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日本語になった意外な外来語をご紹介してきました。
今回は、フランス語編。
トレビアンにお送りしましょう。
フランス語とは
フランス語は、フランス、モナコ公国、一部のベルギーやスイス、カナダで公用語とされる言葉。
公用語化されていなくても、イタリアやドイツ、ルクセンブルク、アメリカなどの一部でも話されます。
また、列強植民地時代にアフリカに積極的に渡ったことから、カメルーン、ルワンダ、コンゴ共和国、中央アフリカなどのアフリカの国々でも公用語として話されます。
イタリック語派ロマンス諸語に属し、ラテン語の特徴を引き継いでいます。
同じ語群のイタリア語、スペイン語、ポルトガル語と類似点が多いものの、これらの言葉とは違いも多い言語。
日本語とフランス語は似てる?
遠く離れたフランスの言葉ですから、文法構造など、かなり違いが見られる日本語とフランス語。
しかし、発音において、共通点が見られます。
フランス語の音節は子音+母音の組み合わせであるため、カタカナ語発音で結構通じるのです。
また、英語のような強弱アクセントが少なく、日本人が自然に発音しやすいとされています。
フランス語と英語の関係
英語の単語を勉強していて、
「ん?これどうやって読むの?」
「綴りがややこしい!思い出せない!」
という単語もありましたよね?
実は、フランス語から借用した英語は結構多いものです。
英語が成立する結構初期から、英語にはノルマン・フランス語が取り入れられています。
また、近代になって美術芸術などの分野で、英語にない言葉はフランス語から輸入されました。
英語とフランス語は切っても切れない仲ということです。
参考:英語はなぜ共通語なの?いつから?メリット・デメリットは?世界共通語の意外な理由と事実を徹底分析!
フランス語から日本語になった歴史とは
日仏関係は、開国後から本格的に始まります。
19世紀後半の明治初期、日本はフランス文化を多く取り入れていました。
軍事、経済、法律、芸術分野の知識や言葉がこの頃フランス語でたくさん入ってきて、日本で使われるようになりました。
明治政府は次第に、新興列強のドイツに傾倒することになりますが、近代化の中にフランスの存在も忘れてはいけない要素として残っています。
今のフランス語由来の日本語になった言葉は、この頃に入ってきたものはもちろん、現代になって入ってきた「オシャレなもの」もたくさん。
フランス語から日本語になったフランス語由来の言葉【料理・お菓子】
フランス語から日本語になった言葉には、料理やお菓子の名前がたくさん。
これらは、開国後すぐに来たものもあれば、フランス修行をした料理人やパティシエが現代日本に持ち帰ったものもあります。
omelette/オムレツ
オムレツは、明治初期に入ってきた洋食の代表選手。
もともとさまざまな国で同じような卵料理は作られていましたが、フランス式が開国とともに伝わり、フランス語から日本語化しました。
明治34年、洋食メニュー発祥の店としても有名な東京銀座の「煉瓦亭」でオムライスが誕生。
オムレツとライスを合わせるという現代に続く洋食が生まれました。
gratin/グラタン
グラタンも開国語すぐにやって来たフランス料理。
もともとは、鍋につく「おこげ」や「こげ目をつける」という意味のフランス語です。
失敗したマカロニの焼き料理のおこげが美味しかったという偶然が転じて、19世紀以降あえて表面に焦げ目をつける調理法とその料理「グラタン」と呼ぶようになりました。
昭和5年に横浜ホテルニューグランドで、グラタンにライスが加わるドリアが誕生しました。
pot-au-feu/ポトフ
日本でポトフといえば、肉や野菜をコンソメスープで煮たフランスの家庭料理。
フランス語では、「火にかけた鍋」という意味で、鍋料理は全てポトフといえます。
croissant/クロワッサン
フランスのパン定番のクロワッサン。
元は「三日月」という意味のフランス語で、三日月形のパンであることに由来。
フランス語から日本語になった言葉のうち、パンの名前はとても多いんですよ。
baguette/バケット・フランスパン
細長い棒状のパン。
フランス語では細長い棒状のものであれば、お箸も杖も「バゲット」と呼びます。
éclair/エクレア
みんな大好きな洋菓子もフランス語由来の言葉。
フランス語発音では「エクレール」。
もともとは「稲妻」「きらめき」などの意味を持つ言葉でした。
エクレアは、明治維新前に横浜・外国人居留地のフランス人による洋菓子店で出されていたそうです。
crêpe /クレープ
クレープが日本に来たのは76年の戦後。
フランス語発音では「クレップ」。
正真正銘フランス・ブルゴーニュ発祥のお菓子ですが、日本にきてまたカスタマイズされました。
生クリームや果物を挟んで食べるスタイルは原宿発祥です。
soufflé /スフレ
スフレは、「ふくらんだ」という意味の形容詞。
チーズスフレは日本発祥で、海外では「ジャパニーズスタイルチーズスフレ」と呼ばれます。
tarte/タルト
フランス語では「タート」と発音することも。
小さいパイを指す言葉で、日本語になったフランス語菓子の代表です。
ラテン語で丸い皿形のお菓子という意味の「torta(トールタ)」が語源。
parfait/パフェ
フランス語で「完璧なもの」を意味する「パッフェ」「パルフェ」。
これも日本語になったフランス語の言葉です。
日本で最初のパフェの記録は、明治26(1893)年に開かれた晩さん会。
パルフェに倣って平らなお皿に盛られていたそうです。
諸説ありますが、フランス語由来の言葉とされています。
café au lait/カフェオレ
フランス語で「lait(レ)」はミルクのこと。
