参考:「日本人が外国語・英語が苦手、話せない」理由検証!海外の反応も
外国人からよく「日本語は世界で一番難しい言語だ」と言われますが、実際のところ日本語は本当にそんなに難しいのでしょうか?今回は、海外の反応や日本語が難しい理由、そして「世界一難しい言語ランキング」で日本語は世界で何番目に難しいのか?詳しく見ていきます。
日本語は世界一難しい言語?外国人・海外の反応は
冒頭で紹介した通り、多くの外国人に「日本語は難しい」と言われます。中には「世界で一番難しい言語だ」なんて言う人もいます。まずは、「英語圏の人からすると~」という対象言語論からは離れて、日本語が本当に難しいのかを検証していきましょう。
海外の反応「日本語は世界一難しい!」
多くの外国人、日本語学習者は日本語の難しさについて次のような声を上げています。
もうホントに!日本語は難しすぎる。なぜあんなに文字(の種類)が多いわけ?(アメリカ)
日本語難しい。日本語の教科書は2度と開きたくありません。(ベトナム)
日本語勉強中に何度泣いたことか…。(タイ)
日本語の勉強は、辛いを通り越して笑えてくる。(ブラジル)
日本語に比べたら英語は簡単だね。(メキシコ)
俺はなんて凶悪な言語に手を出してしまったんだ!(チリ)
俺たちが日本語を話すときの酷さと、日本人が英語を話すときの酷さって同じ感じ?(アメリカ)
日本語につまずいたのは俺の頭の問題じゃないだろ?(コスタリカ)
日本語の難しさは桁違い。世界一難しい言語なんじゃないか?(フィリピン)
大げさじゃなく、日本語ヤバすぎ。(アメリカ)
日本語の学習者は、特に文字の多さや文法の複雑さに苦労しているようです。日本語学校でも、だいたい50時間を超えた頃に楽しさ<難しさ・辛さを感じる学習者が増えます。
日本人が日本語を学ぶのはいつまで?
日本人が学校で日本語を学ぶのは、高校3年生の18歳までが一般的です。特に高校では「国語」という科目が必修となっており、現代国語、古文、漢文を学ぶことが求められます。これは世界的に見ても珍しいケースです。多くの国では、母語を学ぶ教育は中学までで終了することが一般的です。
日本:高校(18歳)まで
アメリカ:高校(18歳頃)まで※飛び級・留年などにより年齢は変化
中国:初級中学(15歳)~高等学校(18歳頃)まで
イギリス:中学校(16歳)まで
イタリア:中学校(14歳)まで
ドイツ:小学校(10歳)まで※卒業後の進路による
フランス:高校1年生(15歳)まで※その後の文理選択による
イギリスやフランスでは、中学校卒業時(16歳前後)で母語教育は終わります。こうした背景から、日本語の学習期間の長さにも驚く外国人が多いのです。
さらに日本では、大学受験の「国語」に現代国語の他、古文や漢文が入り、文系理系関わらず勉強する必要があります。そのためか、日本人の多くは「日本語を何歳まで勉強しましたか?」と外国で聞かれた際「18歳」と答える人が多く、これを外国人に驚かれるわけです。
日本語の新聞は難しい!
今、新聞を毎朝読んでいるという人は、どれくらいいるのでしょうか。日本人にとって新聞とは何となく堅苦しいもの。難解な話題を難易度の高い言葉を使って書いているイメージが大きいでしょう。
しかし、英語圏の新聞は小学生でも読めるように書かれているそうです。政治の世界でも、国民に発信するときは難しい言葉よりも平易な英語が使われていますね。
言語教育の場で、英語やその他ヨーロッパ言語であれば、中級までに新聞を教材として使うことがあります。しかし、日本語学校では(記事にもよりますが)新聞は上級者向け。初級や中級始めの外国人向けに扱われることは多くありません。
日本語習得にかかる時間はどのくらい?
