これまで、外国から来た言葉、外国から来た食べ物、そこから日本語になった言葉をたくさんご紹介してきました!
英語とか中国語をやり出すとキリがないので、今回は世界で通じる日本語をご紹介。
日本語が通じる国じゃなくても海外で通じる日本語ってどんなものか見ていきましょう!
日本語が通じる国とは?世界の日本語学習者数と割合
世界でも、日本語が通じる国というのがありますね。
例えば、日系の多いハワイでは日本語でも暮らせるとも言われています。
そして、台湾のように日本人旅行客が多く、日本語が身近で学習者の割合が多い国も、日本語が通じる国といえます。
さて、世界で通じる日本語を見る前に、世界には日本語学習者がどれくらいいると思いますか?
日本国内の学習者/34万人ほど(2018年文化庁)
日本国外の学習者は/385万人ほど(2018年国際交流基金)
3年前のデータなので、2020年で大きく変わっている可能性があります。
国内学習者は減少、海外での学習者は自宅学習を含めると増加傾向にあると考えられます。
日本語学習者の地域別割合
東アジア 約45%
東南アジア 約31%
オセアニア 約11%
北アメリカ 約5%
西ヨーロッパ 約2%
やはり、中国・韓国などの東アジアで学ばれることが多いようです。
学習者の国別ランキング
日本国内で学ぶ人の出身国/1位中国/2位ネパール/3位フィリピン/4位ベトナム
日本国外で学ぶ人の出身国/1位中国/2位インドネシア/3位韓国/4位オーストラリア[/su_note]
国外の学習は日本語学校以外でも、学校の第二言語・第三言語の授業も含まれます。
世界で日本語は勉強されているんですね。
海外で通じる日本語【食べ物】世界で通じる意外な日本語
さて、日本語学習者が結構世界にもたくさんいることがわかりました。
では、日本語を勉強していない人も分かる、海外で通じる日本語とはどのようなものでしょうか?
まず誰でも興味を持ってくれる&知っているのが、食べ物です。
外国から来た食べ物も、日本語化して日常的に使うようになりましたね。
washoku/和食
2013年に無形文化遺産に登録されるなど、知名度が上がってきた和食。
多くの国で和食レストランがあるため、世界で通じる日本語となっています。
ちなみに、海外の人々にとっては寿司も天ぷらもラーメンもオムライスもカレーパンも和食だったりします。
参考:似てる?日本語になったフランス語|犬の名前ポチはフランス語だった⁉︎
sushi/寿司
寿司は和食の代表選手。
海外で通じる日本語の代表でもあります。
実は、起源を辿ると紀元前4世紀ごろの東南アジアだそう。
山地民族の間で行われていた米と魚を一緒に漬けた川魚の保存方法が、中国経由で日本の奈良時代に伝わったとされています。
このころの寿司は、甘酢で味付けしたご飯に、アユやフナなどの川魚をのせて一晩寝かせた「なれずし」と呼ばれるもの。
今の握ってすぐ食べるスタイルになったのは、江戸時代の末期、握り寿司の屋台が登場してからです。
東京湾でとれる魚や海苔を使ったため江戸前寿司と呼ばれるように。
さらに、1923年関東大震災で東京の寿司職人たちが故郷へ帰り、日本中ににぎり寿司が広まって行きました。
そして戦後、屋台で生ものを扱うことが禁止され、店の中に屋台を持ち込む寿司提供のスタイルが、今の(回らない)寿司屋のカウンターの元になりました。
tempura/天ぷら
天ぷらも外国人に人気の和食。
もともとは南蛮貿易時代にポルトガルから入ってきた調理法で、「天ぷら」もポルトガル語由来の日本語です。
参考:ポルトガル語から日本語になった言葉16選|日本語と似てる?ポルトガル語の日本語化とは
ramen/ラーメン
少し前まで、ラーメンの英語表記は「Chinese noodle」でした。
しかし、近年では日本のラーメン店が海外でもよく見られるようになり、表記も「Ramen」になりました。
日本ラーメンは、もはや中華麺ではなく、ラーメンという海外で通じる日本語です。