ミルク入りの珈琲という意味の日本語になったフランス語。
しかし、フランスではミルク入りコーヒーは「café crème(カフェクレーメ)」と呼ぶことが多いです。
gourmet/グルメ
「あの人グルメだよね」など、よく聞くグルメもフランス語由来の言葉です。
フランス語でも同じく、食通や美食家のことを指します。
à la carte/アラカルト
レストランで単品メニューから選ぶときに使う言葉です。
コース料理が主なフランス料理店で使用されるものでしたが、日本ではコースメニューがないお店でも使われていますね。
hors-d’ouvre/オードブル
「前菜」「メインの料理の前に添えるもの」を指すフランス語。
フランス語発音では「オルドゥーブル」。
フランスのレストランメニューでは、「entrée(アントレ)」というのが一般的。
フランス語から日本語になったフランス語由来の言葉【美術・芸術】
芸術や美術に関する言葉は、開国以降フランス語やイタリア語から多く取り入れられました。(音楽はドイツ語も)
そのため、芸術用語はフランス語から日本語になった(入ってきた)言葉が多いです。
英語も同じく、近代の音楽用語などをフランス語から多く取り入れた歴史があり、英語経由でフランス語が日本に入ってくる事例もあります。
crayon /クレヨン
フランス語では「鉛筆」という意味。
私たちの知るクレヨンという意味ではフランスで通じない言葉ですが、英語にはまだ残る言葉です。
pastel /パステル
フランス語で「練り固める」からきた画材。
クレヨンも絵の具も顔料を塗り固めたもの全て指します。
atelier/アトリエ
フランス語で発音で「アトゥリエ」。
画家や美術家、建築家などの仕事場や工房、工場を表す言葉。
作業スペースや材料や作品の保管のために、15世紀以降成功した芸術家たちがアトリエを設けました。
dessin/デッサン
デッサンは、鉛筆などを使った素描のこと。
collage/コラージュ
「のりづけ」という意味のフランス語由来の言葉。
ピカソなどが活動したキュビズム時代には、「意想外の組み合わせ」という意味がありました。
chanson/シャンソン
「新春シャンソンショー」という早口言葉がありますが、この「シャンソン」とはフランス語由来の言葉。
フランス語で「歌」、日本語ではフランスの歌謡を指します。
ensemble/アンサンブル
フランス語で「一緒に、ともに」。
音楽用語だと2人以上が同時に演奏すること。
フランス語の意味のまま、重奏や合奏などを意味する音楽用語として伝わりました。
antique/アンティーク
フランス語で「古代の、古典の」。
英語に伝わる過程で「古めかしい」「骨董品」という意味になり、日本には英語的な意味合いで伝わりました。
フランス語から日本語になったフランス語由来の言葉【ファッション】
ファッション用語も、フランス語由来のものがたくさんありますね。
流行の最先端・パリの力でしょうか?
フランスがオシャレの先端にいたのは中世中頃から。
日本も開国後、フランスのファッションを手本とする洋装スタイルを取り入れました。
鹿鳴館時代の華族の礼服ドレスの名称にフランス語併記があったとのこと。
この頃から、日本人女性がファッションにおいてフランスに憧れを強く持ち始めていたようです。
mode/モード
ファッション、流行のこと。
モード系とかモード界とか言ったりしますね。
appliqué/アップリケ
服に穴が空いたら今時は買い替えるのでしょうが、昔は穴の上から貼って可愛く飾るアップリケを付けたりしました。
これもフランス語由来。
もとはラテン語で「貼る」という意味です。
boutique/ブティック
フランス語で「店」という意味。
日本語では婦人服屋さんのイメージでしょう。
béret/ベレー帽
ベレー帽のこと。
フランス語では「béret」だけでベレー帽を指します。
culotte/キュロット
今はあまり聞かなくなりましたが、裾の広いスカートのようなズボンを指す日本語。
フランス語では、女性や子ども用のショーツを指します。
フランス語から日本語になったフランス語由来の言葉【その他】
他にも、日常的に日本で使われているフランス語はたくさん。
例えば、犬の名前の代名詞「ポチ」は、明治時代から広まった比較的新しい名前。
諸説ありますが、フランス語話者の宣教師が犬を「petit(プチ)」と呼んでいたことを名前と誤解した説も。
フランス語から日本語になった言葉のうち、日常的に耳にするものを見ていきましょう。
silhouette/シルエット
「くっきり浮き出た影」「輪郭」という意味。
もともとは18世紀頃に行われた人物の切り絵を示す美術用語でしたが、ファッションなどにも使われるようになりました。
bouquet/ブーケ
英語にもなっているフランス語由来の言葉。
プロポーズしようとする男性が女性のために花を摘んで花束にしたのが、ブーケの始まりだそうです。
ロマンティックですね。
rendez-vous/ランデヴー
フランス語で「会う約束」「ミーティング」「会合の場所」という意味。
日本では死語になりつつありますが、主にデートという意味で使われたフランス語由来の言葉です。
フランス語から日本語になった言葉は食べ物・芸術・ファッションに多い!
フランスと聞くとオシャレなイメージ、華やかなイメージが、パッと浮かびますよね。
実は日本人が持つこの印象は、文明開花のころに既に形成されたものです。
それを体現するように、フランス語から日本語になった言葉は、フランスのオシャレなものたちばかり。
日常的に日本で使われているんですよね。
英語を始め、他の言語にもフランス語は大きな影響を与えていることでしょう。
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