さて、次に外国人が日本語を習得するにはどれくらいかかるのかという観点から日本語の難しさを見ていきましょう。
一般的に、中級になるまでには、300時間は必要とされています。1日4時間毎日ある語学学校なら、訳4ヶ月ということ。しかし、これは学ぶのが早い人です。ひらがなやカタカナ、漢字などの習得も入れると、この限りではありません。
1年かけて初級教科書を終わらせるという語学学校もあります。(以下2冊)
この教科書でいうと、1課に4時間かけることが多く、かなりじっくりやらないと外国人には難しいということです。
なぜ日本語は難しい?日本語が世界一難しいワケ
日本語だけでなく、自分の母語と形の違う言葉であれば、「難しい」と思うのは当然です。しかし、日本語は発音の音が少ない分、多くの外国語母語話者にとって発音しやすい言語でもあります。
それにもかかわらず、なぜ「日本語は難しい」と言われているのでしょうか。
日本語が難しい理由①文字の種類が多すぎる
日本語の大きな特徴の一つは、ひらがな・カタカナ・漢字の3種類の文字体系を持っていることです。外国人学習者にとって、この多さは圧倒的な負担になります。特に、漢字の習得には時間がかかり、覚えるべき文字数も非常に多いです。
「初めての文字」ひらがなカタカナをようやく理解して「さあこい!」となった外国人学習者は、漢字の多さを見て心折れてしまうようです。世界でここまで文字の種類が多いのは日本語だけだそう。つまり、初めの準備が世界一難しい言語のひとつといってもいいでしょう。
参考:日本語はなぜ3種類の文字があるのか?海外の反応「日本語が難しい」理由
日本語が難しい理由②アジアの学習者の母語との違い
何度も言うように、母語とかけ離れた外国語の難易度が高いと感じるのは当然のことです。日本は島国ということもあり、大陸から渡ってきた漢字からひらがな・カタカナを作るなど、独自に日本語を発展させてきました。その結果、中国語とも大きく異なる言語となり、難しいと言われるようになったようです。
漢字を輸入した後、「訓読み」も生まれたことで、中国語話者にとっても日本語は難解です。
参考:中国語でも使われる日本語由来の漢字とは?中国語との語順・発音・面白い意味の違い
日本語が難しい理由③欧米の学習者の母語との違い
「日本語は世界で最も難しい」「世界一難しい言語のひとつ」というイメージの多くは、英語圏やヨーロッパでのイメージが大きいでしょう。多くのヨーロッパの言語は親戚関係にあるため、ヨーロッパ言語Aの母語話者がヨーロッパ言語Bの学習をするのは比較的難易度低め。ヨーロッパで周辺国語を操るマルチリンガルは珍しくありません。
これは、多くのヨーロッパ言語と日本語の文法は全く異なり、学習する難易度が高いため。英語と日本語の文法比較はこちらです。
参考:「日本人が外国語・英語が苦手、話せない」理由検証!海外の反応も
さらに、英語圏で「世界で最も難しい言語ランキング」などを発表することが多いので、日本語=難しいのイメージが広まっています。
日本語が難しい理由④オノマトペ(擬音語・擬態語)が多い
日本語には多くのオノマトペ(例:わくわく、ざわざわ)があり、オノマトペの数は世界一といえるほどです。
オノマトペによって日本語の語彙数がグンと増え、外国人にとってこれらの表現は理解しづらい部分です。
日本語が難しい理由⑤文章中の主語や目的語が省略される
日本語は、文脈に頼る部分が大きく、主語や目的語を省略する高コンテクストな言語です。一方、英語など明確に主語や目的語を示す言語は低コンテクストな言語。低コンテクストな言語の母語話者が高コンテクストな日本語を学ぶのはとっても大変。
A「昨日、彼女と新しくできた本屋に行って買い物したんだ」
B「え?誰が、誰と、何を買ったって?」
極端な例ですが、こんな会話になることが実際あります。省略の多い日本語を学習する上で、単語や文法の習得だけでなく、文脈の読み方まで学ぶ必要があるのです。
参考:なぜ日本語には主語がないのか?主語・目的語を省略する3つの理由
日本語が難しい理由⑥語彙数・表現の多さ
日本語には、和語、漢語、外来語が混在しており、同じ意味を持つ言葉でも複数の表現方法が存在します。例えば、「朝ごはん」ひとつとっても、色々な言い方があります。
このことから、語学学校や教科書で勉強するには良くても、日本語ネイティブと話すと何も分からない…という外国人も多いです。ある書籍によると、その言語を90%理解するために覚えるべき単語数は、フランス語が2,000語。英語が3,000語。ドイツ語が5,000語。そして、なんと日本語は10,000語だそうです。
参考:日本語と英語の単語はどちらが多い?日本語の言葉の数が多いといわれる理由とは?
