「実は双子だったとか…!」

 

「いいえ。あの悪鬼の如きツノは忘れません。」

 

「断崖絶壁から海に落ちた。…なら、戻って来られるはずない。」

 

「いや…それについては、理由は分かってる。」

 

「え?」

 

(慌てて星君を見たけれど、星君はゴン太を見て黙っているだけだった。まるで、ゴン太が答えるのを待ってるみたいだった。)

 

「わたくしも ずっと頭を捻っていましたが、前回の裁判で謎が解けました。そうでしょう?獄原さん。」

 

「え?えっと、えっと…」

 

(海に落ちた高橋君が戻ってこられた理由…。)

 

 

1. 海が好きな浜茶屋バイト

2. 不法投棄防止システム

3. 海賊王のありったけドリーム

 

 

 

「変なことを仰るならば お黙りなさい。永遠に。」

 

「う…。ご、ごめんね。頑張るから、頑張って考えるから話させて!」

 

 

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海に捨てられたものは東の灯台に送られるんだったよね?前回、死んでしまった高橋君が送られたように。」

 

「高橋先生は2回 海に落ちてたってことですか。二度死ぬ…ならぬ、二度落ちるですね。」

 

「ええ。あの男は、しれっと戻ってきたのです。」

 

「でもー、初めて体育館で会ったのって、それから すぐのはずだよね?なら、高橋びしょ濡れのはずじゃん?あの子、濡れてなかったよね?」

 

「えーと、確か、何とかシステムは海に落ちる前の状態で東の灯台前ゴミ集積所に送られんだよな?」

 

「そうそう。それが不法投棄防止システムだよ。さすがに、状態異常は治せなかったけどね。」

 

「なるほど。2回目は既に亡くなっていて…死体で送られたんだね。」

 

「むしろ、殴られて海に落ちた1回目は生きていたということの方が奇跡だ。」

 

「……。」

 

「何だ?何か やましいことでもあるみてーな顔だな?」

 

「ギクー!そ、そんなそんな、そんなこと、ななないよっ!!」

 

「あからさまに焦ってる。…ので、何か隠してる。」

 

「べ、別に、初回は まだシステムの設定が甘くて、ゴミの転送時間が早かったとか、色々と不具合があったとか、そういうんじゃないんだからね!!」

 

「…あったんだな。不具合。」

 

「前回被害者が死体を切り裂いてた話が本当。…なら、西の灯台の死体の内臓も戻ってくるはず。」

 

「わたくしが手にしたハンマーも海に落ちましたが、島に戻ってくることはなかったようです。」

 

「それが不具合け?」

 

「ザルじゃないですか!」

 

「ムキー!まさかコロシアイ無人島生活 始まって、すぐ不法投棄するヤツが たくさんいるなんて思わなかったんだよー!」

 

「なるなるーwwだいたいの事情は分かったよ。でも、分かんないねー?」

 

「……何がです。」

 

「どうして すぐタカちゃんを殺そうとしたか…だよ。」

 

(野伏君が言うと、華椿さんは黙ってしまった。)

 

「確かに そうだね。いくら悪人が目の前にいたからといって…すぐ殺そうとできるほどの行動力は…。」

 

「日頃からヤリ慣れていないと不可能。」

 

「……。」

 

(正直、高橋君が悪い人だったなんて、信じられない。でもーー…)

 

 

「オレは まだゴン太を信じるぞ!」

 

 

(今度は、前の裁判で聞こえた声を思い出した。さっき思い出した2人の声とも違う、力強い声。)

 

「華椿さん、話してよ。華椿さんのことを信じる…ために…。」

 

「……いいでしょう。」

 

(ゴン太が お願いしたら、華椿さんは静かな声を出した。)

 

「わたくしが高橋さんを襲った理由。それは…わたくしが仕置人だからです。」

 

「は?www」

 

「しおきにん?」

 

「……どういうことだ?」

 

