イタリア語とは?日本語との関係は
イタリア語は、イタリック語派ロマンス諸語に属する言葉。主にイタリアで話される言語で、その他 バチカン市国、マルタ共和国、スイスでも公用語とされています。
イタリア語は、ラテン語の系統を組んだロマンス語派生の言葉。スペイン語やポルトガル語、フランス語、ルーマニア語などと似た言語体系を持ちます。
ラテン語やロマンス語は、他のヨーロッパの言葉に大きな影響を与えており、語源がラテン語・ロマンス語という言葉も多いです。
イタリア語と日本語は似てる?意外な共通点と違い
イタリア旅行は多くの日本人(だけでなく世界中)に好まれるツアーです。遠く離れたイタリアと日本ですが、イタリア語と日本語は似ている点があるのでしょうか?
イタリア語は、意外とたくさん日本語との共通点があります。
・母音はaiueoの5つ
・単語は母音で終わる
・ローマ字読み
・主語を抜いても会話が成り立つ
・語順が厳格ではない
日本で使われているイタリア語由来の外来語とは?
日本で使われているイタリア語由来の外来語には、どのようなものがあるのでしょうか。
歴史的に見ても、日伊関係はそこまで濃厚なものではありません。イタリア人との接触はイエズス会宣教師と南蛮貿易時代に、その後の開国、第一次・第二次世界大戦の同盟国といったところが主な日伊関係でしょう。
では、そんな関係性のイタリア語から日本語になった言葉とは、どのような言葉なのでしょうか。
イタリア語由来の日本語といえば、音楽関係や食べ物関係がほとんど。特に、バブル期にはイタメシ(=イタリアン)が大流行し、今では一般的に食されるようになりました。
イタリア語から日本語になった言葉【食べ物】
外国から来た言葉で最も日常的に日本で使われているのは、食べ物の名前です。イタリア語由来の食べ物は日本語化して、使われていますね。
イタリア料理といえば、世界中愛され、日本ではバブル期に大流行しました。
pasta/パスタ
日本では「スパゲッティ」を意味するオシャレな(?)イタリア語由来の日本語。
ですが、イタリアでパスタとは小麦粉をこねて作った食品全般を指します。だからペンネやマカロニもパスタ。
パスタの起源は、イタリア起源説と中国起源説があります。
イタリア起源説は、紀元前4世紀の古代ローマでお粥のようなラザニアのような、「プルス」という料理を起源とする説。中国起源説は、現在の麺類の起源である湯餅(たんぴん)を起源とする説。
参考:日本はなぜJapan?ジャパンの語源・由来とは?いつから国号「日本」なの?
乾燥させて長期保存できるパスタが生まれたのは、ナポリでのこと。日本へ最初にパスタが持ち込まれたのは、幕末の横浜外国人居留地。「うどんのようだ」と記された記録もあります。
spaghetti/スパゲッティ
パスタの一種であり、細長い形状のものをいいます。太さ約1.6mm~1.9mmで断面が円形ものを指し、それより細いものは違う呼び名があるそうです。
イタリア語の「spago(スパーゴ)=ひも」が語源。
neapolitan/ナポリタン
ナポリタンスパゲッティが日本発祥という話は有名ですね。戦後の日本で作られたパスタの名前であり、「napoletana(ナポレターナ)」というイタリア語から日本語になった言葉です。
イタリア語に「ナポリタン スパゲッティ」という言葉は存在せず、ついでにケチャップを和えるパスタ料理も存在しません。ただ、もちろん「ナポリ風の」という名前のパスタは、イタリアでよく食べられています。
ナポリタンスパゲッティの発祥は、戦後の横浜ホテルニューグランド。フランスの「ドリア」も、ここでできました。
GHQが駐留していたホテル内で、ケチャップと塩コショウで味付けしたパスタを食べていた米兵を見かねて、ホテルの料理長が作ったのが始めだそうです。
しかし、ホテルニューグランドのナポリタンにはケチャップは使用されていません。姉妹店であったセンターホテルにて、ケチャップで味付けされた現代のナポリタンが売り出されました。
pizza/ピッツァ・ピザ
ピザはパスタと同じく、世界一有名なイタリア語由来の日本語でしょう。
ピザが日本に伝わったのは、戦後アメリカ経由でのこと。そのため、少し前まで日本人にとって「ピザ=ふっくら生地にコーンやらベーコンやらが乗っている」という認識の人が多かったようです。
ちなみに、ピザは英語読み、イタリア語では「ピッツァ」。(世界中でピザという言葉になっています)
ピザのルーツは、古代エジプトのパン。紀元前3000年頃から既に、平らな丸い形のタネを石窯に貼り付けて焼くという、ピザ製法のようなパン製法がなされていました。
16世紀には、イタリアで小麦粉生地に、にんにくやラード、塩などを加えて焼いた「最古のピザ」が登場します。
大航海時代にトマトが伝わり、16世紀後半からイタリアで栽培されるようになると、トマトとモッツァレラの現代風ピッツァが誕生しました。
dolce/ドルチェ
イタリア語で「甘い」「優しい」「柔らかい」という意味。デザートや女性の褒め言葉としても使われます。
gelato/ジェラート
ジェラートは、イタリアフィレンツェ発祥のお菓子。
イタリア語で「凍った」という意味。アイスを表すイタリア語由来の日本語です。
tiramisù/ティラミス
イタリアのお菓子の名前はもイタリア語から日本語になった言葉として日本で使われている言葉ですね。
ティラミスは、1960年代北イタリア発祥のデザート。マスカルポーネチーズクリームとエスプレッソを浸み込ませた生地を交互に重ね、ココア粉をふるったお菓子です。
maritozzo/マリトッツォ
最近、急激に日本で知名度を得たマリトッツォも、もちろんイタリア語から日本語になった言葉と言えます。
パン生地でクリームを挟んだイタリア・ローマの伝統菓子です。イタリアでは、朝食にいただくのが定番のようです。
その歴史は古代ローマまで遡り、栄養価の高いハチミツやレーズンを挟んだパンがマリトッツォの前身だそう。
espresso/エスプレッソ
イタリアでコーヒーといえば、エスプレッソ。コーヒーの旨味を凝縮抽出して小さな「デミタスカップ」で頂くのが普通です。
1903年、コーヒーを「早く(espressoに)抽出したい」と考えたルイージ・ベゼラによってエスプレッソマシンの原型となる高圧抽出技術が発明されました。
参考:オランダ語から日本語になった言葉|実は身近なアレも外来語?