さらに、文章の表現方法・言い回しは多岐に渡ります。日本語の語彙数や表現の多さは、中級以上の学習者をいつまでも苦しめる難しいポイントです。
日本語が難しい理由⑦独自のコミュニケーションマナー
日本語を母語とする日本人の文化は、世界的に見ればかなり変わっています。お察し文化、空気を読み発言を慎む文化、相手を慮る文化、謙遜の文化、暗黙ルールがたくさんの文化…。これらの文化を守って会話を進めていくことは、外国人にとって容易なことではありません。
例を見てみましょう。
「部長、いつもお世話になってます。これあげます。とても良いものです!」
「部長、いつもお世話になっております。これ、つまらないものですが、受け取って頂けますか?」
上の文は、日本人にとっては少し不躾な印象。下の方が自然ですね。ですが、外国人からすると、「なぜつまらないものをあげる!?」となってしまうわけです。
これはどうでしょうか。
A「あれ、君今日の髪型決まってるね。可愛いよ。」
B「えー!やっぱり?私に似合うでしょ?」
A「…」
Aは日本育ちの日本人です。AはBが「そんなことないよ」と謙遜することを想定して会話しています。が、Bは褒められたことをそのまま受け取って、日本人らしからぬ返答をしていますね。
ここで求められる返答を外国人が考えるのも、結構難しい場合があるのです。人によりますが、日本人に比べ外国人は思ったことをそのまま口にする人が多いです。欧米では「黙っている=何も考えてない」と取られることもあります。
日本の、空気を読む文化や謙遜の文化を理解して日本語を操るには、少なくても日本での生活が3年以上必要でしょう。
世界一難しい言語ランキング!日本語は世界で何番目に難しい?
世界一難しい言語ランキングというものが世の中には存在します。けれどこれは、その国の言葉とどれだけ違うかということも大きな要素となっています。それぞれの言語圏ごとに、ランキングを見ていきましょう。
【英語圏】世界で一番難しい言語:中国語
2位.アラビア語
3位.日本語
4位.ハンガリー語
5位.韓国語
6位.フィンランド語
7位.バスク語
8位.ナバホ(アメリカ南西部先住民族)の言葉
9位.アイスランド語
10位.ポーランド語
英語圏のランキングでは、地理的に遠い東アジアの言葉が全てランクイン。その他、アラビア語や言語体系が英語と異なるハンガリー語やフィンランド語、アイスランド語などのヨーロッパの言葉もランクインしてます。
【ドイツ語圏】世界で一番難しい言語:中国語
2位.アラビア語
3位.ロシア語
4位.日本語
5位.ハンガリー語
6位.フランス語
7位.ギリシャ語
8位.ポーランド語
9位.アイスランド語
10位.フィンランド語
英語とドイツ語はどちらもゲルマン語派に属する言語。このため、地理的に少し離れているにも関わらず、ドイツ語話者は英語の習得が容易といわれています。一方、ドイツ語圏に隣接するハンガリーやポーランドの言葉は難しいとされています。言葉の違いや習得の難易度は位置関係だけでは測れないことがわかりますね。
【フランス語圏】世界で一番難しい言語:中国語
2位.ギリシャ語
3位.アラビア語
4位.アイスランド語
5位.日本語
6位.フィンランド語
7位.ドイツ語
8位.ノルウェー語
9位.デンマーク語
10位.フランス語
フランス語は、ドイツ語や英語とは異なり、ラテン語から派生した言語です。 そのためか、難しい言語にドイツ語・デンマーク語などもランクインしてますね。
【中国語圏】世界で一番難しい言語:不明
ヨーロッパ勢から圧倒的に「学びにくい」「難しい」とされる中国語。では、中国語話者にとって難しい言語は何語なのでしょうか。 以下は、中国語で出されていたランキングですが、これは英語話者にとってのランキングを中国語訳した記事。
2位.ギリシャ語
3位.アラビア語
4位.アイスランド語
5位.日本語
6位.フィンランド語
7位.ドイツ語
8位.ノルウェー語
9位.デンマーク語
10位.フランス語
中国語話者にとって難しい言葉のランキングは、残念ながら見つかりませんでした。もし見かけた方がいたら、ご一報ください。
日本語は世界で一番難しい言語?
では、実際に「日本語は世界一難しい言語」なのでしょうか?