「わたくしの家の現在の業です。我が華椿家は御家復興のため、裏稼業にて生計を立てているのです。」

 

「…それが、仕置人?」

 

「仕置人…って何するの?」

 

「咎人の抹殺。それが、わたくしの家の掟です。」

 

「えっと…抹殺って…時代劇で見る必殺技とかで?」

 

「人気の時代劇なり。右手の親指、人差し指、中指だけで悪き者の胸骨・脊椎・頸椎を折り絶命させる。」

 

「ったら おっとろしーこと、華椿さにできんだべ?」

 

「ゴンちゃんならできそうだよねww」

 

「え!?で、できないよ!ゴン太は”左手”を使うから、”右手”では無理だよ!」

 

「左ならできんのかよ!」

 

「華椿さん…キミは、仕置人だから高橋君を排除した。そういうことかい?」

 

「え?高橋を殺したのは…河合だったろ?」

 

「そうだね。けれど…思い出しておくれよ。河合さんが言ったことを。」

 

 

「華椿君は私を使って高橋君を排除した。そういうことじゃないかな?」

 

 

「あ…。華椿先生が、河合先生を操っていたという話でしたよね…?」

 

「そう。高橋君を直接は殺していない。けれど、華椿さんの策略が彼を殺したんだよ。」

 

「……。」

 

「違います。わたくしは河合さんを使おうとは思っていませんでした。わたくしは この手で高橋さんを抹殺すべくーー…」

 

「しかし、貴殿の前回の行動は不可解だった。西の灯台に高橋殿が現れなかったのに、その場を動こうともしなかったのだから。」

 

「確か…一晩中 華椿は西の灯台にいたって言ってたよね。」

 

「ああ…しかも、内臓のない死体と一緒にな…。」

 

「確か、河合さは西の灯台テッペンに登ってただな。それにも全く気付かなかったんか?」

 

「……。」

 

「そろそろ その辺、教えてくんね?キミはオレら全員を眠らせるまでしてたんだから、絶対タカちゃん殺すマンだったんしょ?」

 

「睡眠薬まで使ってた。…ので、その日に殺す覚悟をしてたはず。」

 

「……わたくしは、西の灯台で…眠っていたのです。」

 

「え?眠ってた?」

 

「死体と同じ建物でか?」

 

「まさか。うっかり自分で仕込んだ睡眠薬を摂ってしまったわけじゃあるまいし。」

 

「……。」

 

「え?」

 

「あれ?どうしたの華椿?」

 

「……。」

 

「…まさか、本当に?」

 

「自分で仕込んだ睡眠薬を うっかり自分で飲んでしまった?」

 

「いやいやいやいやwwありえないっしょ?」

 

「そ、そうですよ!華椿先生は高橋先生にストローを渡し、睡眠薬を飲ませないトリックまで使ったんですよ!」

 

「あんな、10分で効力がなくなるなんて ご都合主義の睡眠薬まで使って!それが、そんな…自分で うっかり眠たくなるなんて…!」

 

「そんな必殺仕置人は嫌だ。」

 

「いや…まさか。そんなわけねェよな?そんな間抜けな…。」

 

「……。」

 

(みんながザワザワする中、華椿さんは俯いてしまった。しばらくゴン太たちは困惑した顔を見合っていたら、華椿さんが呟いた。)

 

「……マヌケで悪かったですね。」

 

「え。マジってこと?」

 

「お恥ずかしながら。気を付けながら抹茶ドリンクを飲んでいたつもりが、有効時間内に睡眠薬を少量 口に含んでしまったようです。」

 

「西の灯台に高橋さんが現れず、宿舎に向かおうと思ったあたりで抗いがたい睡魔に襲われてしまいました。」

 

「そして、気が付いた時には朝だったのです。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「笑いたければ、笑うがよござんしょう。」

 

(そう言って、華椿さんは また下を向いてしまった。)

 