ラーメンの起源は、言うまでもなく中国の麺料理。
日本のラーメンの歴史はゆっくり進みます。
15世紀には既に似た麺料理があり、水戸黄門が中華麺を食べた記録、明治時代の中華街の麺料理が日本風になっていったなどの記述がみられます。
区切りとされるのは、1910年浅草区にできた「来来軒」(初めての日本人経営者の日本人向けの中華料理店)が醤油ラーメンを生み出したことでしょう。
これが日本における最初のラーメンブームとされています。
soba/そば
日本食に加わる麺類が比較的新しいのに対し、ソバはかなり古い歴史を持っています。
日本でソバの栽培が始まった時期は縄文時代。
9000年以上前の遺跡からソバの花粉が見つかっており、ソバが縄文人の食を支えていた考えられています。
ただし、ソバが今の細長い麺状になったのは16世紀から。
17~18世紀に小麦粉と混ぜられる作り方も登場し、「十割そば」や「外ニそば」などの名前が使われるようになりました。
sukiyaki/すき焼き
Sukiyakiといえば、坂本九の「上を向いて歩こう」の英語版のタイトル。
イギリス、アメリカなど英語圏でカバーされた「スキヤキソング」は世界中で翻訳されて歌われることになり、すき焼きという料理を海外で通じる日本語にした要因となりました。
ちなみに、サルモネラ菌処理が十分に行わなれていない海外では卵の生食はご法度。
日本のものは安全とはいえ、生卵の溶き卵で頂くすき焼きに抵抗を感じる外国人は多いものです。
toufu/豆腐
豆腐も、日本食ブームで知られるようになった、海外で通じる日本語のひとつ。
豆腐の起源は、紀元前2世紀の中国とされています。
日本に伝わったのは奈良時代。
江戸時代頃からは庶民の食事にも取り入れられるようになりました。
miso/味噌
日本の食卓を支える汁物といえば、「miso-soup」です。
味噌は中国から来た醤という魚醤のような発酵食品から作られたとされています。
日本の味噌の誕生は平安時代。
味噌汁の誕生は鎌倉時代です。
natto/納豆
日本食好きの欧米人にも、鬼門として恐れられている納豆。
豆を発酵させた類似の食物は東南アジアの至るところで見られます。
起源は弥生時代という説、聖徳太子が発見した説、源義家が発見した説、加藤清正が発見した説とさまざまな説があり、発祥定かではありません。
kaki/柿
日本で縄文時代から食べられていたとされる柿。
東アジアの固有種とされ、日本・中国・韓国でよく食べられます。
英語では「Japanese persimmon」と呼ばれていましたが、「Kaki」の呼び名も広がり、世界で通じる日本語になりつつあります。
sake/酒
海外にも日本食レストランが多くある今、日本酒は「Japanese sake」と呼ばれて外国人にも親しまれています。
日本酒の歴史もそばや柿と同じく長く、縄文晩期の稲作が伝わった頃とされています。
『古事記』によると、スサノオノミコトがヤマタノオロチを倒すための酒が、日本で初めて造られたお酒です。
海外で通じる日本語【文化・歴史】世界で通じる意外な日本語
島国日本の文化は、海外から見てかなり特徴的。
独自の文化は、固有名詞として各国に日本語のまま伝えられています。
そして、海外で通じる日本語となっています。
また、歴史の中の事柄も日本語のまま世界に伝わっています。
tunami/津波
自然災害である「津波」は、地震が少ない地域や津波が起きない地域では存在しない言葉でした。
そんな「tsunami」が初めて世界のニュースになったのは、新聞や電信が普及した19世紀後半の明治三陸地震。
40m級の津波は、欧米人に「tsunami」の恐ろしさを知らしめるきっかけになりました。
さらに1946年ハワイのアリューシャン地震後、米国は地震警戒システムを公式に「Pacific Tsunami Warning Center」と命名。
そして2011年、東日本大震災では英語圏以外にも「tsunami」という言葉は知れ渡りました。
