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前ページで「日本語は難しいのか」「なぜ難しいのか」、海外の反応と理由を見てきました。ここで、「世界一難しい言語ランキング」で日本語が何番目に難しいとされるのかご紹介していきましょう。
世界で一番難しい言語ランキング!日本語は世界で何番目に難しい?
世界で一番難しい言語ランキングというものが世の中には存在します。けれどこれは、その国の言葉とどれだけ違うかということも大きな要素となっています。
それぞれの言語圏ごとに、ランキングを見ていきましょう。
【英語圏】世界で一番難しい言語:中国語
2位.アラビア語
3位.日本語
4位.ハンガリー語
5位.韓国語
6位.フィンランド語
7位.バスク語
8位.ナバホ(アメリカ南西部先住民族)の言葉
9位.アイスランド語
10位.ポーランド語
英語圏のランキングでは、地理的に遠い東アジアの言葉が全てランクイン。
その他、アラビア語や言語体系が英語と異なるハンガリー語やフィンランド語、アイスランド語などのヨーロッパの言葉もランクインしてます。
【ドイツ語圏】世界で一番難しい言語:中国語
2位.アラビア語
3位.ロシア語
4位.日本語
5位.ハンガリー語
6位.フランス語
7位.ギリシャ語
8位.ポーランド語
9位.アイスランド語
10位.フィンランド語
英語とドイツ語はどちらもゲルマン語派に属する言語。
このため、地理的に少し離れているにも関わらず、ドイツ語話者は英語の習得が容易といわれています。一方、ドイツ語圏に隣接するハンガリーやポーランドの言葉は難しいとされています。
言葉の違いや習得の難易度は位置関係だけでは測れないことがわかりますね。
【フランス語圏】世界で一番難しい言語:中国語
2位.ギリシャ語
3位.アラビア語
4位.アイスランド語
5位.日本語
6位.フィンランド語
7位.ドイツ語
8位.ノルウェー語
9位.デンマーク語
10位.フランス語
フランス語は、ドイツ語や英語とは異なり、ラテン語から派生した言語です。 参考:フランス語から日本語になった仏語由来の外来語30選 そのためか、難しい言語にドイツ語・デンマーク語などもランクインしてますね。
【中国語圏】世界で一番難しい言語:不明
ヨーロッパ勢から圧倒的に「学びにくい」「難しい」とされる中国語。では、中国語話者にとって難しい言語は何語なのでしょうか。 以下は、中国語で出されていたランキングですが、これは英語話者にとってのランキングを中国語訳した記事。
2位.ギリシャ語
3位.アラビア語
4位.アイスランド語
5位.日本語
6位.フィンランド語
7位.ドイツ語
8位.ノルウェー語
9位.デンマーク語
10位.フランス語
中国語話者にとって難しい言葉のランキングは、残念ながら見つかりませんでした。もし見かけた方がいたら、ご一報ください。
日本語は世界で一番難しい言語?
2017年アメリカ合衆国国務省で「日本語は世界で一番難しい言語である」と日本語の難易度を公式に認定しました。これは、英語を母語とする局員が、習得するのにかかる期間をもとにして各言語の習得難易度から出された結果です。
とはいえ、これはあくまで英語圏の話です。これまで見てきた通り、「日本語は世界一難しい言語」「世界で一番難しい言語は日本語」と決定することはできません。
日本語が簡単に感じる言語圏
日本語習得の難易度は、挙げてきた通り。ですが、同じ言語体系の母語話者なら、習得は英語圏の人ほど困難ではありません。
例えば、SOVタイプの韓国語・モンゴル語・トルコ語などの母語話者であれば、SVOタイプの母語話者より日本語は身近なはず。
特に、文法的に非常に似ている韓国語話者にとっては、日本語文法はそこまで難解ではないとされています。また、中国語のように漢字を使用する学習者であれば、英語話者よりも習得は早いでしょう。
日本語の発音は難しくない
日本語は、発音が他言語に比べてシンプルな言語です。高低アクセントやイントネーション、長音や促音、発音しづらい音などの問題はあるものの、音自体の種類は少ないものです。
日本語の母音は5つ、全て合わせても100ほどの音で構成されています。対して、英語の母音は16~26個(諸説あり)、全ての音を合わせると1800とも言われています。
また、中国語のように母音は6つでも、アクセントが異常に難しい言語も存在します。発音が多い国の母語話者というのは、それだけ耳が良く、発音に関しても勘が良い人が多いもの。
日本語の発音に関して、「習得困難なほど難しい」と思うことはないでしょう。
「世界一難しい言語・世界で一番難しい言語」は存在しない
数年前あるお祭りで、ポーランド人に出会いました。彼は強かに酔っ払っており、声高にこう叫んだのです。
<ポーランド語は世界一難しい言語なんだ!!
彼の言葉が気にかかり、すぐにポーランド語について調べてみました。ポーランド語は、たしかにヨーロッパで話される言語の中でも文法が複雑で習得が難しいとされています。スラブ語派に属し、英語やフランス語とは異なる分類であるのも一つの要因でしょう。しかし、同じくスラブ語派のロシア語やチェコ語、スロバキア語話者からしたら、ポーランド語がその他の言語と比べて特別難しいものとは言えないでしょう。
このように、 視点を持たない客観的なデータによる「世界で一番難しい言語」は存在しません 。 必ず「〇〇語話者にとって」という言葉が付くはずです。
「世界で一番難しい言語」でも外国人が楽しめる日本語
海外の反応や世界一難しい言語ランキングで見てきた通り、日本語は外国人、特にヨーロッパの言語を母語とする人々にとってとても難易度の高い言葉です。
しかし、それでも日本語を頑張る外国人はたくさんいます。
仕事や留学のためというだけでなく、ユニークな文化を好み勉強している人もいます。そういう人はいつも「日本語の勉強が楽しい!」と言ってくれます。日本には面白いテレビ番組やアニメや漫画、ゲーム、素晴らしい食や歌がある。それらに触れながら学ぶので、モチベーションはいつも高い、と。
「楽しい」という気持ちは、何かを学ぶ上でとても大切なことは言うまでもありません。日本語は「楽しい」をたくさん提供できる分、言語習得に有利に働くこともあるのではないでしょうか。
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