イタリア語から日本語になった言葉【音楽】
イタリア語から日本語になった言葉で食べ物の次に多いのが、音楽用語。
イタリアといえば、美術の国。絵画のイメージが強いのに…と思われるかもしれません。
しかし、実はイタリアは、中世ヨーロッパの音楽中心地でもあったのです。それは、西洋音楽が教会で発展したことや今の五線楽譜がイタリアで定着したことなどが理由とされています。
pianoforte/ピアノ
英語にもなっているピアノですが、実はイタリア語由来の日本語です。
現在のピアノの原型がつくられたのは、17世紀イタリアのクリストフォリによって。日本には、オランダ商船により1823年に持ち込まれました。
英語では「piano」だけで楽器のピアノを表しますが、イタリア語では「pianoforte(ピアノフォルテ)」と綴ります。
Do Re Mi Fa Sol L/ドレミファソラシド
「ドレミファソラシド」は、ラテン語から来た音符の読み方。イタリアの修道士がヨハネ賛歌の歌詞を当てはめたのが起源です。
日本では開国後、西洋音楽を学ぶ上で意識されるようになりました。それまでは「ハニホヘトイロハ」で音を表していました。
tempo/テンポ
「テンポがズレた生活」「歩き方のテンポが悪い」など、日常的に使われる音楽用語。これも意外なイタリア語由来の日本語です。
イタリア語では「時間」「天気」を指します。
fermata/フェルマータ
「音符や休符を伸ばす」意味を持つ「フェルマータ」は、イタリア語で「停止」という意味。「停止」の意味から派生して、「バス停」という意味もあります。
音楽をする人ならよく耳にする、イタリア語から日本語になった言葉ですね。
solo/ソロ
イタリア語で「独奏」「独唱」の意味。日本では同じく音楽用語で使われる他、「1人プレイ」などの意味でも使われます。
イタリア語から日本語になった言葉【その他】
イタリア語から日本語になった言葉は、食べ物や音楽用語がほとんどです。しかし、他にも「え?これもイタリア語?!」という意外な外来語もたくさんあります!
fresco/フレスコ
フレスコ画といえば、壁に描かれた絵のこと。英語にも借用されています。
イタリア語由来の外来語で「新鮮な」という意味です。
cariama/カリスマ
カリスマとは、素晴らしい資質や能力を持つ人を指して使われる言葉。
1990年代末から「カリスマ〇〇」ブームが起きたことで日本にも広まった、比較的新しい外来語です。
英語から入ってきた側面が強いですが、実はイタリア語由来の日本語。イタリア語発音では「カリズマ」。
madonna・Madonna/マドンナ
「クラスのマドンナ」というと、クラスの憧れの女性。
イタリア語では、「maddonna」は「貴婦人」を指し、「Madonna」は「聖母マリア」を指します。
manifesto/マニフェスト
こちらも、英語経由で日本語で使われているイタリア語。もともとはラテン語「manus(マヌス) fendere(フェンデレ)」=「手を打つ(ほど明確なことを宣言する)」が語源。
mafia/マフィア
イタリアのシチリア島から派生した犯罪組織。もちろん、イタリア語から日本語になった言葉ですね。
lotterie/ロッテリア
日本に住み始めたイタリア人が、ファストフード店・ロッテリアを見かけるとよく勘違いします。「あの店は宝くじ売り場なんだね!」
イタリアで「ロッテリーア」は「宝くじ」「運」という意味。
【番外編】ロマンチックは「ローマ風」という意味!?
「ロマンチックなシチュエーション」「ロマンチックな場所」「ロマンチックなプロポーズ」…英語の「romantic」が日本語化して久しい今日この頃。
今では「ムードのある」「情緒的」などの意味がありますが、もともとは「ローマの・ローマ風」が語源です。
ドイツ観光のハイライトであるロマンチック街道は「古代ローマに続く道」という意味合いが強いそうです。
イタリア語から日本語になった言葉は食べ物・音楽用語が多い
日本で使われているイタリア語由来の日本語は、食べ物関係や音楽用語がほとんど。その他、英語を経由して日本語化した言葉もたくさんあります。
イタリア語のお菓子は無条件に「美味しいだろう」と思いますし、イタリア語ができる芸術家は無条件に「すごい!」と思いますよね。
イタリア語から日本語になった言葉も、オシャレなイメージを伴っている気がします。ヨーロッパ言語としてはマイナーな印象もあるイタリア語、よくよく考えれば、かなり親近感がありますね。
前回記事:海外で通じる日本語25選|外国で使われる世界共通語化した言葉とは
次回記事:ロシア語から日本語になった言葉14選
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