kamikaze/神風
太平洋戦争後期の特攻部隊である神風特別攻撃隊から派生した言葉。
主に英語圏で知られており、英語経由で欧米に伝わった海外で通じる日本語です。
日本の史実では、神の追い風から「思いがけない幸運」という意味で使われますが、英語の「kamikaze」は、「命知らずな」「激しい」などと訳されます。
ninja/忍者
世界的人気漫画『NARUTO』が連載される以前から、外国人勢に人気だったニンジャ。
忍者の起源は諸説あり、定かになっていません。
古い歴史があるよう権威あるよう誇張して書いているのでは?という議論も絶えず、結局分かりません。
忍者の存在は、未だに外国人を魅了してやまず、海外の映画やドラマに突然「The ニンジャ」が登場したりしますね。
あと「忍者は実はいるけど隠さなきゃいけない」と思い込んでいる外国人が本当にいます。
そんな時は、「子どもにとってのサンタさん」的な気持ちで曖昧に笑っておきましょう^ ^
samurai/侍
ニンジャと同じくサムライも外国人に人気。
遠く離れた国で日本をあまり知らない(恐らくGDPなどにも興味のない)人で「日本に行ったらサムライに斬られる。野蛮な国」と思っている人が本当にいるそうです(笑)
逆に、「日本に来たのにサムライがいない!」とがっかりする外国人にも会ったことがあります。
侍の起源は、平安時代後期の用心棒。
「人に仕える」という意味の「候ふ・侍ふ(さぶらう)」が語源。
参照:なぜ日本人は無宗教なの?いつから?初詣は神道式?葬儀は仏式?その理由は?
kimono/着物
着物といえば、日本の伝統衣装。
日本独自の文化として世界で知られるようになりました。
「着物」という言葉を使うようになったのは、鎌倉・室町時代からとされています。
もちろん、それまでも着物を着ていたわけで、起源は弥生時代ともいわれています。
外国人は日本で着物を着る機会などあるととても喜んでくれますよ。
emoji/絵文字
絵文字は実は、日本発祥のもの。
ガラケー、つまりガラパゴスケータイ時代に開発されたメールなどに絵を入れる機能です。
しかし、絵文字が日本発祥のものと言ってもあまり信じてもらえません。
ある人はこういひました「I think Apple developed emoji!」
世界に知られているけれど、日本語と気付かれない海外で通じる日本語なんです。
origami/折り紙
日本での折り紙の起源はよく分かっていません。
推測される流れは以下の通り。
【7世紀頃】紙伝来→写経や神事に使われる→【平安~鎌倉時代】手紙を折りたたむ、物を包むなどの作法が登場→【江戸時代】今の折り紙の形に。
1797年には最も古い折り紙の本「秘傅千羽鶴折形」が出版され、明治時代に入ると折り紙は幼稚園教育や小学校の図画に取り入れられます。
折り紙は、中国起源説やスペイン起源説、韓国起源説、日本独自文化説とさまざまありますが、未だに論争の中。
詳しいことは分かっていません。
「paper folding」という呼び方もされるものの、近年、特にアメリカでは「origami」という言葉で伝わります。
pachinko/パチンコ
欧米ではそもそも存在を確認できないパチンコは、日本独自のもので海外でも通じる日本語です。(カジノがありますしね。)
日本で初めて開店したのは1930年の名古屋のお店。
その後、日中戦争と第二次大戦中に全面禁止になりながらも、戦後復活を果たしました。
もともとは、ヨーロッパから輸入されたウォールマシーン(バガテールなど)が日本で独自進化を遂げたものです。
「パチン」と弾いた玉に接尾「コ」が付いたことが語源とされています。
judo/柔道
オリンピック競技であり、海外にも多くの道場が存在する人気競技・柔道。
世界で通じる日本語のスポーツ代表といったところでしょうか。
明治15年(1882年)嘉納治五郎が東京で指導を始めたことが起源。
2つの柔術を応用させた嘉納が、「柔術に『道』と言われる原理があり、術が生まれる」として、柔道と名付けたことが言葉の由来です。