「えーと、笑っていい系?ーーなら、遠慮なくwwぷーwげらげらげらwww」

 

「うぷぷぷぷ…アーハッハッハッ!」

 

「オメまで入ってくんでねぇ!」

 

「ここに三途河さんがいたら、笑いの三重奏となっていたのにね。」

 

「……。」

 

「しかし…自身で仕込んだ睡眠薬を飲むなんて…策士 策に溺れるとは言うが…。」

 

「普通。…は、あり得ない。」

 

「そうだな…とんでもねェうっかりだよな。」

 

「ドジっ子仕置人って需要ありますかね。」

 

「ドジっ子つーか、ポンコツしょww」

 

「だ、大丈夫だよ。華椿、か、かわい〜よ!」

 

「……。」

 

「…だったら…何だって言うんですか。」

 

(みんなが言うのを俯いて聞いていた華椿さんが、突然 顔を上げた。)

 

「ポンコツで悪かったですね!そんな簡単に殺人なんてできないんですよ!!わたくしだって…やりたくてやってるわけじゃないんだから!!」

 

「何も知らないくせに好き勝手言って…!貴方様方なんて…貴方様方なんて…!」

 

(大きな声にゴン太は驚いて華椿さんを見ていた。その後、彼女は声を詰まらせて、)

 

「うわああぁぁぁぁぁん!」

 

(そのまま突っ伏して泣き出してしまった。)

 

「みんなでプラネタリウムだなんてっ!ズルい!わたくしだって、わたくしだって見たかったのに、仲間はずれにしてぇ〜〜!!!わあ〜!!」

 

「え?あ…?ええ!?な、泣いちゃった…!」

 

「ご、ごめん!華椿さん!ごめんね!!」

 

「え?マジ?マジ泣き??ここで?」

 

「ここって迷宮ザガンだったりします?」

 

……

 

(しばらく泣き続けた華椿さんが やっと泣き止んでくれた。)

 

「取り乱して申し訳ありません。」

 

「うんwwなかなか見ない取り乱し様だったわw」

 

「……うっ、うぅ!」

 

「いけず言うん やめれ!また泣かれたら迷惑だ!」

 

「…な、きません。とにかく…わたくしは…仕置人として高橋さんを狙ったまでです。」

 

「そっか。それなら安心だね。悪い人しか狙わないんだよね?」

 

「いや、安心できないよ。ベイビー。」

 

「左様。この島で殺人が起こった場合…。」

 

「タカちゃん殺して、オレらを生贄に脱出しようと思ってたってことだもんねー。まさか、それも忘れてたで済ませる気?」

 

「………。」

 

「そもそも、家の仕事だって、依頼人いなきゃ成立しないっしょ?そんなことも分かんなかったくらいポンコツなわけ?」

 

「……悪かったですね。」

 

「…ひとまず、前回の事件について華椿の言い分は分かった。」

 

(顔色が悪いまま、星君が言った。その声が裁判場に重く響いた。)

 

「ようやく…全員が等しく怪しい状態で始められるわけだ。」

 

「ヱ!?これだけ話したのにか!?」

 

「何も進んでない。…ので、急ぐべき。」

 

「そうだよ!あんまり脱線しすぎたら強制終了しちゃうからね!」

 

(そうだ。今回の事件については、まだ何も分かってない。)

 

(ゴン太は不安になって近くの虫さんに問いかけた。)

 

 

 

学級裁判 中断

 

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コメント

  1. 匿名 より:

    今回もすごく面白かったです!
    色々衝撃的な事実がわかっておぉ…となっていたら確かに今回の事件のことは全然進んでなくて思わず火野くんと同じ反応をしそうになりました笑
    華椿さんの可愛い一面も見れて楽しかったです。次も楽しみにしています♪

    • トラウマウサギ より:

      ヱ!?同じ反応に!?笑 コメントありがとうございます!楽しいと言っていただけて良かったです^ ^

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