アメリカの外国語研究所(FSI)による調査では、日本語は「Category IV」という最も難しい言語のグループに分類されています。英語圏の人にとって、日本語を習得するのに約2200時間の学習が必要とされており、これは他の多くの言語と比べても非常に長い時間です。
一方で、同じアジア圏である中国語や韓国語も同様に難しい言語とされています。特に、漢字を使う中国語は日本語に似た点も多く、文字の複雑さでは負けていません。また、アラビア語やロシア語など、異なる文字体系を持つ言語も学習が難しいとされています。
とはいえ、これはあくまで英語圏の話です。これまで見てきた通り、「日本語は世界一難しい言語」「世界で一番難しい言語は日本語」と決定することはできません。
日本語が簡単に感じる言語圏
日本語習得の難易度は、挙げてきた通り。ですが、同じ言語体系の母語話者なら、習得は英語圏の人ほど困難ではありません。
例えば、SOVタイプの韓国語・モンゴル語・トルコ語などの母語話者であれば、SVOタイプの母語話者より日本語は身近なはず。特に、文法的に非常に似ている韓国語話者にとっては、日本語文法はそこまで難解ではないとされています。また、中国語のように漢字を使用する学習者であれば、英語話者よりも習得は早いでしょう。
日本語の発音は難しくない
日本語は、発音が他言語に比べてシンプルな言語です。高低アクセントやイントネーション、長音や促音、発音しづらい音などの問題はあるものの、音自体の種類は少ないものです。
日本語の母音は5つ、全て合わせても100ほどの音で構成されています。対して、英語の母音は16~26個(諸説あり)、全ての音を合わせると1800とも言われています。
また、中国語のように母音は6つでも、アクセントが異常に難しい言語も存在します。発音が多い国の母語話者というのは、それだけ耳が良く、発音に関しても勘が良い人が多いもの。日本語の発音に関して、「習得困難なほど難しい」と思うことはないでしょう。
「世界一難しい言語・世界で一番難しい言語」は存在しない
数年前あるお祭りで、ポーランド人に出会いました。彼は強かに酔っ払っており、声高にこう叫んだのです。
<ポーランド語は世界一難しい言語なんだ!!
彼の言葉が気にかかり、すぐにポーランド語について調べてみました。ポーランド語は、たしかにヨーロッパで話される言語の中でも文法が複雑で習得が難しいとされています。スラブ語派に属し、英語やフランス語とは異なる分類であるのも一つの要因でしょう。しかし、同じくスラブ語派のロシア語やチェコ語、スロバキア語話者からしたら、ポーランド語がその他の言語と比べて特別難しいものとは言えないでしょう。
このように、 視点を持たない客観的なデータによる「世界で一番難しい言語」は存在しません 。 必ず「〇〇語話者にとって」という言葉が付くはずです。
「世界で一番難しい言語」でも外国人が楽しめる日本語
海外の反応や世界一難しい言語ランキングで見てきた通り、日本語は外国人、特にヨーロッパの言語を母語とする人々にとってとても難易度の高い言葉です。しかし、それでも日本語を頑張る外国人はたくさんいます。
仕事や留学のためというだけでなく、ユニークな文化を好み勉強している人もいます。そういう人はいつも「日本語の勉強が楽しい!」と言ってくれます。日本には面白いテレビ番組やアニメや漫画、ゲーム、素晴らしい食や歌がある。それらに触れながら学ぶので、モチベーションはいつも高い、と。
「楽しい」という気持ちは、何かを学ぶ上でとても大切なことは言うまでもありません。日本語は「楽しい」をたくさん提供できる分、言語習得に有利に働くこともあるのではないでしょうか。
前回記事:日本語能力試験(JLPT)申し込み開始!N1〜N5レベル受験の目安
次回記事:外国人の間違えやすい日本語とは?中国・韓国・英語圏の人々の発音・文法の注意点
多分完璧な日本語わかる人は地球上一人もいないと思う、日本語にはギャル語も含まれる当て字ある常に言葉遊び多く、外国人さん達には、日本語のCMかなり難しいと思う、上級日本語を覚えれば日本人化する可能性でるのかな?
それ全ての言語に言えますよ
それな
わかりやすかった
わかりやすかったぜ
※中国では高校文理問わず国語(語文)が必須科目です。数学(文数、理数)、外語(英語(中3まで必修)、ドイツ語、日本語、スペイン語、ロシア語なども大学進学受験認定)三大主科と称します。文系と理系の区別は、文系(政治、歴史、地理学)、理系(物理、化学、生物学)となります。 ちなみに、大学でも、大学語文という科目も大1・2まで必修科目です。