kawaii/可愛い
日本人の「可愛い」はアメリカ人の「cute」の感覚とは異なることが、近年わかってきました。
というのも、アメリカでバカ売れしたキュートなスィングが日本では全く売れなかったため。
日本のサブカル文化が世界に広がっていく中で、「これがkawaiiか!」と広まっていったそうです。
英語圏のwikiには「日本人はトラディショナル→kawaiiに文化シフトしていってる」などと書かれています。
「可愛い」の語源は、「顔映ゆし(かほはゆし)」=「顔を向けていられない(ほど不憫・気の毒)」という古文から。
今の「かわいい」の意味に変わったのは中世後半です。
mottainai/もったいない
ケニア出身の環境保護活動家、ワンガリ・マータイ女史により、世界中に広まった日本語。
もちろん、世界の至るところで「もったいない」に相応する言葉がありますが、リデュース、リユース、リサイクル、提供者への尊敬などの複数の意味を持つ一語として広がっています。
海外で通じる日本語【アニメ・漫画】世界で通じる意外な日本語
近年、日本文化を語る上で重要な位置付けとなったサブカル文化。
日本のアニメや漫画が好きで日本語を勉強する外国人も多いです。
そんなアニメや漫画の用語は日本語のまま世界で知られ、海外で通じる日本語になりました。
anime/アニメ
日本では「漫画映画」や「テレビ漫画」という呼び名を経て、「animation(複数の静止画像によって動いている映像を作る技術・活気・活発などの意味)」略して「アニメ」と呼ぶようになりました。
英語圏では特に日本のアニメを指して「anime」と呼ぶようになっています。
ちなみに「animation」の語源はラテン語の「anima(アニマ)」=「霊魂・魂」。
アニメーションの起源は、目の残像効果を利用した動き絵とされており、映像技術が発明されてからは飛躍的進歩を遂げました。
日本にアニメーション技術が入ってきたのは、1896年の明治中期。
manga/漫画・マンガ
アニメと同じく日本が誇るサブカルチャー。
海外で日本の漫画が「Japanese cartoon」や「Japanese comics」として売られていたのは、いまは昔。
現在では多くの国の本屋で「manga」コーナーが設けられ、「まんが」は海外で通じる日本語です。
漫画とは、コマ割りされたストーリーのあるものとみなされていますが、厳密にいえば、「滑稽な絵」「面白おかしい絵」は全て漫画ということができます。
日本における漫画(面白おかしい絵)の起源は、『鳥獣戯画』というのが一般的な説。
その後江戸時代、浮世絵が庶民向けの娯楽になった頃、葛飾北斎やその弟子たち、浮世絵師たちが娯楽で漫画(戯画)を描いたこと、幕末に横浜居留中の外国人向けに漫画(風刺)雑誌が刊行されたことで漫画文化は発展していきました。
otaku/オタク
日本のサブカルチャーが浸透するに従い、それに傾倒する「オタク」も世界共通語の外国で通じる日本語です。
「オタク」は、1970年代に誕生した言葉で、ポップカルチャーの愛好者。
愛好者同士の二人称を「お宅」としていたことから登場した言葉とされています。
1898年の女児殺害事件(宮崎事件)の犯人をメディアが「オタクだった」と報道したことで印象悪化。
今では絶対数増加と共に印象は和らいだものの、自虐的・揶揄した言い方であることは否めません。
世界で使われる海外で通じる日本語はいっぱい!
いかがでしたか?
意外に世界で通じる日本語は多いものです。
外国でふとした時に日本語が使われていると何故か自分が誇らしい気持ちになりますよね(笑)
それは骨の髄まで日本人、心の奥底から日本を愛していることに他ならないのだと、私は思います。
今はなかなか海外旅行ができませんが、いずれ海外で通じる日本語を、外国の地で探したいものです。
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